言語系チート授かったのでvtuber始めました   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます!

今回は思い切りV企画なので異種族要素が少し少なめですがご了承ください

それではどうぞ!


【カラオケ枠】マルチ、日本語縛るってよ 前半

「――という訳で! スイスイと!」

「私、マルチの」

 

「カラオケ企画!」

「やっていきましょう」

 

 さーて始まった。俺の喉が酷使される時間が。この企画何がヤバいって、俺が100点ださなきゃ終われないところなんだよなぁ……。

 ちなみに今回は俺視点とスイスイ視点そして、ウタ視点が追加される予定だ。

 

 リスナー:オッスオッス!

 リスナー:スイスイやったー!

 赤スパ速攻 ¥10,000

 スパですどうぞ

 

 

「はいはい! みんなー! 今日はみんなに告知していた通り……先生の罰ゲーム兼僕の美声を披露するね!」

 

 

 リスナー:そういやこれ先生の罰ゲームだった……

 リスナー:外国曲縛りとかキッツ……

 ベイビー弱 ¥500

 これでのど飴でも買ってください

 

 リスナーからのスパチャやコメントに軽く返しつつ、いよいよウタの紹介の時間となった。

 先日ウタが出した紹介動画で彼女の歌声に魅了された人がかなり多く、試しに出したという『歌ってみた』は好評で最後に見た時から既に登録者が10万人を突破しているらしい。

 

 

「さて、ではでは? そろそろもう一人も呼んじゃいましょう!」

 

 

 リスナー:おっ?

 リスナー:おっ?

 リスナー:誰だろ

 

 

「それでは登場していただきましょう! vtuberとして活動して僅か数日で登録者10万人を突破した……」

 

 

 リスナー:10万……あっ

 リスナー:まさかの……?

 

 

「海音ウタちゃんでーす!」

「皆さま、こんにちは! 只今ご紹介に預かりました海音ウタです! どうぞよろしくお願いいたします!」

 

 

 リスナー:うぉおおおおおおお!

 リスナー:まさかまさかのウタちゃん!?

 リスナー:マジで新人やんけ!

 リスナー:たまげたなぁ……

 

 

 そういってウタのアバターが画面に映り、コメント欄がより一層の賑わいを見せる。ウタの海のような色合いの髪をもつアバターとその歌声が人気を掴んでいたようだ。

 

「はいはーい! と、いう訳で~……今回のカラオケ企画に招かれたのはウタちゃんでしたー!」

「スイスイさん、マルチさん。よろしくお願いします……!」

「こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 

「それでは早速ルール説明ぃいいい!」

 

 そう言ってスイスイからルール説明がされた。

 内容はいたって単純、俺が視聴者からリクエストされた曲をすべて“外国語”で歌ってかつ100点を取るまで終われないという物。

 

 これは元が外国語の歌ならば何も問題ないが、元が日本語の場合は違う。なんと日本語の歌詞を即興で翻訳して英語で歌えとのこと。鬼畜かな?

 

 

 リスナー:うわぁ……

 リスナー:ますますマルチ先生が人間をやめていく……

 リスナー:元から人間じゃなかっただろ! いい加減にしろ!

 リスナー:人間なんだよなぁ……

 

 

 流石に24時間ぶっ続けで歌い続けると喉が死んで、最悪うちの人外たちに改造されかねないので俺も全力は出す所存だが……。

 そこで一応のタイムリミットとして10時間以内に取れなければ再び俺に何かしらの罰ゲームが出されるとにししと笑いながらスイスイが宣告した。

 

 ちなみにスイスイとウタは俺が歌い終わった後にそれぞれ交代で歌うらしい。負担は俺の半分だ。おのれ。

 

 

 リスナー:こうしてマルチ先生の新たな伝説が刻まれるのだった……

 リスナー:早すぎる定期

 リスナー:先生壊れちゃう

 

 

「さぁさぁ! それでは一曲目行ってみよう! リスナーさんからのリクエストは…………こちら!」

 

 

魔王

 

 

 ……ん?

 

 

 リスナー:一発目からヤバいの来たな……

 リスナー:ヤバ……やばくね?

 リスナー:えぇ……(困惑)

 リスナー:次回先生死す、デュエルスタンバイ!

 リスナー:やってみせろ、先生!

 

 

「……良いでしょう。やってやりますよ……」

「じゃあ、ミュージックスタート!」

 

 始まりやがった……。流れて来る歌詞に目を向け、即座に翻訳して、出力する。

 

 

「『───────♪』」

 

 

 リスナー:始まった!

 リスナー:マジでドイツ語で歌ってやがる……!

 リスナー:先生頑張えー!

 

 

 この曲が男声中心で良かった。はっきり言って俺は女声が出せないから女声が主な歌が来たら俺は死んでいた。生憎俺のチートでも女声は流石に無理だが……何故か脳裏にイムール星人の影がちらつく。おいやめろ俺を機械にすれば解決するじゃないかとか言うな。

 

 

「『―――――――♪』」

 

 

 リスナー:『彼はドイツ人ではないのか!? だとしたらなぜこれ程まで歌えるんだ!?』(ドイツ語)

 リスナー:海外ニキ来てて草ですわ

 リスナー:世界よ、これがマルチだ。

 リスナー:ふえぇ……何て言っているのか聞き取れないよぉ……(言語力ゴミカス並感)

 

 

 脳で流れて来る日本語の歌詞を……ドイツ語として出力して……大丈夫だ。異星人や幽霊と会話する時よりも簡単だ。あとは単純な技能が問われるだけ。……異星人と会話すること自体おかしいとか突っ込んだら負けだ。

 

 そうして迎えたクライマックス。俺は精一杯の感情と抑揚を込めて歌う。

 

「『―――――――!』……ふぅ。終わりました……」

「す……すごぉい……」

「マルチさん……まさかここまで……」

 

 

 リスナー:88888888

 リスナー:ふつくしい……

 リスナー:音楽の授業を思い出しました

 盛る盛るNEX ¥10,000

 思わず引き込まれそうになりました

 

 

 歌い切った。後は点数だが……。

 

 

【90点】

 

 

「90……ですか……あと10点でしたね」

 

 

 リスナー:バケモンなんだよなぁ……

 リスナー:今すぐ歌手デビューしません?

 リスナー:というか一曲目からそれだけのカロリーを消費してたら……

 

 

「正直……一曲目でここまで消耗するとなると……キツイですね……」

「はーい! お疲れ様でーす! 惜しくも90……いや、90って普通に考えたらヤバいですけど……。それはさておき! 次は僕の番でーす!」

 

 確かに一曲目で終わらせたらそれはそれでネタになるが……と考える辺り俺も相当だな。しかしリスナーの言う通り、一曲目で相当消耗してしまったのは痛いな……。

 そしていよいよスイスイの出番になり、スイスイが画面を操作する。

 

「うーんと……じゃあ、これで!」

 

 

sister's noise

 

 

 リスナー:おっ! とあるだ!

 リスナー:スイスイちゃんの声で聴けるのか!

 リスナー:楽しみ

 

 

 そうしてスイスイが息を吸って目を閉じた。

 

「誰よりも近くにいた その声は聴こえなくて 刻み続けていた時の中で やっと君に逢えたから」

 

 中性的な声から女声ボイスに切り替わり、スイスイの表情が真剣な物に変わったことを感じ取った。スイスイの歌声は、それはそれは透き通っていて素晴らしい。

 思わず録音して後で聞きたいくらいだ。……とはいえ、それを本人に言ったらからかわれる気がしたので、保留にしておこう。

 

 リスナー:ほぉおおおおああ……

 リスナー:脳が……揺れりゅ……

 リスナー:良い……

 

 

「自分らしく生きること 何よりも伝えたくて 生まれ続ける哀しみの痛み その意味を刻むなら」

 

「はわぁ……スイスイさん凄い……」

 

 隣で聞いているウタもただただ聞き入っていた。正直言うと俺も聞き入っている。普段のイメージとはまた違ったスイスイを見たからか、ギャップを感じた。

 そしていよいよ終盤に差し掛かり、スイスイの表情も満面の笑みを見せた。

 

「感じ合った 同じ笑顔 必ず守ってみせる もう 誰にも壊せないから! ……ふぅ、ありがとうございました!」

 

 

 リスナー:88888888

 衝突頭 ¥20,000

(無言の拍手)

 リスナー:素晴らしいッ!

 

 

「みんなありがとーう! じゃあ結果はー?」

 

 

【94点】

 

 

 リスナー:ファッ!?

 リスナー:やるやん(震え声)

 リスナー:こいつらレベル高っ!?

 

 

 カラオケの採点表に現れた数字は脅威の“94”。中々お目に掛かれない数値に思わず驚愕する。スイスイはドヤ顔を浮かべこちらをチラチラ見て来る。

 

「94……!? 凄いですね……!」

「ふふーん! どんなもんですか! さぁ、次は先生ですよ!」

「やっぱりこれ私の負担が大きすぎませんかね!?」

 

 

 リスナー:草

 リスナー:なにこの……先生を殺しにかかっている感は……

 リスナー:えげつねぇな……

 

 

 俺もそう思う。

 しかし無慈悲にもスイスイは次の曲をランダムに選び始めた。

 

「さぁ次のお題はこちら!」

「まぁ……よほどの奴が来なければ……」

 

 最初の疲れも抜けたし、何が来ても問題ないだろう(淡い期待)。さぁ、来るなら何でもこい!

 

 

Southern Cross

 

 

「あ(脳裏に過る思い出によりフリーズ)」

 

 瞬間。俺の脳裏に、俺自身の青春が蘇ってきた。

 

 

 リスナー:草

 リスナー:懐かしすぎィ!

 リスナー:リクエストした奴は履修者ですね……

 リスナー:あの頃に帰りt……やっぱ帰りたくないです

 

 

「これまた懐かしいのを……」

「うーん……僕これどんな曲か知らないや」

「私も……」

「これが……ジェネレーションギャップか……」

 

 

 リスナー:先生思い出に浸ってて草ですわ

 リスナー:嘘だろ……!? これがもう数年前の産物だとでもいうのか……!?

 

 

 リスナーも俺も昔の思い出に浸っていた所で遂に始まった。この曲は全部英語なのでそこは助かるところだなと思いつつ歌い出した。

 

「『―――――――♪』」

 

 

 リスナー:おぉ……

 リスナー:記憶が蘇るわ……

 リスナー:懐っつ

 

 

 

「『―――――――♪』」

 

 

 リスナー:空耳が浮かんできた訴訟

 リスナー:見える見える……(幻視)

 リスナー:相変わらずすらすらとよく歌えますね……

 

 

 順調に歌えている。そう思っていた時だった。

 

 

「『―――――ハクション! あ』」

 

「「あ」」

 

 

 リスナー:あ

 リスナー:あっ

 リスナー:やっちまったなぁ!?

 

 

(やっべ! どこまで行ったっけ……!? あっここか! アッミスったぁあああ!)

 

 俺は急いで軌道修正に入るが、パニクった所為で頭の中の歌詞が全部すっ飛んでしまった。何やってんだ俺ぇ!?

 そこからはやはり焦りが出たのか、音を外したりなどのミスが目立って目も当てられない状態になった。

 

 そうして出された点数は

 

 

【70点】

 

 

 思わず俺は顔を抑える。

 

「……穴があったら入りたい」

「ど……ドンマイです先生……!」

「つ、次がありますよ!」

 

 

 リスナー:よくやったよ先生は

 リスナー:あれはしゃーない

 リスナー:やめてくれ先生、会社の接待で同じことをやらかした記憶が蘇る

 謎のキューブ ¥500

 ドンマイです

 

 

「さて次は……いよいよ私ですね」

 

 次は漸くウタの番だ。




ちなみにスパチャの名前には元ネタがあるのですが、分かりますかね?
そして曲選に関しては、スマホに入っていた曲の内から選びました。魔王以外は

Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?

  • 1:9
  • 2:8
  • 5:5
  • 8:2
  • 9:1

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