言語系チート授かったのでvtuber始めました   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます
遂にUAが1,000,000を突破致しました! 有難うございます!

突破記念で何か書こうかなと考えておりますので気長にお待ちください。

それではどうぞ


人外との接し方――まず相手の全てを許容します

「『な、なんで王様がここに!?』」

「『テレビを見て驚いたぞ……まさか、同胞の一人が発掘されようとはな』」

「『テ……テレビ……? なんですか……それ?』」

「『そんなことはどうでもいい。今私が話したいことは……』」

 

(うーん、この人外率よ。もう社長や家族の誰かが人外だったとしても驚かないぞ…………嘘、メッチャ驚くに決まってる)

 

 今までただのキャラで通してきていただけかと思ったらまさかの本物だった件。とうとう吸血鬼が出ちゃったか……。というか王? 姫とか女王じゃなくて? などと尽きぬ疑問が湧いてくるがあまりの情報量に一旦考えるのを辞めて傍観することに徹した。

 目の前で俺を置き去りにして互いに話し合っているのを余所に俺は身の回りの関係者が悉く人外であるという事実に思わず頭を抱える。まさか社長も……? などと考えていると話がひと段落したようで俺の方に向き直った。

 

「で……アリュカード……ちゃんで良い……ですかね?」

「あぁ……それでいいとも」

「そっちが素なのか……」

「嫌かね? 私の本来の性格と態度は」

「……性格や態度が変わっただけで俺は別に態度を変えませんよ。アリュカードちゃんはアリュカードちゃんです」

「嬉しいことを言ってくれるじゃないか。所で今ここに人外がさらに二人増えたが――君は恐ろしいかね?」

 

 そういってアリュカードちゃんは見た目がロリっ子のままで妖艶な雰囲気を醸し出してくる。ここで仮にそうした反応をすると後々が怖いので気を付けなければ。

 ……胸元の御守りが急激に熱くなったので、多分手遅れな気がした。これはもう、帰ったら帰ったで相当厄介なことになることが確定した瞬間である。

 

 そしてそれはそれとしてアリュカードに対して俺は本音をぶつけることにした。

 

「まぁ、人外が二人増えただけで特に気にするまでも無いかな。別に殺されはしないし……」

「……私が言うのも何だが人外が多いことに危機感を抱かなさすぎでは? もしかしたら私が血を吸うかもしれんのだぞ?」

「アリュカードちゃんはそんなことしないから大丈夫でしょ」

「……恐ろしくないのか?」

「恐ろしいと思ったことは無いね(感覚麻痺) 吸血鬼だろうと妖怪だろうと宇宙人だろうと互いに理解し合えればいいので。まぁ、アリュカードちゃんがどんな姿であれどんな性格、言動であってもそれはそれで受け入れるので……」

 

 別に今更アリュカードちゃんが性別が男であろうと不明であろうと別に態度を変えるつもりは無いし、これまで通りに接していくつもりだということを更に伝えると

 

 

「……………………なるほど」

「?」

「『王様……顔が林檎のように真っ赤に……』」

 

 アリュカードちゃんがあっけにとられたような表情をしたかと思えば、今度は後ろを向いて俯いてしまった。何か癪に障ることを言ってしまったかなと思いつつアリュカードちゃんの復帰を待とうとしたが

 

「『あ』」

 

 突然レオンハートが何かに気づいた様子で声を挙げた。アリュカードちゃんは未だ俯いて……そのまま横になった。代わりに俺がレオンハートに問いかけることにした。

 

「『どうしたレオンハート』」

「『何か外から五月蠅い何かが迫ってくる音が聞こえるぞ……何だこの音、五月蠅いな……俺が生きていた頃には無かったぞ……耳障りだ』」

「『五月蠅い何か? …………あっ』」

 

 その言葉を聞いて俺はふとあることを思い出してAiを起動した。

 

「……あれ、ねぇAi。俺が誘拐されて、通報してからどれくらい経った?」

『既に十分が経過しております。音声認識の結果、パトカーが五台以上来ております』

「……やっべ、警察が来た。しかもめっちゃ来てるんだが……?」

『かなり価値のあるミイラを盗み尚且つ人質まで誘拐したとなればこれ程来ることでしょう。いやもっと来ることが予想されます』

「……そのミイラは今……」

「『?』」

「何て言えばいい……?」

 

 すっかり忘れていた……そういやAiが既に警察に通報していたんだった。

 

 俺は周りを見渡す。床には気絶しているカルト集団。そして元ミイラのコイツに、危ないカルト集団に誘拐されて何故か無傷で血だまりの中に佇む俺とこの事件に関係ないのにいるアリュカードちゃん。うん、間違いなく後々が面倒になる。

 密かにAiに証拠隠滅の手段を検索してもらうか、最後の手段として狐子に頼む……これは正直無茶な気がするが何故か狐子相手だと無茶では無くなる気がする。だけどこれは本当の最終手段だしと考えていると

 

「それじゃあ、さっさとここからおさらばするかの!」

「あっ、キャラを戻した」

「話し合いは終わった! さて、さっさとこんなところから去る!」

「『……王様って……こんなキャラだったっけ?』」

 

 さっきとはキャラがまるで違うアリュカードちゃんを呆然とした眼で見つめるレオンハート。しかしどうやってこの密室から警察の厄介ごとに巻き込まれずに皆の下に帰れるのか。……何か思考が犯罪者のそれに近しくなっているような気が……。

 

 そんなことを考えていると外から現地の警察の声が聞こえてきた。返事をしろと言われているが、この状況で人質と思われている俺が返事をしてもさらにややこしくなるだけだ。

 

「『スンスン……こいつ等よりは美味そうな匂いがするな……あれは憲兵か?』」

「『言っておくが食うなよ!? 頼むからな!?』」

「『じゃ、妾先に行ってくるから』」

「『えっ、ちょ』」

 

 そう言ってアリュカードちゃんが外に向かって悠々と歩いていく。外には警官たちがいるのに……! 俺は駆け出した。

 

「『えっ、こ、子供!?』」

「『君! 危ないからこっちに来なさい!』」

 

 武装を纏った屈強な警官たちがアリュカードちゃんを見て驚愕している。俺はその光景を見ているだけだが、アリュカードちゃんが警官たちに近寄っていく内におかしなことが起き始める。

 

「『き、君!?』」

「『私の目を見ろ……』」

「『えっ……あっ、あっ……あ……』」

「『ここには私達はいなかった……良いな?』」

 

 こっちからは見えないが、アリュカードちゃんの目を見ている警官たちがだんだん戦意を喪失しているというか警官たちの目が虚ろになっていくのがわかる。傍に居るレオンハートも「『久々に見た……王様の洗脳術……』」と言っているし多分科学的でない何かであることは分かる。

 

 そうして数分も経たない内に警官たちは一人を残してその場に崩れ落ち、アリュカードちゃんがこちらに振り返った。

 

「ほら、何をしておる。さっさと場所を案内せよ!」

「『ひゅー! 全盛から衰えてないじゃないですか!』」

(……人類って弱いなー)

 

 俺は崩れ落ちた警官たちの間を縫うようにして皆の下に向かって歩いていった。やはり人類は上位存在に勝てないということを骨身に沁みる一時でした。あとポケットの中で震えているラインの通知に関しては触れないことにした。はぁ、後が怖い。

 

 そして一人残っていることに気づいたが、直ぐにその瞳孔を見てその必要は無いと感じた。毎度おなじみ事後処理係(レプティリアン)だ。

 

「『はぁ、事後処理が大変だ……同士よ何故毎回、こうしたトラブルに巻き込まれるのだ……?』」

「『俺が聞きたいです……』」

「『……君の運の無さは既に確認済みだからな……さて、応援を呼ぶか……今日は残業か……』」

 

 爬虫類のような瞳孔を持つ目が僅かに濁ったのを見て思わず合掌した俺だった。そして応援とは恐らく仲間のことだろうと思う。

 

 

 その後素知らぬ顔で皆の下に戻った俺は観光を続けた。俺について来たアリュカードちゃんを見た社長たちは驚いていたけどアリュカードちゃんが偶然ここに居合わせただけとごり押して、レオンハートを兄だと偽っていたことも印象に残ったが、まぁ普通に楽しむことが出来たと俺は思った。

 ちなみに事件はカルト集団がミイラをどこかに紛失したとして全責任を負うことになったのだが、捜査に当たった関係者曰く誘拐された筈の人質がいないということと通報人不明の謎の電話と合わせて「ミイラの呪い事件」として暫くネット上を賑わせることになった。

 

 

 そして帰国後

 

「さて、一先ずお帰りなのじゃ」

「……あの、その付け牙は……あと何で既に白いんですか……?」

「いやなに、吸血鬼にうつつを抜かそうとしていた愚か者にわから(ryとかそういうことは考えておらんが……兎に角寝室に行くぞ。有無は言わさん」

「ハイ」

 

 首元とかに噛み痕いっぱいつけられたけど機嫌を取り戻せたので何とか助かりました。

 

 

 

 

「それで……アイツは何者なんです? 王様がそこまで気に掛けるって相当ですよ」

 

 暗闇に満ちたとあるマンションの一室。

 レオンハートは自らが王と呼ぶ存在に問いかけていた。あの青年は何者なのか。それに対し王こと――アリュカードは

 

「友人さ。数百年、いや生まれてから初めてのかもな」

「はえ~そうなんですか…………で、眷属にしないんですか? このままじゃあ人間はすぐに老人になって死にますよ? 俺らと違ってすぐに老いちゃいますし」

「出来たら苦労しないさ……あの忌々しい狐がいなければ……な」

「狐?」

「あぁ、とても厄介な狐さ」

 

 血のように真っ赤なワインを傾けながらアリュカードは呟く。あの青年の胸元で太陽のように焼きつく熱を放ちながら「これは自分の物」だと威圧を掛けてくる存在について苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべながら。それを見たレオンハートは少し困惑した様子で話す。

 

「王様が手こずるって相当じゃないですか」

「……別に、周りへの被害を一切考えなければまだ勝機はあった。……アイツと契りを結ぶ以前まではな」

「え~……以前ってことは、力が増したんですか?」

「あぁ、それも爆発的にな」

 

 全く以て忌々しい、と漏らしながらアリュカードは再びワインを口にする。レオンハートはあの時自分があの青年の血を吸っていたらどうなっていたかと考え、少し身震いした。確かにあの時は目覚めたばかりで察知能力が鈍っていたのもあるが確かに謎の熱さが自分を襲っていたなと思い返したのだった。

 

「……あれ? そういえば警官たちを洗脳して振り返った時、洗脳しようとしていませんでしたかね?」

「あぁ、したさ。でも駄目だ効果がまるでない」

「それもあの狐の所為ですかね?」

「そうだ」

 

 

「――それで、諦めるんですか?」

「そんな馬鹿な。私が諦めるとでも?」

「ま、そうですよね」

「いずれ手にして見せるさ、いずれな」

 

 月明かりに映されたアリュカードの姿は、これまでの少女の姿と美青年の姿、壮年の男性等の姿を僅かに見せた。そしていずれも不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「あっ、それはそれとして俺、このブイチューバー? ってのになります!」

「……なんだって?」

 

 アリュカードは思わず素の状態で聞き返した。




主人公
今更人外が増えた所で何も気にしなくなった。もう次は何が来ても驚かんぞ(フラグ)

アリュカード
ちょろい。
初めての友達+どんな姿、性別、性格、言動だろうと受け入れると言われ、顔を真っ赤にするくらいには純情。

レオンハート
頭が良い様で割と抜けている部分あり。一応アリュカードに仕えていた。

レプティリアンs
残業確定

Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?

  • 1:9
  • 2:8
  • 5:5
  • 8:2
  • 9:1

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