言語系チート授かったのでvtuber始めました 作:gnovel
少し余裕が出てきたので早めに投稿したいと思います!
あといつも感想、高評価、誤字報告ありがとうございます!
それではどうぞ!
学力王決定戦が終わって三日が経過した。
そんな俺はというと久しぶりに事務所付近のレストランに足を運んでいた。
「――ご注文は以上でございますか?」
「はい、お願いします」
厨房に向かって歩いていく店員を余所眼に、俺はふとこれまでのことを思い返していた。
車にはねられて鴉に鳥葬されたこと、言語チートを手にしてVtuberになったこと、これまで関わることのなかった妖怪に怪異、そして宇宙人などの人外の存在をその身をもって思い知ったこと。
こう考えるとマジで知らなかっただけで本当に人間社会に紛れて存在しているんだな、と思う。そしてよく自分は今まで生きてこれたなとも同時に思う。
「……そういえばこのチートで宇宙の言語も話せるが……
地球上に存在する言語……俺が『バベルの塔』とレプティリアン達に言われているように一度だけ、一度だけ自分が習得してきた言語を同時に頭の中に思い浮かべてたった一言「りんご」と全てを吐き出すように一人呟いたことはある。
「『
――結果は成功……と言えば聞こえが良かった。
口から出た「りんご」の一言はまだ不完全ながら恐らく殆どの国の人が聞いても同じ意味として捉えられるだろう。そんな確信があった。確実に地球には世界全てに通用するたった一つの言語が存在することを図らずも俺が証明してしまったのだ。
無論、これは墓まで持っていく秘密だし、これを暴露することで翻訳家など言語の違いを商売としている人達の仕事を奪いかねない。
だからこそ、俺は気になってしまった。
宇宙の言語をもっと収集して一つに纏めるようにしたら何かが見えるのではないか、と。
「――何やら考え込んでいるようですね。お隣失礼しても?」
すっかり考え込んでいた俺の耳に入ってきたのは、イシノヴァの声だった。
「ッ!? なんだ……イシn、石星か。別に大丈夫」
「では失礼……」
そう言いながら俺の向かいの席に座るイシノヴァ。相変わらずのスーツ姿と同じ髪型、同じ背格好のイシノヴァはメニューを手に取り、素早く注文をした。
「それにしても、お久しぶりですね。こうして二人で面と向かって話すことも。怪異と呼ばれる存在との邂逅の時以来でしょうか」
「そうですね…………『イシノヴァ、一つお伺いしても?』」
俺はイシノヴァの言語――リゲン語――に切り替えてあることを聞いてみることにした。周囲の喧騒の中に混じる聞きなれない発声に普通なら誰しもが動揺するが、生憎喧騒に紛れて誰も気にしない。
「『なんでしょう』」
「『宇宙の言語の起源って、考えたことあr――』」
と言いかけた時、能面のように無の表情をしたイシノヴァが掌を俺に見せつけるようにしてきた。――制止を意味するハンドサインだ。
「『申し訳ありません……いくら貴方の頼みと言えど、それは知るべきではありません……質問に答えられないことをお許しください』」
「『……流石にこっちも不用心すぎた……こちらこそ申し訳ない』」
俺がそう謝ると、凍り付いたイシノヴァの雰囲気も和らぎ、その表情に人間っぽさが戻る。イシノヴァがコーヒーを口にしながら「ただ」と言葉を続ける。
「『この星の言語のみならず、私も、イムール星人の言語を理解できる貴方からしてみれば当然のように疑問に思ったことでしょう。――恐らくこの星の言語の起源、始まりを知ってしまったのでしょう』」
「『……』」
「『まぁ、私はそれ以上追求しませんが……。ですが、これだけは覚えていただきたい。
「『……藪蛇をつつかないようにする』」
「『それが賢明です。知らないということは罪ですが、時には免罪符にもなり得るのですよ』」
何となくコズミックでホラーな感じがしたので俺もそれ以上の追及を辞めることにした。と、ここで俺とイシノヴァの頼んだ料理が割と大きなカートに運ばれてやってきた。
俺はステーキセットだが、イシノヴァはテーブル一杯に広がる数々の料理が並べられていた。どれもこれもが大盛で心なしかイシノヴァは喜びの感情を見せているようだった。
「さて、頂くとしましょう。最近社長になったので羽振りは良いのです」
「社長になった!?」
「えぇ、一番利益を出して、周りとも良い関係を築けている私が次期社長に相応しいと先代含めた数多くの人達が仰ってくださったので。今日は私のおごりです」
「えぇ……」
知らない間に凄いことになっているな、と思いつつ俺も食事にありついた。
「……ふむ」
□■□■
「何語だったのかしら……あの言語は……」
源吾とイシノヴァが去ったレストランのある席――源吾達の隣の席――にいた葵は先程の源吾達のやり取りの中で出てきた謎の言語について考えを巡らせていた。
元々葵は狙ってこのレストランに来た訳でなく、たまたま昼食を済ませようとしてこのレストランを選んだのだ。だが、どういう訳かそこには源吾がいたのだ。それこそ葵も、自ら厄介ごとに巻き込まれない為に徹底的に気配を消していた。ただでさえ、学力王決定戦の後に源吾から
『もしよろしければ、私とコラボしませんか?』
『え……は……えっと……』
と、面前の前で(本人にそのつもりは無い)言われた為断るに断れなかったことも相まって、苦手としているのだ。
そんな折に表れたイシホシと名乗る男。一見すると何の変哲もない仕事人といった風貌だったのだが、どうにも葵は目が離せなかった。
そうして二人の様子を見ながらも葵は、イシホシの下に送られてくる無数の料理の数々に胸焼けがしそうな思いだった。明らかに一般成人男性が食べられる量ではないことは明白だったが、十分もしない内にその半分以上を平らげたのを見て、『あの人から奪えるとしたら“食事能力”か“嚥下力”かしら……』と思っていた矢先のことだった。
――突然、二人が聞き覚えの無い言語で会話をし始めたのだ。
源吾までとはいかないが、多言語に関する能力を奪っていた葵ですら聞き覚えの無い単語の羅列に発声をさも当たり前かのように話す、そんな二人の様子に手元にあった飲み物も喉を通らなかったのだ。そうして二人の会話を聞いていると、ふと視線を感じた。
『……? 気のせいかしら?』
源吾は相手の目を見て話している。そしてその相手であるイシホシも源吾の目を見て話している。周りの席は自分たち以外誰もいない筈なのに明らかにこちらを品定めするような視線を葵は感じ取っていた。
葵は気のせいであると受け止め、自身の前に並べられた料理に舌鼓を打ちはじめていたのだ。だが、葵は知らなかった。イシホシの黒いスーツの人間の目では判別できない程の極少かつ無数の瞳がこちらを見ていたことに。
「――ふぅ、事務所に近いから来てみたけど中々いけるじゃない」
満足した様子の葵。既に頭の中からは先程の謎の言語についての疑問が抜け落ちており、年相応の笑みを浮かべていた。
そうしてレストランを後にした葵はある人物を目撃する。
「……げ」
カエルが潰れたような声を出す葵の視線の先――コンビニの外――には源吾とイシホシがいた。
葵はその光景を見て踵を返して回り道をしようとした所、突如目の前に黒猫が躍り出たのだ。
「きゃっ!」
思わず声を上げて仰け反る葵。とその光景を目の当たりにしたのか、はたまた声を聴きつけた様子で源吾達が駆け寄ってきたのだ。
「あの、大丈夫です……あれ? 君は……」
「あっ!? えっと……」
思わぬ形で会うことになったと言いたげな様子の源吾と厄介の種が足を生やしてこちらに全力疾走してきた気分だと、内心苦虫を嚙み潰したような表情をする葵だった。
「おや、このお嬢さんは?」
「あっ、えっと……その……(幾らイシノヴァと言えど……流石にこの子がアオリちゃんだって言えないよなぁ……)」
(ちょっ……どうするのよ! 一般人に私がアオリちゃんだってことをばらすつもりじゃないでしょうね!?)
返答に困っている様子の源吾だったが、何か、天啓を得たような表情を浮かべた。葵はその表情を見て何となく嫌な予感がした。
「この子は、私が……かつて担当していた家庭教師の生徒です……」
「ほう」
「ははは……そうなんですよぉ……(んモォオオオオオオ! なんでそうなるのよぉおおおおお!?)」
まだ子供の方がマシな嘘を付けるぞ、と内心毒を吐きながらもこの場を切り抜けるにはそれしかないと思い立った葵はその体で話に乗っかることにしたのだ。まだ若い筈の自分の胃がキリキリと痛むのを実感しながらだ。
「そうですか。源吾さん気づきましたかな? 私達が訪れたあのレストランで彼女もいたのですよ?」
「えっ!? そうなのですか!?」
(近くで見ると……意外と普通ね……この前のコイツの妻はあんなんだったけど……意外にまともな交友関係は持っていたのね。というか社長に成り上がったとも言ってたわね…………となれば、それだけの能力も持っているという事!)
先程までの懐疑的な様子とは異なり、内心ほくそ笑み始めた葵。ここは源吾の作った設定を利用して精々その力を自分の物にしようと試みた葵は、いつもの様子で握手をねだることを決めた。
「あっ、先生の身内でしょうか? 私、富取葵と申します。以後お見知りおきを」
「おや、これはご丁寧に。私、立玄石星と申します。握手を望みのようですね」
(かかった……!)
そうして握られた手。
しかし、何かがおかしいことに気づく。
(……!? 何……この感触!? 何かが蠢いている!? おっさんの手でもこんな感触はしないのに!?)
握られた手から能力を奪取しようとした瞬間、手から伝わる異様な感覚、まるで手の中で無数の蟲が蠢いているような感覚に思わず硬直する葵。しかし咄嗟に我に返りいざ、能力を奪おうと行使するも――奪えない。
(何で……!? この手が義手とかならまだわかる……! 以前それで奪えなかったことは分かっている…………まさか)
ちらっと葵はイシノヴァの眼の中を覗く。そして気づく、気づいてしまった。目の中に――無数の眼が覗かせていることに
(こ、こいつ……人間じゃ……ない……!?!? 私が奪えるのは……人間だけだった……動物は無理だった……え、これはどういう――)
「――葵さん!」
「はっ! その、すみませんでした!」
「いえいえ、お気になさらず」
どうやら数秒の時間だったとはいえ、しばし硬直していたことを心配して声を掛けた源吾の声で意識を取り戻した葵は咄嗟にその手から手を放す。
「おや、だいぶお疲れの様子で」
(なんなのよぅ……コイツの周りは……こんな奴らしかいないのよぅ……もうやだ、早く寝たい……)
源吾に関わるたびに己の何かが削れていくような感覚を覚える葵は、決して外には出さないが涙目だった。
□■□■
「ただいま……あれ? この食料品は?」
俺が家に帰ると、多くの荷物を纏めた段ボールが廊下に置かれていた。段ボールの間をくぐりながらリビングにつくと狐子が作業していた。
「おぉ! お帰りなのじゃ!」
「ただいま、この荷物は?」
「うむ、それは――源野の帰省の為に幾らか持たせてやろうと思ってのう」
「あっ、そっか」
そう、源野君が帰るという一か月まで残り一週間を切っていたのだ。
主人公
ちょっと危険な領域まで思考が行こうとしていた。多分止めなかったらヤバいことになっていた
統一言語もどきをやろうとした
葵
主人公のことが天敵になりつつある
Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?
-
1:9
-
2:8
-
5:5
-
8:2
-
9:1