「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
レオニの新曲で急遽インスピレーションを得たので続き。
某一繋ぎの財宝に出てくるような、その世界でやってる事は正しく“聖人”だと言うのにその自分だけ自分の事を“悪人”だと思い込んでる人は大好物です。
そしてそんな人に救われ重い感情を抱くヒロイン達も大好物です。
過去の独自解釈挟むかもです。
「やあ!おはよう我が義弟よ!!」
「おはようございます。司先輩。」
でも義弟では無いですよ。といつものように定型文で願は声を返す。
ここは神山高校の早朝。高校生と合ってか、やはりどの世代も学校というのは憂鬱だ。特に朝早くからとなると面倒臭くなってくるのだろうかやはり顔色は優れない。
この人を除いて。
「いや。お前は咲希を嫁に貰うのだからな!」
天翔けるペガサスと書き、天馬!世界を司ると書き、司!その名も天馬司。
こと、ショーバンド“ワンダーランズ×ショウタイム”の座長を務める天馬司先輩だ。
先輩と言う通りに願の一個上で、天馬咲希の兄である。
願とは古くからの友人で、神高2大変人の片割れと名高い司とも問題なく接するとして少なくとも2年生の中では尊敬の眼差しで見られている。
「そんなの釣り合いませんよ。」
「………ほう?それは何故だ??」
自嘲するかのように、願は司の言葉を否定する。
勿論、兄として妹を愛する司は願のその言葉に込められた意味を問う。
今まで、司が咲希の病弱に付き合えない時もずっと親身に見てくれていた弟分の願の言葉だ。悪い意味だとは考えてはいない。
「咲希は綺麗です。」
贔屓目に見ても咲希は綺麗だ。美しい金糸の様に輝く髪に、餅のように弾力がある肌。
天は人に二物を与えないと言うが、咲希は綺麗な上に心はもっと綺麗だ。
だってあの時からそうだった。自分が辛いはずなのに。自分だって外で遊びたいだろうに。病院の窓からは外は遠くて、願と一歌の季節を告げる声だけが外の空気を知れる手段だった。
「そんな咲希に俺は釣り合わない。」
恨みたかっただろう。弱音を吐きたかっただろう。
どうして私だけがこんな目にって言っても良かったはずだ。
でも咲希は喜んで、ただ感謝して、俺たちを労った。自分だってもっと辛いはずなのに。その他者を思いやる心をまだ十数年しか生きていない少女がだ。……こう無闇矢鱈に生きてきていた俺でさえその状況になったら同じことが出来るとは思えないのだから。
そう。願は考えながら、言葉を紡ぐ。
「そうか……そうか……」
何故か、喜んでいる様に司は笑う。どうしてだろうと首を捻って、司を見ても笑って願の肩を軽く叩くだけだ。
「どうしましたか?」
「いや。なんでもない。素晴らしいな願。やっぱりお前は咲希に相応しい。」
咲希だって喜ぶだろうと。司は執拗に願に薦める。
「いえいえ。遠く及びませんよ。」
変わらず願は苦笑して、司の言葉を退ける。
「外夜くーん!!」
司と色々と話し込んでいるうちに、願はクラスメイトに呼ばれる。
こう見えて、色々と面倒見のいい願は学校でもヘルプに入ることも多いのだ。
「すみません。呼ばれているのでこの辺で。」
「ああ!また会おう!願!!」
司は立ち去って行く願に片手を振って送る。
願はそれを横目に立ち去り、司先輩から離れる。
その時、願は不思議なことを考えた。
(あれ……司先輩。今日は騒がしくない??)
話し込んでは居たが、いつもならどちらかが離れたら司はいつも大声で何かを叫んでいたはずだ。だと言うのに今日は響くような声は聞こえない。
不思議と思いながら願は教室に向かったのだった。
私は生まれながら病弱だった。
私、天馬咲希は生まれながらの病弱だった。
身体が弱くて熱を出すことなんてしょっちゅうだった。咳き込むことなんていつものことで、苦しくて身体が重くて動かせない事だって多かった。
それでも私には勿体無いほどの幼馴染が居た。
いっちゃんこと星乃一歌。ほなちゃんこと望月穂波。しほちゃんこと日野森志歩。
そしてげんくんこと外夜願。昔からずっと一緒でいつから一緒からと考えたら少なくとも物心ついた頃からだろう。小学校の時なんて、学校が終わってからずっと五人一緒に遊んでた。勿論、私は身体が弱かったからそんな激しいことは出来なかったけど、一緒にいるだけで楽しかった。病院にもよく入退院を繰り返したけど、皆んな会いに来てくれない日の方が数えられるほどだった。
でもそんな楽しい日常はすぐに一変することになった。
私は街の病院から遠く離れた大きな病院に移ることになった。
それが中学の頃。皆(げんくんは違うけど…)と同じ所の中学校に行けると楽しみにしていたのに、私の身体はひどい時には病床から出ることさえ許されないほど弱る事になった。それと同じようにほなちゃんと、しほちゃんにもトラブルが有ったみたいで、たまに来てくれるのはいっちゃん。げんくんは良く来てくれたな。あれ程仲が良くずっと一緒だと思っていた幼馴染は砕けたガラスのようにバラバラになってしまった。
『やっほ〜!げんくん!』
『咲希。今日は大丈夫みたいだね。』
『うん!あっ。お土産ありがと〜!』
いっちゃんはお花。げんくんはよく色んな物を持ってきてくれた。有名でいつも品切れしてるようなファッション誌や、アクセ。昔の私が好きそうなCDから今有名のCDまで、色んな物を持ってきてくれる。これは高校生になってから気が付いた事だが、少なくとも中学生では(高校生になった今でもそうだけど)手の届かない様な値段の代物をどうやって手に入れたのか。今でもげんくん七不思議の一つだ。
『皆元気にしてる?』
『………うん。それよりほら!』
本当にいっちゃんも、げんくんも嘘が下手だった。
私、実はなんとなく気が付いていたよ。その時、ほなちゃんとしほちゃんとあんまり話せてないこと。そしてその間に仲が悪くなってしまったこと。
でも当時の私はバカだった。本当はそういうこと無かったのに。
『咲希。来たよ。』
『あっ!いっちゃん!』『やあ。一歌。早いお付きで。』
『願も来てたんだ……花変えておくね。』
『ガーベラとスイートピーか。』
『げんくん?』『……ううん。良い花だなってさすが一歌。』
『照れるよ。そんな褒められると。』
『…花言葉?』『そうだよ咲希。意味は……』
ああ。でも私は最低で最悪だ。
今もしあの時に戻れるならば、私は私の頬を全力でぶっ叩いている。
少し考えれば分かるだろう。少し頭を動かせばわかった話だろう。
いっちゃんだってここの病院まで遠いのに、げんくんはその足だけでよく来てくれていた理由。そして幼馴染が疎遠になって唯一、外から客観的に知ることが出来た彼が何もしなかったと言うのか。
『……え?………お兄ちゃん……今…なんて?』
『願がぶっ倒れた。過労だそうだ。』
ある日。お兄ちゃんが必死に私の病室に飛び込んできた。
いつものようにショーをして入ってくるんじゃなくて、それこそ何か本当に重大な事があったんじゃないかって。そしたらどうだ。こんな有様だ。
『っ!?…どうして!?』
『分からん。ただ重度の疲労だそうだ。』
あいつは昔から頑張りすぎる所あるからな。
俺も頼り過ぎた所あるかもしれん。色々と抱え込ませ過ぎたからな。
そう。お兄ちゃんが言う横で一人。私はどこか冷静に感じてしまった。
げんくんは今週何回来てくれた?げんくんは今回何を持ってきてくれた?
げんくんは………
『……ぁ…………』
『どうした。咲希?!…咲希?!』
嗚咽と共に、涙が流れて止まない。
私が今まで当たり前だと思ってきたことは何も当たり前じゃ無かった。
お兄ちゃんでさえ遠い筈のこの病院に、げんくんに何回来させた?そして私はそのことに何も言わなかった。ただ一度も触れなかった。ずっと、ずっと、ずっとそれが当たり前だと……
『ぅ…いや………ごめんなさい…ごめんなさい。ごめんなさい…』
『咲希?…咲希!!』
なんて傲慢、なんて強欲。わたしはいつまで夢に逃げて迷惑を掛けたのか。
げんくんはよく心が綺麗だとか言って褒めてくれるけど、げんくんの方がよっぽどだ。
ただの幼馴染にわざわざ放課後ほぼ全て使って遠方の病弱な幼馴染に会いにきて、毎回毎回違う物を買って、お見舞いに週何回も来てくれるのが私なら出来るのか。
ううん出来ない。私はそんなことできない。
それに私だって、ずっと羨ましかった。妬ましかった。
なんで私の身体はこんなに弱いのか。外でみんなと走り回りたかった。色んな公園で遊びたかった。遊具で日が暮れるまで遊び尽くしたかった。
なんでしほちゃんもほなちゃんも全然音沙汰もないのか。私は、私はもう過去の“友人”なのか。
ずっと、ずっと羨ましかった妬ましかった。
なんで、いっちゃんもげんくんもそんな私を友人だって、親友だって言ってくれるの?
ずっと、ずっと不思議で不安だった。こんな私が幼馴染で良いのか。
でもげんくんは…願は笑って励ましてくれた。
『なんだそんな事か。』
げんくんが倒れて数日後。いつものように笑って私にお見舞いに来てくれたげんくんに叩き付けた。私を可哀想だと思っているの?私になんでそんな自分の身を削ってまで会いに来てくれるの?なんて…私にそこまで尽くしてくれたの?
泣きながら、げんくんに問いただした。でもげんくんは軽々と言ったのだ。
『よく聞け。………親友がそんな事考えるな。』
『…………ぇ?』
『俺がしたいからしている。早く良くなってくれ。そしてもう一回五人で集まるそういう目的で動いてる』
俺だって何の見返りもなくやっているわけじゃない。勘違いするなよ。
そう言って願はそっぽ向いてしまった。
とても早口で、ただ誤魔化してるようにも聞こえる。でもきっとこれが願の本心。だってげんくん耳が真っ赤だ。
なんだ。そう言う事か。“したいからしている。”それだけでげんくんはそこまで私を見てくれるのか。ああ。なんて酷い人、そんな事言われて意識しないわけない。
「随分昔のこと思い出しちゃったな〜」
私は一人過去を思い出しながら歩く。どれもこれも本当に昔からげんくんの人を甘やかす才能だけはピカイチだ。勿論、その恩恵に預かって良いのは私たちだけだけど。
「そうだよね。やっぱり私とが一番だよね!」
偶然お兄ちゃんと電話が繋がっていて、偶然お兄ちゃんが電話中にげんくんに婿に来ないか問いかけた。偶然問いかけた時にげんくんの声が電話口に入って私に聞こえてしまった。そう全ては偶然だ。
「げんくん…げんくんっ!……あはっ!」
げんくんはいつだって私たちの味方だ。でもそれ以上にきっと私の味方だ。
だって、ずっと過去から私を私だけを励ましてくれた。
いっちゃんやしほちゃん、ほなちゃんには悪いが私の一人勝ちだ。ずっと。そしてこれからも。まあほんの少しだけ3人にも“おこぼれ”をあげないわけじゃ無いけど。
だって私は“優しい”のだから。
「ああでもダメだよね?」
げんくんはずっと私たちをそんな目で見てくれない。
私の勝利は確信してるけど、そんなんじゃまだまだダメだ。無闇矢鱈に3人に期待させ続けるのは本当に可哀想だと思う。
大丈夫。もう作戦は動いている。ここで必ず勝負を決める。
⦅外夜 願side⦆
私は聖人になれない。俺はいつだって誰かを救える神様になれない。
最初は哀れみからだった。身体が思うように動かなくて、みんなと遊びたいのに一人外を眺めるだけの無情さは知っていたから。
だから俺は哀れみを込めてその少女に近づいた。可哀想だから。
気がついたらその子の周りに、そして俺にも大切な幼馴染と言える存在が出来上がった。多くの人の縁が出来た。出来てしまった。
少し年齢が上がると、その少女の病症は悪化していった。
老人のように床から出てこれなくて、可哀想。可哀想。そう考えながら私はその少女に親身になった。病気の苦しみは知っているから。病院の白い壁を見て寂しくなる感覚は知っているから。
それと同じように、幼馴染の3人にも色々とすれ違いになってしまった。
人間関係トラブル、互いを思うが故にのすれ違い。
俺は人より少し大人だ。年齢より精神年齢は発達している。ここで俺が繋ぎ止めないときっとこの子達はこれから一生苦労する。そうはなってほしくない。
これが真相。これが真実。
泣いて聞かれた時も何も言えなかったからじゃ無い。何も無かったから、次第にあの少女の…咲希の面倒を見るのが楽しくなってきたから。
だから、俺を優しいと思わないでくれ。
俺はただ、最低な思いで彼女たちにつきっきりになってしまったから。
だから、俺をそんな目で見ないで。
天馬 咲希
原作より少し腹黒になってしまった元病弱少女。
ずっと付きっきりで面倒見てくれて、自分の事も疎かになるぐらいまで尽くしてくれた幼馴染のせいで男性観破壊and自己肯定感アップ。
外夜 願
最低最悪()と思い込んでる転生者。
だけど。忘れないでほしい。「完璧な聖母」を完璧に演じきれば、それはすなわち「完璧な聖母」そのものであると言えるだろう。自分を捧げ、赤の他人を無償で助ける。それは聖母とも呼べる所業では無いだろうか。
最初がどれほどの見下すような哀れみだとしてもその所業は確かに聖人なのだ。
また反響が良ければ続きを。
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
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