「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後…   作:ネマ

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遅刻遅刻ぅ!!(!出遅れ)
およそ四日ほど遅れましたが、バレンタイン記念で、短編のような物です。
時系列は中学生。ですかね。まだ致命的に願と幼馴染の仲が拗れる前、されど幼馴染はバラバラの状態で書いています。……咲希ちゃんはお休みです。咲希推しの人はスマン

いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定注意です。





バレンタイン記念「甘いカカオに思い出を込めて」

 

 

「バレンタイン?」

 

願はいつものように晩御飯の買い出しに行った時。大々的に広告されたチョコの山を見た。

そしてそんなチョコの山を前に願も気がつくと言うもの。それは年に一度の行事。

今となってはただチョコを渡すだけの行事となったあれ。そう、バレンタインである。

 

「ああ。今年もか」

 

もうそんな季節になったのだな。と願はその山を一瞥し、自らの買い物に戻っていく。そういえばクラスメイトが何個貰えるだとか、欲しいだとか言っていた覚えがあるような無いような

 

「まあ……関係ない話、か」

 

そう。そんなバレンタインにどうこう言うような年齢ではない。と考える。むしろもらった場合ホワイトデーでのお返しを考えなければならないが年齢も年齢だ。高すぎないものの方が良いし、かと言って手作りには覚えがない。

 

 

 

「……………?一歌?」

 

深く深く考え込むのを邪魔するかの様に、ポケットに入れていたスマホが激しく震える。ノータイムでスマホを引き出すとそこには一歌からの電話だと表示されていた。

 

『もしもし。…願くん?』

 

『どうしたの?一歌』

 

何用だろうか。と願は考える。

今日の宿題?それとも明日の用意だろうか。それとも今週末に遊びに行こうという誘いか。そのどれかだと当たりを付ける。勿論、そんなわけがないが。

 

『あのさ……今から願くんの家行っても、いいかな?』

 

『………?晩御飯は?』

 

もう日も暮れ始める時間だ。そうなればどこの家庭でも夕餉が始まるだろう。

(実質的に)一人暮らしとなっている願でも、一度人生を知っている。だからこそ自炊の安さを知っているし、男料理でも一人なら普通に食べられるしな。と思っている。

 

『その……そんなに長居はしないよ?』

 

『そうなの?……じゃあ待ってる』

 

よろしくね。の一言の後、電話が切れる音がする。

今日はバレンタインという日、そしてその日にわざわざ電話までして家にまで押しかけようとする幼馴染。ここまで言えばもう分かるだろうにこの未だ拗らせ真っ只中の願には到底気がつけと言う方が難しいものだったりする。

 

 

「一歌。お待たせ」

 

「待ってないよ。願くん」

 

願が買い物袋片手に帰ったとき。そこには小さな紙袋を両手で持って待っていた一歌が立っていた。

 

「はい。家にどうぞ」

 

「ありがと」

 

いつも通りという感じで、男の家に入り込む異性。その危険性が分からないほど一歌は愚かではない。だというのに何の問題があるのかどうかと言わんばかりに入っていくそこには確かな親愛と信頼があるのだ。

 

「そのさ……」

 

部屋に入る。リビングに入る。そこには変わらず机を取り囲む5つの椅子。

それを見るだけで一歌は哀愁と羨望が沸々と煮え上がってくる。

まだ小学生の頃だっただろうか。いつものようにお菓子を買って願の家でゲームしたりお話ししたり、私たちは願の家の椅子に自分が座る席だと分かりやすいようにシールを貼っていた。そんな過去は

 

今じゃ。見る影も、ないけど

 

「やっぱり、どう思ってる?」

 

私も願も思っていた未来は同じだと、幼馴染5人が一緒にいる事が当たり前のように続いていくのだと思っていた。そんな想いは今にとっては見る影もないけど。

咲希の病院…はまあどうしようもない事だ。志歩が離れ、穂波が離れ、みんな私たち以外バラバラになってしまった。

 

「それも……一つの運命なのかもね」

 

「……………っ!」

 

とても、とても寂しそうに願は笑うように一歌は見えた。

昔からそうだった。願は何処か遠くを見るように笑うことがあった。その笑いが怖くて、まるで願が消えていってしまいそうな笑みだったから。

一歌は、願が初恋で今もその恋は続いている。その恋色は永続不変の輝きとして今も一歌の心の中で輝いている一等星だ。

 

「もし、もしも……さ。」

 

「?」

 

「私が志歩と穂波を……」

 

繋いで、どうするのだろう。それを考えた瞬間一歌の心には深い闇が生まれた。

もし、もしも私以外に穂波でも良い。志歩でも良い。願に私と同じ感情を今でも抱いているのがいるのなら……私はどうなる?

 

「ううん!なんでもない!」

 

「……………?そう」

 

「これ!バレンタイン!」

 

まだ一歌の中で名前の付けられていない感情。これが“あまり良いもので無い事”にきがついているのか。それを振り払って願に本来の目的バレンタインの贈り物を贈ることが出来た。

 

「カップケーキ?」

 

「うん!喜んでくれると良いなって!」

 

無理矢理にでも自分の声色を高ぶらせる。そうじゃないとこのお菓子に込めた意味を考えるだけで照れるだろう。まあ今も疑わしいかもしれないが。

 

「ありがとう。一歌。……ホワイトデー期待しててね」

 

「そんなっ!………うん。待ってる」

 

別にお返しなんて期待してない。これは私の宣誓で近いのような物だ。

だからこそ、だからこそどうかカップケーキの意味を調べないでと心の中の一歌は強く拝む。……でも何処か、気がついてくれる事を考えてる自分が居るのも事実だった。

 

 

 

 

 

「………どうしたの?志歩」

 

時間は遡り昼間。いつもなら願は先生の手伝いや委員会の仕事で忙しいが、今日はわざわざ志歩が朝家に来て“昼間、屋上来て”と言われたのだ。

 

「待ってた。願」

 

そこにはいつものように座っている志歩。肩にはベースを抱えて座っていた。

 

「それ。バレンタイン」

 

親しい人に渡す物だから。と志歩はベンチ上に置かれた包装された箱を一瞥する。

その後いつものようにベースに向かい合って、願には背を向けて座っていた。

 

「ありがとう志歩。………開けていい?」

 

「勝手にして」

 

それが志歩の暗黙の了承だと知っているからこそ願は志歩の隣に逆方向に座り、包装紙を丁寧に、丁寧に切っていく。その中に有ったのはマカロン。幾つか色とりどりのマカロンが入っていた。

 

「マカロン?」

 

「別に深い意味は無いから」

 

願からしたら珍しいお菓子だ。目にする機会はあれど自分で買うまでは行かない。そんなお菓子の一つがマカロンだった。

 

「ありがとう。志歩。美味しくいただくね」

 

「そ。……願、呼ばれてるけどいってきたほうが良いんじゃ無い?」

 

「そう……ありがとね。志歩」

 

しつこいと返そうと志歩が後ろを振り向いた時にはもう願は屋上から降りていっている途中だった。……そんな願に志歩は一人安堵した。“こんな顔”願には見せられないから。

 

(本当に……クソボケ)

 

そんなんだから私みたいな奴に好かれてしまうのだ。と思う。

自分一人になれば、きっと幼馴染は傷つけられない。自分一人だけ我慢すればいいそう思っていた。生憎と私にはベースが有った。孤独には耐えられる…はずなのだ。

 

(でも、さっきの少し無愛想過ぎた…かも?)

 

でも、幼馴染の願だけは違った。私を私のまま受け入れてくれた。私が私で良いんだと隣に座ってくれる熱を教えてくれた。それにどれだけ救われたのだろうか。きっと願だけがその温かさを知らないのだろう。

願は私の篝火でたった一つ輝く光だ。私にはあの光さえあればあの光の導きさえあればきっとどんな暗闇でも、どんな荒れ狂う嵐の中でも歩める。歩んでいける。

 

(明日、膝の上でも座ってみよう、かな?)

 

そんな自分の妄想に赤面しながら、志歩はベースを刻む。

そのベースの音は何処か楽しげに、恋煩いを詠うように奏でられるのだった。

 

 

 

 

 

「願くん…?少しいいかな」

 

時間は放課後になり願は穂波と二人になった教室で共に委員会の残っていた仕事をこなしていた。そのある時、ひと段落過ぎたころだった。

 

「どうした?穂波」

 

もうほとんど日は暮れ落ち、教室に明かりがついていると言えど校内には殆ど人が居ないような静寂さに包まれていた。先生が見回りに来るまでまだ30分近くある。この瞬間穂波の頭脳がトップスピードに回転し、今が“決戦”だとして箱を取り出した。

 

「一緒に食べない?」

 

「…………いいの?」

 

かかった。その瞬間、穂波は心の中で“計画通り”とニヤリと笑った。

穂波のてにある細長い長方形の箱の中には、いくつかの栗が入っていた。

 

「栗……?」

 

「マロングラッセって言うの」

 

マロングラッセ…?と願は頭の中で首を捻る。前からもあまり聞き馴染みのない言葉だ。マロンというだけ栗だとは思うけど、どんな味なんだろうか。

 

「栗を砂糖で煮詰めたのがマロングラッセだよ」

 

「砂糖漬けみたいな?」

 

想像に近いのはそれかな。と穂波は包装を開きながら願に手渡す。

どちらかと言えば穂波の企みはここじゃない。むしろここからだった。

 

「それでさ……その、食べさせてくれない?」

 

「…………うん?」

 

どう言う事だろうか。願の思考が真っ白に染まった。

目の前では何処か気恥ずかしそうにしている穂波。自分で照れるのならそう言う事言わない方が良いのではないかと思ったが、穂波がなんの意味もなくそんな事言うはずもない。と穂波に先を促す。

 

「こう言うお菓子って…海外では初めて食べる時、食べさせ合うんだって」

 

どうやら穂波の話を聞いていると、初笑いのような物だろうか。

初めて食べる物だけは親しい人達が食べさせ合う事で幸運を祈る一種のジンクスみたいな物らしい。今となっては廃れた文化だが、このマロングラッセを調べていた穂波が偶然見つけたらしい。

 

「その…最近、運が悪いこと続いてる。からさ」

 

「ああ………」

 

成る程。と願にも穂波の不運に関しては幾つか覚えがある。

雨が降らないと天気予報に言われていたのに、ちょうど穂波と願が帰る時に狐の嫁入りが通り過ぎた事。スーパーで何故か入れっぱなしのポイントカードが無くなってたり(後ほど家で発見された)、紙で指を切ってしまったりと小さな不幸が重なっていると言うことは第三者の願も否定できない物だった。

 

「……………………口開けて」

 

非常に悩んだ結果、願としては別に断る話でもあるまい。ここが公に人目のつく場所ならばもう少し考えたかもしれないが自分達二人だけであるなら恥辱にはなり得ないだろう。

それにこうなった穂波は梃子でも動かない。穂波が言った通りに欧州ならそう言う風習があってもおかしくはない。

それら全て考えて上で、願はマロングラッセを片手で持つ。“マロングラッセ”を男性から女性に食べさせる。その意味を考えないままで。

 

「!……いただきますっ!」

 

そんな願の様子に一瞬赤面しながらもそれでもと口を開き、鳥の雛のように待つ。

そんな穂波の姿に願は二本指で摘んだマロングラッセを穂波の口に突っ込む。

 

「…………ん。おいひい」

 

「……………確かに。上品な甘さ」

 

少しお行儀が悪いが、マロングラッセは上品な甘さがしていた。

願としてはコーヒーが欲しくなるような甘さかもしれないがこれ単体でも美味しくいただけるだろう。そんな事を考えながら、もう一度と口を開けて強請る穂波の口に突っ込みながら、時間が経っていく。

 

『下校時刻となりました。校内に残っている生徒は帰宅するようにしましょう』

 

そんなこんなしていたら外は既に日が暮れて、真っ暗になりかけていた。

黄昏。誰そ彼の時間だ。いつもなら日光で明るい廊下も今の時間は真っ暗で少し先も見にくい。いつもならもう少し前に帰るのだけど。

 

「………一緒に、帰って…いい?」

 

「いいよ。いこっか」

 

そんな一つ間違えればホラーゲームになりそうな廊下を前に穂波の足は竦む。

願にとってこれぐらいの薄暗さなど慣れた物だ。もっと暗い夜道を歩く事をした事のある願にはそんな幽霊なんてなんぼのもんじゃいと穂波と手を繋いで校門までなんの問題もなく来た。

 

外に出ると殆ど真っ暗で、カラスが鳴いている。

住宅が並ぶ帰り道。そこから香る夕餉の匂いは願も穂波も空腹の良いスパイスとなる。

 

「おやすみ。また明日ね」

 

「じゃあまた明日」

 

分かれ道。穂波は立ち止まって片手を振り、願は歩きながら片手を上げる。

 

 

 

(マロングラッセの意味…気づいていないんだろうな…)

 

穂波は少し残念ながらもそれでも良いかと思っている。

何故なら、食べさせてもらった時点で穂波の作戦は大成功のような物だ。

 

穂波にとって願は、唯一無二の人だ。

今の穂波に心から信頼出来る人は、家族を除いたら願たった一人だけだ。

別に私は最初から誰の味方じゃない。強いて言うなら幼馴染でそれでも願と比べればちっぽけなもので。

 

こんな私の心をなんて言うのだろうか。“独占欲”?

なんでも良い。ただ一人。願、貴方が隣に居てくれるのなら。

きっと、私たち…幼馴染は最後に争うのだろう。願の一番であるために。

そのためならなんだって───────

 

 







一歌。カップケーキ。
志歩。マカロン。
穂波。マロングラッセ。

誰が一番卑しいか感想で教えていただけると幸いです。



次回何書きましょう(最終的に全部書きます)

  • 異聞:魔法少女パロ
  • 異聞:夜の娘続き
  • もしも冬弥と兄弟だったら…
  • もしも奏と双子だったら…
  • もしもまふゆと双子だったら…
  • TS願
  • 配信者願
  • 幕間1 続きリメイク
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