「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
みなさん、二周年イベント楽しんでますか??今まで引けなかった恒常や狙っていたミクルカさんが来たので大満足。強いて言うなら一歌ちゃんが欲しかった。
キャラランが上げやすくなったお陰で、色々とできる事が増えました。(主にガチャ)
はい。予想通り、地獄のモアジャン編です。
修羅場と、脳破壊が織りなすマリアージュは正直書いてるこっちも頭を捻りました。どうすれば上手く絡められるかとまあ頑張りました。簡単に視点が変わるのでそこは注意。
いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定・脳破壊要素注意です。
性癖展開【すれ違いと嫉妬が起こす修羅場が魅せる表情は最高】
あの日。俺は年甲斐もなく、“運命”という物を見た。
空を映すかの様な水色の髪。全てを見通すかの様に透き通った眼差し。
初めて俺は究極の美を見た。そしてそこには美だけでは表せない愛の熱が有った。
………なんというか。年甲斐もなく心から“美しい物”を見た。と昂ってしまったのだ
「外夜〜!遊びに行こうぜ〜」
願にとってほぼうろ覚えのクラスメイトが、願を誘う。
ここ神山高校、通称神高で願の立ち位置は何処にでもいるmob程度である。
程よく友人がおり、程よくクラスに混じり、そして程よく神高変人ワンツーを見て驚く。居ても居なくても多少の差異がある程度。という関係性に落ち着いている。
「いやー…今日はな?推しのアイドルの企画があるからさ〜」
「あーね?外夜は誰推しだ?」
そして“普通”に“平凡”に趣味…アイドルの追っかけを行い、学校生活を満喫していた。まあそのアイドルの追っかけもまた一癖二癖ある物だが。
「やっぱりモアジャンって言ったらみのりんっしょ。頑張ってる姿はてぇてぇ。」
「外夜お前いっつもそれだな」
笑い笑われながら、話を進める。そう。その癖とは、有名どころのアイドルには興味を示さない癖に最近人気急上昇中のアイドルグループ”MOREMOREJUMP!”の新人アイドル“花里みのり”を激推ししているのだ。
新人アイドルだからと侮ることなかれ、このグループMOREMOREJUMP!は元国民的アイドルだったりバラエティーで活躍していたアイドルだったりと色々と過去に有名だった人の中に花里みのりという新人アイドルが居るのだ。
勿論、始めこのMOREMOREJUMP!…通称モアジャンはみのりという異分子が居ると燃えていたのだが、その頑張る姿も次第にファンが増えて行っている今鰻登りなアイドルである。
「……あんなに批判されてたのにさ。すげぇよな」
「……………ああ。本当にな。」
頑張ってる姿尊いと炎上中の頃から願はファンであることを隠さず、今まで推しを変えることなくみのりファンを続けている。まさに純愛だ。
デビュー当初から推しているというだけ有って願は一度もみのりが出てくる物を見逃すことはない。どれほど小さな登場でも覚えているというのだから筋金入りだ。
基本、優等生だがアイドルを語らせると面白い。それが外夜願の評価だ。
「当然だろう。」
ただクラスメイトが離れた直後、願は今までに誰も聞いたことのない様な声色で呟いた。
「あの“花里みのり”がそんな些事で沈むはずがない。」
わざとらしく目元まで隠された髪の奥で、願の瞳は酷く無表情に、酷く冷酷に輝いていた。学校生活は進む。誰よりも深く、暗い感情を隠して。
⦅放課後⦆
授業終わり。誰も彼もが思うがままに身体を伸ばす中で願は一人、体だけ器用に動かしながらもその思考は深く、深く潜っていた。
(……やはり、売り込みは上手く行っているな)
MOREMOREJUMP!。もっと、もっと未来を。
そう考えたあの日からモアジャンは“やりたい事”を未来に繋いでいる。
始まりにどれほどの衝突が有ったとしても想像している未来と少し違う未来だとしても、今は間違いなく笑顔であることは間違いないのだろう。
(プロデューサーでなくとも…ただのミーハーではいられない。)
多くの業界人は願の事を天才敏腕プロデューサーと称える。
多くのアイドルは願の的確なプロデュースを受けるモアジャンを羨む。
そう。見事モアジャンという花を一流と呼べるほどまで咲かせた彼の手腕を驚き、褒める。
(が……どうした??)
そう。願にとってそんな賞賛も、嫉妬も必要ない。
何故ならば、MOREMOREJUMP!という大華はもっともっと輝けるからだ。
それこそ…星も、月も、太陽も、その果ての天さえも超えて輝く存在に。
そうなると、あの日とあの日抱いた胸の中で渦巻く熱が訴えるのだから。
「…………ええ。どうしますか?」
帰り道。歩きながらも願はスマホを耳から離さない。
耳元、微かに電話越しの声は女声だということがわかる程度。
「………それでは詳細はセカイで。」
願の表情はかねてこそよく分からない。
だが、その雰囲気・足並みはひどく喜んでいるかの様だった。
⦅ステージのセカイ⦆
ここはステージのセカイ。願にとってもよく分かっていないが、あの日以降モアジャンと願のスマホの中に現れたとして、そういう物だと認識している。
何より、モアジャンの練習場所は基本的に宮益坂女子学園の屋上…つまりは女子校の屋上だ。願にとっても、モアジャンにとっても情報共有やその他諸々がしにくい場所でもある。だからこそセカイというよく分からないが便利な空間に頼る他ないというのだ。事実、そういう練習場所は色々と柵がありそれを望まないのだから。
「…みなさんお早いお着きで。」
「御託はいいわよプロデューサー。どういうことかしら?」
願自身も胡散臭い笑みを浮かべながら、先ほどまで練習をしていたのだろうか妙な色気を醸し出す四人組に近づく。
そしてそれを四人は分かっていたのか。一人は手を振ったり、休憩と言わんばかりに水を飲みに行ったりとしている中でたった一人願に距離を詰めるピンク髪の少女がいた。
「いい知らせだと思ったのですが。」
「ええ。たしかにそれはそうね。」
赤い目を吊り立たせ願を睨むその少女の名前は“桃井愛莉”。
容姿は少なく言っても整っており、かつてはバラエティ番組などに出演し人気を持っていたアイドルである。自身家でキツイ言い方をする時もあるが、それは全て発破を掛けることだとモアジャンひいては願までよく知っている。
真ん中っ子だというのにモアジャンの中で一番の姉御肌というのはどういう事か本気で願は考えたことがあるのは内緒だ。
「わたしはあんたが心配なの。……また何か無理したんじゃないかって。」
「おやおやおや…嬉しい事を言ってくれますね。」
そして誰よりも暴走しやすいとモアジャン全員が断言する願のストッパーになれるのも愛莉ただ一人である。そしてそれを愛莉自身も願も分かっているが故の軽口だ。
愛莉にとって、願とは何処か壊れた放って置けない男の子だった。
始めは雫の紹介だった。ぶっちゃけ昔から雫を知っている愛莉からすればある時からの雫は昔とは違うカリスマ性を身に付けた…気がする。少なくとも道に迷うことはないし、こうアイドルどうしの皮肉り合いも見事反撃するその腕前は愛莉でさえ賞賛する代物だった。
そしてその全ての裏側にこの少年は居たのだ。最初は驚愕さえすれど、大分危ない子だなと愛莉は感じていた。その目には一片の狂いもなく、雫の全身像を捉えた上で雫の全てを信頼する。それは最早“狂信”だと言っても過言ではないほどだった。
一体雫の何処がこの少年にウケたのか。少なくともその容貌だけでない事は分かる。
あの日の願のみのりへの言動は正直言ってドン引き物だが今となってはあれが有ったお陰で願の狂信も薄まって、魅力的に育ったとは思う。
(ま。でも世話の焼ける所は、変わらないわね。)
愛莉はチラリと願の横顔を盗み見る。
私たちはアイドル。容姿に関しては人一倍自負している。でしかもさっきまで練習していたせいか体は熱を帯びて色気が出ている筈。
澄ました顔で私たちを見るその目には如何わしい意思は込められていない。
そういうところは素直に好感が出来る。まあそれ以上に疲労感がヤバそうではあるが。
「とりあえず、寝ときなさい。」
私の服を枕にして良いから。と愛莉は願に横になる様に手招きする。
少し考えた後、素直に願が従ったのは単に愛莉への信頼と信用がある。
昔、願は何を考えたのかバイトやら色々がむしゃらに入れて倒れる寸前まで行った。勿論倒れたわけではないが、あの時愛莉が願にラリアットをかまして気絶させなければ願は何処かで倒れていた事は想像に難しくない。
それ以降、願は愛莉に身の上を話したりと信頼が出来たりしている。
「はい。……………ありがとう」
それでもやっぱり色々と限界だったのか願は倒れ込む様に意識を失う。
「ホントに、寝てる時は映えるんだけどね……」
舐められない様に、威張る様に鉄仮面となった無表情の奥は何処か疲れた表情を見せる男の子がそこにはいた。
愛莉はいつもの様に、慈しみ片手に髪の毛を撫でるのだった。
「……ねぇ。遥ちゃんやっぱりあれ……」
「私たちは何も見てないわ。雫」
『それで、願。結局どうすればいいの?』
『まあやりたい様に…は丸投げか。』
夜未明。モアジャンとして通話アプリの共有電話を続けている二人がいた。
『向こうさんの意思は基本さえ汲んでくれれば良いって事だ』
『なるほど。よほど信頼されてるのね。』
電話の相手は“桐谷遥”。かつて国民的人気アイドルグループの一人でカリスマ的存在として一世を風靡した正しく手の届かない人である。
だがその裏ではアイドルへの思いが薄れて、失望していたところにみのりの言葉で救われ今ではモアジャンの一人として、今までは見せなかった側面も込めてファンに受け入れられている。
『そうか。…じゃあ進めようか。』
そう。それは愛莉にも話した“良い事”
とある音楽イベントのMCをこなしてくれないかという依頼。
そのイベントは敷居が高く、出る演者も奏でられる音も他とは違う超一流だけが集う音楽の祭典。そんな所にモアジャンはMCとして出演しないかとオファーが来ているのだ。
勿論、その祭典は株違いのアイドルをやっていた遥や愛莉、雫でも知っている様なイベントだ。そのイベントにMCとして招待させてくれないかというのはあまりに寝耳に水の状態だった。
……例えるならばそう。まだ無名の会社がその業界の最奥手の企業の中核イベントの重要な役職に抜擢された様な物だ。普段ならば絶対にあり得ない巡り合わせ。それに彼女たちは願という天性の導き手の手を取り、“奇跡”が現れる。
『とりあえず、出演者の情報は漏れ無く集める。』
『……そしてそれを私たちは一文字変わらず覚える。』
そうだ。と願は認める。願にとっても今回の案件は正直驚いた代物だった。
アイドルとして、今度こそ自分たちが見つけるアイドルとしてその夢に関われたらなと、無けなしの前世のノウハウを利用して監督やその他の力ある人物との繋がりを得ることができた。
今回もその仲良くなったご老体からの案件だった。
元は、アイドルとして覚えをよくしていただこうとしていただけだと言うのに案件まで回されるとは願も想像していなかったチャンスである。
『でも本当にいいのか?』
『ええ。だってこれは大チャンスだよ。』
それに何度か自分たちモアジャンの宣伝を挟んでいいとお墨付きを得られる。
今までに司会はやった事はあれど、ここまで大きなフェスでの司会は誰もない。
良い機会、良いタイミングという事で雫も愛莉も、その番組を見直してどうMCをするべきか真剣にみのりと共に考えていた。
『そうか……情報は明日までに纏めて送る。』
『無理しない程度に。』
もとより受けるだろうなと考えていた願は、通話を落としまたパソコンに向かう。
疲労感を訴える身体に鞭を打ち、目尻を強く押す。多くの情報に必要な情報だけを纏めて、分かりやすいように注意して書き連ねる。
「………さて。もうひと頑張りだ。」
時刻は夜未明。というより最早、朝という方が近くはあるが願のキーボードを叩く手に迷いはない。カーテンは閉められた部屋の中、スタンドライトとパソコンが鳴らす無機質な駆動音だけが願の部屋を満たしていた。
「…………お休みなさい。」
伝え忘れた言葉をもう繋がっていない電話の糸口で咀嚼する。
日付が変わって後、数時間もしない内に太陽は東から上がってくる。
私はこういうリズムに慣れているし、肌荒れも後から修正が効くように調整もできる。学校もサボりとまでは言えないが仕事といえば1限、2限程度なら融通も効く。
でも願はそうも言っていられないだろう。“クラスの可もなく不可もない優等生”それで通している願にとってサボりはそもそも手段として入れていない。
私は……桐谷遥はペンギンのぬいぐるみを胸に抱き締めながら過去に想いを馳せた。
アイドルが嫌になった。舞台に立てなくなった。声が出なくなった。
笑顔を、希望を届けるのがアイドルだと思っていた。真実だと思った。
でもその実、どこにも希望なんて無くて、高みから見下ろした場所は…見下ろせるようになんて作られてなかった。
私が…少しでも蒙昧で有ったなら、私が…少しでも盲目で有ったのならば。
『頑張ったってどうにもならない事、あるんだよ。』
あの日吐き捨てた言葉。愛莉と雫が手を取って、それを繋げた願とみのりを片手に私は動くことが出来なかった。いや、そもそも動こうとさえ思わなかったんじゃ無いだろうか。
友情の形。新しい信頼。その一枚の絵は私にとって猛毒で、なによりも今だけは直視したくない光で、こんな自分が国民的アイドルだと讃えられる事実がとても重くて、私は吐き捨てて逃げたのだった。
『そうか………』
『はい。ごめんなさい。貴方からも言っていただけないでしょうか』
次の日。遥は、願と密会をしていた。
今まで培ってきた目は今や遥の一つの武器になっていた。その目が告げるのは、願という存在を使うのが一番適切だと言っていた。
あの日あの時、雫と愛莉の友情にみのりは感激していてその横で密かに次どう動くべきかを冷静に視野に入れていたのは願たった一人だけだ。
ある意味常人離れした打算の眼差しに恐怖しなかったと言えば嘘になるが、悪いことにはならないだろうと遥の思考が告げていた。
『いいよ。……あの光は、脛に傷を持つものとしては少しばかり辛い』
『……………………?貴方もそういう経験が?』
遥をアイドルに誘おうとする事をやめて欲しいと、願に切り出したのだ。
特に何か反論するわけでも無く願はそれを聞き止めた後、了承した直後。
遥にとって無視出来ない呟きが聞こえた。
『………昔の話だ。何ともまあ 愚かで 愚劣で 救いようのない…過去に過ぎん』
その時の願の目は今も覚えている。鮮明に思い出せる。
世の中にはあんな目をする人が居るんだと遥の目に焼きついた。
例えるならばそう。忌仇という物を目の前で見たかのような。そんな魂さえも焼き尽くさんとせん灼怒という物を、見たのだった。
『過去……ですか。』
『ああ。終わった物語だ。気にするな。』
彼には昔、親しい四人の幼馴染がいたそうだ。
昔に、まるでボタンを掛け違えたように会わなくなり、話さなくなりそれっきりだと昔を懐かしむ様に、何処か違う何かを見るように見ていた。
『まあ。俺は構わんさ。元より動かないと決めている……が。』
『??』
『桐谷遥…お前は花里みのりを侮った。其れを努、忘れぬようにな。』
『………何を……』
花里みのり。私も覚えている。アイドルになりたいと無謀に夢に手を伸ばすありきたりの少女。正直当時、遥にとってみのりはアイドルにはなれたとしても長続きはしないだろうし、理想に溺れて溺死するだろうなとしか思わなかった。
事実、願の捨て台詞はただの負け惜しみだとしか思わなかったから。
「そう考えれば、星の巡り合わせって不思議なものね。」
ベットの上で横になった遥は微睡みの中でポツリと考えが浮かぶ。
今回のイベントのMCだって願が居なければ…無かった話になる。
“アイドル”とは違った世界ではあるが、見聞を広げる。こういう経験はみのりが積むどころか私たちでさえやったことの無い事だ。
人望…というか願は上の世代の人に可愛がってもらう術をよく知っている。
“目”が良いと言うのだろうか。みのりの才能を見つけ、それを伸ばす術といい本当にプロデューサー向きだ。事実、今も私の古巣や他の大手事務所から将来私たちと働かないか…なんなら今からでも構わないと熱烈なアプローチを掛けられて、その全てを願はモアジャンの行く末を見届けたいからと蹴っている。
「………本当。不思議な人。」
何処かチグハグで、明らかに壊れているはずなのに正常に見えるそのあり方も。
笑っていても喜んでいても、心の奥底では泣き枯れる事無く泣き続けている。
哀れだなとも。可哀想だなとも思わない。……何故ならばそう。彼は“花里みのり”を見出した天性の人を支えられる才を持っているのだから。
「ここ…これでどうかな?」
「うん良いと思う…でもここの言い回しは……」
とあるファーストフードのチェーン店の奥の席で二人、男女四人がけの席に紙やら本やらスマホを置いて話し込んでいた。その熱量というならば、声を掛けることさえ阻むようなそんな熱意が二人の間に立ち込めていた。
「身だしなみもキチンとね。」
「うん。その辺りは多分遥...かな。聞くんだったら」
奥に座って疲労感を滲ませながらジュースを啜るのは最近モアジャンのひとりのアイドルとして認められるようになった“花里みのり”。そしてプロデューサーとして業界の裏側で知る人ぞ知るという立場になった“外夜 願”が時期が近づいた音楽フェスのMCのためにみのりと一対一で話し込んでいた。
「それで……………」
「…………………ここは」
先日、願が纏めたという現時点での出演者の情報は見やすいだけで無く、覚えやすいようにしていた。まだ平日だというのに徹夜までして纏めてくれたお陰で私たちは普段の練習を落とすことなく効率的に覚えることが出来ている。
正直にいうと、授業内容もこれぐらい纏めてくれたら楽なのにと思ったみのりと遥が居たのは内緒だ。
「………終わったぁ〜」
「お疲れ様。」
そういえば、とみのりは願の姿を見る。
学生服だと舐められるとスーツを着る願の姿は同い年というには威厳があり、まるで年上のように思えてくる。事実ブラックコーヒーを飲む願の姿はあまりにも大人っぽく、秘密ではあるが色気と言うものが出ていた。
「その服……すごい高いよね…??」
「ああ。スーツ?……まあね。」
お手頃価格で買ったよ。と軽々しく言う願にみのりは絶対嘘だ。と思いながら頼んだシナシナになりかけのポテトを口にする。
願のスーツ服は初めて願が着た時から変わってない事を知っている。それだと言うのに黒い光沢は変わっておらず、それに普通に街中で見かけるスーツ服より上質っぽいのが窺える。決まり手は愛莉ちゃんがスーツ服のタグを見た時、冷や汗流して凄い顔しながらスーツをキチンと掛け直していたのを見てからだ。
それにしてもとみのりはマジマジと願の顔を見る。
ハリのある肌。そして髪の毛先一本に至るまでにケアされている黒く反射する髪の毛。いつもは髪の毛を目に掛かるか掛からないか程度に下ろしていると言うのだ。
髪型さえ変えれば、化けられる。そう知ったみのりだった。
「…………うーん。もったいない」
「………何が!?」
いや本当に勿体ない。そうみのりは見る。
スカイブルー。まるで空をそのまま瞳に入れた眼差しも、夜をそのまま宿したかのような黒い髪の毛も。十分イケメンと呼べる部類だ。
だと言うのにスーツ以外を着れば一転、印象は正反対どころかもはや願は何処に行ったというレベルだ。
本当に、本当に惜しい。私たちのためとは分かっているけど、こう自分たちしか知らない側面というのは非常に唆られる話ではあるが、やっぱり自分の恩人はよく見られたいのが嘘偽りないみのりの本音だった。
みのりがまだモアジャンなんて遠いある日の話。
アイドルの先を行くものとして愛莉ちゃんと雫ちゃんが練習を見てくれていたある日に、その男の子は現れた。
その男の子は、特に何かするわけでも無くただじっとみのりの練習風景だけを見続けた。みのりさえも気が付かない静と動の刹那に願は決心した。
そうなると後は簡単だった。休憩時間にするからと、冷やしていた清涼飲料水をいつもなら愛莉に投げるところが、今日は一人一人手渡しで渡した。
そして最後、みのりに渡した直後。願はみのりに片膝立てで首を下げこう透き通る声で言ったのだった。
『貴方に恋をした。跪かせてほしい花よ。』
と。勿論そんなこと何の関連もなく突然、しかも雫にお熱(愛莉目線)だったのが突然みのりに告白紛いをかましたのだ。誰も彼もがフリーズする中。やはりこう言うのに強いのは愛莉だった。
『おいこら。どう言うこと??』
『……………………………言葉通りだけど??』
説明になってないわよ。と願くんの腕をキメる愛莉ちゃんは何処か寂しそうででも何故か誇らしげに、願くんを3人は取り囲んで事情聴取することになった。
曰く、要約すると最高だと思った。あの日と同じような熱が美しさが有った。
『雫たちを磨かれたダイヤモンドだとするとみのりは超巨大の鉱脈』
ありきたりな表現だったが、願が言うにそうらしい。
何処を取っても潜在的な才能が埋まっていると願の今までそんな狂気なまでの満面の笑みは誰も見たことがなかった程だ。
『何より……精神的に強い。凄いな化ける。これは化ける』
まるで羨むかの様な視線も混じり、願はみのりの手を取る。
そう。あの日からみのりと願の道は続くのだった。
「………負けないよ。」
「?」
あの日から、願くんは私たちを支えるために一人で高みへと至ろうとしている。
嫉妬しないかと言われれば嘘になる。でも、あの日の願くんのまっすぐな瞳に魅せられたのは間違いないから。
憧れの人の前で誇れる様なわたしになる。
それは花里みのりの動力源の一つになっている。
「お疲れ様〜」
今日の音頭は雫が取る。一番頑張っていたのが雫だとみんな分かってるから。
時間はもう夜遅く。店もそろそろ閉まりつつあるこの時間に全員ホテルの一室に泊まることになった。
少し前からモアジャン内で何度も議論してきた音楽フェスのMCは見事大成功して、もう既に次の違うフェスにもどうだとオファーまで来ている始末だ。
それもその筈。アイドルと言えどその礼儀は少なくとも付け焼き刃とは見えないほど堂に入った物だったし、演者とその内容までキチンと間違いなく言えると記憶していた。その一つ一つの積み重ねがモアジャンという名前を多くの人にいい意味で植え付けたのだ。
事務所に所属することなく活躍するモアジャンにとって信頼と信用は何よりも強い武器になる。故に今回の成功は非常に意味のある物だった。
「「「「お疲れ様〜!」」」」
コンビニで買ったジュースと少しのお菓子を広げて、少年少女は紙コップの縁で乾杯する。夜も遅いし本来ならば寝るべきでは有るのだろうけど、それでも成功の昂りで騒ぎ出す。
「それでどう?今回は。」
「大成功。」
「珍しいね。そこまで絶賛するなんて」
願の手放しで褒めるその姿を見て遥は驚いた様に呟く。
よほど気分が乗っているのか上機嫌に願は鼻歌でも歌い出しそうに夜空を眺める。
それもその筈。今まで頑張ってきた全員の努力が今少しずつ実と成り花を咲かせ始めるのだ。これほど願にとって嬉しいことはない。
「こう言う大きな仕事は増えていくだろうよ。」
「なら。もっと頑張らないとね。」
雫はそう言い握り拳を作る姿を見て、みんな何の屈託もなく笑っている。
そこには“友情”や“親愛”などと二言では片付けられない。そんな「 」が宿っていた。
『……だって凄い努力家で、志歩…妹に優しく、そしていつでもアイドルとしての姿勢を崩さない。……本当に頑張ってるんですね。』
あの日のことを覚えている。
あの日の歓喜を覚えている。
貴方にとってはもはや覚えていない事だとしても、私にとっては永遠の宝物だ。
見通すかの様な眼差し。夜をそのまま宿したかの様な黒くさらさらの髪も。
あの日、貴方は光に会ったと言った。それは私もそうだった。
『………任せてください!』
この思いが恋とは違うことも知っている。
彼の思いが恋とは違うことも知っている。
例えるならそう…まるで魂の親友にあった様な。
欠けた何かが埋まってハマった様なそんな感じ。
……そう。はしたない事だけど“欲しい”と思った。我慢したくないと思った。
そうして願くんのアシスタントは私にとって渡りに船だった。
『貴方に恋をした。跪かせてほしい花よ。』
あの日の願くんの意思に嫉妬しなかったと言えば嘘になる。
でも、それでも私の目と願くんの目には狂いがない事が嬉しかった。
みのりちゃんは確かに超巨大な鉱脈だ。だからこそ何処から何処までかが分からない。そう。願くんと私の眼以外では。
できる事が増えていった。
した事ない事ができる様になった。
MOREMOREJUMP!は次第に有名になっていった。
でもまだまだ。これからもっともっと高みへと行ける。
「……………………………………あら?」
みんな疲れて思い思いに寝ている。わざわざ部屋を二つ取ったというのに、これじゃ意味ないじゃないか。と微笑む。
遥ちゃんとみのりちゃんがベットの上で鏡合わせの体制で寝ているのは良い。
でも、愛莉ちゃんと願くんが隣り合わせで机と椅子で器用に寝ているのはいただけない。私もそうしたかったと言うのに、私一人だけのベットだ。少し寂しい。
まだ時間は早朝。みんなもまだまだ寝る様だ。
「…………………………そうね。」
愛莉ちゃんを寝ている椅子から器用に動かし、ベットに横にならせる。
願くんも同じように椅子から起きないようにゆっくり動かし、横にさせる。
「これで良いわね。」
元々、四人と一人の部屋分けだ。ツインの大きなベットのお陰で二人並べてもまだ一人ぐらいは入りそうな感じだ。願くんも愛莉ちゃんも細いから。
「おやすみ。」
二人の真ん中に倒れ込んで、密着した川の字になって寝る。
愛莉ちゃんも、願くんも寝ているからかポカポカだ。これなら私の意識もすぐに飛びそうだ。
次の日。真っ先に起きた愛莉が猫のような悲鳴を上げて、またここで一悶着起きたのは誰も知らない事である。
「ふざけるな」
冥府の底から聞こえる地獄の番犬の様なうねり声が憎悪と怨嗟を伴って声になる。
私の声だとこんな不愉快極まりない声が、私の声だと自覚するのに時間が掛かった。
「ふざけるな…ふざけるな…っっっ!!!」
喉の奥で絶叫する。絶叫は炎を呑み込んだみたいに喉を焼いて、無性に掻きむしりたくなる程だ。憤怒とも、憎悪とも、絶望とも、違う負の感情がもう収まらないほどに大きくなっていっている。もし、今のままが続けば…私は正気を保てるとは思えない。
「何で………何で……っっ!!」
堂々巡りな考えは抜け出すことなんて出来なくて、考えれば考えるほど不可解にそれこそ奈落に落ち続けるかの様に思考が止まらない。
私の最高の親友で、私が最も恋焦がれる人だった。
その空の様な眼も、夜を宿した輝く黒い髪も全部私たちだけのタカラモノだった。
いつもいつでも、私たちを“理解”して“共感”してくれるのは貴方だけだったと言うのに。
「━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!」
黒い、どす黒いまでの感情はもう声にさえ乗らなくてただ無闇矢鱈に周囲に暴虐を撒き散らすだけの暴走になっている。机の上に広げてある物が地面に派手な音を立ててばら撒かれる。微かに自分を俯瞰して眺める理性がギリギリ机の上だけのモノに被害が収まる。
ずっと、ずっと一緒だと思っていた。あの日見た流星も、あの日誓った一番星も、今や見る影も何処にも存在していない程だ。…何故か。ぐらいは簡単に分かる。星が輝くのには“夜”が必要だったと言うことだ。
「………………願……」
私たちが恋焦がれて欲して止まないその名は『外夜 願』。
私たちの幼馴染にして、私たちを埋める最後の鍵。
「何で……何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で」
でもその鍵は私の姉。『日野森 雫』に奪われた。
いや。奪われたと言うのは語弊があるのだろう。私たちは負けたのだ。
十数年の重みは、数分の会合に負けたのだ。
いや。その十数年という重みは、願にとって重みにさえなってなかったと言う理由なのか。どちらにしろ確実に言えることは一つ。私は、私たちはどうしようもなく負けたと言うことだけ。
「……また。またっ……」
スマホを開く。SNSを覗くと一番上にお姉ちゃんが所属しているグループMOREMOREJUMP!の公式SNSが更新されている。MOREMOREJUMP!には事務所に入らなくてもやっていけるほどの敏腕プロデューサーがいると言う話だが、ここまで来れば誰が誰だか分かる。
そして更新された内容は、MOREMOREJUMP!四人のホテルお泊まりの写真。
それだけなら、それだけなら良かった。でも私は、私だけは気がついてしまっている。端っこに置かれた鞄の一つ。それは願が愛用している鞄だ。だって後ろを見てきた私が確証する。あの日のプレゼントをこうやって愛用されるから私たちもまだ諦めきれないでいる。……本当に最悪だ。
「一緒に寝た?……でもそんなこと考えるはずがない。」
でも、確実に同じ部屋に泊まったことは確実。でもそれだと……
いや。姉ならあり得なくはないと志歩は冷静に考える。
冷静になった志歩の思考は嫌がすぎるほど研ぎ澄まされた回答だった。
「ああ。なるほど」
寝るところまでは一緒でなくても、姉ならば引っ張れるだろう。
私が、気が付きたくなかった何か。私が目を逸らしていた何か。
たった一つだけ本当に悍ましい話だけど姉と私は一つの共通点だけが有るのだろう。“男の趣味”本当にそれだけは狂いがないほど私たちは似ている。
「……………………………」
別に、別に今好かれてなくても、良い。
最終的に私の元に居てくれたら、良い。
「愛してる。愛してる。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
まだ、志の歩みは進むことはない。
外夜願
学校では冴えないmob‥その裏の姿はアイドル界を風靡するユニットのプロデューサー。
って何処の小説の主人公だ。こんなの作者のデータに無いぞ!?
と置いといて、アイドルに目を焼かれたガンギマリ願くんがこの姿です。
誰の心にもあの日抱いた極光を。をモットーにただのアイドルの知り合いから、敏腕プロデューサーになった狂気は人知れず。
勿論、プロデューサーと舐められないように一から礼儀.作法.業界のルール.服装と全てを学び直したキチガイ。
というか普通に即戦力として業界からハンティングを受けています。やっぱり何処の(ry
と言いつつもこのルートのこいつに合うのは今の所モモジャンのみ。全員の目的がいい感じに相乗してたせいで願もこれがオーソドックスと思い次第にモモジャンなら出来たぞ?モモジャンなら出来たぞ?と言いかねない。
何処かの誰かに似てるって?大丈夫。同じように光に焼かれただけだからセーフ。
このルートは、もし雫と願のはじめての出会いの際に志歩が願の評価を聞いた後の雫を邪魔していなかったら分岐する。
というかそもそも願のぶっ倒れるはずが愛莉様におねんね(物理)をさせられてるのでルート自体が違う。
与えられる咎は「傲慢」
花里みのり
「あなたに恋をした。跪かせてほしい花よ。」とド直球の告白を雫さんが連れてきた異性の同い年が言ってくるって控えめに言って性癖捻じ曲がる。
もっともっと。と頑張るのにアイドルになるという思いと同じぐらいに願の横に立ちたいという羨望も持っている子。圧倒的主人公属性。
とりあえずは愛莉ちゃんには負けないとアイドル頑張ります!
桃井愛莉
原作よりもやや姉御肌の上昇。
願はコイツやべーなと思ったが、次第に絆される良くあるヒロインムーヴを決めた
かー。見んねLeo/need!卑しか女ばい!
冗談は置いといて、願の仮面と素顔両方をまあアイドルも似たように偽るし?で受け入れられる生粋の願と合うのが愛莉だと思っている。
王道系のヒロインかと言われればどちらかと言えば相棒系ヒロイン。横に立つのではなく背中合わせで思うがままの武器を構えている姿が容易に想像できる。
色々と願の初めてになる可能性が高い。その後ろでとある四人組のハイライトは消える。
相棒‥それが一番私たちの仲を示すんじゃないかしら?
桐谷遥
原作とあまり変わりなく。
みのりは本物だと認めているし、それを初手で見抜く願の腕も信用している。
願との関係性を語るのならば悪友が適切だろう。けしてその思いは恋に発展することはないが良い友人として或いはビジネスパートナーとして十分足並みが揃うだろう。
まあ信頼してるわよ。
日野森雫
多分原作と違い一番不憫枠。
願の英才教育()のお陰で原作よりもメンタル強くなったおかげで、“お前ら嫉妬してるだけで何もしないの?(意訳)”と普通に言い返せる。
アイドルグループの嫉妬に嫌気が差し始めた所にみのりの浄化が効き無事願と共にモアジャンに。
願との関係性を語るのならば、共生関係。
背中合わせではないが陰陽魚のように風神雷神のように互いに互いを立てられる存在
持ちず持たれず。(だと願は思っている)
日野森志歩
私の大切な人を奪っておいていうことがそれ?
とブチギレ志歩ちゃん。幼馴染は寝取られる(姉に)とかいう志歩ちゃんが一体何をしたって言うんですか!?
とそこまでにして今回このルートになったら脳破壊どころか心破壊までされるお方。
幼馴染が姉に寝取られるとかどう考えてもトラウマもの。
本当にそれ以上いうことがない。強く生きてくれ
星乃一歌・天馬咲希・望月穂波
信じてた幼馴染がアイドルのプロデューサーになってダブルピースしてる‥
Leo/need達が何をしたって言うんですかと言う人は感想を。
それ以外も感想頂けると執筆の手が進みます。
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
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異聞:魔法少女パロ
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異聞:夜の娘続き
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もしも冬弥と兄弟だったら…
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もしも奏と双子だったら…
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もしもまふゆと双子だったら…
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TS願
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配信者願
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幕間1 続きリメイク