「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後…   作:ネマ

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遅くなりました。なんでやろな。(遠い目)
とりあえずイベントお疲れ様でした。色々と読み応えがあったイベントでしたね。
ちなみに私はしょうゆラーメン派です。異論は認める。

前回、前後に分けると言ったな。あれは嘘だ。
とテンプレしたいですが、単純に中編、後編にした方が後腐れないなと。
以上。楽しんでいただけると幸いです。

いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定注意です。

主人公の関係ないところで動くヒロインたちの行動とか見てて面白いよね……
勝手に思い詰めた主人公が暴走しながら突き進むのも良いよね…





架空イベント:拝啓、曼珠沙華の君へ【中編】

 

 

 

第五話 残された少女達

 

⦅翌日⦆

 

そう。これは残された私たちの話。貴方だけは、願だけは絶対に何があろうとも私たちから離れないと、無意識のうちに慢心していた私たちを打ち砕いたのは一通の電話からだった。

 

「…………………穂波??」

 

スマホがうるさいので目を覚ました。まだまだ明け方も明け方で、みんな寝ている時間の話だった。……連絡アプリの方でも穂波は特に慌てている様で、そんな姿は今までも見たこともないほどだった。

 

「…どうしたのこんな朝はやくから…」

 

『一歌ちゃん!?起きた!?』

 

逆を返せば、それほど穂波が慌てる事態が発生してしまったと言うこと。

まだ寝ぼけていた私はその事に気がつくのに時間がかかった。

 

『とりあえず、セカイ来て!!』

 

「…セカイに?どうして?」

 

『そんな時間ない!!……ごめん。でも急いで。』

 

捲し立てる様な穂波の声に、一歌の意識も覚醒する。

通話アプリの方でも何度も何度も、願に向けてだろうか穂波が文字を打っているのを見ると、本格的に何か起きたのだろう。

とりあえず一歌は最低限外に出れる格好に着替え、セカイの扉を開いた。

 

「…………なに………これ……」

 

「来た!いっちゃん!!」

 

「…咲希に志歩まで…」

 

セカイは、現実の時間とある程度連動している。だからこそセカイは今の時間は朝日が登って明るいはずなのに一面何処もかしこも薄暗い。まるで真夜中と言っても過言ではないほど真っ暗だ。

 

もう先に来ていたのだろう。咲希も、志歩も急かされたからかいつもの様な服ではなく、部屋着やラフな格好でセカイに来ていた。

 

「……ようやくきたね。」

 

「もう!いっちゃんが最後だよ!」

 

「ごめんごめん…それで何があったの??」

 

「………とりあえず急ぐよ。」

 

一歌の疑問を答える前に、志歩が一歌の手を引き移動する。

咲希もいつもの様な明るさが消えたかの様に何処かから元気で暗く、無理をしていることが分かる。……それほどの事態と言うのだろうか。

 

「…………は?」

 

志歩の歩みは止まることなくセカイの屋上に連れていかれる。

屋上の扉を咲希が開けた瞬間そこには想像を遥かに超える光景が待ち受けていた。

 

「……一歌ちゃん。」

 

「どっ…どう言うこと…??」

 

前に、このセカイの屋上に来た時には綺麗な星空と、コンクリートの地面に鉄柵が有るだけだった。…だけど今ここに来てみたらどうだ。

星空は、真っ暗になっていて空から流星群が降り注いでいるのが遠くに見える。

そして肝心の屋上は、何かの花がコンクリートも鉄柵にも咲き誇っている。

その花は……まるで影の様な真っ黒く、光を反射するほどだった。

 

「…………彼岸花………」

 

「正解。さすがだね」

 

そして一歌はこの花が何か知っている。赤く、綺麗な赤色で咲く花の一つ。“彼岸花”。不吉な花とも知られるけど写真で見たことある彼岸花の花園は綺麗なものだったと覚えている。

それが何で真っ黒い花になってこのセカイに咲いているのか。

 

「……どう言うこと??」

 

「………みんな居るね。」

 

綺麗な星空も暗幕に隕石が落ちてきている様な天変地異だし、セカイの屋上もこんな感じだ。…どう言うことだとつぶやいた直後、彼岸花の奥からミクが現れた。

 

「みんな気がついてる……??」

 

「本当に…本当なんですね。これ」

 

「あはは……そっか…」

 

「本当に…もっと早く言ってくれたらっ…!」

 

ミクは彼女達に丁寧に、丁寧に聞く。

三者三様。だけど全員が悔しさや悲しみを隠せずに呟く。

 

「…………待って。待ってそういうこと??」

 

そうしてここでようやく一歌が全てを悟る。

セカイの様子がおかしい理由。そして願が現れない、その意味が。

 

「そう。全部願の想いだよ。」

 

そう。全ては願の想い。負の方向に振り切った故の暴走。

絶望の涙は、隕石の様に。鬼哭は、夜の帳を。慟哭は黒い彼岸花達を咲かせた。

何を想ったのか。それを知るには私たちは遅すぎた。

ただわかることは一つ。願がとても苦しんでいることだけ。

 

咲希も、志歩も、穂波も。動くことは出来ない。

何故ならば、どうしてかその理由は分かるから。自分が苦しめたんだと、自分が気がつかなかったんだと。二回目は無いように自分に誓っていたはずなのに。

 

でも、まだ一番“星”は堕ちていない。

確かに願に都合の良い理由で期待して、ここまで来てしまった。

そしてこれからもまた願と背中合わせで走っていくんだって、私だけが、私たちは思っていた。本当は願はそんなこと、思っていないのかもしれない。

 

でも、でも、それでも━━

 

まだ願の叫びを聞いていない。絶望を聞いていない。

私たちにはまだ出来ることが有る。いや。私たちにしかできない事がまだ有る。

まだ終わっていない。まだ終わらせてはいけない。

たしかにずっと願に任せてきた。ずっと願ならって思ってた。

だからこそ、“最低な自分だって”、“近くにいて何も出来なかったから”って。

 

そんな弱音では終わってはいけないだろう━━!!!

 

 

「………まず。家に行く。」

 

一歌が立ち上がる。その瞳に迷いはない。

まだ終わっていない。今度は自分が動く番だと立ち上がり、セカイから消える。

 

━━━━夜の帳に一番星が煌めいた

 

 

「………!!そうだよっ!まだ終わってない……ううん!」

 

咲希が動く。その瞳は消えかけていた希望が写っていた。

セカイは始まってさえ居ない。そうここからなんだって、セカイから消える。

 

━━━夜の帳が薄くなっていく

 

 

「………はぁ。本当に……最高の仲間だと思わない?」

 

志歩が歩み始める。その瞳にはまっすぐ夜の帳を見る。

今度は自分たちの番だと言わんばかりにセカイから消える。

 

━━━夜の帳に小さな光が宿る

 

 

「…………うん。そうだねまだまだ…」

 

穂波に微かな笑みが浮かぶ。その瞳は迷いなく黒い彼岸花を見る。

とても頼もしい幼馴染達だ。こんな所で終わってられない、そうセカイから消える。

 

━━夜の帳に満月の月が浮かび上がる

 

 

 

「夜は暗闇だけを夜とは言わないわ。」

 

一歌たちが立ち去った後、周囲を見渡していたミクにMEIKOが近づく。

曰く、夜は暗闇だけの真っ黒の事とは言わないのだと。

 

「ほら…セカイに光が灯っているわ。」

 

MEIKOの指さす夜の暗幕には、もう無限の底なしの闇が広がる状態ではない。

そこには一番星が煌めいたり、月が浮かんでたり、夜は闇だけではないのだといつもとは違うけど、いつも以上に綺麗な空模様だ。

 

「そうだね。もう少し、あと少し。」

 

ミクは地面を見る。そこには変わらず黒い彼岸花が咲き誇っているが、一歌たちが来る前ほど、ドス黒い色ではなくなった。何処か優しげな、黒い色をしていた。

 

「じゃあその間に、私たちは末っ子の慰めでもしましょうか」

 

リンと、ルカに失意の中にいたGUMIの慰めをしてもらっていたのだ。

勿論レンとKAITOにも頼んで、後ろ髪を引かれたけどミクは想いを形にする者として動かなくてはならない。そんな姿にMEIKOも放っておけなかったのだろう。

 

「さぁ。頑張って。」

 

いつの時代だって、無垢な少女の願いは奇跡を起こすものだと。

MEIKOは分かっている。MEIKOは知っている。

だからこそここからの物語に私たちはあくまで添え物だと、MEIKOは思っている。

 

 

 

(……………………息が上がって……っ!)

 

物語は移り、セカイから現実世界に変わる。

誰よりも早く迷いなく動き出した一歌は戻った直後、外着に着替えて準備を今までで一番手早く終わらせて、家を飛び出した。

朝日に向かって疾走する。その道には人気なんて無いに等しく静寂を切り裂いて目指す目的地に足を動かす。その表情は鬼気迫って、素早く移動する。

 

(……見えた!!)

 

願の家が見えるところまで着いた。

一歌は願の家の外に隠して置いてるスペアキーを取り出す。

ポストの中、四桁のダイヤルキー。私たちには教えてもらってる。

そう、それはあの日の信頼。私たちにそれに報いるほど出来てはいないけど。

それでも星乃一歌が抱いた心に背くことはできない。

 

「………願っ!!!」

 

慣れた手つきで鍵を開ける。何度も開けたこの家のドア。

嫌なことがあれば、いつも来ていたこの家。何処か生活感が無くて、そんな願の空気感が嫌いで、私たちは物を置いて願の家はここなんだとアピールしたこともあったっけ。

並べてある靴には、いつも願が履いている靴だけが忽然と無くなっており、リビングに入るとそこには学生鞄だけがあった。

 

「願はいないの……?」

 

「……穂波…」

 

スペアキーのところを開けてある事に気が付いたのだろうか。

穂波がその次に入ってきた。靴がない事と、学生鞄だけがある事を一瞥した直後、穂波は台所に入って、冷蔵庫を開けた。

 

「………もしかしたら晩御飯も食べてないのかも。」

 

「……え!?」

 

穂波の呟きに一歌は驚き、穂波が見ている冷蔵庫の近くに行く。

一歌が近くで見ている事に気がついた穂波は説明するかの様に冷蔵庫内を指さす。

曰く、冷凍してあるご飯が炊いた日から逆算して一個多い事。冷蔵庫に保存してある食材の量からしていつか一食抜いた事になる。

そもそも願は朝食をあんまり食べないからとゼリー系の食材を見ても、今日を除けば日程通りに減っているとのこと。

なら、消去法で昨日の晩御飯を食べていないということになる。

 

「…………でもなんでそんな知ってるの??」

 

「………………愛かな。」

 

ならば一つ疑問が残る。何故、穂波はそこまで願の食卓事情を知っているのか。

まあ勘の良いお方ならば気がつくだろう。穂波が願の買い物に付き合っている事に。

家事手伝いのアルバイトを名目に、願が今夜何を作るのとか。何を買うのかと色々と付き合ったりしているからだ。まあ可愛いお茶目な抜け駆けだと見逃してほしい。

一歌も厳しく追求したかったが、今は違うと思い返す。それはそうと全部片付けば聞きはするが。

 

「いっちゃん!ほなちゃん!」

 

「ごめん遅くなったっ!!」

 

そう冷蔵庫の前で話し込んでいたら、直後志歩と咲希が家に入ってくる。

願を除くLeo/need全員が集まったのだ。

ここで蛇足だが、志歩と咲希が遅れたのは少し理由がある。

 

 

『お兄ちゃんっ!?』

 

『おはようだな!咲希。今日は早いな!』

 

咲希の兄である司は毎朝走り込みをしている。

そうその司が帰ってくる時間に咲希は鉢合わせてしまったのだ。

どうしようかと目を動かして考えていた咲希に司の瞳が細く咲希を見る。

 

『……そうか。行ってこい。』

 

『………………え?』

 

『その手は絶対に離すなよ。』

 

司は咲希とすれ違い、声を掛けて部屋に入っていく。

そう、司も同じことをした。もう一度みんなで盛り上げるショーをするために。

目的さえ違えど、大事な仲間を迎えにいくのに何の問題が有るのだろうか。

司は分かっているから、だからこそ咲希の行く末を止めることは出来ない。

 

『…………うん!行ってきます!!』

 

家から飛び出す。そんな早く走ることは出来ないけど、でもそれが足を止めて良い理由にはならない。今はただ願の家を目指して走るだけ。

ちなみに途中で志歩とは合流したのだった。

 

 

『あら?しぃちゃんおはよう。』

 

『お姉ちゃん……何で?』

 

咲希から変わり、志歩。まだ早朝とはいえ、誰も起きていないだろうとパーカーを着ながら家のドアに向かって小走りでできる限り音を立てぬ様、走る。

そして靴を履いている途中、まさかの志歩の姉である雫が降りてきたのだ。

 

『まだこんな時間だけど…目が覚めてしまったのよね』

 

『………そっか』

 

雫の見えない所で志歩は少し表情をやりにくそうに歪める。

いつもなら、寝ているはずの雫が起きてきているのだ。どうしようかと思った直後の話だった。

 

『いってらっしゃい』

 

『………………は?』

 

『しぃちゃんなら出来るわよ。』

 

ファイトオーと腕を上げて応援する雫にどう誤魔化そうかと考えていた志歩の身体の無駄な力が抜けていく。どうであれ、志歩の姉である。妹の考えが分からないということではないのだろう。事実、雫も手を引かれたのだ。

だからこそ、志歩の歩みは止められない。

 

『うん……行ってくる』

 

ドアを開けて、雫の顔を見て行ってくると言う。そんなことするのだって何年ぶりだろうか。今は、ただ走る。近いのは志歩が一番かもしれないけど、きっと3人も急ぐだろう。歩いて入れない。

 

 

そんな蛇足があって今はここにいる。

冷蔵庫の一件を全員に共有した後、願の物は何が無いのか調べる事にした。

学生鞄、そして願がその“今無い”物をよく置く様な所を探した後、とある二種類の物が無い事に気がついた。

 

「携帯と財布だけ無いって事…か」

 

そう、無い物は“財布”と“スマホ”。考える限り最悪な組み合わせだ。

その二つさえ有れば、基本何処にでも行ける。

願はその家庭の事情により使えるお金の量も、行ける場所でさえも想像しきれない。どこに行ったのかさえも想像の付かない。もう無理だ。

私たちに暗闇が再び掛かり始めたその時だった。

 

『聞こえる?』

 

「その声は……ミク?」

 

咲希が置いたスマホから、ミクの顔と声がする。

セカイから現実世界にこうやって意思疎通をとれるのは知っているが、今、こう現れたということは……

 

『今から位置情報送るね。』

 

「「「「……………………うん?」」」」

 

おいこら待て。四人の思考の中に空白が生まれる。そうそれはまさに宇宙の真理を悟った猫の如く。だが、無慈悲にもミクは地図アプリに今もなお動き続けるピンを見せる。

 

「………あの。そのミクこれって……」

 

『?…願の現在地だよ?』

 

まるで今日の天気を述べるかの様に、ミクは今現在行方不明中の願の現在地を看破した。…そのやり方とは携帯の位置情報を利用したミク達バーチャルシンガーの力だ。基本、願はネットに写真をあげたりそもそも何か言葉をネット上に発することさえしない。実は、ネットに疎い願だからこそだ。いつもなら不用心と責める所だが、今回はそれが好転に向かう鍵になった。

 

「ごめん……遠いね。結構。」

 

「うわ……県は軽く超えてるね。」

 

そして開かれた地図アプリにいち早く反応したのは志歩だった。

誰よりも素早く地図アプリと自分の現在地を見比べる。

覗き見る様に穂波が思案する。遠くに行っているとは思っていたが、まさか県さえも超えていたとは少しばかり予想を超えていた。しかも少なくとも今からなら数時間は掛かる。相手との距離も考えて、合流できるのは少なくとも午後。しかし残念なことに今日はまだ平日。学校がある日である。

 

「…………考えてる場合?」

 

「いっちゃん……」

 

「馬鹿言わないで。こっちは今最短距離考えてるの。」

 

だが、そんなことは知ったことか。と一歌は吠える。

制服を着ているがそれはそれ、今一番に考えなくてはならないのはどうして願はあそこまで絶望したのか。ということだけ。

一つ、確実な目標を抱いたのならばそこに向かって走っていける。そう星乃一歌だって意地がある。この想いはまだ伝わってさえいないのだから。

そんな一歌に咲希は笑う。ああ。いっちゃんらしいと。

私だってと意地が天馬咲希にもある。いつだってそうだった。

まだ始まってさえ居ない。私の声はまだ届いていない。

そんな二人の意気込みを前に、志歩はため息を付きながらも冷静に考える。

願のことだ。一人が、手を尽くして彼を手に入れたとしても現状ならば逆に心だけが離れて行ってしまう。その自信が志歩にはあった。本当に世話のやける幼馴染だ。でもそういうところも、良い。

 

「…………うん。これならなんとか」

 

正直、穂波はどうしようかと悩んでいる。

そう誰よりも願の本心に近いということは逆にある程度願の事を想像できる。

だからこそ、今回の件はやけに不自然と言いたくなる。

消えるのならば、何も言わずに消えていくはず。それが願の出来ることだ。

スマホだって、捨てて新しいのを買うことだって不可能では無い。今を全て捨てていく。それは願にとって不可能では無い。やるというならばやる。だからこそ穂波は脳内で思考を回す。

ここで取り逃がして仕舞えば、本当に私たちは離れ離れになる。

その予感が、穂波にはあった

 

 

そう。全ての役者は揃った。

彼岸花の冠は誰の手に。

 

 

 

 

 

 

第六話 失意、堕落その果ての愛

 

 

『次は◼️◼️駅〜◼️◼️駅〜』

 

乗り換え、どちらのドアが開くかを聞き流す。それはよく分かっているから。

流れゆく街を片目で流しながら何かをするわけでもなくただ空を見る。

失った言葉も、無くした何かもない。そうこれは一つの巡礼だ。

過去と終わりを告げるのに一番大事なのは今を見ることだ。時間というのはひどく残酷で、どれほど感情を込めた歓喜も絶望もその全ては風に拐われていく。いやそもそも何も残っちゃ居ないのだろうか。

 

『次は終点、◼️◼️駅。◼️◼️駅。』

 

そう、そしてこれは巡礼の始まりの一歩。

駅を飛び出すとそこはもう宵闇の中。駅前といえどこの真夜中では人気も無く、無機質に輝く照明だけが自身の存在を正しく振り下ろす。

記録が正しければ、この道を歩んだ先にはビジネスホテルがあった筈。

もし時間と世界の違いが大きく発生しているのならばネットカフェでも良い。

朝一に、ここを動き出すのだから。結局、夜さえ凌げればいい。

 

「…………ありがとうございました。」

 

想定通りに朝は来る。ビジネスホテルでの一夜は今世ではそういえば初めてだったなと思い返す。年齢を考えるとあまり好ましくないが…まあそういうこともあるのだろう。

 

「ここか。…………ああ。」

 

薄い、薄い記録を辿り歩を進める。家の並びは何処か違和感があって、でも何も変わっているのは無くて、ただ足を進める。

そう、そこにあるのは“何もない空き地”だけだった。

家も立つことなくまるで世界に切り離されたかの様に土が少し積み上がっているだけの土地。………生家だったのだと思う。一番最初、自分の根底が揺らいだ気がした。

 

「…………やっぱりか。」

 

次についたのは、いつの時か引っ越したマンション。

ポストはテープに塞がれており、勿論ドア前に来てもそこには札の一つもない。

完全な空き家。それだけだった。……また一つ何かが揺れた気がした。

 

「……………………………………」

 

遊んだ公園。小学校、中学校。友人だったはずの家。大切だったはずの何か。俺の記憶にある何か。何か。何か。何か。何か。何か。何か。何か。何か。何か。何か。何か。

 

「……………………………………」

 

自分をヤスリか何かで削ぎ落とすような感覚を噛み締め、歩く。

結局のところ俺が夢見た何かはただの幻想に過ぎなかったということだ。

そのことに関しては驚きも、悲しみもなくただ納得だけだった。

幼馴染の世話と言って人形遊びに時間を、全てを割いていて前世そのものにはほとんど目を背けていた。していたことと言えば、覚えのある住所に葉書を送るぐらい。そしてその全てが返却されてきた。つまりはそういうこと。もしかしたら。そんな夢にさえも否定された。

 

「………………」

 

じゃあ最後だ。本当に外夜 願ではなく、誰かの青年の夢を見るのは。

もう、これで終わりにしよう。本当にあっけないけど、こういう幕引きは好みだ。

 

「ああ。綺麗だ。」

 

口に出すつもりはなかったのに声が出る。

足に水が掛かる。靴を脱いでいるとはいえ、まだまだ水は冷たいのだろう。

不快感と共にそれを抑えて更に一歩踏み込む。

 

「………本当に、いい日だ」

 

today is a good day to die。本当に今日は最高の日だった。

思い出したかの様に、今日は何処か心に残っていたシコリを流して。

そうして、前世で唯一出来なかった事が今ようやく叶おうとしてる。

悪い夢も、悪い思いも。その全てが消えていった。

 

また一歩と進む。

 

夕日が沈んでいく。星灯りが瞬いて、空高いものがないこの場所では夜と夕が一望できる。きっと朝に来たのならばまた別の意味を持つのだろうとほんの少し残念に思いながら。

 

 

「願っ!!!」

 

そんな終わりはないと言わんばかりに、静寂を裂いた。

 

 

 

 







外夜 願

ああ。なんて最高の日━━


Leo/need

まだ何も出来ていないの。だから勝手にいかないで。



さらに妄想・ガチャバージョン

夜空の◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ガチャ


【白菊の聖者】外夜 願

特訓前:砂浜に靴を並べており、靴下のまま海らしき水の中に少しずつ進んでいる願。その表情には憂いなど一切ない微笑みのままである。

特訓後:アイテムが足りません。


【双月のグレートヒェン】星乃一歌

特訓前:朝霧が立ち込める中、家に鍵を差し込もうと鬼気迫っている一歌。
着ている服にも何処か皺が有って、非常に急いでいる事が伺える。

特訓後:アイテムが足りません。


【真打登場!!】 GUMI

特訓前:教室のセカイのドアの縁に仁王立ちし、満面の笑みのGUMI。
その背にはベースを背負っている。ちなみにルカの制服の色違い。

特訓後:アイテムが足りません。


特訓後がどんな姿か予想してみてね!(ヤケクソのコメント懇願)

次回何書きましょう(最終的に全部書きます)

  • 異聞:魔法少女パロ
  • 異聞:夜の娘続き
  • もしも冬弥と兄弟だったら…
  • もしも奏と双子だったら…
  • もしもまふゆと双子だったら…
  • TS願
  • 配信者願
  • 幕間1 続きリメイク
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