「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
物語の中盤戦。願の言葉とそしてレオニ達の想い。
そして願のたった一つの抱いた渇望。さあそれではどうぞ。
こう…すれ違った愛とか良いですよね。とても好みです。
いつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定注意です。
第4話 届かない手、揺れる少女
視点はLeo/needに移される。
いつものように練習が終わり、セカイの音楽を停止させようとしたその時だった。
「あっ!ねえみんな!げんくん家に行かない!?」
広げていた鞄の中身を片付けて肩に持ったその時、咲希からの提案。
確かに、願とは昨日の夜から会えていない。昨日の夜は忙しいからこっちでご飯食べるって言ってたし朝も用事があるからって先に学校に行ってしまったのだ。
たまにこう言う事はあるけれでやはり寂しいものは寂しい。そういう事で全員で行こうと口にしたのだ。
「………そうしよっか」「うん……」「さすが咲希ちゃんだね」
そんな天真爛漫な咲希の意見に一歌以下省略…は“抜け駆けしてやろう”という自分の卑しい心を自覚…したのか。こう大人になって子どもの純粋無垢さを目の当たりにしたとバツが悪そうな顔で言っていたのだった。
「これ……って」
今日のセカイでの練習は家の部屋から入っていた。丁度いい感じに家には誰もおらず(咲希だけは司さんが帰ってくるかもしれないから私の家に来た。)セカイの出入りを見られる可能性がほぼないという事でこういう形を取った。
「ね。いっちゃん」
「………うん。」
スマホを手に取ったらまず何を確認するだろうか。
大体の人はこう答えるだろう。“通知”を確認すると。
それはこの少女たちも例外ではない。いつものように通知を確認するならば特に急いで見なくてもいいメールだとかの上に一つ少女たちにとって絶対に無視できない通知が入っていた。
『最高の幼馴染!(5)』
これは私たちのグループメール。咲希が名前を考えて、プロフィール写真は…この前の流星群が綺麗に撮れた時の写真になっている。私たちのこのグループは基本的に話し始めたら止まる事は無い。…だからたまに夜更かしとかしちゃうんだけど、それでも楽しい思い出は“最高の幼馴染”と共に紡いできた。
『願:終わってからでいいから話がある』
願がこうして“何か”言う時はいつも個人メールで入れてくる。だと言うのに今日は一言と、その場所に来てほしいと言わんばかりの地図にピンを刺された写真だけ。
それは咲希であっても違いは無かったらしい。隣で同じ画面を見てるのだと分かるようにとても怪訝な顔でスマホを睨んでいる。
「……嫌な予感がする」「うん……急ご?」
そんな素っ気ない願の一言に一歌の心の中では冷たいものが湧き上がってくる気がする。どうやらそれは咲希も似たようなモノを感じ取ったのか。早く行こうと急かす。
私たちの足は次第に早歩きになって、そして最後には走っていた。
「…………っ。何があったというの?願くん…」
部屋に戻った穂波も一歌と咲希と同じようにスマホの通知を見てしまった。
急いで開かれたチャットにはすぐに4つの既読済みの印が入った辺り、全員似たような感じで見たのだろうとは想像に難しくない。
「…………………」
額に手を当てて考える。だけど穂波の脳内には何か浮かぶわけでもなくただ時間と額から流れる冷や汗だけが穂波の心を掻き乱す。既に心臓は無音の世界の中で激しく響き渡り、穂波の目は激しく揺れ動く。
(しばらくそんな願くんの心を乱す“何か”があったわけでは無い。)
(私たちの仲違い……?)
いや。違う。と直感で否定する。…恋する乙女の観察力?そうとも言う。
おおよそ一週間程度の仲違いで願が限界になるはずがない。私たちはかれこれ年単位で喧嘩してたんだ舐めんな。そして願くんはそれに付き添ってくれたのだ。それこそ格が違う。
(……………でも1つだけなら分かる)
この感じ。命の危険を本能で察するような危機感はまさに頭の中で警鐘が鳴っている感覚。穂波には覚悟が出来ている。願がなにを言うかを。そして本当に最悪な事になりうる可能性が待ち受けていると言うことを。
『だから…多分、いずれ何処かで』
志歩の脳内でいつかのGUMIの声が再生され続ける。
自分の部屋に戻った志歩はいつものようにスマホのロックを解錠しふと目に入った通知に志歩は力が抜けカーペットの上に響く鈍い落下音が志歩の内心を指し示していた。
「……………っ。」
ありえない。あり得るはずがない。これは悪夢でさえ忌避するような展開。
志歩自身は気がついていないが半泣きになりながらスマホを手に取り個人のメールにひたすらに書き込む。
志歩『願?』
志歩『話ってなに』
志歩『教えて』
志歩『応答なし』
志歩『応答なし』
志歩『応答なし』
三度、電話を掛けても願に掛からない。志歩の早る心はもう抑えが効かない所まで行ってしまっているのだろう。……それもそのはず、ただ1人志歩だけが“願の心から生まれた存在”から決別を仄めかされているのだ。そりゃ正気でいられるはずが無い。
狂乱と絶望に堕ちそうな心の丈をどうにか幸せな願との記憶で誤魔化して、靴を履く時間さえも鬱陶しいっ!と叫ぶ内心をどうにか封じ込め、日が暮れゆく街中を逆走する。渋滞になる交差点を駆け抜け、歌い出すシンガー、目の前の小さな箱に夢中になるOLを押し退け志歩の脚は全力で駆け抜ける。
次第にその影は一つまた一つと多くなり、そして────────
月の下、彼は輝きもない展望台で1人まるでワルツを踊るかのように少女たちを待っていた。
「やあやあ。お早いお着きで」
月の下、月明かりに照らされる願の純黒とも取れる黒髪は月光だけを反射し願の頭にエンジェルリングを宿らせる。展望台から落ちないようにと造られた石垣に腰掛ける願の姿には何処か触れてはいけない神聖さを宿して皮肉げに笑っていた。
「「「「…………………」」」」
何か一言、文句でも言ってやろうと半分親しみと愛を込めて近づいたと言うのに少女4人とも動かない。…いや。動けないのだ。それは何故か、美しさ?神聖さ?違う。これは………
怖い。という恐怖だ。
それもお化けだとかジェットコースターの怖さではない。そうこれに名前を付けるのなら、まるでこの世の存在と違うと言わんばかりの覇圧感。まるで天上から見下すカミのようなそんな荘厳なまでの威圧感。
「……それで、なに、ようなの?願」
知っていた。こうなるかもしれないとわざわざ警告されていたはずなのにその考えさえも浮かばなかった志歩が一歩前に立つ。怖いと震える心を服従したいと跪きたくなる脚を抑え込んで願の前に立つ。
「…………ん。そうだね」
一言呟き、願は立ち上がる。
コツコツ…と軽い足音を立てて願は立ちすくむ私たちの前に立つ。その時だ。その時私たちは明確に見て、理解できてしまった。……そう願の瞳を。願の瞳の中に渦巻く強い強い負の感情が。
「少し、少しだけ。距離を置かせて欲しい」
願から力強くそれでいて尚、“私たちを全く見ていない相貌”で願はその言葉を口にする。青空のようなスカイブルーの瞳は燻んで曇りかかっていた。
そんな圧倒的な願の覇圧と絶対に願は“離れていかない”と自負していた少女たちの幻想はぶっ壊され、現実と空想の辻褄が合わなく脳内がショートしかけている少女たちの声を代弁するのはやはり
「それはいつまでなの?願くん」
望月穂波。ただ1人だけ。月が綺麗に映るからか、それともこの夜に一番美しく映るように見えるのは月だけだから。…そんな空想論ではなく、単純に願の核心に近い所まで悟っているからか。いや。それとも単純に愛のなせる技か。
なんにせよ。今ここで声を上げなければきっと違えてしまうと穂波は神に従う天使のように盲目になる心を抑え込み、願に反論する。
「………さぁ?」
「惚けないで」
いつもの願のように(瞳からはハイライトが消えているが)ニンマリとしめたという顔で笑う。だと言うのに今見る願の笑みは酷く歪。どう見ても違和感しか感じない願の笑みは少女たちの神経を逆撫でさせる。……そんなに私たちが信用ならないのか、と。
「ね、ねぇ?……そんなに私たちが嫌いになった?」
「そ、そうだよ!アタシ達何か悪いことした?」
そんな願の姿に一歌と咲希が声を上げる。
その姿はまるでホストに貢ぐ女みたいな構図をしているが至って純愛だ。
一歌も咲希も前回の一件で願とは喧嘩して大好きだと言えて仲直りできたはずなのに。それでも願の心にはまだ何かあったと言うのか。目尻から涙をこぼしながら一歌と咲希は願に詰め寄るが、そんな2人の姿であっても今の願の心を動かすには足りなかったらしい。
「特に。強いて言うなら……自分のせいだから」
そう思い込まなくていいよ。と願は呟く。先ほどのしめたという笑い顔を崩さないまま。笑い顔を不気味なまでに崩さない願に少女達はようやく気がついたのだろう。“今の願に声は届かない”のだと。
「分かった。……その代わり。」
「?」
だからせめてと志歩は声を上げる。
これが願の心を軽くするとは思っていない。でも少しでも願の心を軽くすると言うのなら、それだけで今はいい。そう志歩は口にする。
「いつまでも待ってるから。」
笑顔と、愛と恋を込めて志歩は満面の笑みで願を見る。
そんな笑顔に願には綻ぶような本当の顔が一瞬見えた瞬間、すぐにハイライトが消えたようにまるで周囲を引きずり込むような強く暗いオーラを纏いながら去っていく。
「こんな現実は、もう………」
「…………え?」
そう。まさか願の最後の嘆きが少女に聞かれていただなんて。
第5話 深く、フカク落ちて行く
「───────── ♪♬──── ─────────!!!」
歌を、歌えば歌うほど自分の中が純化されていくのを感じる。
喉から出る歌は全て自分の手足のようになり、歌っていると言うのにまるで自分は空から自分を眺めているように総てが手に取って分かる。
「────────────♩ ♪──♩────!!」
今なら何でもできるとも言える傲慢なほどの全能感は願を支配する。
自分がまるで二つあるようにこの世界を維持する。歌えば歌うほど、他の寄せ集め…されど全員が自分の実力に一定の自信を持っている老若男女の歌声を、身体を使った表現を知れば知るほど自分が先鋭化していくのが分かる。
「少年!いいね───────もっと上げられるかい!?」
名前も顔も知らない初めて会うボーカルと時にはぶつかり合い、時にはデュエットする。ここは正しく音楽でしか生きられないイカれ共も集まりだ。……だと言うのに、その空気はまるで最高級のディナーみたいなモノだ。
「坊。それを手懐けるより乗り回しな。」
溢れて止まない忘却への怒りも嘆きも全部制御するんじゃない。
その全てを歌に込めろ。その全てを愛しいモノと受け入れろ。
単にイカれと言えどそれは多岐に渡る。それこそ純粋に音楽に狂っていたのも、いつからか音楽に狂えないと生きていけない奴らまで。
「───もっと──────────もっとっ!!───────────もっとっっ!!」
次第に、次第に元は贖罪のように愛に報いるための手段に“愉しみ”を覚えてきてしまった。自分の幼馴染の少女達のようなそんな綺麗な感情ではない。……あれ?どんな綺麗な感情だったっけ?
「──────────────────────!!!」
まあ。いっか。どうでも。
願は一瞬浮かんだ“星”を投げ捨てた。そんなものに価値は無いと言わんばかりに願は高らかに自分の“闇”を“悲しみ”を“嘆き”を魅力にして視線を奪っていく。
あの日。俺は渡された名刺に逆らうことなく足を進めた。
半分以上自棄になっていたことは認めよう。もう授業は始まっていると言うのに自分のエゴで学校を休んだのは今世、これが初めてだ。
『……………………………………』
何かが間違えている。何か、大切なことを見落としている。
そう脳内でけたたましく鳴り響く警鐘を強制的にシャットアウトし、ねじ伏せて歩いていく。……そう。もう思考さえも止めてしまった願は知る由もないが、何かが間違えている。何か、大切なことを見落としているとは気がついているがその“何か”は最後まで分からなかったらしい。
『……ここ、か』
騒がしい街中を抜け、たどり着いたのは一つの地下に向けて伸びる階段。
古き良きディスコみたいな雰囲気を醸し出しているのを感じ、年甲斐もなく前世と同じような高揚感を得るように願は盲目に足を進めいていく。
『…………お邪魔しまーす』
まるでこの現代の世の中にはまるで無い様な木彫りのドアを開けて(実際には鉄製だったらしい)願は中に入っていく。外はもう昼だと言うのにライトはほぼ落とし切られて暗闇の中、音楽と歌声だけが満ちていた。
『おや。初めてかい?』
『ようこそ。……へぇ。いいもん持ってんじゃん』
薄暗いせいか声をかけてきてくれた2人の顔はわからない。
けど今なら理解できる。きっとそっちの方が居心地が良いから。
そして、ここはそう言う“奴ら”の集まりなんだと理解できてしまった。
『歌いな。ただ、それだけがここの条件』
暗闇に目が慣れてきたのか周囲にはとても多くの人が所狭しとギターをアコギを、思い思いの楽器をかき鳴らし、違うテーブルでは酒を飲みながら白い紙…楽譜だろうか?を囲んで話し込んでいる。
『………あー…飲めるか?……無理か。まあ烏龍茶でいいか?』
歌えば歌うほど自分が満ちていく。時間さえも忘れて彼は気がついたら白昼夢のまま席に崩れ落ちた。どうやら自分でも気がつかないほど疲労が溜まっていたらしい。喉はイガイガと痛みを訴えており、足も体全体に響く様な思い疲労が伝わってきた。
『あんた、凄い良い目してるぜ』
飲めるか?と聞いてきた男が未成年だと知るとすぐに踵を返し、烏龍茶を手渡してくる。どうやら歌ってた願の姿が気に入ったらしい。酒臭い息を漏らしながらさらに表現の解釈を広げようと願と議論を交わす。
『………帰らなくて良いのかい?』
日は沈み、そして夜の時間になっていく。
どうやら自分でも気がついていなかったがそれほど議論に熱中していたらしい。
ここでは何もかも、自由だ。自分の性別も、身分も、果ては名前さえも。ここではどれほど歌えるか。歌に狂えるかだけが条件。
日の目を浴びることを辞めた天才がいる。天才が故に干された人がいる。
理解されないままにここに入り浸る人がいる。ここ以外にもあるはずなのにここの空気に依存した人がいる。……その理由は千差万別。歌う理由さえも同じなのは無いはずなのにここは“歌う”のが集まった本当にアウトローの集まり。
居心地が良かった。いや、居心地が良すぎた。
元々、願の前世もこんな感じで落ちていったのだろう。……いや。それより酷いか。もう自分には戻る様な理由も意義も見つけられなかったのだから。
『アタシは本気だよ?』
声を、思い出した。
『持っていたいかなって……思うんだけど』
忘れてはならないと、思い出す。
『どう見えようとも、願が私たちを愛してるぐらい知ってる』
そうだ。愛している。愛しているのだ。
『絶対、絶対、絶対に?』
うん。絶対に愛していると誓ったのだ。だからこそこんな簡単に落ちてしまう様な、簡単に捨ててしまえる様な自分なんて居てはダメなのだと。あの日、あの時死んでしまうのが最も幼馴染達のためになったはずだったのだ。
だから、だから…………!!
「特に。強いて言うなら……自分のせいだから」
はやく殺しにきて。愛しい愛しい私の最愛の幼馴染達。
外夜 願
愛していると言う幼馴染に対して、自分が死ねば幼馴染は幸せだと信じている。
Leo/need
どうしてここまで拗れたんですか……どうして……
更なる妄想・配布キャラ
星3:【ミエナイ夜】星乃一歌
特訓前:部屋に戻りスマホを見ている普段着の一歌。その表情は何処か恐ろしさに瞳が揺れていて、右端には咲希と思われる金髪が少し写っている。
特訓後:今の一歌より少し大人びている一歌(服は変わらず)髪はショートに切られ凄い仄暗い眼差しでギターを弾き、歌っている。持っているギターには牛を前から見たような模様が刻まれている。一歌の足元にはबेल्फेगोर् इत्यस्य अन्वेषणम्という模様が書かれている。空は何処か仄暗く星なんて浮かんでおらず、大きな火の鳥が空を駆けている。
感想などよろしくお願いします。
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
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