言語系チート授かったのでvtuber始めました   作:gnovel

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第六部
女神、ハジケる


「さーてさて、【未来】はまあまあ面白かったし、いい玩具()も見つけたし、何か日本人が描いた私でも意味が解らなかった漫画を読んでSAN値が減ったけど、さっそく次行ってみよー!」

 

 と、意気込んでいる女神の背後には、頭部を捻じ切られたナニカ――猟犬と呼ばれる存在の亡骸が打ち捨てられていた。しかし女神は気にも留めず、血だまりの中でせっせと手を動かしていた。

 

「んー、邪魔」

 

 亡骸を乱雑に、適当に投げ捨てながらも手を動かしている最中。

 

 ふとその手が止まった。

 

 

「ん? 待てよ? 人間を辞めたんだっけ?」

 

 ニヤァと口角を三日月のように上げた女神は、何もない空間からある箱を取り出した。

 

 

 

「じゃあもっときっついの、行こうか!!」

 

 

 この場に源吾がいたら間違いなくあらゆる手段で止めさせるだろう。それほどの厄ネタを引っ張り出そうとしてきたのだ。

 

 手のひらサイズの錆び付いた青銅の箱からは、禍々しい瘴気が目に見えるほどに溢れ出していた。常人ならば見ただけで心神喪失(SAN値チェック)をしかねない程に、あまりにも邪悪すぎる代物だった。

 

 そしてそんな箱の鍵穴に、豊満な胸元から取り出した鍵を差し込む。

 中から幾つかの紙切れが出てきた。女神はそれを一つずつ拾い上げていく。

 

「【第三次世界大戦】に【異能所持者】、【狂信】に【襲来】そ・し・て――」

 

 拾い上げた紙をカプセルの中に入れながら、まるで歌を歌うように気分よくカプセルに紙を入れていく。そして最後の一枚。

 

 

「【邪神降臨】」

 

 その紙だけ、真っ黒な紙に、真っ赤な文字で書かれていた。

 その単語を読み上げる瞬間の女神の表情は能面のように真顔で、人を真似ただけの人形と言われても遜色ないほどにまで、虚無だった。

 

 だが、それをカプセルに入れ終わり、地面に転がっていたカプセルを謎の四角形の機械に入れ終えた。その時には既に、能面のような表情から愉悦に満ちた笑顔で溢れていた。

 

 

 そして肝心の四角い機械は――自販機であった。

 

 『あったか~いの』『つめた~いの』『絶対零度』『阿鼻叫喚』『血のようにあったか~い』と突っ込みどころしかない項目しかなかったが、これも全てこの女神の計らいである。

 

 

「さてそれじゃあ――ビン●マシンGOGO!」

 

 とんちきな掛け声と共に手元にあるボタンを押した。自販機のスイッチは押されなかった。残念。

 

 

 瞬間、光が女神の足元から溢れ――

 

 

「ぎゃああああああああああああ!!」

 

 

 爆発した。

 

 

 人間なら即死するレベルの大爆風と轟音が空間の隅々まで行き渡り、凄まじい爆風と衝撃が女神を襲った。

 

 結果として女神はズタボロになった。

 

 

「くっ、くそう……やっぱり【起動スイッチ兼何が起こるか分からないボタン】なんて、作るんじゃなかった……!」

 

 そうして勢いよく動き出した機械からは、独特の起動音とおおよそ機械がたてられる筈のない人間の悲鳴や断末魔、骨や肉の砕ける音が聞こえていた。

 しばらく混沌とした状況が続いた後、遂に振動が止まり、自販機の出口

 

 

 ――ではなく、お釣りの排出口からカプセルが出てきた。

 

 

 それをなぜかアフロになった女神が掴み、中身を開けた。

 

「中身は……おっと?」

 

 【狂信】と【襲来】の二つの文字が書かれた紙が、二つ出てきた。

 

「まさかの二つ……!? 興奮するじゃないか♡」

 

 どこぞのピエロのごとく興奮した女神は、うきうきでそこら辺にあった元猟犬の亡骸に腰かけた。

 

 

「さーて……どうなるかな?」

 

 

□■□■

 

 

「貴方は神を信じますか」

「帰ってください」

 

 本日三回目の宗教勧誘を断りながら、俺はドアを閉める。

 最近になってやけに宗教の勧誘が俺だけでなく、近所の人たちが何度も何度も勧誘を受けて警察沙汰になるまで、発展したのだ。

 

 ……元凶は俺らしい。

 

 以前俺が、■■■■(光あれ)と言った同時刻、全世界の聖書が光輝いたらしい。えっ、なにそれは……。

 

 そのことをキレ気味にレプティリアンから告げられた時は流石に電話越しに土下座した。本当に申し訳ないと思っている。事実隠蔽、言論統制を行うためにここ一週間、一日も、一時間も、一秒たりとも休めなくて遂に過労死寸前まで行ったらしい。マジで……申し訳ない。

 

 だが、そんなレプティリアン達でも大衆のSNSやテレビなどの媒体は何とかなったが、個人間までは防ぎようがなかったらしい。

 

 世界各国で聖書が光るという現象を目の当たりにした聖職者や宗教関係者が口々に『神がお戻りになられた』と述べ、すぐさま行動に移したらしい。

 真っ当な聖職者は、より一層の業務に励み、各地の教会が新品同然にまで磨かれたり、神に対して失礼がないようにとわざわざ新しく教会を建てている所もあるとのことだ。

 

 そうした人々は他の人々に、その現象を話そうとする場合があるものの、レプティリアン達が禁じ手である『サブリミナル効果』や『催眠』を用いて『神を言いふらすことなど、あってはならない』としてある程度の封じ込めに成功している。……一部を除いて。

 

 

「貴方は神を――」

「帰って♡」

 

 本日四度目の訪問。

 この通り、テレビ等の映像媒体を殆ど見ない連中がいる訳で。

 

 どうやらこの騒ぎに便乗して一部のあくどい連中が、金策を思いつき詐欺まがいの心霊商法を行っている。とはいえほんとに一部だけで、SNS上でも「最近、変な宗教勧誘が増えたねー」程度まで抑え込んでいるらしい。

 

「あn」

「帰れ(半ギレ)」

「やらないか」

「帰れ(懇願)」

 

 ……たまたまこの地域に聖書を持っていた人間が多かったのか、とにかく宗教勧誘がやかましい。どこぞの放送局も真っ青なペースで迫ってくるのだ。なるほどこれが世紀末か(元凶並感)。一部違う奴もいたがもはや誤差の範囲内だ。

 

「私が神だ」

「もしもし警察ですか?」

 

 かといってパンツだけの男が来るのは違うだろ。

 

 

 

 

「――というようなことがあったんですよ」

「……先生の住んでいる地域って、ほんとに日本ですか?」

 

 

 リスナー:N●Kよりひでぇや……

 リスナー:ノータイムで通報したのもはやギャグだろw

 リスナー:何このホラーより怖いホラーは

 リスナー:英語配信の合間にする話じゃねぇ!

 

「さて、話が逸れた所で次は、リクエストの多かった“リスニングで思ったよりも聞き取れない問題”について、私の見地から語れる対策について話していきましょうか」

「リスニング問題は、確かにそうですよね~」

 

 リスナー:リクエストキタコレ!

 リスナー:まぁ、慣れてないときついよなぁ……

 

「まず……リスニングの問題で出される英文、とその中にある単語……例えば『What are you~』の発音ですが」

「最初に躓きそうな問題ですよね。一文字ずつ『ワット』『アー』『ユー』と頭に強く残っているほど、ですね」

 

 リスナー:あー

 リスナー:こういう時って『わらゆー』って発音してるわ

 リスナー:基本的に会話では発音をつなげるんよなぁ

 

「コメント欄でもある通り、リスニング問題とか会話では一字ずつ区切らず、省略する場合殆どですよね。話す分には問題は無いんですけどね……」

「今回のリスニング問題では、って考えるとまず聞き取れないことには話になりませんからね」

 

 

 リスナー:伝わればいいしな。話す分には

 リスナー:日本語でもそこは同じやね

 リスナー:わからなかった時もちゃんと声に出して言えば大体何とかなるなる

 

「余談ですが……英語を教える分にはまだいいんですよ。海外のVtuberの方とかに日本語を教えるとなるとかなり厄介でして……」

「あぁ……」

「よく、なんで『生』の字ってあんなに読み方があるんですかと言われたりするんですよ」

 

 

 リスナー:生きる、生える、生む……

 リスナー:Q.読み方は幾つあるんですか?

 リスナー:A.150種類以上

 リスナー:狂いそう……(留学生並感)

 

「まぁ、さっき上げた『What are you~』の場合だと、『What』の『t』と『are』の『a』をつなげるようにして……『ワラユー』と聞こえるようになります」

「他にも基本的に省略するような部分はあるんですけどね。単語とかは覚えているけど、発音とかを疎かにしている人は多いんじゃないんでしょうか? 例えば……単語テストで赤点回避の為だけに単語だけを見るにとどめている人とか……」

 

 リスナー:ギクッ

 リスナー:HAHAHA

 リスナー:その様なことがあろう筈がございません(早口)

 

「日本語を覚える時も、英語を覚える時も発音が大事ですからね。音声付きの単語帳とか使うのもいいですし……それがどうしても嫌だ、って人は授業終わりのほんの一分、英語の教師の方に聞いてもらう方が良いでしょう」

「流石に一単語を教えるのを拒否する人なんて……あっ、流石に放送禁止用語とかはやめておいた方がいいですよ~」

「ちなみにこの企画段階で血迷ったスタッフさんが『いっそのこと放送禁止用語とかネットスラングを解説する配信とかどうです』と言ってました」

「後半は良いとして……前半は何なんですか!?」

 

 

 リスナー:草

 リスナー:アカンこのチャンネルBANされるぅ!

 リスナー:流石にそれは血迷いすぎでは

 リスナー:でも普通に見たかった

 

「――というかちょっと待ってください!? 企画段階ってことは……そこに私も参加しそうになったのですか!?」

「企画自体、私とアオリさんが参加すること前提ですからね」

「あ、危なかった……!」

「……その提案をしたスタッフさんは、色々あって休養中です」

「闇が深い!」

 

 

 リスナー:怖い

 リスナー:ここで話しているってことは、そんなに大事じゃなかったんだ……

 リスナー:アオリちゃんが放送禁止用語連発……

 リスナー:いやじゃ! そんなアオリちゃん見とうない!

 リスナー:ピー音だらけになりそう

 

「さて、名残惜しいですが丁度九十分が経ったので終わりにしましょう。皆さんお疲れさまでした」

「皆さんごきげんよう」

「あっ、次もお願いしますねアオリさん」

「え」




今回の勉強法は作者が教わったやり方なので、あしからず

主人公
自分のいる地域だけ聖書の光具合が半端なかったとか聞かされてさらに頭を下げて地面にめり込んだ男


偶に素が出そうになる

女神
実は90%の確率で【邪神降臨】が出るように仕組んでいた。外した。でもいいや!
最近とあるハジケリストの漫画を見て、若干汚染された。

Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?

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