「(幼馴染を恋愛的に見るのは)いやーきついでしょ」と言ったオリ主が幼馴染達に娶られるまで後…   作:ネマ

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願「幼馴染に襲われた……」の一応の締めの最終話です。
それではいつも通り、設定崩壊・過去改変・キャラ崩壊・独自設定注意です。
えっちな話なんで自衛だけはよろしくぅ!


願「幼馴染たちと幸せになった」 咲希「計画通り……!」

 

 

 

「答え合わせを、しよっか」

 

その少女は1人、ピンクのシーツの上で微笑む。

自室だろうか?暖色系の色で揃えられた部屋の中で1人、金色の髪を散らして微笑む。

 

「最初はそうだね……何処から語るべきだと思う?」

 

金色に輝く髪にまるでウサギの様な赤色の瞳に好奇な色を添えて、その少女は座っていた。病的なまでに白いその姿には、まるで儚いスターチス。

 

「まあ慌てないで聞いていって欲しいな」

 

いつかの一歌が渡した髪留めを付けて、いつかの願が渡した上着を羽織ってパジャマを着たその少女…咲希は誰に聴かせるとも思わないで口ずさむ。

 

 

「最初はいっちゃんかな?……まあやってくれたなー!とは思ったよ?」

 

それもそうだろう。病弱で基本的に病室から自分で出る事さえ困難な咲希は、外の事なんて知りようがない。だからこそ外の情報はよく来てくれる咲希の兄である司や、幼馴染である一歌や願からしか知ることが出来ない。

 

だからこそだろう。相対的に人との関わりが少なくなってしまった少女はとても少ない時間で、とても少ない言葉で多くの意味を、意図を知れる様になってしまった。

 

「あの日…の昨日かな?間違いなく、いっちゃんが押し倒したんだろうね」

 

だからだろうか。咲希は一眼で一歌が願を襲った事に気がついた。

あの日、咲希は一歌の瞳の中まで覗いてしまった。……そう今なら分かる。情欲に染まったオンナの目をしていたと咲希は笑う。あれで隠そうとしていたのだから、よく隠せていたモノだと言うかの様に。

 

話を戻そう。まるで共感覚かの様に鋭くなった咲希の共感能力はそんな一歌と願の間に、誤差とは言い切れない程の大きな断絶した差異がある事を悟ってしまった。

 

⦅………どうして、⦆

 

一歌の瞳の中がそうであるのならば、願も何かしらに染まった瞳をしているのではないだろうか。そう、咲希はまるで出歯亀するかの様な気軽さで願の瞳の中を覗き見た。

 

ここであえて弁解しておくのなら本来、この物語の咲希はそういう能力が有ったとしてもここから先は現状気がつくことでは無かった。……そう言う意味で言うのなら一歌が願を襲ってしまったことで全ての運命は全く想像していない方向に転がっていく。

 

⦅ここまで違うのだろう?⦆

 

咲希が抱いた疑問。それはあまりにも激しすぎる差異。

一歌の情欲の滲み出た瞳が願に向いていると言うのに、まるで願はいつも通り。本当にいつもの様にその場に居たのだ。もしも、一歌の視線が願に向いていなければ全く気が付かないほど願はまるで鈍感だった。

 

⦅……う、うん。そういうことも……ある、よね?⦆

 

その時はまだ。そういう事もあるのだろう。と自分自身を誤魔化し納得させた。

昔からそうだが、願は大人びていた。それこそおままごとをするのなら絶対にパパ役に選ばれるぐらいには昔から私たちをずっと背中から支えてくれたし、今も支えてくれているのだろう。

 

だからきっと、今回もそうなのだろう。これだといっちゃんが押し倒した事も願は無かったことにしてしまいそうだ。きっと今回も私たちを想ってくれているのだろう。そう、表面上は納得させた。だけど、だけどずっと訴えるのだ。

 

本当はそんな簡単な事じゃないのではないだろうか。と

 

『ね、ねえいっちゃん……?』

 

『ん?どうしたの?咲希?』

 

勝ち誇った瞳。断じていっちゃんにそういう悪い感じはないんだけど、無意識のうちに出ている優越感。幼馴染だとか、男女だとか。そんなのよりも深い雄雌上の悦に入っている色ボケた瞳。

 

アタシの深い深い心のどこかで嗤った。

────なにも知らない。道化が。

 

『”それ”ほなちゃんかしほちゃんに見せるの?』

 

『……………そのつもりだよ』

 

やっぱり同じ人を好きになった幼馴染同士だから分かる。この曖昧な問いだけでいっちゃんが何をしようとしているのか。そして咲希が一歌に言いたいことがよく伝わっていた。

 

勿論、今の体の弱い咲希がそういうことをするのには物理的に難しいからどうしても咲希が除け者になってしまう。そんな事、一歌の恋愛勝負は平等にのポリシーに引っ掛かってしまうが咲希はそんな事、気にしないでいいと微笑む。

 

(………だって)

 

(今のげんくんには意味がない)

 

愛っていうのは一方的では成り立たない。それではただの依存だ。

もはや執着にも似た依存であろうとも、げんくんに“その気”が無いのなら簡単に捨ててしまえる。そして願くんは簡単にきっと“大切なモノ”を捨ててしまえる人なんじゃ無いか、そうアタシは思ってしまう。アタシたちの絆はあくまで多くの偶然で成り立っていることを忘れちゃダメなんだ。

 

この時、天馬咲希の腹積りは決まっていた。

いっちゃんがヤってしまった事はもうどうしようもない。どうにかげんくんの好感度を落とさないように気をつけて欲しい。これからどう転がるか分からないけど、間違いなくほなちゃんも、しほちゃんも抜け駆けしたいっちゃんを許さない。

 

(……うん。いっちゃんがついて、ほなちゃんとしほちゃんが捏ねたらアタシがマルっと頂いちゃえばいいよね?)

 

略して、北風と太陽だ。

幾らでも、幾らでもげんくんを貪ると良い。そうすればするほどげんくんの心は離れていく。今はそうで無くとも、きっと近い将来げんくんの心を溶きほぐすのはアタシだ。

 

(………まあそれも、)

 

いっちゃんたちには悪いなとは思っている。

でもアタシが気がついた事にほなちゃんやしほちゃんが気が付かないほどありのままのげんくんを見ていないとは思えない。あれほど、アタシが漁夫れる様に考えていたけど………それでも。考えることはひとつだけ。

 

(願うのなら……)

 

アタシの、アタシたちの夜が澱んだままだなんて認めない。

アタシの、アタシたちの夜が真っ黒になるなんて認めない。

 

(げんくんが心の底から……あたしたちを愛してくれますように!)

 

たった1人は苦しい。たった1人だけのこの世界孤独は苦しい。それを知っているからこそ、咲希は祈る。願の世界はたった1人では無い事を。その後ろには絶対、アタシたちがいる事を忘れないで欲しい、と。

 

 

 

「……ね。次はどっちだった?ほなちゃん?しほちゃん?」

 

「………………穂波、だ」

 

振り返ることもなく、咲希は願に問う。一歌が襲った後、きっとそのどちらかが願を続け様に襲ったのだろう。まるで自分の存在を願の身体に消えない傷を刻むかの様に。

 

長考した後、苦悶の声を上げるかの様に呟く願の声に咲希は少しだけ瞠目する。

咲希の想像では志歩の方が先だと思ったのだろうか。少し意外だなと思いながら、それでも十分、可能性として残るのかと咲希は笑う。……これは私たちの中の役割上の話だ。基本的に、いっちゃんかアタシが新しいモノに飛び付いて、その後からしほちゃんがストッパーになって、ほなちゃんとげんくんが先に回って安全を確保する。それがいつものアタシたちの役だったと咲希は思い返す。

 

(………そうなると、ほなちゃんは“何か”に焦ったのかな?)

 

野球で言う夫婦役。げんくんの隣にその位置に立っているのは悔しいけど今のところは穂波だけだと咲希は認識している。少なくともこうして病院に拘束されている咲希でさえ、願を襲うのは悪手だと思うのにその可能性に気がつかないとは思えない。

 

(もしかしてほなちゃんは……先に“結果”だけ求めた、とか?)

 

色々と考えているうちに咲希は一つの考えに至る。それは因果が逆なんじゃ無いかと言うことだ。先に身体だけの関係を求めておいて後から心を少しずつモノにしていく。決して悪い手ではない。身体だけで終わってしまう可能性もあるけどげんくんの事だ。キチンと向かい合って想いを伝えれば絶対に届く。

 

だけど既にいっちゃんが襲っている上でそれはどうなんだとも思う。そうなると本当に衝動的に襲ってしまったのか。……まさか、げんくん専用の”モノ”で良いから愛してほしいとか言うある意味極まりきった覚悟で襲ったと言うのか。

 

(そういう方法もあるのか……うーん………)

 

咲希個人として言うのなら、あまり好きじゃないやり方だ。

ここら辺はやっぱり個人の感性の違いだろうか。或いは咲希が病室で会っていた人たちから受け継いだモノだろうか。どちらにしろ咲希は“妥協のノーマルエンド”が大っ嫌いだ。例えどれほど理不尽で、不可能で、無理難題だとしても“最高のハッピーエンド”以外は好きじゃない。

 

だからここまで咲希は策を弄したのだ。

何度でも言うがいっちゃんのヤってしまった事は間違いなく悪いことだ。誰かの…それもアタシたちの大切な、大切なげんくんの尊厳を傷付けてその上でアタシたちの愛を押し付けようとする。だけど怪我の功名だろうか。それのお陰でげんくんとアタシたちにある想いの差がある事が分かった。

 

「なら最後はきっと分かってしまったしほちゃんだね」

 

「……ああ。そうだな」

 

咲希の想像としては穂波でも志歩でもどちらでも、気がつく可能性があった。だけど先に損じた方が負けるこの恋愛勝負においてまさか気がついたのは志歩ちゃんだったと、想像と違う結末もこれもまた、面白いモノだと咲希は笑う。

 

「……まあでも、しほちゃんの気持ちも分からないわけじゃないよ?」

 

げんくんに消えない傷を付け合いたいって思うのはアタシも同じだし。

サラリと呟かれた咲希の言葉に、一瞬願は沈黙する。どう言う意味なのだろうか。そのまま受け取れば良いのだろうか。異常性癖、性倫理は何処へ。現代保健体育の敗北と願の脳内にテロップが浮かび上がるが、嬉々とした笑みでまだ誰の歯型も、鬱血痕も入っていない願の体を咲希が吟味し始めた所でこれが冗談ではない事にようやく気がつく。

 

「そういう趣味は、無いんだが」

 

「でもそう言いながらアタシたちをエッチな目で見れる様になったでしょ?」

 

「……………………」

 

自分が痛いのは別に良い、慣れている。だけど願にとって何よりも大切な幼馴染を自分の手で傷付けたくはない。と言いたげな顔に、咲希はそう似た様に思いながらアタシたちが願の中でストライクゾーンに入った事を反例に笑う。……いずれきっと、げんくんもアタシたちと同じように互いの愛で溺れていくと微笑む。

 

それこそ、咲希の目的。

願を引き摺り込む愛の想い。平等な夜を、私たちだけの夜に空から堕とす少女たちの愛の証明。本来なら、もっと遅く、もっと互いにぶつかり合った先に起きる筈だった事象を一歌はその行動で、穂波は温もりで、志歩は言葉で、そして咲希は瞳で奇跡を手繰り寄せた。

 

「……ね。げんくん」

 

これがアタシたちの覚悟だよ。……アナタの心に残ったでしょうか。アナタの心に響いたのでしょうか。もしそうなら、それに勝る喜びはないんだよ?

 

「まあなんだ………」

 

「ん………」

 

超ド級の愛。ド愛を見せられた以上、願に出来ることはもはやひとつだけだった。

そもそもいずれこの関係は過去のモノになると考えていた“だけ”の願と、この幸せな刹那を永遠のモノにしようと仕組んで、動いた少女たちでは想いの丈からして負けているのだからどう考えてもこの結末は必然。

 

「爪が甘い」

 

「あぅっ!」

 

ベッドに座ったままの咲希に近付き、願が軽くチョップを落とす。本当にボフッ…と髪に触れたぐらいの衝撃だが、咲希は大袈裟に頭を押さえる動きをする。あくまでじゃれているに過ぎないが、それだけでも2人は楽しそうに微笑む。

 

「………もしも、もしも俺が拒絶してたらどうするのさ」

 

「その時は………その時はね。」

 

願の次の言葉。それは“もしも”の話。だけど普通に考えたらそちらの方が十分あり得る話で今回の方が“もしも”に近い。願の問いに少し考え込んだ後、咲希は花が綻ぶかの様な可憐な満面の笑みでこう囁く。

 

「みんなで死んじゃおうか」

 

「ああなるほど………これは勝てない」

 

恋が、愛が実らなければこの世界に価値はないとばかりの狂気にも似た愛の宣言に遂に願もお手上げとばかりに咲希の髪を掬う。少しくすぐったそうに、それでいて嬉しそうに頬を願の腕に擦り寄せる。その姿はまるで子猫が飼い主に甘えるかのようだ。

 

「ん……」

 

「ん?」

 

まるで立ち上がらせろと腕を伸ばす咲希に願が首を捻る。

どういうつもりだろうか。まさか今から何処かに連れて行けと言うつもりなんだろうか。もう外を見ると夜の帳が下り始めている。

 

「…………攫ってくれないの?」

 

「……駆け落ちってか」

 

随分と古い演目だと願は苦笑しながらも、その期待する咲希の瞳には逆らえないと腰に腕を回して抱き上げる。本当に軽く、まるでこの腕に伝わる温もりが無ければ本当に人が1人乗っているのかどうか分からないほどだ。

 

「………どこまでも一緒に。私のお姫様。」

 

「………………!うんっ!!」

 

俯き呟いた願のその言葉。咲希にとっては今までに聞いた願のどの言葉よりも嬉しくて身体を駆け抜ける稲妻の様に幸福感が溢れて止まない。……この言葉を待っていた。この瞬間をひたすらに待っていたと、夜の街を駆ける願の腕を離さないようにしっかりと挟んで咲希は願の横目で嗤った。

 

(もう絶対に…………)

 

(……………ハナサナイ♡)

 

 






この後めちゃくちゃプロジェクト;セカイ(意味深)した。


外夜願

運命は恋する少女の前に屈した。
願が思い描いた“過去になる未来”はもう訪れない。

きっとこれから可愛く、それでいて昔からよく知っている幼馴染のお嫁さんが4人もできるだろう。やったね!願くん1番早いハッピーエンドだよ!(尚、ずっとこれから尻にひかれる未来が待っているが)RTAするんだったらこのルートが1番最適解だと思います。まあお祈りが多いんだけどね!!



天馬咲希

この世界…というよりこの物語において、周囲から情報を把握する能力に長けているという設定が産まれた。だがその能力はあくまで入院中の限られた人間に対してのみ発揮し(司、一歌、願)そして近い将来、幼年期の記憶の様に仕舞われ、忘却するモノでもある。だがその能力のお陰で今回の一件がうまく行ったのだ。

一人勝ちでは無いが、完全無欠なハッピーエンドまでの道のりを塗装したのは間違いなく咲希のMVPである。誇るが良い。どうであれ、願がここまで心を開いたのは咲希の想いがなければ成し遂げられなかったのだから。


とりあえずおしまい!
感想、評価お待ちしてます。

次回何書きましょう(最終的に全部書きます)

  • 異聞:魔法少女パロ
  • 異聞:夜の娘続き
  • もしも冬弥と兄弟だったら…
  • もしも奏と双子だったら…
  • もしもまふゆと双子だったら…
  • TS願
  • 配信者願
  • 幕間1 続きリメイク
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