言語系チート授かったのでvtuber始めました   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます!

これで第三部は終わりです! 次回から第四部になります!

それではどうぞ!


敗因:相手が上位存在だったこと

 ストーカー女が部屋を出てから、俺は改めて監禁されているこの部屋を見渡していた。

 

「暗くて見えづらいが……よくよく見たら薄気味悪いな」

 

 部屋の中はというと、

 

 あちらこちらに貼られた俺の盗撮写真が所せましと貼られていた。しかし、恐怖より先によくこんなに写真を撮って壁や天井に貼ったな、という感想が湧き出てきた。

 

 割と心に余裕があるなー、と思っていたら、何やら外が騒がしいことに気づく。

 

「警察が来たのか? いや、警察がグルなんだから来るはずが無いか……」

 

 そしてよくよく耳を澄まして外の音を聞いていると、明らかに日常生活を送っている中では絶対耳にしないような破裂音や爆発音が聞こえてきた。個人的にこっちの方が恐怖を感じる。

 さらに耳を澄ますと、犬の悲鳴に似た叫びや何かが燃やされ、砕かれる音そして、ストーカー女の罵声と狐子の威圧するような声が聞こえてきた。まだ誘拐されてからそんなに経ってない筈だが……。と思っていると、俺が閉じ込められている部屋のドアが開かれた。

 

「……あ、いた」

「星奈!」

 

 ドアを開けたのは星奈だった。

 星奈は何やら全身の口を動かしてバリボリ食べていた。俺が不思議そうにその光景を見ていると星奈が

 

「……あ、これは、ここに来るときに降ってきた包丁を食べただけ。直ぐに助ける」

「アッハイ」

 

 あのストーカー女が殺意満点な仕掛けを施していたことにビビりつつ、それを物ともせず飛来してきた包丁を残らず食った星奈に対して刃物って煎餅みたいに食えるんだー、と現実逃避していたが、どうやら狐子たちも用が終わったようだった。

 

 

「ア、アァアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 ストーカー女の悲鳴に似た叫びを聞いた俺は嫌な予感がしつつも声のした玄関に向かった。

 

「塵風情が……」

 

 そこには犬の生首のような物を片手に握りしめながら、もう片手でストーカー女の顔面を鷲掴みにしている狐子の姿があった。近くにはあの警官が失神している様子で倒れていた。……ここだけバトル漫画でもしてんのか?

 

 狐子の表情は影になってて見えないが、影になっている部位に赤く光る眼が浮かび上がっており、見た目が完全に邪神の類か魔王のそれだった。こういう所が人間と違うところだなと思っていると狐子がこちらに気づき、近寄ってきた。

 

「そ、其方! 怪我はないかの!? あの塵に何かされたかの!?」

「うん……多分、そのストーカーとその警官よりは無事だと思うけど……」

「そうかそうか……! それは良かった! 犬神共を蹴散らすのに2分ほどかかったが、何とかここを探知することができてのう!」

「2分……」

 

 ちょっと硬めのカップラーメンが出来る時間で俺の居場所を特定、犬神? とやらを片付けて今に至るのかと何とも言えない気持ちになっていたが、狐子はというと、ストーカー女の作っていた鍋の中身を見ていた。そういや俺の好物を作るとか言って煮物を作っていたことを思い出した。俺の好物は唐揚げなのに……。

 

「そういや煮物とかなんとか言ってたな……」

「……呪術を込めた物を食わせようとしておったの」

「えっ」

「ほいっと」

 

 そういって鍋に手を入れた狐子。暫く中身をかき混ぜていると、やがてその手に摘ままれた黒い何かを取り出し、直ぐに潰した。その際ギャアアアアアとか聞こえた気がした。すると狐子は顔をしかめながら説明してくれた。

 

「……意識を完全に奪って傀儡にする呪術じゃの。腹が立つ……! 念入りにあの女を骸ごと燃やしておくかの」

「待って流石にそれはいけない。というか殺してないよね?」

「あ奴の力を全て奪ったくらいじゃ。死にはしない……そう、死にはしない」

「絶対他に何かしただろ……」

 

「……この煮物、臭い。不味そう。包丁の方がまだ歯ごたえがあっていける」

「星奈はそれを食おうとするんじゃない。あと真剣に包丁の味を吟味するんじゃない」

「……あの犬は中々美味しかった」

「えっ」

 

 

 この後、別の警察が到着してストーカー女とその親は連行された。……現場に来た警官の目が爬虫類のそれだったことはもう考えないことにした。君たちほんとにどこにでもいるな。

 

「『メッセンジャー、君が無事でなによりだ』」

「『あぁ、うん……。というか日本の警察にも君たちがいるのか……』」

「『君が思っているよりもずっと前からいるのだがね。あと彼らにはしかるべき罰を受けてもらうとしよう』」

「『……お仕事お疲れ様っす』」

 

 そしてストーカー女はというと、誘拐、傷害等諸々の罪で牢屋に入れられることになったが、獄中にいる間ずっと「狐が食い殺しに来る!」とか「殺される……狐に殺される……」とかずっと口にしていたらしい。それを聞いて狐子に視線を向けると、狐子はにちゃあと目を細め、笑みをこぼしながら無言で俺を見つめていた。狐子……お前何やったんだ……? と聞くには俺の精神力では到底無理な難題だった。

 

 それから家宅捜索をしていると出るわ出るわ俺が見つけてなかった写真に、ストーカー女の支離滅裂な内容の日記が。俺はその日記を見せてもらったが、これほどチートが発動して欲しいと願ったことはなかった。

 

 書いてある言語は日本語そのものだが、その内容があまりにも支離滅裂かつ狂気じみた物だった為、ヴォイニッチ手稿やエジプトのモノリス、■■■■ちゃんの持ってきた本を解読した時と同じような衝撃を受けた。怪異や宇宙人もそうだが、生きている人間もヤバいことを今回改めて認識させられた。全然良い機会ではなかったが。

 

 そしてあのストーカー女がなぜ俺をストーカーするようになったかの理由だが……どうやら一目惚れを拗らせに拗らせた結果……らしい。

 

 言葉を濁すように要領を得ない報告をしてきた警察だが、一目惚れをした直後に俺と目が合ったことでこれは運命だ! と思い込むようになった……らしい。ポケモンか何か……? と思わず口にするぐらいに俺は大混乱していた。ああいう狂気に飲まれた人間の考えることは分からないということを思い知らされた所で、俺はちょっとだけ外を出歩くのが怖くなった。

 

「……まぁ、それはそれとして……今日も配信していくか」

「何だかんだ言って其方も凄まじい精神力を持っておるの。通常の人間だったら暫くは何も出来ないんじゃがのう」

「色々ありすぎて耐性が付いたんだろうね。……全く嬉しくないけど」

「其方の精神が人間のそれから変貌しつつある話でもするかの?」

「えっ」

「……冗談じゃよ♪」

 

 今日も俺は配信活動をする。今日の内容は、【ストーカーに巻き込まれた時に取るべき行動 外国語字幕もつけて】だ

 

 

 

 

◆◆

 

 

~裏側~

 

 

「「「■……■■■……!」」」

「さて、これで全部かの?」

 

「ば……化け物め!」

 

 時は遡り、源吾救出作戦(タイムリミット3分)にて、狐子は即座に犯人の家を探し当て、迎撃してきた犬神を蹴散らしていた。

 狐子の足元には、無惨に切り裂かれたり上顎と下顎が引き裂かれたり、完全に燃やされた犬神たちの姿がそこにあった。対峙しているストーカー女が思わず悪態をつく。

 

「さて……と」

「ッ! 行け!」

 

 背後から迫る犬神。

 

 ――しかし

 

「 お す わ り 」

 

「あ……あぁっ……!」

 

 たった一言を告げただけで犬神は地べたに叩きつけられるようにして強制的に【伏せ】をさせられた。

 

 格が違う。

 

 女がそう思った直後だった。

 

「式神や使い魔というのは……こういうものじゃ……!」

 

 未だ伏せをしている犬神も思わず驚愕したような表情を見せる。それもその筈、狐子の尾の一つから見るも恐ろしい狐の化け物が現れ、瞬く間に犬神を喰ってしまった。その光景を見て女は完全に戦意を喪失していたが……

 

「う……動くなッ!」

「ん? あぁ、そうか貴様が残っておったのう」

 

 狐子の頭部に突きつけるようにして拳銃を向ける女の父親。しかし突き付けられている狐子はというと、余裕綽々といった様子でクスクスと嗤っていた。

 

「な、なにが可笑しい……!」

「何が? そうじゃのう……そんなちんけな物で儂を止められると思っている貴様がじゃ!」

 

 狐子の瞳孔が開いたかと思うと、警官はその瞳に睨みつけられた。その瞬間、警官は卒倒した。

 

「まっ、殺しはしないようにと()()()に言われておるからのう。殺しはしない」

「ッ!」

 

 夫という単語を強調するようにして言い切った狐子に対して女がきっと睨みつけるが、次の瞬間それは悲鳴に置き換わった。

 

「ヒイッ!?」

「殺しはしない。じゃが……貴様の力をそのままにしておく訳にはいかん。ここで全て、奪ってくれよう」

「い、イヤァア……!」

 

 後ずさる女。それを追い詰めるようにゆっくりと、ゆっくりと近寄る狐子。女に近づくにつれて徐々に増していく威圧感を前にして女は委縮しっぱなしだが、

 

「……今よ!」

「ほう?」

 

 女は犬神を隠し持っていたのだ。十分近づいた距離で放たれた犬神は真っ直ぐに狐子の喉元に向かっていた。もう一体は右手へ。

 

 殺った!

 

 しかしそれは違った。

 

「「■■■■■■■■!!?」」

「え……あ……」

 

「不味い」

 

 狐子は……逆に犬神の頭部を嚙み千切ったのだった。そうしてぺっと投げ捨てられた犬神は哀れにも消滅してしまった。またもう一体の方はというと、狐子が口元を握りつぶし燃やしていた。

 女は完全に怖気づき、やがてその頭部を握られた。

 

「あっ……あぁ……」

「さて、貴様の力を全て奪い去る。いかなる理由があろうと、儂の伴侶に手を出した罰。その身に受けよ」

 

「ア、アァアアアアアアアアアアア!!」

 

 こうして、女は全てを剥奪された。

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

「ハハハハハハハハ! 怪異に、宇宙人に、呪い! 全く……全く面白いなぁ! やっぱ転生させて正解だった!」

 

 どことも知れぬ空間にて肌黒の女神が腹を抱えて笑っていた。その表情は女神というよりかは、邪神のそれだろう。

 

「ハハハハハハ……さぁて、今度は何かな? 今人間で噂の異世界転生かな? それとも別の怪異かな? それとも未来人? あっ! 良いこと考えちゃった!」

 

 まるで玩具で選んでいる子供のような表情で次の展開を考える推定女神。その様子はとても無邪気だが、言い様の知れない不気味さがあった。そうして女神は何かが書かれたスイッチを躊躇いなく押した。

 

「〝AIの暴走〟これかな? これを引き起こそう! 多言語チートを持っている君にしかこれを止められないからね! 頑張って人類を守るために足掻いてね! 楽しみにしてるよ!」

 

 

 

 

「あれ、そういえばストーカーの件どうなりました?」

「解決しました」

「早くないですか!?」




主人公
また厄ネタを押し付けられた。
呪い、怪異、宇宙人、ストーカー、と来たら次はAI行ってみよう! のノリで推定邪神に厄ネタを押し付けられた。なおそのことは主人公は知らない。


推定邪神
この玩具面白! →せや、次は多言語チート持っている奴にしかできないような難題吹っ掛けたろwのノリで主人公に厄ネタを押し付けた。

Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?

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  • 8:2
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