僕がずっと死にたかったのは。   作:青山葵

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序章・灰被りと願い人

 僕は、全部持っていて、全部を失っていた。

 

 自分の世界も、心も、包み込む様な愛も無かった。

 

 まさにシンデレラの様な境遇だった。

 

 度重なる暴力や理不尽、不条理な世界に何度も吐いた。

 

 僕は多分、壊れていた。

 

 何度も何度も何度も何度も自分の生命を終わらせようとしたし、家族すらも手にかけようとした。でも出来なかった。それをしてしまったら人間ではなくなってしまうから。その気持ちが何度も錯綜し今でも僕のドアは鍵を掛けたままだ。

 

 父と母には「あんたなんか、お前なんかが産まれなければ」と言われた回数はもう、数えていない。自由も奪われて、我慢を数え切れない程抱えて、挙句の果てには努力すらも蔑ろにされて否定される。

 

 だから、生きるという事が怖かったんだ。息をしていたら自分が自分でなくなってしまうのではないか、周りはどんどん目まぐるしく進んでいっているのに自分だけは何も変わっちゃいない。

 

 産まれた事すらも後悔した。僕は産まれてはいけない人だったんだなって、そう何回も思った。

 

 ずっと、死にたかった。

 

 死にたい。

 

 楽になりたい。

 

 生きるって何だ?

 

 ずっと、そんなことばかり考えていた。

 

 でも、死のうと思っても死ねなかった。

 

 簡単な事だ、僕は死ぬのが怖いからだ。死ぬのが怖いのは、何処かで僕の世界に希望を抱いているから。まだ一縷の望みに縋っていて、本能でまだ生きたいなんて言う気持ちがあるから。

 

 そんな綺麗事を滴るように垂らしたって、何もならない事は分かっているのに。

 

 時間が僕だけ止まっていたんだ。

 

 光もなければ闇もない、そんな無の世界を僕は何の感情もなく歩いているだけだった。僕はもう何も無いんだと、まともな人生を送れないんだと。

 

 そして目を閉じる、奪われた分も取り戻す気にもなれないでまた逃げ続け、直視すべき現実から目を背けた。

 

 

 

 僕は····また灰を被る。

 

 

 

 私は、全部持っていなくても、それが幸せだった。

 

 この状況、産まれた境遇にも何一つ後悔はない、だってその過去がなかったら今の私は無い筈だから。だからこそ私は歩いて来れた。

 

 でもそれが年月が経つにつれ、進む道の足枷となっていた。色んな人がよく言う幸せになるってなんだろう? 自分らしく変わるという言葉を勘違いしてこんな変わった格好にした時もお母さんは笑って「可愛いね」って言ってくれた。

 

 お母さんは、どんな形になっても私の事を優しく受け入れてくれたのだ。

 

 幸せだ、と感じた。

 

 そして、大人がよく言う『幸せになりなさい』って言う言葉がこれなんだと感じた。だけど日々を過ごしていくうちに、それは自分の勘違いで、本当の幸せってなんなのかって、考え続けた。

 

 結論は、分からなかった。

 

 きっと私の中には、何もなかったから。

 

 だからこんな格好になっちゃったんだろうか。

 

 結局、私は自分が空っぽだと言うことに気がついてしまった。

 

 欠けていて、何もわかららない。幸せなのに幸せが怖い。

 

 満たされる事が怖い、これ以上幸せになったら、死んでしまいそうな気がした

 

 それ故に、私はこれ以上幸せになる事が怖くなった。

 

 人の感情が分かっても、自分の本心が分からなかった。

 

 モヤがかかったみたいに、ずっと心に突っかかりが残っている。

 

 だからこそ、私は矛盾した感情を幸せな感情で上書きした。

 

 生きることに蓋をして、前を向いた。

 

 前を、向く?

 

 私は····枯れそうな心で願いを描いた。

 

 

 僕は、君のお陰で止まった時間が動き出した。

 

 私は、君のせいで本当の幸せとは何かを知る。

 

 

 これはを未来(いま)を夢中で走り続ける君達の物語だ。

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