「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
願が中学の時にレオニと距離を取ったせいで、メンヘラになって今以上の修羅場になるレオニという電波を受信したところで続き。
実は皆さん気がついていますか?話が進むことに病み度が上がっていることに。
はい。これがラストです。つまりはそういうことです。
いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定注意です。
依存したくないのに、くっ殺感覚で依存しつつ、その顔を横からしめしめと見ている共依存関係とか性癖破裂しちまうよ。うん。
「…ここ。だね」
「みたい…だな」
或る日。願と穂波は地図を片手に街を彷徨っていた。
その経緯は前日まで遡る………
『コーヒー?まあ飲むが。』
『だろ?だからさ。ここ行って見てくれね?』
前日の昼休み。特にすることも無いからと購買で買ったパン片手に彰人と教室で雑談混じりに昼飯を食べていた時だった。
『いや。ここさコーヒーが美味くてアップルパイが更に美味いんだと。』
彰人が言うには、期間限定でやっているカフェらしい。
口コミ曰く、コーヒーが絶品で更に合わせて食べるアップルパイが美味しいとの事
値段もそこそこで美味しいがやはり期間限定という時間制限内に一度は味わって見たらどうだとの事。
『………へぇ…ちょっと遠いな』
『まあそれはそうだな』
どうやら彰人も彰人の姉から教えてもらったらしく、行こうかどうか悩んでいる所に、コーヒーの味が分かる友である願にどんな感じか見てきて欲しいとの事だ。
『おいおい毒見じゃないか。』
『そうとも言うが…ほらここ見てくれ』
美味いとはいえどれくらいか分からない。更に言うとかなーり遠い。
更に言うと、彰人はチーズケーキやパンケーキは好きだがアップルパイはそこまでだ。
だからこそ興味はあれどわざわざ行こうとは考えていなかった。
『幼馴染でも誘って行ってみたらどうだ?』
『……たしかに。』
彰人がニヤニヤとどの幼馴染と行くのかな〜と楽しみな様に願を見るが、実の所願はもう誰と行こうか既に考えていたのだった。
コーヒーを好んで飲むのは願しか居ないが、アップルパイを好んでよく食べる子なら願は知っている。
願『明日、久々に二人で遊びに行かない?』
彼は文字を打つ手に一切の迷いなく、その彼女にメールを飛ばしたのだった。
願はその後一応自分でも調べて、距離は有るが交通機関も行き方も問題はないほどだった。メールを送った直後。ほんの数秒も掛からない内に了承のメールは届いた。蛇足ではあるが願が幼馴染にメール送ると数秒から1分以内には必ずメールが返ってくる。
そうして話は今に至る。
幼馴染…穂波の家の前で合流し、たわいない話をしながら電車に揺られ目的のカフェにたどり着いた。自慢では無いが、願と穂波は地図を片手に何度も迷ったりしながらそのカフェの前にたどり着いたと言う事だ。
「良い感じの店だね」
「そうだね。何頼もっか」
店は中々繁盛している様子で、店員に案内され二人はようやく店に腰を下ろす。
メニュー表が渡されるまで店内を軽く見渡しても適度に光彩が溢れ、木造故か何処か一風変わった雰囲気の店だった。
「その…わたしはアップルパイ…かな。」
「じゃあ俺も。何飲む?」
そもそも願は穂波の重度のアップルパイ好きを昔から見てきたものだ。というか今日も穂波の息抜き兼慰安という意味も込めて連れてきているのだ。
「じゃあわたしは…紅茶かな」
「うん。了解。」
卓上のボタンを押し、願は注文をする。アップルパイをワンホールそして紅茶とコーヒーを頼む。ちなみにだがやはりワンホールという物は少なくとも二人で頼む物ではなかったが、穂波は勿論、願も昼御飯の代わりにするために問題ないと店員に伝えた。
「久々に二人だね」
「……たしかにね」
そして店員が去った直後。穂波からの笑みと共に願だけが分かる様に圧力が掛けられる。その言葉の中で一番強いのは“二人”と言うところ。
願の虹色に輝く脳細胞が一つのアンサーを弾き出した。
「……あー……そのー……」
「咲希ちゃんのお嫁さん。一歌ちゃんとのプリクラ。志歩ちゃんとのお家デート。」
どれが良い?わたしはどれからでも良いけれど……
願が弁解しようとした瞬間、穂波から静かながらも願だけには周囲の音が聞こえなくなるほど鋭い声が聞こえる。穂波を見ると、笑みである事には変わり無いがその中の目が極寒、いやもはや氷河期真っ只中だ。洒落にならない。
「……………ごめん。」
ここまで来たのならば弁解は油を注ぐだけだと願は察した。
何度かこうしてなった事はあるがここまで穂波が荒れているのはあの時以来だ。
「怒ってるわけじゃ…ないよ?」
冷えていく空気と裏腹に穂波の声は変わらずともその対比が非常に願の肝を冷やす。首を垂れて平伏するのが正しいが今それをするのは周囲の目を惹きすぎる。
「でもさ…ずっとずっと分かってあげるのはわたしだけだよ?」
「…………っ………」
その言葉に願は反応さえ出来れど反論する事は叶わない。
何故ならばその言葉には偽りはない。願はそれを理解している。
性別や多少の差異はあれど、願と穂波の考え方の根幹には似通るものがある。
それは“奉仕精神”。穂波は周囲全てに優しさを振り撒き最後には救った人間に裏切られた。その後、穂波は願だけに心を開きそれ以外を拒絶した。願は好意を抱いている幼馴染だけにその優しさを振り撒く。だがその根っこは純粋な好意だけではない。何処か捻れ曲がった“何か”がある。
「もしかしたらあの子達に捨てられるかもしれない」
そうだ。穂波は一度幼馴染を捨てた。もう二度と自分は傷つけられたくないから。
そうだ。願は幼馴染を優しく壊した。どうなるか予想を付けれていたはずなのに。
「だからね…いつまで意地を張るの?」
優しく、甘く穂波は声を紡ぐ。口付けするかのように、花の茎を手折るかのように穂波は願を堕とす。その声はまるで天国へ導くような、そして海の底に沈めるかのようなそんな魔声。
「………俺………は……」
そう。願が穂波の苦しみが分かる様に、穂波も願の苦しみに一番近い。
本来であるならば名前の通り、願は穂波を救えたのだろう。だがそれ以上に穂波の苦しみに願は共感してしまった。だからこそ、願は穂波を救えなかった。
勿論、分かっている。願は今までのツケが今来ているだけだ。
だからこそどうすればいいのか分からない。
今この場で穂波の手を取り堕ちていくのと、穂波の手を引き上げるのは一体何の差異があると言えるのか。そう救うと言うことしか出来なかった願に天秤は動かない。
「そうだよね。簡単には決められないよね」
だがここからが怖い話だ。穂波は今までの魂の芯から凍えそうな空気を消して、怖い笑みではなく、普通に笑っている。
「だけど忘れないでね。ずっと好きなのは…わたしだけだよ?」
「……………………………」
願だけが気付くその笑み。何処か何処か自分を鏡合わせで見ているような。
そんな笑みが…願はまたどうしようもないほど穂波から目を逸らすことが出きなくなっていったのだった。
暗く暗く沈むような話はそこで終わりを告げ、店員が頼んだアップルパイと飲み物を持ってきた。流石に食べ物の目の前で暗い顔では居られないと、なんでもない話を交わしながらアップルパイを摘む。
確かに美味しい。林檎のしっとりさと、パイ生地のサクサクさが両立して願でも驚くほど美味しい。…それはそうと願が一口食べていると目の前では穂波の皿に置かれた一切れが消えていくのは本当にマジックとも言えるだろう
「あれ?願〜!」
4分の3位食べ切って少し休憩にしていた頃だろうか。
席を挟んで向こう側から願を呼ぶ声が聞こえる。どう言うことかと横を向くと…
「暁山?…お久しぶり。」
そこの四人掛けの椅子に座っている一人に願は見覚えのある顔が居た。
軽く巻いたピンク色の髪と薔薇色にも似た瞳を輝かせそこに座っていた。
願にとっての顔見知り。その名前は“暁山 瑞希”。サボり気味故か学校で姿を見るのは本当に確率だ。だからこそ余談だが、地味に願はその顔を校内で見れたらラッキーみたいなおみくじ代わりにしていた。
「おっひさー!…こんな所でって珍しいね〜!」
その出会いは中学時代。まだ瑞希が短髪で、願が学級委員長として忙しかった時の話だ。同じクラスだからと、教室に顔を出さない瑞希に学級委員長として願がプリントや重要事項の伝達を行っていた。願も幼馴染や色々と忙しかったからかその関わりはあくまで表面上に違いないが、それでも誰でも対応を変えない願は瑞希と波長が合うことが有った。何より瑞希の可愛い物好きは願のお土産事情に大きく貢献してくれた。だからか高校生となった今でもその親交は続いていると言うことだ。
まあ大体瑞希からの勉強教えて〜が多いのは否めないが。
「まあたまにはね。それで…何かのコミュの集まり?」
横をチラッと見ると、穂波は穂波で瑞希側の前に座っていた銀髪の人や紫髪の人と喋っている。そちらもそちらで話が盛り上がっているようだ。
「あはは〜まあね〜」
「?あんたが外夜願って奴?」
瑞希と話し込んでいたらその後ろから顔を出した人がいた。茶髪で茶色の目をした見知らぬ人だ。だが、その姿は願にとって何処か誰かにダブるような気がした。
「?はじめまして。えーっと……」
「私は東雲 絵名。あの彰人の姉よ。」
「ああ。噂はかねがね。はじめまして外夜願です。」
事実、願は彰人から彰人の姉について愚痴混じりに聞いてはいたがその目で会うのは初めてだ。そして…彰人が非常に恐れる姉とはとこの目で見れて感慨深い物があると絵名を見る。
「どういう噂なのかしら……」
「えななん弟くんに厳しいからね〜…そこんところどうなの?願?」
「流石に友人は売れませんよ」
「そう…まあ大体分かったわ。」
家に帰ったら〆る。そう呟く絵名を前に、願は頭の中で彰人に謝りながら冥福を祈った。おお。可哀想な彰人。死んでしまうとはなさけない。
「それで…その幼馴染?」
瑞希がさらに面白そうな物を見るような目で、横に穂波に視線を軽く寄せる。
そうだった。瑞希も、願の“幼馴染ハーレム野郎”の件は知っている。
「そそ。望月穂波。仲良くしてくれると助かる。」
「…?あ。わたしは望月穂波です。よろしくお願いします」
「穂波そっちは……?」
「え?…あっ仕事でね。宵崎さんって言うんだけど…」
「あああのハウスキーパーの」
そうそう。と穂波は首を縦に振る。
願は穂波のバイトである家事代行の事は知っている。相手の娘さんが酷く嘗ての俺の惨状…つまり寝食が適当で倒れることさえあったと言う。
「あっ…あの宵崎 奏…です。」
「はじめまして。朝比奈まふゆです。」
その人である銀髪の何処か虚弱そうな人が宵崎 奏。
そうしてその隣で座っているのが朝比奈まふゆと言うらしい。
「これはご丁寧に。外夜願です。」
願は一瞬固まり、その直後いつものように笑みを浮かべ挨拶をする。
その一瞬、まるで恐ろしい物を…悍ましい物を見たかのように固まったのは穂波とあと一人……
「………へぇ…………」
彼女だけ。たった一人、たった一人だけ願の警戒心を悟った。
“ある意味…同類”
そう。それはまるで面白い玩具を見つけたような。何処か興味を持つ視線だった。
その後、瑞希達の集まりと会話を続け意外にも穂波の話で奏やまふゆと盛り上がって一面も有ったが、時間が過ぎて解散となった。
「今日は楽しかったですありがとうございました。」
願と穂波が頭を下げその集まりから離れる。話し込んだとは言え、今からはもう晩御飯の時間だ。各自に用事があるからと道を分かれたのだった。
「……………大丈夫?」
「気がついてたの?」
「ううん偶然だよ」
でも何処か無理をしている感じだった。穂波は願と手を繋ぎ、歩きながら呟く。何処に向かってるわけでもない。家に帰ろうとさえしていない。ただ無闇矢鱈に今は歩いていたかった。それは願も穂波も同じ想い。
「……いつまで経っても敵わないな。穂波には」
「だってわたしは貴方と同じだもの」
ずっとずっと昔から変わらずの同類。血でも魂でもない同類。
…そう。鏡合わせの願と穂波。その二人だからこそ察せれる。察する。
まるで質の悪いアルバムを見ている気分だったと願はいつもの口調を殴り捨て吐き捨てる。その顔には願だとは思えないほど一目で嫌悪感が分かるほどの表情をしていた。
「落ち着いて」
「……〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
あろうことかまさか穂波は願に口付けした。勿論舌まで入れて。その姿に一切の躊躇いなく、いつもやっていると手慣れていると言わんばかりに願の口の中を穂波の舌は蹂躙する。
「……落ち着いた?」
「っ!あのなぁ!!」
出来た唾液の橋を親指で舐め取り、空色の瞳から何処か光を消して穂波は願を見る。あの日からそうだった。穂波はずっと愛を歌うかのように口付けをする。その頻度は昔と比べれば減ったがそれでも変わりなしだ。むしろ時間は長くなっている。
「忘れないでね…わたしたちはいつだって比翼の鳥だよ。」
「……………そんな綺麗な物じゃないだろ」
穂波は願に抱きつき耳元で囁く。二人に隙間はなく熱が伝わり続ける。
穂波はこの幼馴染のグループに隠された関係を比翼の鳥と称した。だが願にとっては違う。幼馴染達を裏切ったこれはそんな綺麗な物で表せない。
「いいところ一蓮托生だ。」
「でもでも…ずっと居てくれるんだね」
そう。あくまで一蓮托生。願も穂波もこの関係がおかしいことを知りながらこの夢を続けている。それが間違いだと、共依存だと言われようとも。
「……穂波が…………」
願は穂波でさえ微かにしか聞こえない声で呟く。
それは穂波にとってあり得ない“もしも”そしてその“もしも”を願は来ることを願っている。そんなこと来ないと分かっていると言うのに。
「じゃあずっと…いっしょだね。」
死が二人を別つとも。いや例え死が二人を別とうとも。
今日もまた願は穂波という救いに、穂波は願という救いに溺れる。
わたし、望月穂波は嘘つきだ。
何処から話せば良いのだろうか。私たちの始まりはそんな強烈な物ではなかった。いいや。だからこそその出会いは運命なのだろう。
その男の子は私たちがよく遊んだ公園の椅子で何かするわけでも、何かを見るわけでもなくただ空を見上げていた。…それだけなら記憶にも残らないはずなのに、私はその姿に何処か興味を持ってしまったのだった。
『一緒に遊ぼう!』
あの日手を引いた。それが私たちの“運命”の日。或いは始まりの日。
その男の子とは日を重ねるごとになかよくなった。家が近いってことも有るのだろう。…ああ。でもだからこそ酷い事実が待っていた。
『ねぇ……それってさ…』
『?どうした穂波?何かおかしい?』
家に帰っても誰も居ない。ご飯は自分で買う。親の顔は見たことない。
少しずつ、少しずつまるで質の悪い推理小説を読んでいる気分だ。でも本当に恐ろしいリアルだ。“家に誰も居ない”…つまり朝も昼も夜も一人ということ。たった一人であの家に住んでいるのか。私たちと同じまだ小学生になった頃の年齢で?“ご飯は自分で買う”…つまり誰かに作ってもらうことも無いということ。お父さんでもお母さんでも居るはずなのに?“親の顔なんて見たことない”…それはつまりそれほど長い間親と会ったことさえない……と?
『え?でもたまに願の家に居る人は?』
『?……多分お手伝いさん…かな。』
その人が毎日お金置いていってくれるし。最近は一週間位だけど。
当時の私は漠然と不思議な家だなとしか思わなかった。
ああ。でもそれを親に伝えたが最後。私はどうも願の家が“違う”事がわかった。
その現象はたった一つ。育児放棄。いや放棄ではないのだろう。キチンと飢えることないように、生きていけるように衣食住を揃えている。でもそれだけなのだ。そこには一切の熱がない。愛がない。願は、ずっと一人なのだ。
あれ?じゃあなんで??
なんで願は人に優しくできるの??
大人の背を見て子供は育つんだと何処かで聞いたことがある。事実私は弟を見て、お母さんやお父さんの背を見て育ってるんだなってわかる。でも願は、願はそう背に出来る人なんて居なかったということになる筈。
でも、なんであんな人に優しく…………
その謎はまだ幼かった自分はすぐに皆との楽しいことに消えた。
その日からわたしと願の家の距離は近くなった。願は以外にも弟が赤ちゃんだった頃、お母さんの次ぐらいに泣きやますのが上手だった覚えがある。
その代わりにご飯を一緒に食べたり、今では恥ずかしいけれど同じ布団で寝たりお風呂もそうだったりした。
でも私の疑問は中学生で全てわかってしまう真実になってしまう。
事の発端は願の呟きから始まった。
『うんでも穂波と志歩は注意してたい…かな』
『いや。色々とあるけどね。やっぱりその二人。』
わたしが余ったからって晩御飯のおかずのお裾分けに願の家に入った時。
願は電話だろうか。誰とは分からなかったが、ドアに耳を付ければ聞こえるほどの声量でわたしと志歩ちゃんの名前を呼んだ。
『穂波は…うん。優しすぎる。』
『え?それが良い点って??……まあ間違いじゃないよ。』
『ただ。その穂波の優しさも、志歩のツンデレ?も分かりにくい物の筆頭であることは間違い無いからさ。』
『どちらも人に排除される原因になりかねない。』
バッサリと、願は私たちを酷評した。
曰く、入れ込み過ぎるわたしと外と関わらない志歩は中学生という一つの大きな境目で人に嫌われる要因になり得るかもしれないと。
『でも考え過ぎかな〜とは思う。本当に最悪の想定だからさ。』
『……うん。じゃあおやすみ。』
わたしはその電話の相手が今でも分からない。
でも親しげにわたしたちの名前を呼んで、そして志歩ちゃんの名前を出したとなるならば一歌ちゃんか咲希ちゃんのどちらか。
でもそんな事さえすぐにでも頭の向こうに捨ててしまうほどの事態が発生してしまう。
『…あのさ。願?』『あ。ごめん志歩。少し先生から』
『願。その…』『一歌?ごめん後でね』
一歌ちゃんや、志歩ちゃん。さらには咲希ちゃんまで、中学生の時は願が一人一人に向き合ってくれたから今が有るって感じで考えているけど。
わたしから言わせてもらうと、どう見たらそう見えるのか。
明らかに昔と対応が素っ気なくなって、その目を見ればすぐに分かる。
『外夜くん…少しいいかな??』
『ああ。望月さん。何でしょうか。』
昔のように親愛の視線に隠された冷え込むかのような視線が。
『……ここならいっか。ね?願くん。』
『それで…どうしたの?穂波』
中学3年生のある日。わたしは校舎の裏側の誰も来ないようなそんな人気のない所に願を誘い出した。
『じゃあ。単刀直入で言おうか。』
まだ幼かったわたしにはその理由がわからなかった。
そうしているという証拠があるというのに。
『避けてるでしょ。わたしたちのこと。』
『……おかしな事言うね。穂波。現に━━』
そう。願は中学生の学年が上がる事に露骨にわたしたちのことを避け始めた。
避けたと言っても無視をしたり、関わりが薄くなった訳じゃない。
逆に成長と共に、わたしたちへの裂く時間は願が倒れるほどに増えた。
一歌ちゃんの、咲希ちゃんの、志歩ちゃんの…そしてわたしの。
繋がりが弱くなって、志歩ちゃんがクラスから排除され、わたしも味方の中立なんて態度を取っていたせいでクラスから排除されても、願だけはずっとそばに居た。
『……本当に?』
『…………………』
本質の希望を挫くように私たちに道を照らす。でも、それを引き換えに願はまるで空気に溶けるようにその姿は離れていっている。
これは一つの賭けだった。わたしの思い込みならよかった。笑い話で済むのに。
……ねぇ。何で笑い飛ばしてくれないの??
『……そっか。』
『…………願……くん??』
気がつかれたのか…まあ素人だとそんなもんか。
願が呟く。……何これ。どう言うこと。長々とわたしは願とずっと居たはずなのに。こんな怖い願は初めて見た。怒ってるんじゃない。怖がっているんじゃない。
……そう。これはわたしだけ知ってる。“煩わしい”モノを見る目だ
『穂波の言うことに間違いないよ。うん。縁を切ろうとした。認める』
『……どうして??』
『俺は居ない方が良いからさ。これからもきっと。』
みんなは凄いんだから。きっと俺が居ることが次第に駄目になる。
………願が、願はまるで的外れの理論を重ねる。違う。全部逆なのだ。私たちが凄いんじゃない。願が凄いからわたしたちも凄いように見えるだけ。居ることで駄目になるんじゃない。居なくなった事なんて考えられない。
頭が真っ白になる。用意していた言葉も、準備していた言葉も全部に白いペンキを塗り潰されたかのように、願の声だけが頭の中で反響する。
駄目。ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目
このままだと、願は、わたしたちから離れていく。そんなこと出来ない。
でもどうするのか?どうやって止めるの?今まで願の言葉に気が付けなかったわたしがどうすれば願を引き止められる???
『…だからさ。こんな俺でも、みんなの役に立てて嬉しかったんだよ?』
………………あーあ。そっかなんだ簡単なことだった。
『みんなはこれから羽ばたいt……………!?』
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…あはは。しちゃったね。』
まずは、願の勝手な口を塞いじゃお。わたしの、ううんわたしたちの今までの好意にさえ気がついて無為にした願にはいい罰だ。恥ずかしいけど願の最初を貰えたと思うとそれは気にもならない。
『……どう言う………』
『わたしはまだ救われてないよ。』
『……………!?』
嘘だ。願がフォローしてくれたお陰で、わたしのいじめは無いと言っても良い。
願が教えてくれたその味方を作り過ぎない動き方もあって、たしかに願に救われた。でも願はそんなこと分かっちゃうと離れていってしまう。それだけは避けないと。
『役に立ってよ。わたしのために。』
『……………………………………』
わたしは嘘つきでも構わない。そんなことより願が離れていく方が怖い。
わざと、強い言葉を使って頷かせる。願は私たちに甘いから。
わたしは最低だ。幼馴染を騙して、恋焦がれるひとを脅して、縛りつけた。
だからどうかお願い、ずっと、ずっと、ずっと永遠にわたしの願で居て??
一歌ちゃんたちにも少しおこぼれぐらい…ならね。
⦅願と穂波が別れた後の瑞希達⦆
「………外夜 願……」
「まふゆどうしたの?」
「ううん…でも“救われないだろうね”」
あるいは…救われること自体が駄目なことなのかもね。
⦅願side》
俺は昔は俺ではない、俺だった。
そう。勿論、そこには証拠なんて無くて世迷いことだと言っても間違いはないのだろう。
だから当初。別に転生した事に、恨みさえせど感謝も感激もしようが無かった。
生きる意味を生きる価値を。きっと求めていたんだと、思う。
生きる意味を。今となっては、幼馴染達を支え続けると言う意味を。
ただそれだけを背負って生きていく。そうそれで良かった。
全部が変わったのは、中学の頃。相も変わらず要領が悪い俺は倒れた。のだろう。
過度の疲労、そして栄養失調。それが引き金を引いてしまった。
幼馴染さえ、幸せで有ったなら、有ったなら、俺はどうでもよかった。
そんな思考回路の停止がそんな事態を産んだんだと思う。
幼馴染に、避けているのではないか?と問われた。
正直に言おう。驚いた。頭の中の無駄な記憶はそこいらの年齢の輩には敵わないから。
だから勿論、そんな小童に分かってしまうほどの代物かと言えるだろう。
ああ。認めよう。幼馴染を避けていたことは。
独り立ちの時間だ。そう。いつしか自分で歩き出すものだ。そこには何の間違いでもない。
その中の別れの一つでしかないと言うのに。初めての別れは辛いけど、でも永遠の別れじゃない。
どれほどの辛い別れだとしても時間とは残酷で冷酷だ。
次第にその人の声が思い出せなくなって。そして顔も姿形さえも分からなくなった。
それは俺が知っていることの一つ。
だから終わりにしよう。穂波。
咲希の病態も良くなっている。このままだと高校生くらいで一般生活に戻るだろう。
咲希の持ち前のポジティブさならなんの問題もないだろう。
一歌だって、一人じゃない。たしかに幼馴染と言う目で見るなら別れかもしれないけれど
それも環境の変化の一つだろう。
志歩の孤独体質も少しずつ変わっていってる。そう。たとえ表面上だけだとしても敵意がないように偽る事だって時には大事だと分かってきてるから。このままだとそれも分かってくれる人が出来るだろう。
穂波だって、関わりすぎたらどうなるか身を持って分かってるはずだ。
どう上手く人間関係を構築するか。そこにこれから頑張れば良いと思う。
なのになんでどうして俺は未だに幼馴染の心に根を張ると言うののだ。
他人の心の一部を、ほんのわずかな部分だけでも、俺が存在する理由など有ってはならない。
それは将来苦しいだけなのだから。俺と言う存在が、幼馴染達の価値を落としているに過ぎないと言うのに。
本当にそうならば、いくらでも手段が有ったはずだ。ビニールテープを首に巻くだけでいい。高いところから落ちたらいい。大質量、高速で動くものに突っ込めばいい。密室で酸素を奪えばいい。
ああ。本当に意地汚い。目につく位置に残った傷跡のような存在め。
お前が存在するから…お前の存在自体が罪なのだ。それは誰よりも自分が一番知っているだろうに。
そんな事実さえも目を伏せて逃げられると思うお前の頭だけが、本当に、本当に愚かしい。
『役に立ってよ。わたしのために。』
………でも。それでもそんな俺でも役に立てると言うのならば。
だからこそ、早く早く、天高く飛び立って。
望月 穂波
多分、一番スパダリとして進化してるお方。にして元凶。
幼馴染のために自分が悪役をして、尚且つみんな幸せであるため手段を取る。
自分の意見が言えるようになって、幼馴染の異常にも気が付いて、原作穂波の強みを兼ね揃えると言う素晴らしさ。嘘は言っていない。
勿論、原作通りの性格のままだと最初の電波の未来が確定すると言う落とし穴が発生する罠。
反転
と言いつつ、一番ヤベーお方なのは間違いない。
幼馴染の本当に微かの違いを見つけ問い詰め、真実が分かった瞬間どうすれば自分から離れていかないかを瞬時で実行できるほど愛が重い。
まあぶっちゃけると、願も願で飛び立って欲しいのなら自分から距離を離せばいいのに離せない理由はそう言うこと。いい感じに穂波に洗脳()され幼馴染達に娶られるまで後一直線。ハッピーエンドだな。風呂入ってくる。
外夜 願
完璧なる聖人。ただ一つ彼の間違いを上げるのならば、人の心を無視しすぎた。
いまでも、いつまでも永遠にその瞳は開かれる事なく。
という感じで書いていたんだけどこれってマジでニーゴと相性最悪だな!!
次回「架空イベント:拝啓、曼珠沙華の君へ」
あらすじ
ある日、バイト帰りに夜遅くなった願はいつものように音楽を聞こうとスマホを見ると、“Leo/need”のセカイの音楽の下に新しい“untitled”があることに気がつく。
興味が湧いた願はその“untitled”を起動する━━
続きは架空イベントの話の閲覧が終わり次第…
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
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異聞:魔法少女パロ
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異聞:夜の娘続き
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もしも冬弥と兄弟だったら…
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もしも奏と双子だったら…
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もしもまふゆと双子だったら…
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TS願
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配信者願
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幕間1 続きリメイク