「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
お久しぶりです。
ifの続きと書き始めたこれが以外と筆が乗ってしまったので上下に分ける事にしました。大体どちらも修羅場と癒しの空間が一緒にになってます。空気差に書いている時風邪ひきそうでした。つらたん。まあ癒しは癒しでもレオニを考えたら脳破壊しか無いんですけどね…
いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定・脳大爆破要素注意です。
NTR最高!NTR最高!オマエもNTR最高と叫びなさい!
奪われた眼差し
その日は、存外早く訪れる事になった。
当たり前と言えば当たり前だろう。
そもそも始まり自体逃避から始まったのだからこの結末は必然、だったと言えるのだろう。でも、そんな“必然”は多くの想いによって歪められる。
「………………」
ある日の休日。いつものようにフェニックスワンダーランドにてショーを行っていたワンダーランズ×ショウタイムだったが、本日はショーを見る客の中に四人ほど異質な存在がいた事が分かっていた。舞台に上がり、人目を引く事を慣れた彼らである。“その四人”が何処を、誰を見ているのかそれは一目瞭然。
……とある一人は見定める覚悟を決めて、一人は大切な仲間を奪われそうになるという警戒を心に隠し、一人は親友が傷ついてしまうと拒絶を心に隠し、そして一人は何よりも大切な仲間がバラバラにされてしまうと敵意を心の中を満たす。
「……約束通り、返してもらいます。」
そしてその時、ゴングは誰も知らぬまま鳴り響いた。始まりの鐘はワンダショがショーを終え、本日の演目が終わり後片付けとなった夕暮れ。少年少女達はついに己の信念を掛けてぶつかり合う。
「一歌……みんな…??」
尚、その中心を蚊帳の外にして。
今回またしても何も知らない願である。あの日、司の手を取り逃避の選択肢を取ったのは間違いなく願自身だと思っている。…だからこそ、全てを棄てて逃げ出した自分は幼馴染達から失望されていると心の何処かに思っていた。
その実、本当はLeo/need達にとってワンダーランズ×ショウタイムは大切な…何よりも大切な幼馴染を“願の意志に関係なく”奪ったと思っているし、ワンダーランズ×ショウタイムはLeo/need達のことを願を苦しめた元凶だと“願本人の口ではない所から”聞いていた。
一歌達の存在に軽く驚きさえすれど今は後片付けの方が大事だ。そう判断した願はまたすぐに一歌達から視線を外し、本日の後片付けや使用した物の精査に精を入れ始めた所だった。
「………そういえば、慶介さんに呼ばれて居なかったかい?」
「へ?………そうでしたっけ?」
するとその直後ぐらいに後ろから類に声を掛けられる。もし類の言っていることが事実ならば願はこんなところで悠長にしている時間など無いという事になる。
“鳳 慶介”。それはここフェニックスワンダーランドの経営担当…言わば願のほぼ直接的な上司に当たる。勿論本来ショーキャストという一面から見るならば、バイトが社長と直接話せるという立場にある事になる……が願は“ある意味”で例外とも言える存在だ。
「こっちはある程度しておくから、先確認してきたらどうだい?」
「そうですね……」
ここフェニックスワンダーランドのステージが取り潰される危機となった時、えむは司達を集め、存続の条件として“今年の連休までに採算がとれるくらいのお客さんを呼べたら考えてみる”としてショーを行う事で集まった。その時、司がアドバイザーとして連れてきたのが願だった。
願は司が当初考えていた以上の才覚を顕にし、あれよあれよと認められ最後にはワンダーランズ×ショウタイムが演ずるだけという所まで持って行ったのは一重に願の手腕による物なのが間違いない。
勿論、メタな事を言うならば“誰かの記憶”というアドバンテージと高校生ならではの熱意が上手いこと噛み合った故の結果といえるがフェニックスワンダーランドの経営監査の舌を巻かせる程の弁論と手の回し様は、海千山千の経営家達の姿に色濃く残った…残ってしまった。だからこそ彼は非常に気に入られ、こうなってしまったのだ。
「すみません…お願いします。」
だが人の縁…それも年上で尚且つ会社を背負って生きていく人との会話は身になるものしかない。しかもキャスト以外のバイトの斡旋や(不思議なことに紹介されるバイトはどれもフェニックスグループ直系の物である)その他諸々で気にかけてもらっている願にとって呼ばれているならば余程のことがない限り行かなくてはならないのだ。
「勿論。任されたまえ。」
願は類に手渡しで仕舞わなくてはならない今日使った物品を預ける。
その後脇目を振ることもなく、一歌達の横を駆け抜けていく。
…‥この時、願は少しでも全員の顔を見渡していたのならば何か変わっていたのだろうか。司は覚悟を決めた様な顔をしており、寧々は何処か敵意を剥き出しにした様に臨戦体制に入っていた。……そしてえむは、凍える様な無機質な眼差しをしてステージの上から一歌達を見下していたのだ。
「………これで、場は整ったよ。」
「類。呼び出されてるって本当なの?」
「本当。あたしが頼んでる。」
そう。全ては仕組まれている。全ては願を巻き込ませないための盛大な茶番劇。
一歌達がLeo/needが今回のショーに現れた時点で、えむは手札を切り始めていた。…自分の兄まで巻き込んで尚、えむの動きは疾風迅雷と言えるだろう。
「………いくよみんな。」
無粋な乱入者。道理と分を弁えぬ愚か者。
あたしの…あたし達の“仲間”を傷付けておいて今更のこのこと顔を出せると言うのか?鳳えむは、確かに天真爛漫でお転婆娘と呼ぶのに相応しいだろう。だがそれでも彼女は、多くの社員を抱える鳳財閥の娘。その血縁故のカリスマは今この時を持って覚醒したのだった……まあその覚醒があろう事か“本来なら関係のない人物による影響”というのは皮肉でしかないが。
「まっ、待てっ!えむっ……」
「はい。司くんは少し奥の方にねー」
違うのだ。何も違うのだ。本当は、本当に願は今も咲希達のことを思っていて──
そんな司の声は類の手によってかき消される。例え、司の言う願が未だにLeo/needの事を想っていると言うのが事実だとしても“そんな事”を起こした彼女達に彼を連れて行かれたくない。行って欲しくない。
『ああ。そうだ。アイツには、願には昔四人の幼馴染がいた。』
『だけどな。アイツは支えすぎた。』
三人の脳裏にかつての記憶が想起される。
そう。それは何気ない様にどうやって願というキャストを連れてきたのか。
『……支え、過ぎた?』
誰かの呟き。支えすぎた故の……それは悲劇だった。
誰も彼もが、幸せを思うが故に起きてしまった悲しいすれ違い。それを見届けた、それを見てしまった司は“馬鹿正直”に言ってしまった。言ってしまったのだ。
『………学校が終わってからの数時間。咲希…妹、そして幼馴染に時間を裂きそこから中学生が外にいられる時間全てを使ってバイト。』
そんな生活を毎日。倒れるその日まで誰にも悟られる事なく願という男は成し遂げてしまったのだ。勿論その中に、中学生として授業について行くために勉強をする傍ら、家のことを全て自分でこなして行く……
『アイツの身体は弱りきっていた。』
重度の過労、そして栄養失調。普通、中学生が起こすはずの無い病例。
司は、倒れた願の姿を第一に抱えた。……そう願の身体は軽く、異常なほど冷たかった事を未だにこの手に残っている。
『こうするしか、無かったんだ…っ!』
もし、司がこの一件を間接的に聞いていただけなのならば。
もし、司でない誰かが彼を最初に見つけていたのならば。
全ては夢の彼方。閉じた夢想の帳。語るべきでないif。
司にも、願も、勿論咲希達も。誰も幸せにならない。司には“その選択肢”しか残されていなかった。だって、司はスターなのですから。大切な大切な妹の幼馴染を不幸には出来ないのです。
『…………間違いではないと思うのだけどねぇ…』
話を聞いていた類が口を開く。
幼馴染…となれば類と寧々も幼馴染なのだ。そしてその中で彼らの中では大きな疑問になった点が生まれてしまった。“それはもはや幼馴染という枠組みに入れて良いものか”と。
『司くんの口ぶりからすると……その願くんの幼馴染は、彼に特に何かしてあげたりしていないのだろう?』
『…………そんなことは無い、筈だ。』
『でも明らかにそれは幼馴染の方が悪い。……司、貴方は“依存を終わらせてあげた”…そう思う。』
そう。側から見れば、そうなってしまうのでしょう。
明らかに、その関係は幼馴染というより支従関係と言える。言えてしまうのだ。
最初は願の好意だったとしても、そこに胡座を組んでしまった。願のその献身を“おかしい”と思えない彼女達が悪いのだ。……そう三人は判断してしまった。
「君たちに、僕達のキャストは渡さないよ。」
「…………どういう、事ですか。」
「おや。聞こえなかったのかい?彼は、外夜 願は君たちの“奴隷”じゃ無いんだ。」
分かったのなら、さっさと門から出て、帰ったらどうだい?
そんな含みを込めた類の一発目はLeo/needにとっても無視できない一言だった。
「願は……私、私たちの大切な人だっ!!」
邪魔をするな。と志歩が吼える。
大切な人だった。何よりも変えることなど出来ない宝物で、私たちの一番星。
言葉では表しきれない程の親愛と、友愛と、情愛を持っていた筈なのに。
貴方はいつのまにか、遠くへ、遠くへ行ってしまった。
そんな私たちにとって不都合な事実に気がつくのに時間が掛かるわけがない。今まで離れ離れ…願と言う鎖が無ければ繋がってさえ居なかった私たちが願の存在一つで過去の想いを全て洗い流せてしまうのは皮肉すぎる話だろう。
「大切なら、なんで気が付かなかったの?」
「分断し、わたしたちを遠ざけたその男が知ってるんじゃ無いですか?」
寧々の追求に鋭い声と今までに見たことがないほど憎悪を顕にする穂波が鋭い視線で司を貫く。そう。それは司の褒められる行為にして、最悪の愚行。
願を“療養という思惑でLeo/needから離した事”。司からしても、第三者から見てもそれは間違いなく明らかなストレス源から願という重症な病人を離した事。
「ああでもしなくては、願は本当に壊れてしま……」
「思惑で…アタシたちの仲間を騙らないで」
司は気が付かない。何故ならばあの日の願の身体の冷たさを、軽さを知っているのはただ一人司だけなのだから。だからこそ、少女達と話が乖離する。
司はただ、疲労で倒れていた事しか言っていないのだから。
「………どちらでも良いよ。別に。」
そして遂にこの場を支配していたえむが動き出す。
今までの会話の流れ、そして聞いていた願くんの過去を示し合わせるとなんとなく真実が浮かんでくる。大方、願くんにも一歌ちゃん達にも最初は支従関係なんて下世話な物を持っていなかったのだろう。願くんにとって一歌ちゃん達を支えるのは“当たり前”で、一歌ちゃん達はそんな願くんが暴走しない様にと抑えていたはずだった。そのバランスはいずれ恋に発展していたのかもしれない。
……それが中学生という節目にて、そのバランスは崩壊してしまった。
“何か”に駆られるように願くんは自分が壊れる事を良しとし、自傷を続けた。
一歌ちゃん達はその願くんの側に騙された。願くんの仮面は行動に出る反面、内面を読み取る事が出来ない。……よく似ている人を知っているのだ。だからこそ、一歌ちゃん達が気が付かないのもよく分かる。
そして遂にその日はやってくる。
人が二者択一に迫られる時、外的要因が決定打になるのは明らかである。
だからこそその時、願の身近に居た司くんが救った事でそのバランスは完全に破綻してしまった。
「“約束”してるのは、あたし達だから」
そう約束。必ず、必ずフェニックスワンダーランドを盛り上げるって約束。
あの日の五人手を重ね合わせた譲れない約束。何よりも重い、誓いにして誓約。
「「………………………」」
ほぼほぼ、同時に両者達は睨み合う。
たった一人の男の取り合いでここまで剣呑な空気になるとは、とんだオム・ファタールだ。時代が違えば良い意味でも悪い意味でも歴史に名を残しそうだ…周りが勝手に盛り上がっているのを考えても、だ。
「………キリがありませんね。」
一歌が吐き捨てる。譲れないものそれが同じ物なら尚更だ。智謀を尽くし、死力を尽くして尚、私たちはあの光を奪い取らなくてはならない例え…大切な幼馴染にして親友の兄の心を折ったとしても。
「君たちが諦めてくれれば済む話なんだけどね?」
「それはこっちのセリフでしょう」
一歌と類が……星の少女と欲に塗れたアルケミストが相対する。
「貴方達の好きにはさせない。」
「今まで好き勝手やってきてそれが通るとでも?」
穂波と寧々が…月の少女がトラウマ背負った怪物と相見合える。
「………………」
「……………………」
志歩とえむが…日を冠す少女が魔法使いのキャストと睨み合う。
「………もう止まらないね。」
「分かっているとも、ああ。わかってる。」
司と咲希が…天を抱く少女が無神経な王様とぶつかり合う。
誰も彼もが間違った。誰も彼もが正解には至らなかった。
…いや。これも一つの正解なのだろう。ただ、誰もが善意で動いたが故の悲劇。
既に全ての前提条件は捻れ切っている。全ての火蓋は切って落とされた。
─────────────夜の輝きは誰の手に?
引かれた眼差し
それはある日の事。今、世の中のアイドル業界の一世を風靡するMOREMOREJUMP!…通称モアジャンと言えど、どちらかと言えば休みは多い方だ。というか自主鍛錬の量が多すぎるがあまり適度な休息を取らせるのに願が苦心していると言っても過言では無い。
『マジで休め。それ以上は体を痛めるだけだ』
『それ。願が言う?』『ネタは上がってんだけど。』
『あのね…願くんも休んだ方が良いと思うんだ!』
『流石に働きすぎよ……願くん……』
ある時、放課後のほぼほぼ全ての時間をモアジャン達は鍛錬の時間に使っていることが発覚する。…勿論、そんな事実は願の手によって注意されるが……
『俺か??』
『うん。』『ええ。』『間違いなく』『………』
返ってきた言葉は、お前が言うな。である。不思議な話もある物だ。
ただ、学校で授業受けている時間以外はほぼモアジャンの売り出しに時間を割いていて、それでも時間が余れば何度も何度もモアジャンの練習を見直し、そして運営しているSNS…そしてそこに来る依頼の後付けetc……本来なら、事務所が大人数で行うのを齢17にも満たない高校生が回しているのだ。
幾ら“他と違う記憶”を持っていたとしても日々の睡眠時間が仮眠程度しか取っていないというのは非常に重症だと、日々少女達の頭を悩ませていた。
そして、遂に少女達は一つの名案を思いつく。それは……“人の振り見て我が振り直せ作戦”である。簡単に説明すると少女達は動けなくなるギリギリ、より少し上まで鍛えて、そうすると願からストップが入る。その時に、少女達は願のやっている事を間接的に叱り、罪悪感を覚えさせると言う作戦だ。
『………でも俺の影響で貴方達に何かある方が、怖い』
そう。幾ら光に焼き尽くされ光の殉教者…光の奴隷と成れど、自分の失敗はつまりモアジャンの失敗になると知っている。勿論、モアジャンの失敗は俺の失敗であることに間違い無いが。
だからこそ願は“まだだ”で続かなくてはならない。あの日の光を害すその全てを、願の手で排除しなくてはならないのだ。もし、それが出来なくなったのなら願の価値は存在しなくなる。そう本気で願は考えている。
『バカね。』『流石に擁護出来ないわ』
『なんでこう言うところだけ…』
全員が呆れたように、願を取り囲む。まさかこんなに拗らせているとはと驚愕する。
最初から色々と闇が見えたり、暴走癖が有ったとは思っていたがここまで性根が子供だとは思っていなかった。そう少女達…特に姉御肌と姉である雫と愛莉は強く思う。
⦅これ…そう言うことよね?⦆
⦅間違いないわねぇ……⦆
私たちがそんなので見捨てるほど薄情な人間に見えるのか。だとか。
そもそも、それだと願は根本的に私たちを信頼していないのではないのか。だとか。こう。色々と言いたいことがあるが…
『?わたしの方がいっぱい失敗してるもん…大丈夫だよ!』
やはりここはみのりに任せるべきだろうと。全員が諦観の姿勢を示す。
特に、桐谷遥はあの日のことを思い出す。みのりを侮ったからこそみのりの熱意に負けた。きっと今回もみのりなら何とでもなる筈であると信じて疑わない。
『それとこれとは……』
『同じだよ?だって、一心同体って言ったのも願くん…でしょ?』
元々、願的には…モアジャンの失敗は俺の失敗。俺の失敗は俺の失敗。その時はきっぱりと切り捨ててくれ。そう言う意味なのだろうけど、みのり的にはこれから心を合わせてみんなで頑張っていこう。そう言う意味である。
英雄気質か主人公気質。今、尊ばれるのは後者の方であるだけの話だ。
『………負けだよ。まけまーしたー』
適度に休みますよ。全く。
そう言って、願は両手を上げて降参する。でも、なんでだろうか。清々しい気分だった。負けだというのに負けたというのに。どこか願の中では喜んでいる…?気がした。胸の奥がジワリと温かくなって…何処か自然に微笑むしか無かった。
「というわけでね。」
完全降伏で手を上げた願はあの後すぐに取り決められた……曰く、週に一度は必ず休むと言うこと。そして今回は最近、色々とモアジャンが引っ張りだこだったことも考えて遠方大きめの遊園地にやってきたのだった。(ちなみに一泊二日)
「みんなより先に着いたの久々かも〜」
「雫。アンタは連れてきて貰ったからでしょ」
「どっちが姉かわかったもんじゃないね」
雫さんの方向音痴は今に始まった話ではない。
必ず道に迷うと言うのに、絶対約束時間内にはたどり着く…そんなよくわからない怪奇現象を引き起こすのが雫クオリティだった。尚、願が雫を迎えに行った時、志歩からすごい目で見られたのはここだけの話。
「楽しむぞ〜!」
「よっしゃ…!」
両手を上げて喜んでいる片手に、豪快に拳の音を鳴らしている願の二人を見て実はこの二人けっこう似た物同士なんじゃないかと、他三人は思ったそうな。
「え゛」
「初めにキメておくべきはやはりコレでしょう」
願の最初に乗るべきだとして二択をモアジャン全員に問いかけた。『キツイのかほどほどか。どっちが良いですか?』と。まあ勿論、アイドルなのだ。ほぼ誘導されたかのように前者を選んだ。選んでしまったのだ。
「………いいね。」
「面白そうじゃない!」
「いこう!」
まさか最初にこれを乗るとは考えていなかった愛莉以外の三人は楽しそうにガラ空きの列に並んでアトラクションに飲み込まれていく。
「…………想定外」
「もしかして。願貴方……」
願としてはここにきた時点で日和るかなと思っていたら、意気揚々と突っ込んでいったのだ。非常に想定外。何故ならば、願はこのアトラクションが苦手だからである。
「……背中から落ちるタイプのジェットコースターなんて気になってない訳がないじゃない。」
「ですよね…」
そう。この遊園地の目玉の一つ。“背中から落ちるジェットコースター”である。
休日として遠方の旅行として一泊二日。キチンと何がおすすめか調べていない訳が無いのである。
「……いきましょうか」
「………ですね」
ちなみにここまで引っ張っておいて何だが愛莉も実は、敬遠している。
ただでさえ、高低差が凄いジェットコースターのしかも背中から落ちるのだ。前が見えないだけあって何が起きているのか全く想像がつかない。
おお。可哀想に。二人は(約1名は自業自得であるが)地獄の窯の中に巻き込まれていったのだった。
「一番前!?嘘でしょ!?」
「流石にヤバいんで…やめて押し込まないでーっ!?」
この惨状を見て分かるように、一番前に押し込まれた愛莉と願だった。
尚、順調に悲鳴を上げて両者ともガッチリと手を握ったまま降りた後も離さなかったそうな。
「「酷い目にあった(わ)」」
「まあまあ。」
色々と見て歩いている内に手を腕をガッチリと繋いだ愛莉と願は恥ずかしくなってき、次のアトラクションに乗る頃にはもう普通に歩き出していた。
「………次は、えー……」
「ちょっと?みのりさん??」
「みのり……まさかアンタ…」
勿論その間、色々とアトラクションは楽しんでいた。
3Dメガネを掛けて、疾走感ある街並みを抜けていくアトラクション。
海の恐怖。大鮫の恐怖のボートツアーアトラクション。
そしてここに辿り着いた。ついてしまったのだ。
「……あー少し用事が」
「大人気ないわよ願っ!!」
ここは願が一番恐れていた場所。そう恐怖そのもの…だろうか。
そのアトラクションは…何と頭からジェットコースターを滑空するのだ。
「まあまあ願くんだって嫌な物はあるわよ」
「そうだね。願はビビりだもんね。」
「…………」
「大丈夫だよ!みんなで乗れば怖くない!」
ナチュラルに煽った雫と、明らかに分かっていて煽った遥。そしてみのりの無邪気な発言。
ここまで来れば分かるだろう。愛莉は黙っているがもし願が逃げるなら引き摺ってでも連れて行くという凄みを見せている。
「やってやろうじゃねぇか!この野郎!!」
尚、この後無事撃沈して、愛莉と願はまた腕をガッチリ組む事になったそうな。
「……意外と、ふむ。」
また時間は過ぎて昼ごはんを食べた後、願達は大きなアトラクション施設のショップにてこれからのアトラクションと関係が深いグッズ…杖を買う事にした。
選んだ杖は、
「えーい!」
みのりはナナカマド製の杖を模した杖。
「まるで指揮棒みたいね〜」
雫はリンゴ製の杖を模した杖。
「似合ってる?」
遥はトネリコの杖を模した杖。
「どうかしら?」
愛莉はブナの杖を模した杖。
「みんないい感じですね。」
願はクログルミの杖を模した杖。
この後、思い思いに楽しんだそうな。勿論、杖と一緒にコートやとんがり帽子も買ったのは内緒だ。
ちなみに全員が全員、願とのツーショットを撮っていることは言わなくても良い蛇足だろう。
店員に4股…?みたいな視線を向けられたのは気のせいにしておく事にした。
「……今更なんだけどさ。」
深夜。晩御飯もその遊園地で食べて時間ギリギリまで遊んだ五人は、予約していたホテルに一泊する。
最初から夜遅くまで遊園地で遊びまくる予定だったから、それならば一泊で良くない?となったのだった。
「「「「?」」」」
「………異性が混ざっていていい訳?」
そうなのだ。幾ら良識がある高校生とは言え、五人だけで県を跨ぐ移動の旅行で高校生だけ(男女比1:4)と流石に親が止めそうな状態になっている事に気がついていた。
「願くんなら大丈夫だよ?」
みのりとしては何か変?と言いたげに首を傾げている。
「………今更?」
遥も同じように。
「一緒に寝てるから良いじゃない!」
雫の言う通りに大体、日を跨ぐイベントなどでは大体同じ部屋に寝ていることが多い(不本意)そう考えれば今更なのだろうか。
「ええ。そうね今更。よ」
別に今更、願に見せて恥ずかしい面なんて…まあ色々とあるがまあ別に問題はないだろうと言わんばかりに愛莉も頷く。モアジャン全員が…互いが互いに相棒なのだ。ならばなんの問題があるのだろうか?
「……………………」
「……‥…………確かに?」
長考した挙句願が出た結論も、“今更”かという見も蓋もない物であった。
いつかの大きなイベント(if・夢見るクローバー目を引かれ参照)があった時、大体いつも二部屋用意していると言うのに結局使っているのは一部屋だ。
「じゃあ。明日は散策?」
「そのつもりかなーと。」
予定上ではそうなっている。近場の最大級の水族館を見て、商店街の街並みを散策する予定だ。
水族館は主に遥とみのりの提案。商店街は愛莉と雫の提案だ。遥はペンギンを見たく、みのりはアザラシやサメとの触れ合いを楽しみにしている。愛莉と雫はそこに来たのなら買い物を楽しみたい!というのが有った。さらにはそこの空気感にも触れてみたいというのがあるのだろう。
「それじゃ。みんな明日のために早く寝ましょうか。」
「ま。もう良い時間だしね。」
時計をチラリと見ると、そろそろ日付の変わりそうな時間帯だ。
部屋に戻ってからまた色々と話し込んでしまったらしい。ちなみに風呂はシャワーで済ませているが願もなし崩し的に同じ部屋で浴びる事になってしまったのだ。あられもない姿を見たかなどどいう邪推は…今は抑えておこう。
「……じゃあおやすみするかね。」
「おやすみ。また明日」
「おやすみ」
尚この後、願と愛莉と一緒に寝たことのある雫が、寝ている時の人肌の温かさは願が一番だったと発言したため、これからこう言った泊まりがある際一つの部屋だけで良いんじゃない?と何度も議論が重ねられ、最終的に個人のお泊まりでは一つの部屋になったことは未来のお話。
「そういえば、いつかの時も水族館のイベントに呼ばれたわねぇ…」
翌日。意気揚々と部屋をチェックアウトして五人はまず、近場として有名な水族館に来ていた。そういえばいつの時か、水族館を盛り上げるイベントに呼ばれたことを思い出しながら。ちなみに今回の所でも遥は多くのペンギンのグッズを買っていた。ぬいぐるみ、お菓子etc…色々と目を輝かせながら選んでいた。
「みんな〜!こんなのどう?」
一通り水族館を見て歩いた後、みのりが一つ提案をした。
旅行記念に一つみんなでお揃いの物を買わないか。と。
そういうわけで、みのりが見つけてきたのが一つのキーホルダーだった。
金属板に青色でジンベエザメが刻まれている綺麗なキーホルダー。これぐらいなら簡単に鞄に付けられて、五人の思い出の象徴としても十分だ。
「……良いわね!」
「こっちのペンギン……」
「ついでにこっちもどうでしょうか?」
「「「「異議なーし!」」」」
というわけで、ジンベエザメが刻まれているキーホルダーと、(遥が取って、願が提案した)ペンギンのぬいぐるみが付いた大きなキーホルダーの2個をお揃いとしてつける事にしたのだ。ちなみにこのお揃いのキーホルダーがまた大きな騒乱を招いたのは、遠い未来の話である。
「凄い人ね……」
「あ!見て遥ちゃん!」
次に行ったのはとても大きな商店街。多くの人が買い物を楽しみ、そして非常にお腹が空くような匂いに、みのりが釣られたのだった。ちなみにこんな人通りの多い所で迷ったら洒落にならないので雫の手は、願が責任持って繋いでいる。
「流石に、買い食いは……ね?」
「まあまあ。郷に入れば何とやらと言いますし。」
ほら。といつのまにか人数分買ってきていた揚げたてのコロッケを三人に配布する。ちなみに願と雫は熱い!と言いながらもう半分ぐらい食べてたりする。ちなみにナチュラルに手を繋いでいる願と雫には誰も触れなかった。
「おいし〜!」
「ええ…明日からダイエットかしら……」
「まあ愛莉も今日ぐらいは楽しもうよ。」
ちなみに本日殆ど食い倒れの旅となり、帰ってから悲鳴を上げ翌日の練習はより苛烈な物になったとは未だに誰も知らない未来の事である。
「やっぱりここまで来たからにはこれよね!」
「何にする?」
「そりゃあ……」「勿論!!」
ちなみに昼ごはんはたこ焼き。ソースや青のり、紅生姜など思い思いに付けて食べる。
熱々カリカリに中はフワフワのたこ焼きは小腹の空いている少年少女にドンピシャだったのだろう。
あつっ…あつっと言いながらも食べる手を止める事なく、全員が完食する事になった。
《少年・少女遊宴中……》
「楽しかったわね!!」
「ええ。とっても」
「まあ皆さん。お疲れ様です」
本日はゆっくり休んで明日に備えましょう。そう家の最寄駅で解散する事にした。
まあ勿論、高校生が外に出れる時間スレスレまで遊び倒したが。主な移動手段は新幹線ということもあってか帰りは願を除いた四人は一つのボックス席で肩を預け合いながら寝ていたのだった。ちなみにその時間、簡単な仕事を片付けていた願が見つかって、起きた四人から叱られていたのだった。
「じゃあまた明日ね〜!」
「楽しかった〜……また行きたいな」
「今度は違う所行きたいわね〜」
全員のスマホの画面は五人で撮った旅行の写真になっていることを設定した自分だけが知っているのだった。
ちなみにそれを見たとある少女達がまた脳を破壊されて大連鎖を起こしたのは想像に難しくない事だった。
ワンダショ√編
直接対決を〜ということで、ぶつけさせてみました。
なぜか、えむちゃんが完全体えむになってたり、ナチュラルに天馬兄妹間の関係性が悪化してたり、めちゃくちゃ雰囲気最悪な気がするけど大体ヨシ!(節穴)
ワンダショにしては最初から居る仲間を渡したくないだろうし、レオニからすると幼馴染を取り返したいし。というスタンスでした。何気に倒れた願くんの詳細もここが初めてかも。
ちなみにこの争いは願が気がついた時点で願は責任を取ろうと自ら命を絶ってしまうことを注意して争わなくてはならない。
モアジャン√編
ワンダショ編が重すぎたから逆に甘いものが書きたいと作者は供述しており…
はい。関西旅行編です。ちなみに何処に行ってたとか答え合わせ待ってます(ハート)
ちなみに杖にも意味があったり無かったり……?
現実と一定以上リンクしている内容書ける人尊敬するわ
ちなみにモアジャン編。全員が全員、ノーガードで愛情の殴り合いをしているせいで目の前であられの無い姿を見せられ/見せても慌てなかったり。だからこそ一緒に寝るとか出来るんですけど。
ちなみにここでは願の色気に当てられたみのりが願ガチ恋勢になるとかいう話はここで供養しときますね。
一番、願が幸せになるのはもしかしたらこのルートかもしれない。
やりがいの有る仕事に、背中を任せられる相棒達に、癒してくれる人達…に理解ある周囲、さらには一緒に旅行行ける仲の良さ。
あっ!レオニ達が泡吹いて倒れたぁ!!
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
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異聞:魔法少女パロ
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異聞:夜の娘続き
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もしも冬弥と兄弟だったら…
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もしも奏と双子だったら…
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もしもまふゆと双子だったら…
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TS願
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配信者願
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幕間1 続きリメイク