言語系チート授かったのでvtuber始めました 作:gnovel
忙しすぎて禿げそう→だけど1週間の期間を守らなきゃ(使命感)→今作品
それではどうぞ
最初の打ち合わせから三日が経過した。この間もちょくちょく打ち合わせを行ったり、雑談企画とかTRPGをしてた(何時も通り酷い出目しか出なかったが)。
そんな今日、俺はというと
「何だかんだで久しぶりじゃの~こうして二人で出かけるのも」
久しぶりに狐子と二人で外出をしているのだ。星奈は修学旅行で暫く帰ってこないが、源野君に家で留守番をしてもらっている。万が一ということもあるが、AIによる監視と狐子の施した呪術で防犯面は大丈夫とのことで久しぶりに夫婦水入らずの遠出をすることになった。
本来ならもうちょい警戒すべき筈の立場の源野君だが、狐子も大丈夫と言ってるし、俺自身も源野君なら大丈夫だろうという信頼の下、任されてもらった。家を出る際に何やら憐れむような視線をしていたが多分気のせいだと思う。
「それにしても……本当に良かった? 水族館で」
「其方が連れてってくれるのなら、何処でも良いぞ!」
「そう言ってくれると、助かるね」
今日は、ちょっと前にオープンした水族館に行く予定だ。駅二つ分の距離でそこそこ近いこともあって、尚且つ俺の休みが取れた日なので、行くのには打ってつけの場所だと思ったからだ。
隣では狐子が俺の腕に抱き着きながら目を細め、嬉しそうな笑みを浮かべている。とても嬉しそうで何よりだ。そういえば水族館の後に行きたいところがあるって言ってたけど、聞きそびれたことに気づく。
「そういえば……水族館の後に行きたいところがあるって言ってたけど……何処に行く予定なの?」
そう言うと、狐子はにったりとした、どこか魅惑的な笑みを浮かべ
「――二人きりになれたからのぅ……どんな所であろうなぁ」ニチャア
うっすらと開かれた目からは捕食者のそれに似た何かを感じ取った。どうやら俺は狐子の欲求不満に文字通り死ぬほど付き合わされるようだ。
俺は――果たして生きて帰れるだろうか。
そんな一抹の望みに掛けて俺達は電車に乗り、水族館に向かった。
□■□■
(――今、この瞬間だけ、俺はこのチートを恨む)
「ククァ『はぁ~……あの飼育員さん、結婚詐欺に引っかかったのか元気がなくて辛いな~……』」
「クククッ『僕たちに向けているあの笑顔の裏では、死ぬほど悲しんでいるんだろうね……』」
「ククッ『ていうか、結婚詐欺なんてする人間って愚かだよね』」
「クァ『 魚 美 味 し い 』」
(忘れてた……俺にはチートがあるんだった……)
俺の目の前には、水族館で飼育されているペンギンの群れがいるのだが、そもそも俺には動物の言葉すらわかるチートがあることを頭に入れてなかったせいで、次から次へと碌でもない話が聞こえてくる。はっきりいって地獄でしかない。誰が好き好んで人のプライベートを聞きたいと思うのだろうか。しかもかなり生々しいものを
しかもこのペンギンたちだけでなく、水槽で泳ぐあらゆる生物というか水族館にいる生き物の声が四方八方から聞こえてくるのだ。動物園にもチートを持ってからいったことは無いが、恐らく同じ結果になるだろう。俺はもう二度と純粋に動物園や水族館を楽しめなくなったかもしれない。
誰が行きたがるんだろう。職員さんの裏事情が毎秒聴こえる場所なんて。いずれ出来る俺の子供には、申し訳ないが俺が自発的に連れていく事は恐らくないだろう。すまんな、まだ名も無き未来の子孫。
(やべぇ……すごいうるさい……耳鳴りみたいで正直吐き気が……)
「『もっと沢山ご飯食べたい……』」
「『仕方ない、人間が僕たちの健康を考えてくれるんだ』」
「『でもその肝心の人間が、自分の健康を気に掛けられない程に消耗しているのは何で?』」
「『なんでだろうね?』」
「『 餌 美 味 ぇ 』」
これはとある魚達の会話で、何も知らずに外面だけ見れば、ただ口をパクパクさせているだけある。しかしちゃんと喋っているんだなとは少し驚いた。
見る分には申し分ない。雰囲気はむしろデートスポットに最適かもしれないだろう。周りを見渡せば自分以外にもパートナーを連れてきている人達が沢山いる。
だけど、耳から入ってくる魚たちからの情報が職員さんのえぐい内容のプライベートだったり、この水族館の裏事情だったりと雰囲気が台無しになる感じがしてたまらないのだ。……いや、ほんとに。
もう既にこの水族館のスタッフ専用ルームのパスワードとか、目の前の水槽で魚に餌をあげている職員さんのどうでもいい情報から、知りたくなかった超個人的な情報が駄々洩れな状態だ。もうこの先動物園とか行かないことを決心した瞬間だった。このチート、ONOFFが出来ないのが致命的な弱点ではないだろうか。
それから場所を移動してイルカのいる場所まで移動した。
が、案の定
「『そういえば知ってる?』」
「『なになに?』」
(イルカ……)
イルカが互いにコミュニケーションをとっている場面に偶然遭遇した。周りから見れば二体のイルカが互いに顔を見合った状態でいるから「可愛い」という感想が出ている。
「『ここの水族館、変な奴がいるんだって!』」
「『どんなのどんなの?』」
「『う~んとね……何か全身黒ずくめでね~』」
(……ただの職員?)
「『普段は物陰に潜んでいるんだけど~時々現れては人間さんから何かを吸っているんだって!』」
(……どこぞの魔法学園で、似たような奴がいたような……)
よりにもよってとんでもない爆弾を投下したイルカ。その内容を更に聞いてみると、
「『え~? それって、同じ人間さん?』」
「『ううん。違う! だって何もない暗い所からパッと現れてくるんだよ! それに、人間さんを見てはにたって気持ち悪く笑うんだ!』」
「『何を吸っているの?』」
「『うーん……わからないけど……吸われた人間さん、職員さんも含めて、何か運が悪くなったって言ってた!』」
(怪異かぁ……)
碌でもない場所につくづく縁があることを実感しながら、俺達はさっさと進んでイルカショーの席についた。これから始まろうとしているショーを楽しみにしているのか、多くの観客が席についていた。
「海の生き物は神々を通してどんなものか知ってたが、やはり直接見るのは違うのう。普段儂らが食しているのもこうやって動いているのか、ということを知れたしのう」
「なるほど?」
「まぁただ――変なモノがこの水族館にいるのう。それが無ければ儂の気分は絶好調、即座に其方に襲い掛かっていた所じゃ」
「ヒエッ」
助けられたと言っても良いのか、いや間違いなく被害者は出始めているから、そいつにはさっさと成仏してもらいたい物だ。
「元の立地がどうとかじゃなくて、単純に流れ着いただけじゃろうな。このままほっとけばいずれ悪い影響をもたらすばかりじゃろうな」
(あぁ……運が悪かったってそういうことか)
先程のイルカの会話を思い返しながら、俺は少しトイレに行きたくなった。
「ごめん、ちょっとトイレに……」
「儂一人で待ちたくないから、ついでに行くとしようかの。それにこの話をした直後、其方の悪運なら恐らく怪異と遭遇するのは目に見えておるからのう」
「悪い意味で信頼されてる……」
「儂と一緒に居て、それでも中和されないその悪運じゃからのう」
「泣きそう」
遠回しに悪運を解除できない、と告げられて少し泣きそうになった。頼むからこの悪運が後々生まれてくる子孫に引き継がれませんように……。
「へっくし! お爺ちゃんが噂でもしてるのかな……? うーん、それにしても、試しに研究している【悪運と遺伝】についてのレポート……進まないなぁ……やっぱり無理だったか。ご飯食べよっと」
□■□■
「あ、あれ!? 源吾さん!? どうしてここに!?」
トイレに向かおうとした時に声がかかったので振り向くと、そこには葵さんがいた。どうやら彼女もここに来ていたようだ。俺はすぐマルチ先生としての皮を被る。
「おや、偶然ですね葵さん。葵さんはどうしてここに?」
「ちょっとした遠出のついでにと……あっそちらの方が、源吾さんの奥さんですか?」
「……ほう」
少し訝し気な様子で葵さんを見つめる狐子。少し嫉妬深い面があるから、俺と会話をしている時点で嫉妬に焼かれているんだろう。その証拠に今も俺の胸ポケットの御守りが熱を帯び始めてきた。
「……失礼したのう。わs……私が彼の妻です」
僅かに「妻」という単語を強調した狐子。大人げないなぁ、と思いつつ葵さんに視線を移すと、少し青ざめていた。
「初めまして、源吾さんと同じ事務所に努めております富取葵と申します……」
「……伴野狐子です」
少し震えはじめたので流石においたが過ぎるということで狐子を諫める。
「……流石に圧を掛け過ぎたか」ボソッ
狐子の圧によって葵さんだけでなく、周りの魚たちにも少なからず影響が出たのか、せわしなく動いていたり、いつも通り餌を食べていたりしていた。俺はというと胸の御守りの熱が収まりつつあるのを実感しつつもそろそろトイレに行かないとイルカショーに間に合わないことを思い出し、狐子にそれを告げる。
「じゃあ、私達はこれで……」
「ッ!?」
何やら仰天した様子の葵さん。何かがあったのかと思い声を掛ける。
「どうしたのですか?」
「……いえ、少しその…………水槽の中の魚たちに感動を覚えていただけです……」
感受性が高い子なんだな、と思いつつさっさとトイレに駆け込む。地味に膀胱が危機を迎えていたので、危なかった。
その後はイルカショーを満喫し、狐子に連れられて……お城のようなホテルに連れ込まれた。久しぶりに死にかけた。
□■□■
葵Side
(うっそでしょ!? 何でここでコイツと遭遇するのよ!?)
たまたま訪れた巷で評判と噂の水族館。暇つぶしとしては最適だと考えた葵は、何も考えず水族館に入場した。
しかし、そこでまさかの出会いを果たす。――源吾と、その奥さんだ。
(そういえば奥さんがいたわね。ふーん、容姿は悪くな……ッ!?)
狐子の容姿を観察しようとした葵だったが、彼女の生存本能が告げる――今すぐこの場から逃げろ――と
「……ほう」
うっすらと浮かぶ細い目の中に明らかに自分に対する敵対心があり、そこから放たれる威圧感から葵は、自分の持ちうるあらゆる能力をもってしても、勝てる気がしない。むしろ自分は一瞬で殺される立場にあるということを理解させられた。
むしろあらゆる能力を奪ってきた葵だからこそ理解できてしまった。生存本能だけでなく、自分がかつて奪った“霊能力”が警鐘を鳴らしていたのだ。
――目の前の存在は、人類がどうこうできる存在ではないことに図らずも気づけてしまった。
(何で……コイツは、平気なのよ……!? というか何でこんな生きた災害を妻としているのよ!?)
源吾が心配そうに話しかけてくれるが、葵は生きた心地がしない状況のまま、背中を冷や汗を伝っていた。まるで今にも自分を喰らおうとする獣が喉元に爪を突きつけているようなそんな感覚だった。
(能力は……駄目……! 奪おうとしても……最悪私が死ぬ……!?)
目の前の狐子から能力を奪おうという考えはあった。しかし奪った瞬間、己が死ぬビジョンが見えてしまい心の内で動揺した。ここ数日で自分が勝てないと断定できる存在が二人現れたことに葵の精神は少なからずダメージを受けていた。だが他人の前で無様な真似は晒せないというプライドだけで何時もの笑顔を浮かべていたがすぐに凍り付いた。
源吾の背後――水族館の天井に張り付いている存在がいた。
(なッ……!?)
人間の幸運を吸い、己の満たされぬ欲望の為に周りを不幸にし続けるその異様な怪異に対して流石の葵も体が強張る。
霊能力を奪った時から確かに見えるようになった。時には悪霊に困っている人から悪霊を取り払い、小遣い稼ぎ兼自己承認欲求を満たす、といったことをしていた時期もあった葵。そんな葵ですらどうしようもない怪異が源吾に手を伸ばし、いざ吸おうとした。
傍にいた狐子は気づいている様子であったが、視線だけを怪異に向けたままでなにやら余裕げな表情を浮かべていた。
(ちょ……いいの!?)
そうして伸ばされた手のひらが源吾から何かを吸い始めた。
その瞬間怪異は破裂して、消滅した。
(……は?)
怪異は源吾から運諸共生気を吸おうとした。しかし、源吾の内に抱える逸脱した異常なまでの生命力そして何より、狐子ですら中和しきれない程の悪運を吸ってしまい、結果として破裂したのだ。
その光景を目の当たりにした葵は、頭の中が一瞬真っ白になった。
(……な……なんなの……? え……? 私、あんなのと企画をするの……?)
先日の一件も含めて、普通なら心が折れて途中辞退をするレベルの出来事であるが、彼女は違った。
(……ッ! 上等よ! 私が有名になって、一生楽して生活するための先行投資ってことなら……ッ! これ位乗り越えて見せる……!)
(そしていつか……その化けの皮を剥いで、私がトップに躍り出てやるんだから!)
屑ではあるが、精神力が人一倍図太い彼女は逃げ出すという選択肢を取らなかったのである。
(でも……これ以上は勘弁ね。企画を成功させたらこっちからは絶対コラボとか持ち込まない! まっ、流石に向こうから来ることもないし、今日みたいにたまたま会うなんてことも無いだろうし、大丈夫でしょ!)
なお、フラグである。
主人公
悪運だけで怪異を殺した男の称号を授かった。
この後生命力()を更に吸われた。
狐子
めっちゃ威圧掛けたし、なんなら自分との差を理解させてやった。この場に主人公がいなかったら呪いの1つや2つを掛けていた。
葵
奪ってきた能力でも勝てない。奪おうとすることすら出来ない。そもそも勝てないことを理解させられた。
屈服させられるという体験をしたことが無かったため、心にひびが入った。
なお、主人公の能力を奪おうとした際に能力以外にも、何かが流れ込んできたらしい。
怪異
主人公の生命力+悪運という名の超劇毒を吸って爆☆散☆。本当にただ水族館に流れてきただけだった。吸った数が多かったので割と手ごわかった(過去形)。
この後水族館の人たちの幸運は戻った。
Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?
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