「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後… 作:ネマ
まさか一月開くとは思わなかった……。
遅くなりました。結末編です。馬鹿騒ぎも一夜で終わると考えればとても儚い夢の如し。
みなさんレオニのライブ行きました?自分は17時の部で楽しませていただきました。
煮干しラーメンで笑い、てらてらで泣きそうになったよ……
第6話 明星は遠く、夜は深く
勿論、距離を置きたいと言う願の言葉に何もしないLeo/needではあるまい。1人1人が覚えている願との会話を全て書き起こし、何が今の願の事線に触れたのか精査していく。
「願くんの朝食はパンだったよ」
「パン用のバターを使ってたから今朝はバターかな?」
「………確か飲み物は……」
「「「コーヒー」」」
セカイの一部屋に集まった4人はメモ帳に一つ一つ情報を書き込んで机に貼り付けていく。瞳からは光が消えて周囲には瘴気が漂っているのではないかと言わんばかりに空気が歪んでいる。
「今日、願学校は?」
「………ううん。休んでいたみたい」
なんでそんな事を朝会っていないはずの4人が知っているのかは机に乱雑に置かれたメモの中に願の身長や体重。呼吸のタイミングや視線の方向。更にはファッションコーデや口癖。願の一日のタイムスケジュールなど願でさえ把握してなさそうな願のパーソナルデータが積み上がっているのを見ると今更なのかも知れない。
もはや恐怖しか覚え無さそうなその空間で、ついに少女達は願の内心に踏み込んでいく。
「願って内側に入れた人には甘いんだよね」
「ああ。それは確かに」
一歌の意見に志歩も賛同する。……まあこの2人は願の家の合鍵だとか校内で秘密の逢瀬をしていたりともしも咲希と穂波にバレたらこの場が裁判の場になりかねない。
それは置いといても願は内側に入れてしまったら本当に甘いのは事実であった。ただその内側の範囲が酷く曖昧なのが願らしいと言うか何と言うか。
「……確かに前回の一件が無かったらここまではいかなかったかもね」
1人穂波は思案する。前回の一件の時は願は人知れず消えようと…死のうとしていた。だと言うのに今回はまるで誘い受けの如く待っといてだとか距離を置きたいだとか私たちが決して放っておくわけがない様に誘導している。……その意味は??
「うーん。でも今回のげんくんって何か違う気がするんだよね……」
自信が無さげに自分の考えを言う咲希に3人とも黙り込んでしまう。
確かに願にしては不自然な行動が多い。ああ見えて願は理詰めで動いている事が多い。距離を置きたいのならきっと私たちでさえ勘付かないように動くだろう。(事実、中学の時とか危なかったと聞くし)
「「「………………………」」」
考えれば考えるほど今の願の行動に説明がつかないと黙り込んでしまう。
何故ここまで少女たちは願の現状を解き明かそうとするのか。……それは表面上。上部だけ願を理解した気になるという事はしたく無いから。ただの恋する乙女の意地だと思ってくれれば良い。
「もしかして……そういうこと??」
ふと志歩が呟く。今までの願の行動ではなく私たちの行動を見直すというのなら、やっぱり1番の変化であるプロを目指した事だろうか。と覚えている。あの頃、願だけが残酷にも肯定してくれた夢。それが今となってはLeo/need全員の夢になったのは嬉しい。……けど願は確かに言っていたじゃないか。
『プロという夢に志歩が我慢する必要は無いんだよ?』
………そうだった。願はいつも“私たちを第一に考える”それはとても嬉しい事でそしてそれ以上に残酷な事。きっと願はあの時、私がLeo/needを捨てたとしてもきっと今まで通りに私と接してくれるのだろうと志歩は考える。
「………?どうしたの志歩」
そうしていると何かに気がついた志歩に一歌が問う。
確かに、今志歩が気がついた事は最も真相に近い位置にあるのだろう。
重たい口をついに志歩は開くのだった。
「もしかしたら、願は止めて欲しいんじゃ無い?ってこと」
「………とめて……」「ほしい………??」
志歩の言葉に、咲希と一歌は顔を見合わせる。
今までの行動に理由を付けるのならきっとこれだろうと志歩は口にする。
曰く、願はまだ迷っているのだろう。その迷っているのが“何か”は分からないけどまだ行動に移していないのを考えると迷っている。そしてその迷っているのを底に入れて考えてみると────
「願の心は多分、苦しんでる。終わりたい。」
何から逃げたいのかは分からない。でも願は確かにあの時そう嘆いた。
その“何か”を私たちは推し量れるほど大人じゃない。でも、でも願がこうも分かりやすく私たちに残しているというのなら。
「でも願の想いはきっと……」
セカイに異常は無い。きっとこれはそういう事。
まだ、まだやれることの方がいっぱい残っている。
「“助けて”って。言いたいんだと思う」
志歩のその言葉は少女たちの胸に響く。
確かに最もありきたりでそれでいて簡単に口に出せない弱音。
「……ああ。そっか」
確かにそう考えたら願らしいな。って思った。
私たちの苦しみには簡単に気がつく癖に自分の苦しみには無頓着な願なら。
「じゃあ。もう決まりだね」
手を叩く。助ける方法なんて幾らでもある。
でも少女たちは偶然か、それとも夜の導きか。同じ手段を選んだ。
「私たちはLeo/needだから!!」
夜の空に星が輝いた。
第7話 この“十六節”で弱さを誇る
ぷつり。ぷつりと1つずつ大切だった何かが切れていく。
自分という存在が純化していく全能感。まるでそれに溺れていくかの様な感覚に自分は不思議と酔っていく。まるで気持ちが良い酒を浴びてる様な気分だ。
「あぁ……良い気分」
夜に溺れているのか。記憶に酔っているのか。脳内麻薬でキマッているのか。
それさえも分からないまま願の意思は過去に触れようとし始める。まるで禊と言わんばかりに、願が願自身の手で過去を棄てようと入り込み続ける。
はて?自分が自分だと自覚したのはいつからだっただろうか?あの血が繋がっただけの生産者と生産物の関係を明確に理解した時?金で動くブリキの人形共を見た時から?それとも“外夜 願”という存在が独りぼっちだという事に気がついた頃から??
もしかして寂しかったから誰でも良かった??
この“空白”を埋められたら誰でも良かった??
真に、俺は…私は誰かを愛したことも愛そうと思ったことも無いの?
『………ほんとうに?』
「………ミクか」
スマホからミクの姿と声がする。セカイという前世にも無かった超常現象。
想いという空想的な存在から出来た空間にいるバーチャルシンガーの1人。
『本当に願は1人なの?』
「………………………さあ、ね」
無垢の、まるで俺の考えが間違いだというかの様に輝くそのミクの瞳からどうしようもないほど願は逃げたくなった。自分がやっている事が間違いだと、あの少女たちを傷つけるだけなんだと目の前に突きつけられる様で。
『もう気がついてるんじゃない。願』
「…………何を」
言っている。と言いかけたその口を強制的に閉ざす。
何も悟らせるな。何も分からせるな。
その耳を塞げ。その目を閉ざせ。沈黙は命運となる。
『だって願はもう愛しているんでしょう?あの子達を』
「………………………………」
ミクの微笑みから目を逸らす様にスマホの電源を今までにないほど素早く落として鞄の奥底に押し込む。その上に色々と物を積んでようやく息をする。
「……………違う。」
人との繋がりを維持するため。社会的に利用しただけなのだ。
全部、全部。全部。全部。ただそれだけの話。
「どうしようもないクズなんだよ。俺は」
まるで自嘲するかの様に吐き捨てたその言葉はまるで“そうであって欲しい”と言う自縛にも似ているのは願でさえも気がついていなかった。
そう。ただ病床から出られぬ少女に好くしたのも。なりたくもない独りぼっちの選択を取ってしまった少女に好くしたのも。ただみんなに傷ついて欲しくないと優しい少女に好くしたのも。みんなと離れ離れになんてなりなかったのになってしまった少女と好くしたのも。
全て、全て己の都合でしか無かったのだから。
「…………………………」
夜に溺れたまま願は帰路を行く。年甲斐もなく鼻歌を奏でながら歩く今の願には過去の…言うならワルだった時の思想が少しだけ見え隠れしていた。
(髪を染めるにしても……なぁ)
そういえばよくよく考えなくてもこの世界。髪色の種類が豊富だ。
黒髪や茶髪はまあ理解できる。理解できるが髪のサラサラ度や髪のツヤ。更には確実に似合っているであろう髪型まで兼ね揃えている辺りもうヤバい。
金色と銀色はだって?普通じゃないだろ。それでもめちゃくちゃ似合っているしサラサラだしツヤも化けもんだし、更には髪型がすごく似合っている。
友人たちだってそうだ。アイツもアイツでオレンジ色とかで地毛だし、友は友で青2色で丁度分かれてる髪色している。……先輩も紫色しているし、義兄……ではなくもう1人の先輩も金髪だ。
そう考えると髪染めてイメチェンにはならないかとため息を吐く。
(………ピアス入れてみる?とかか?)
前の時は、それはもう派手な奴を付けていた。今こうして考えてみると些か下品だったと言わざるおえないが今こうして考えてみると小さいモノ程度なら付けてみるのもアリかもしれない。それこそ月や星、太陽がモチーフの奴とか合いそうだ。
(お酒やタバコはなぁ……)
流石に年齢的にダメだ。と首を振る。この年からそれをすると身持ちを崩す事になりかねないと自省する。確かに願はお酒の美味さとタバコの苦さを知る大人ではあるがそれでもまだ肉体は二十歳に満たない。
それ以上に何よりも自分がこれらを始める事であの少女たちまでこっちの道を知ってしまうのが怖い。これらを知るにはまだあの子たちは幼すぎる。
「……………はぁ………」
流石に願も気がついたのだろうか。願が挙げたイメチェンの全てにおいて幼馴染たちを連想してしまっている事に。まるでこれだと…あの少女たちに本当に自分は恋をしているみたいで。
「愛してる………と?」
一歌が。咲希が。志歩が。穂波が。
歪んでいるけど、確かにどうしようもないほど歪んでいるけど。
幼馴染に殺して欲しい。幼馴染の手で殺して欲しいと歪んでる愛。
こんな度し難い自分の性ならいっそ最後まで気が付かなければ良かった。
「………いっそ、もう消えてしまいたい……」
口の中から震える様な細くか細い声が漏れ出る。
これは俺が始めた物語だろ。とかあの子たちに報いなければ。と思う以上に消えたい要求が身体を支配する。……いっそこの国ではなく外に、海の向こうに逃げてしまえばいい。持ち物も、名前も、文字通り全て捨てて新天地で新しく1からやり直すのもあり寄りのありだ。
「そうだね。願。」「駆け落ち?どこまで行くの。私も同行する」
後ろから、今だけは聞きたく無かった声がする。
聞き慣れた声。もしかしたら自分の声以上に聞いたことのある声が聞こえてきた。
ああ。本当に…タイミングが良いのか悪いのか。
「みんなで駆け落ち?」「新築ボロアパートだね!」
前からも声が聞こえる。完全に取り囲まれたのを理解して頭を抱えて空を見上げる。今だけはこの星空に悪態が付きたくなってしまった。なんで消えてしまいたいのに駆け落ちなんだよとか。新築ボロアパートとか語呂がいいのに明らかに矛盾しているそれはどう言う意味だ…とか。色々言いたいけどもう現実から目を背けられないのだろう。
「一歌、咲希、志歩、穂波。」
夜の光が反射して少女たちを彩る。
そこから見える表情はどこか不機嫌に見える。…まあ当たり前か。と願は心の中でため息を吐き全部を覆い隠す。生憎とポーカーフェイスもハッタリも自分の得意分野だ。
「……何用?」
「用が無かったら近づいちゃいけないの?」
「………距離を置きたい。と言ったはずだが?」
笑みには笑みを。空っぽの笑みで拒絶する。
お願い。お願い。それ以上、こちらに踏み込まないで。一歌たちまで巻き込みたくはないから。どうか、どうか自分に失望して。
「距離は置いてるよ?……ほら」
「……………戯言を」
確かに4人とも距離は置いている。……いつもの肩がくっつく距離ではなくたかだか半歩分程度でしかないが確かに少女たちの言う様に距離は置いている。
一歌たちの目を見るとその目には迷いとは程遠く、強いいつもの眼差しに戻っていた。………いやぁ。これもう無理かも知れんな。とから笑いを上げる内心を封じ込めて目を細める。
「そう言う意味ではない。と分かってると思ったんだけど?」
「………………………」
願のその言葉の直後。幼馴染たちはまるで笑いを堪えきれないと言わんばかりにニマニマと笑って願を見る。想像と違っていた幼馴染たちの反応にもう願の内心はキャパオーバーだ。
「………願、気がついてる?」
「……………何を、だ」
穂波が言葉を切り出す。半笑いのその声に願も気が付かないうちに半歩後ろに下がっていた様だ。…いやまあ。四方全てを幼馴染たちに取り囲まれている時点でもうどうしようもないが。
「“分かってると思うんだけど”…そう言う時点で願は──────」
ああ。もう分かってしまった。その先は望まないはずなのに。その先の言葉を望んでいる自分がいる。………やめてくれ。それ以上は、やめてくれ。“それ”はもう最初から棄ててるんだ。誰も尊ばない代わりに自分も尊ばない。完全に中立中庸の生き方をする筈だったのに。
「──────私たちを想ってるんじゃない?」
その言葉の直後に前後左右に柔らかい感触といい匂いがしたと思ったらいつもの光の渦に飲み込まれ始めたのだ。……やられた。これはセカイの……!!
「アッ」
絶命の一言にしてはやけに無様な願の一言は夜空に消えていったのでした。
第8話 果てなきバルカン、そのさだめは───
「………やられた……」
サメサメ…と教室のセカイの片隅で膝を抱えて願は顔を覆う。まさかこんな物理的な手段を取られるとは思わなかった。もう少し慎みを…と言いかけて願はセカイを見渡す。この時間のセカイはもう電気も落ちて星明かりが綺麗に見える時間だと言うのにまだ電気が付いていつものバンドのセットがそのまま置かれている。
「………願。来たんだ」
「…………GUMIか」
扉の向こうからバーチャルシンガーが続々と入ってきた。
先ほど拒絶するかの様に電源を切り落として無かった事にしたミクがさっきの幼馴染と同じ様にニマニマ笑ってこっちに足取り軽く近づいてきた。
「ねえねえ願今どんな気持ち??」
NDK?NDK?と願の周りを回りながら煽り散らかすミクのその姿に願も流石に堪えきれなくなったのかミクの米神に手を伸ばしてグリグリグリ……!と締め上げる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛(断末魔)」
そこまで力を込めてはいないが、やはり痛いものは痛かったらしい。
ミクの断末魔の最後にGUMIに崩れ落ちる。生きているか?と。一瞬心配になったがどうにか受け止めたGUMIの髪を抱きつく形で指で解いでいるのを見てこりてねぇなコイツ…と視線を向ける。
「………それでも、GUMIの事は心配しているのね」
後ろからヌルっとルカが顔を出す。驚いた様に後ろを振り向くと我関せずとばかりに柱を背中置き代わりに立つMEIKOとその横で微笑んでいるリンとKAITO。そしてファイトと言わんばかりにこっちに向けて肘を振り下ろしているレンが居た。
「………余計なお世話だルカ。」
鋭く願はルカを睨むがそれでもルカは人に食えない笑みで笑い“おー怖”と言うかの様に後ろに下がる。目の前で一歌たちはもういつものセットの前に立っている。どういうつもりなんだろうか。そう首を傾げた瞬間、GUMIが一本のマイクを差し出してきた。
「………どういう?」
「願。歌おう」
全員が自分のエモノを持ち、願に向かって好戦的に笑みを浮かべる。
ああ。そうか。そうなの?……この場に及んで“音楽”で“音”で語り合おう。と。
「………本気?」
「あの日、あの時。『音楽で語り合えばいい』そう言ったのは願だよ」
……そうだ。かつて仲を修復するのに音楽で語り合えば良いと唆したのは自分だ。
まだ幼い月日。一緒に楽譜を覗き込みながら笑い歌い、奏でた。
「ああ。そうかい、そうかよ…………!!」
マイクを手に取る。初めてだと言うのに謎に手に滲むこのマイクにはいつぞやかの彼岸花のレリーフが刻まれている。これが俺の形だと言うのならなんとも度し難い。逃避した先が願の形だと言うのなら。
「歌は“ステラ”……で。どう?」
「いいよ。」
全部、全部ぶち壊してやる。星の光も、月の光も太陽の光も。天の光でさえも。俺の夜の底に沈めて落として包み殺す。そう意気込む願にはもう迷いは消え、ただ溺れる様な全能感が脳の奥側から流れ込む。
穂波のカウント打ちで曲が始まる。ツインボーカルは初めてでは無い。何故なら最初はこうして一歌の声と願の声が曲を形作る。だけど、今日ばかり、願は一歌たちを振り回すかの様に暴走する気でいるからこそ。
全部、全部。飲み込んで喰らい尽くしてやる。
想いなど……いつまでも一緒にいたいなど、この程度。
愛している。愛しているのです。
あなたのそれは決して醜いモノじゃない事。分かってるから
想いは歌になりぶつかり合う。願が拒絶するかの様に歌えば少女たちはそれを包み込む様に歌い奏でる。ガラスが割れた後の様にセカイには多くの輝く光が飛び散り、それでも尚少年少女はぶつかり合う。
もうやめろ。俺を救わないで。俺をみないで
………もう。ワタシを愛さないで……!!!
曲はサビに盛り上がる。こんな馬鹿騒ぎも十分にも満たない。そう考えるとどうか儚く笑ってしまう。願の心の声は剥き出しに、そして今まで聴いてきた中で一番悲痛で一番苦痛に満ちた願の本音が聞こえる。
結局のところそこなんだろう。愛が怖くて。いつか忘れてしまう様に失ってしまうのならいっそ最初から無かったら良い。そう本気で考えてしまうほど願は思い詰めてしまったのだ。
ふざけるな
ふざけるなと言ってるの!!
瞬間。少女たちはキレた。押され気味だった願の歌声を一瞬でかき消すかの様なその歌はゾーンに入っていた願でさえも素面に戻る様な強い強い激情そのもの。
私は……私たちは!!
私たちは貴方に救われたのだから貴方を救いたいの!!!
赤子の怒り様な純粋無垢で愚直なまでの本心からの激情は願自身の否定を許さない。…………あの子、幼馴染たちの想いが伝わってくる。
むず痒いほど優しくて、暖かくて、そしてそれ以上に醜いこの身への心配と好意。
………どうして??
どうしてそこまで胸を張れるの?
どうしてそこまで惜しげもなく言えるのか。何故そこまで大っぴらに好意を伝えられると言うのか。願は分からない。願は分かろうとしない。何故なら分かってしまえばもう少女たちから目を逸らす事が出来ないから。
知らないの?
ラストのサビ。一番盛り上がる部分。もう願には取り繕う側しか無い。そもそもこうして想いのセカイに引きずり込まれた時点で願の負けだったのだ。そして願は一番肝心な所を見誤っていた。
恋する少女は無敵なんだよ?
今までで一番綺麗で可愛い笑みを浮かべて少女たちは願に微笑む。
願はまた少女たちの純情に敗れた。二回目の様なモノだ。……ああ。でも不思議と悪い気はしない。
ああ。そりゃあ………負ける筈だ
甲高い、それでいて尚不快にならない様なその壊れる音と共に願の真っ暗な夜が砕け落ちたような気がした。……さっきまでセカイを漂っていた光は消えて音楽が終わった後の激しい静寂が空間を支配していた。
「…………まいりました……」
憑き物が落ちた様に願は微笑みながらマイクを下ろす。
後ろからGUMIが手を伸ばし、願の首に絡みつく。
「ちなみに本音は??」
「めちゃくちゃ悔しい。正直一番悔しい」
そんなGUMIに願は特に反応することもなくGUMIの問に答える。それはもう年相応の悔しさを本気で滲み出した願は今でも地団駄を踏みそうな勢いだ。
「分かった?私たちの気持ち」
そんな願に一歌たちが降りてくる。志歩の声に願は微笑み首を縦に振る。どうも自分はこう言うことに向いていなかった。と言うことになってしまうらしい。
「げんくんは相変わらず難しく考えすぎなんだよー」
「咲希ちゃんの言う通りだと思うな。わたしも」
咲希が後ろからさらに抱きつき、目の前にゆっくりと穂波が降りてくる。
抱きついてくる咲希の髪を一度撫で全員を見渡す。目の前に立つ少女たち。あの日から随分と大人になって、そして綺麗に可憐に花が咲き始めた。
「願。」
瞬間。一歌が抱きつきそして2人とも飛び込んでくる。どうにかふらつく身体を支えながら4人を抱きしめる。……その温もりは、自分が想像している以上に、暖かかった。
「「「「帰ろう!」」」」
こうして、一夜にも満たない喧嘩は終わりを告げたのでした。
外夜 願
拗らせボーイ。与えた無償の愛はいつか貴方に返ってくる。───それも倍以上の利子を付けて
ちなみにここからレオニのサポーター兼プロデューサー兼etc…になったのは別の話。
Leo/need
今はとりあえずこれくらいで終わろう。
また願が何か思い詰めたら今回と同じ様に手を伸ばすだけなのだから。
架空ガチャ: 夜に揺れるfictitious satellite
星4:【個疑逡巡のバルカン】外夜 願
特訓前:星空に手を伸ばす願。(神高制服)だけどその表情は苦悶に満ちている。
特訓後:今の願より少し大人びている願。服装はやけに派手で(ホスト風)耳にはピアスが幾つも付いている。その手にはマイクを持っていてとても楽しげに歌っている。空には明けの明星だけが浮かんでおり、空には多くのフクロウが飛んでいる。
星4:【天縫無為たるウルバヌス】日野森 志歩
特訓前:セカイの教室に座り、何かを訴える志歩。その目には一粒涙が浮かんでいてそれでいても強い光が宿っている。
特訓後:今の志歩より少し大人びている志歩。髪はショートのままだがとても仄暗い眼差しでベースを抱えている。首元にはチョーカーが付いており、そこには蛇の刻印が刻まれている。足元には白い猫と黒い犬がいる。
星4:【二律背反なテミス/ヤヌス】初音 ミク
特訓前:願のスマホから姿をのぞかせているミク。その目には強い力を宿していて決して願が目を逸らすのは許さないと言わんばかりに見つめている。
特訓後:狐耳と狐尾を付けたレオニミク。ベットと机と椅子だけがある部屋でベットに腰掛けてニンマリと笑っている。机の上には大きな錆びれた籠があり穴あきだがその中には今も尚、四匹の小鳥が舞っている。
実は今回星3、4共に一つモチーフにしてるのがあります。気が向けば教えてね
ああ。それと今回の話に合う様な書き下ろし曲も。こちらは曲名だけでも良いのでくれたら嬉しいです。
あっ。感想もお待ちしてますよ?
次回何書きましょう(最終的に全部書きます)
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異聞:魔法少女パロ
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異聞:夜の娘続き
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もしも冬弥と兄弟だったら…
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もしも奏と双子だったら…
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もしもまふゆと双子だったら…
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TS願
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配信者願
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幕間1 続きリメイク