「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
今回は一歌ちゃんの番。
恋愛頭脳戦を仕掛けたら、思わぬところで受け入れられて逆にキャパオーバーになっているその姿。実に微笑ましいですね。
いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定注意です。
「チケット取ったから行こ!!」
「待て待て待て。」
話は数日前。願の背中にあすなろ抱きで飛びついてきた一歌からだった。
「で。そのフェスに行きたいから着いてきてって?」
「そうそう」
凄く自然に家の中に入ってきていた一歌を前に願は頭が痛いと言うようなジェスチャーと共に一歌からの話を纏める。……曰く、ミクのフェスライブが都市二ヶ所で行われるとの事。だがしかし、そこで売られているグッズや来場者特典は全く別のものらしく、一歌は遠方のライブの方の特典に目が眩んでしまったらしい。
「……衝動的にライブチケット買ってしまって……ねぇ?」
「………うん。軽率な事したかなーって思ってはいるんだよ?」
思っているだけだろうと願は内心思う。……一歌のミク愛は底を知れないという事を願は重々承知している。そういう一つに熱中出来る熱量と言うものは若い時が一番ピークだと知っている。たまに続くこともあるだろうが大体何処かで現実という苦い水でその炎は消されてしまう。
だからこそ、願は一歌の趣味のミクを追っ掛けるという行為には行き過ぎなければ応援しておこうと思っている。そうやって何かに熱を上げられる若さは願にとって眩しいモノであるからこそ願は肯定する。
「まあ……いいけど」
「そう……?やった!」
その日にバイトを入れなければいいし。と願は心の中で噛み砕く。
原則、願は幼馴染の誘いを断る事はしない。咲希の病院にも付き添うのは最近願である事が多いし、一歌とはよく普通の高校生らしい遊びを楽しむことが多いし、志歩とは音楽系…バンドのライブだったり楽器店が多いし、穂波とは料理系…家で肩を並べたり少し遠めの直販店に行ったりすることが多い。
幼馴染達が願という仮初の翼を捨てて、自らの手足で大空を駆けるその日まで願は幼馴染の為にある。
そんな頭の中で日付と時間のすり合わせをしている願の横で、一歌が小さくガッツポーズをしたのはどうやら願には気がついていなかったらしい。
相変わらず、幼馴染の策謀には全く弱い男であった。
「おはよー……」
「おはよう。よく起きれたね」
約束の日の早朝。ライブは昼過ぎだというのにいつも学校に行く時間より少し早めに集まった理由はいくつかある。その中でもやはり遠方に出るとだけあって観光もしてみたくなるのが人の性だ。ライブで十分グッズを買う予定ではあるがそれだけというのも物足りないという事でこんな朝早くから行くことになったのだ。
元より徹夜上等主義な願にとって朝早いと言うのはそこまで大変ではない。特に幼馴染との約束という何よりも優先度が高いモノであるのなら尚更。その点、昨日も遅くまでミクのDAWを触っていたのだろう。寝ぼけ眼のまま願の身体に全体重を掛けるかのように縋り付く。その直後、願の胸元に一歌の頭が当たった所で一歌は目醒めたように願の前に立つ。
「おはよう。いこっか」
「………え。うん行こう」
その身の変わりように願は一瞬動揺するがそういう年頃だろうと納得し、一歌の横を歩いていく。……そう願は気がついていなかった。一歌がまるで発情期真っ只中の雌犬のように息を荒げて艶かしい表情で願の胸元で必死に息を吸っていただなんて。前世、そして今世でも性的に見られたことのない…見られている自覚がないクソボケにとって気づけというにはあまりにも無茶な話であることには間違いないのだろう。
「懐かしいねここも」
「…確かにね」
遠方に行くなら新幹線でという事で、一歌と願は慣れた事である。
何故なら中学の時の咲希の病院は新幹線で数十分以上という長旅だったからだ。そんな長旅を毎月二回は必ず行なっていると言うのならこうして慣れているのだ。……いつものように二人席に座って(奥が一歌)何気ない話ばかりを重ね合わせる。
「────────って一歌?……寝ちゃったのか」
そして話し込んでいると富士山を超えた辺りで一歌はウトウトと次第に意識が落ちていっているように首が揺れていた。そんな一歌に願は慌てる事もなく自分の肩に一歌の頭を置いて寝やすいようにとアシストする。
これは昔からの新幹線での過ごし方の一つだ。やはり長旅という事で眠気が襲ってくる時も有るのだからそういう時は、互いの肩を貸して眠る邪魔をしないという暗黙の了解がある。事実、願も数回か居眠りをし次に起きたら一歌の肩の上だった事もある。
(………おやすみ。一歌)
まだ目的地までは時間がある。アナウンスを聞きながらイヤホンを取り出して音楽を聴き始める。勿論、聴く音楽はレオニの奏でるものが殆どだ。願にとって贔屓目で見なくてもレオニが最高だと言い張っている。……そして勿論、それをレオニ達が知っているのだから簡単に狂っていくのは想像に難しくないだろう。
「ここが─────」
「でも、ここから電車で移動だけどね」
そしてその後。見事、寝ているはずの一歌が願の片耳からイヤホンを強奪して、顔を綻ばせていたのは内緒だ。ちなみに一歌以外のボーカルの時は顔を顰めていたのは誰も知らない。知らないったら知らないのだ。
到着した二人だったが観光目的ならここからまた電車で移動になる。ライブ会場も新幹線の駅から少し離れた所にある。─────しかし
「……なんか願詳しくない?」
「これぐらいはね?」
願はまるで慣れていると言わんばかりに人が溢れかえる道を進んでいく。
無造作にそして縦横無尽に動き回る人の群れの中を忍者かと言わんばかりに抜けていく。そんな願の片手を一歌は両手で繋いで決して離れないようにするだけでいっぱいいっぱいだ。願もそれを理解しているのか一歌の手を決して離さない様にと意識して強く握る。…そんな少し痛いかもしれないと一歌の苦痛を考えているうちに願の表情には顰めっ面が見え隠れする。
「とりあえず、今から二駅ぐらいかな?」
「………ん。ありがと……」
その後、願に導かれるまま辿り着いたのは電車のプラットホーム。
休日という事もあるせいか何処もかしこも人が多いという事でその中でも電車には人が重なる様に詰め詰めになる事が多い。…そしてそんな人ごみの中に一歌と願が巻き込まれるのは道理である。
「……っ!ごめん……」
「大丈夫………もう少しでしょ?」
閉鎖空間の人混みというのは対処のしようが無い。
どうにか壁側に陣取る事が出来たが一歌を壁側に立たせる事になると願はその上から覆い被さる形になってしまう。どんな恋愛小説だと願は脳内で自分にツッコミ入れるが残念ながら恐ろしいリアルである。……そろそろ現実を見よう。一歌を襲ったかの様に…一般的に隙間がないぐらい密着した壁ドン状態になり、一歌の柔らかくそしてしなやかさのある玉体に全身で感じる事となってしまう。
罪悪感と役得感を入り交ぜた願の内心は、一歌の健気な姿に罪悪感が強くなってしまう。今の願の内心は早く目的駅まで着け…以外の何物でも無い。
無論、言うまでもないが二人の考えが同じだとは決して言えないのだろう。
「多分、一般的に言われてるのはこう言うところでしょ?」
「確かに……で願。ここからどうするの?」
電車を乗り継ぎ降りた場所から歩くと大きな商店街。そして大きな川を跨ぐ様にビルが立ち並び、そして客引きの声は止まない一歌が想像していたその都市というのがよく見える。有名な看板や初めて見る珍しいモノに一歌は写真を撮り、願も一歌の手に取られ写真に写り、そして目的の店まで辿り着いた。
「……へぇこれが!」
「熱いから気をつけなよ。一歌」
願は特に物怖じするわけもなく店員と一歌からすればいつもの願の口調とは少しかけ離れた…これが関西弁だろうか?を話しその手に二つ舟状の皿を持っていた。
そう。それは丸く型取られ外はカリッと中はフワッとし味が引き締まった蛸が入っているとある地域では一家に一台これを焼くためだけの機械があると言う…“これ”だ。
一歌はオーソドックスにソースマヨで願は醤油マヨで一皿ずつ手に店から少し離れたベンチに腰掛ける。
「…あっふ!!」
「気をつけてって遅かったね」
とても熱いから気をつけて。と言う前に一歌はそれを一つ割り箸で口の中にヒョイと投げ込んでしまう。勿論、結果は分かったもので一歌の口の中で熱く蕩ける中身が割れて出る。
濃厚なソースとそれを上回る口の中を蹂躙する小さなマグマみたいな熱さに一歌の舌は火傷してしまう。
「うー…ゆっくり食べるぅ‥」
「その方がいいよ……あっつ!」
そんな一歌を微笑ましそうに見ていた願も一つ口に近付けて息を吹きかけた後に食べたが勿論、そんな外側から小さく息を吹きかけた所で中が冷めるはずもなく、仲良く願も舌を火傷したのを二人とも微笑みながら…たまにシェア、食べさせ合いながら時間は過ぎていく。
だけど時間は無常にも過ぎ去っていく。楽しい時間は自覚しているより早い。
ライブ会場には既に多くの人が立ち並ぶ。多くのバナーが立ち並び、待っている間も暇しないような仕掛けが盛りだくさんだ。……ミク、リン、レン、ルカ、MEIKO、KAITOそしてGUMI。セカイに居るバーチャルシンガーだけでなく、その他のバーチャルシンガーが立ち並ぶ。
「そういえばグッズは買わなくて良いの?」
「あれ?…そう言うものって基本、事前予約だよ?」
そう言うものかと願は納得する。…ライブと一括りにしても願には昔と今では色々と違うだろうとその違いさえも興味の対象として周囲を見渡す。
ここの会場群はよく知っている。そう考えると小さな差異さえあれど大まかには変わりないということになる……それはつまり、“前の世界”と“今の世界”には対して離れているわけではない………??
(やめておこう)
世界を越える、平行世界を観測する。まるで“魔法”みたいな技術は存在しない。そんなの夢物語にも程がある。一瞬浮かんだ願の考えは願の手によって葬り去る。
(……今は、ただこの子達の夢を共に見る)
隣を見ると瞳を輝かせて、バーチャルシンガー達を被写体にして写真を何枚も撮り続ける一歌の姿が見える。
(ただ、一人の“ファンA”でいい)
多くの好いも甘いも嫌いも苦みも噛み締めて、それを力にしてほしい。
きっとその先に望む未来が、栄光が待っている。
俺には……最後まで気づく事が出来なかった。とても大事な事だから。
「良かった〜!!」
「すごかった……確かに」
ライブは終わり、会場から出る人混みに紛れて一歌と願は外に出る。
それでも未だに多くの熱気が渦巻いており日が暮れたと言うのに激しい光量は昼間と大差ないほどだ。その熱に浮かぶまま一歌はグッズを購入する。
「それでどうする?晩御飯食べて帰るのはいいけど」
「うーん……何処でも良いんだけどね」
正確にいうなら落ち着いて腰を下ろせるなら何処でも、という意味だがそれに願も合意する。ここまでで願に一才意図を勘繰らせない一歌の腕が良いのか、それとも願が格段に鈍いのか。もう分からないが、ただ一つ違えない事実がある。
そう。それは檻の中に間抜けな子犬がまんまと導かれたという事である。
「………さてと」
「?どうしたの一歌?」
店に入り、いつものように頼み、そして運ばれるまでの時間。
願はふと一歌を見ると、一歌は願を見ていた。たた見ていたことに気がつく。そうその視線には覚えがある。……まるで食卓の上にある豪華な御馳走を見たようなそんなえm───────
「まずは、今日ありがとう。無茶言ったのについて来てくれて。」
「何、大丈夫……今日は楽しかったよ」
ってそんな訳が無く、一歌は願に頭を下げる。
勿論、願もそんなことして欲しい訳じゃ無く、楽しかったから良いのだと顔を上げるように暗に訴える。
まあここまでが一歌の策略であるが。
「じゃああのさ…」
「?」
一歌の言いにくそうな顔に願は首を傾げる。
何かの相談だろうか?願にしても一歌がそんな相談するなど珍しい以外何物でもないと願は鎌首を擡げる。
「この前、咲希から何か、言われた?」
「……………………………………」
それはどういう意味だ。願は沈黙する。
「うーん……例えば……“私を選んでよ”とか?」
『アタシを選んでよ。げんくん。』
「………………っ…………」
願の脳裏に一瞬浮かび上がる先日のラブコール。
まるで見ていたと言わんばかりに同じことを同じ声質で言う一歌の瞳には嘘など許さないと言わんばかりに笑みを浮かべる。
「図星みたいだね?」
「……っ。何を根拠に?」
だけどここに居るのは人生経験なら同年代なら決して叶うことのない年輪を刻んでいる。嘘を取り繕うことなど慣れたことだ。わざわざ一歌が咲希を名指しで言うならば何か理由があるはずだ。そしてその理由が分かっていない今。下手に情報を漏らすわけにはいかない。
「恋する女の勘」
嘘では無いけど…確実に“そう”な気がするんだよね〜
一歌は一瞬、鋭い眼差しで願を貫いた直後。まるでチェシャ猫のにんまり笑いのように願の次の言葉の催促を暗に行う。……さあ。次はどんな言い訳を言うのかと面白いと言わんばかりに願を見る。それはさながら天鵞絨の審問官の如く。
「……女の勘ほど鋭いものはねぇよ……」
「でしょ?…で?どうなの?」
「まあ確かに似たような事はあったかなぁ?」
だけど願も負けてはいない。煙に巻き、決して言質は取らせない方向に進んでいく。
「そう?…なら良かった!」
「………それはどういう?」
「だって────────」
一歌は愉しそうに口ずさむ。結論から述べるのならそしてそれを願は聞いてはいけなかった。それを聞いてしまったが最後、彼はもう逃げられない。
「もし願がその時NOを選んでもYESを選んでも襲われてたよ?」
「……………………は?」
「もっと分かりやすく言うと逆レ……」
言わんで良い。と願は左手を振り、右手で頭が痛そうに自分の頭を抱え込む。
いや。流石に咲希に限ってそんな事はあり得ないだろうと願の直感C -が火を吹く。
「でも咲希に限って……そういうことは─────」
「あれ?知らないの?」
咲希ってああ見えて一番“色々”知っているよ?勿論、私たちも“願のためだけに”色々と勉強しているけど。そうサラリと一歌は告げる。
……それはつまり咲希が一番耳年増という事だろうか……なっ納得できない……
「………それで、結局何が言いたいんだ?」
「うーん?…だから気をつけてねーって話。私だって幼馴染の間でそんな事があるとか嫌だし。」
それはそう。と願は心の中で頷く。
誰だって嫌だ。親愛なる幼馴染がまさか逆…で警察のお世話になるのはあまりにもなんとも言えない話になる。……志歩?あれはもう忘れた。無かったことにしてる。二回目は許さないが。
「まあ…その忠告はありがたく戴いておく」
「そう?…………」
苦々しい顔で願は頷く。そしてようやく現実に収まりが付いてきたのか一歌を一瞥するとまるで誉めて褒めてと放り投げたフリスピーを取って来た子犬の様な期待混じりの純粋な眼差しに願の口は既に開かれていた。
「それで……何が欲しいの?」
「うーん………あっ!願の家の鍵とか……ダメ?」
直球にぶち込んできたなこの子。と願は密かにツッコミを入れるが、その程度で良いならばと考え込む。もし、このまま気が付かなかったのなら自分が性的に見られているということまで気が付かなかったのだからこの忠告の報酬には十分釣り合うなと考え込む。
「まあ良いよ。ただしそれは一歌だけの物。もし無くしたら…」
「すぐに報告すること。大丈夫だって……あーでも……」
「?」
「鍵は私だけが、持っていたいかなって……思うんだけど」
一歌は願の顔色を伺う様に願望を言う。
その感情に名前をつけると言うならば、“独占欲”だろうか?そう言うところも可愛いなと、願はその言葉の裏さえ考えることなく微笑み頷く。
「つまりこれも俺たちの秘密って事でしょ?」
「………………」
うん。そうと言いたげに一歌は凄い勢いで首を縦に振る。
願はそれを微笑ましいと言わんばかりに慈愛の目を向けているが、願は気がついているだろうか?自らの生命線を自らの手で売ってしまったと言うことを。最悪、見せられないのならチェーンでも掛けておけば分かるでしょとか考えているあたりクソボケ確定だし、別にいつも誰かしら家に居るしなぁとか考えている時点で自分は被捕食者だと気がつかない。もう既に刈り取られるまで数秒もないと言うのに。呑気に寝ているのか。…寝ているのだ。
哀れなる願、その選択が悪手だと気がつく日は来るのだろうか。
『そのライブに行きたいんだけど…着いてきてもらっていいかな……?』
一歌はこの話題を切り出した時点で勝利を確信していた。
願が“私たちの約束は断れない”というのをよく知っているから。そしてその意味も…中学の時、願が過労で倒れてから私はその意味を重々承知している。これに気がついているのは…きっと志歩ぐらいだろうか。そして穂波は気がついていても何もしないと黙認したのが彼女だ。
ライブがあるというのは本当。…けどわざわざそんな遠方まで行ってまで欲しいかと言われれば正直沈黙したい所だ。けどこれを餌に“他の泥棒猫の干渉が無い状態”で願にアプローチできると言うのなら使わない手はない。
ここまで、咲希に作られた偽りの拮抗状態を守ってきたのだ。願が本心を少し曝け出してくれたからそのクソッタレな拮抗状態が少しずつ崩れ始めている。
だからこそ、今ここで私は決める。勝負はこの日に、私は賭ける。
『おはよー……』
私は、わざと寝ぼけ眼を演出したように願に近づく。
確かに寝れなかったのは間違いない。夜遅くまで計画を煮詰めて三桁にも及ぶシュチュエーションを考えていた所で、次第に身体が昂り始めて慰めていたのだから。
そんなこんなありつつ、一歌は誘いが成功した翌日には買っていた勝負服一式を着て願の待つ駅前へと急いだのだった。
願は待ち合わせの電灯の下で何処か空を見ながら待っていた。
その姿も良いと思うが、やっぱり二人だけと言うのは最近では中々無かった事だ。
中学では色々と合ったから願との時間は誰にも邪魔されない最高の時間だったと言うのに、今では私たちの水面では奪い合いが常套文句になっている。
愚かしい事だ。正妻は私以外あり得るはずがないのに。
昔のように、願に私たちは抱きつきたい。あの時の無邪気な頃に戻れるんだったらもっと願と仲を深めておけば私一人勝ちで笑えたのに。まあそれは良いや。
話を戻すけど、私たちは成長と共に願の方から過度な接触は遮られた。抱きつくような事は本当に感極まって自分でも無意識の時以外には願にバックステップで避けられる様になってしまった。
付け狙うような形になるのは心苦しいけど。願。貴方の全てを五感で満たしたい。
両掌から感じる熱は、貪り尽くしたくなるほどのその匂いはとある一説を思い浮かぶ。曰く、匂いの相性が良いのは遺伝子上とても相性が良いと言う…願全て今この場所で剥いで貴方を組み伏せて─────────────────
(しばらくお待ちください)
ふう。危なかった(この間およそ0.5秒)
少しトンでしまっていたけどこれぐらいはいつもの事だというより大体全員できる。少しの時間で多くの愛を受け取るために。そしていずれかは私が───────
次第に私は揺られる電車のリズムに意識が落ちていく。
こんな風に隣に座って電車に乗るのは久々だ。咲希の病院に行く依頼だからかれこれ数ヶ月…?だろうか。毎週のように行っていたのが懐かしいものだ。
願の手が私の頭を寝やすいようにとしてくれてる気がする…あっ。ダメ意識が落ち……
そして次私が目を覚ました時に願は、背もたれに完全に体を倒してイヤホンで音楽を聞いていた、起きてはいたんだろうけど何か意識されないのも癪だ。
「………………ぇぃ」
「!?……一歌……か」
願の聞いていたのはこのまま録音したレオニの歌。それも私のボーカルの曲。
それを聞いていると言う事はつまり私の歌が願の脳に焼き付いていると言う事。
そう考えたらこれは……凄い下品な気がするからやめておこう。まだ朝だ。そう言う事はキチンと手順を踏まないと……ね?
あっ。でも私以外のボーカルの曲も入ってる。これ裏切りじゃ無い?
でも消したりしたらそれは悪い事だから…今は頭を擦り付けるぐらいで許してあげよう。私の寛大な心に感謝して欲しいものだ………なんてね?
駅に着き、私は願の導く通りに歩く。
その迷いなき願の姿に私は一つ二つ。気がついてしまったかもしれない。
願は…ここまで旅行しにきた事は無かったはずなのに。確かに、キチンと調べて来たと言うならあり得るかもしれない。でも、でも“そう”では無いと私の直感が告げているのだ。私の勘が訴えているのだ。
けど今は、今だけはそれを封印しよう。きっといつか願から言ってくれるだろうから。
次に乗った電車は人がいっぱい。私たちはどうすることもなく、隙間が出来ないほどにくっつく事になる。
「……っ!ごめん……」
「大丈夫………もう少しでしょ?」
嘘。めちゃくちゃ役得だから後二時間…いや三時間ぐらいはこのままでも嬉しいんだけど。何故なら、願“から”くっついて来てそして願の申し訳なさそうな顔は凄い背徳感がする。……勿論、きっと咲希達なら「わかる」と共感してくれるはずだ。
もうなんかこれぐらいで私、今日の目的を忘れそうになるけど。いや。ダメだこのままだと志歩や穂波に越されたままになる。今のままだとダメなのだ。
ちなみにその後、二人揃って舌を火傷したのは良い思い出なのか悪い思い出なのか。
「この前、咲希から何か、言われた?」
ああ。ビンゴ。私たちはライブが終わり、その熱が冷めぬまま食事にと手を伸ばした。欲しいものも買えたしお目当てのミクのぬいぐるみもゲット出来た。これ以上嬉しい事はない……さあそのままだ。ノリに乗っている今の私なら行けるはず。
正直に言うなら、願はめちゃくちゃ鈍感。願自身、いつも性的に見られていると言うのに、この前襲われそうになっていると言うのにそれでもその態度とか話にならない。私以外、全員狼だと思っていて良いほどだ。
「あれ?知らないの?」
咲希が一番腹黒いと言うことを。そうでないとあそこまで完璧に“割り込む”事なんて出来るはずがない。咲希の天真爛漫な所や、みんなを励ます所は大好きだし尊敬しているけど、こと恋愛に関して敵にするなら最悪だ. まあ負けてられないけど。
「うーん………あっ!願の家の鍵とか……ダメ?」
ドアインザフェイス。最初に無理難題を吹っかけて私の本命を通す。
交渉術の基本だと有名だとしてよく知られているけど、願にこれが効くかどうか。
まあ効かなくても昨晩、多くシュチュエーションを考えて来た私に死角はない。
『まあいいよ』
!!!!!!???!!!
……これは予想外だ。良い予想外だけどこの時点で首を縦に振るのは一番薄い可能性だと思っていたのに。……願は本気で言っているのか?それはつまり…そう言う事になってしまう。訝しむ間にも願は私に鍵を渡す方向に動いている───え?これ本当に現実?私が見ている夢、とかじゃなく?
本当に、本当に、本当にいいのか。
私たちが追い求めるアヴァロンの鍵がこの手に。
あっなんか凄い心臓がバクバク言っている。うるさいほどに私の胸は昂ってる…ヤバい
私の脳内が404not foundと訴えている間にも願の話は続く。
なんでだろう?勝負に勝ったのに試合に負けた感は
私のモヤモヤを置いていくかのように話は進む。
誰か、私のこの混乱を抑えてほしいな…なんて思いながら。
星乃 一歌
正妻は私だと言わんばかりの追い込み。一番手に躍り出たか?
まだまだこのレース、一体誰が勝つのかわかりませんっ!
クソッタレ。と称した膠着状態だとかどうやら一筋縄では行かなそう。
外夜 願
ああもうクソボケ。救いようのないクソボケ。ここまで行くともうさせてぇ…
作者、R-18いいっすか?
感想などありましたらよろしくお願いします。
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
-
異聞:魔法少女パロ
-
異聞:夜の娘続き
-
もしも冬弥と兄弟だったら…
-
もしも奏と双子だったら…
-
もしもまふゆと双子だったら…
-
TS願
-
配信者願
-
幕間1 続きリメイク