言語系チート授かったのでvtuber始めました 作:gnovel
感想の返答が出来ていませんがちゃんと全部見ております! ありがとうございます! 期待に応えられるか毎回毎回不安になりつつありますが頑張っていきます!
今回は不足気味と指摘されたV要素多めです。
それではどうぞ!
実家に戻ったら戻ったでヤバいことが起こることが確定して帰りたくなくなってきた今日この頃。
俺はお盆休み前の最後の企画として12時間ぶっ通しのゲーム配信を行うことになった。しかもコラボで。
正気か? と言われるかもしれないが、相手側がかなり乗り気だったことであっさり企画が通ってしまったのだ。今回やるゲームは神経を使う為、俺の正気が尽きて
そうこうしているうちにもう開始数分前になったので、相手側と連絡を取りながらマイクやPCの様子を確認し、配信の時を待った。そして、きっかり0時になったタイミングで俺はいつもの様子で挨拶した。
「はい皆さんこんばんは。今日は予告していた通りコラボ企画ということで12時間ぶっ通しでやることになりました」
リスナー:こんばんはー
リスナー:正気じゃない定期
リスナー:コラボで12時間とか頭おかしいよ……
リスナー:おいおいおい死んだわコイツ
「それではコラボ相手である……ブラッディ・アリュカードことアリュカードさんです」
「皆のもの! 苦しゅうない! 私が来た!」
高笑いをしながら画面に映ったのは、吸血鬼系VTuberことブラッディ・アリュカード。
灰色の長髪に血のように真っ赤な目、そして黒を基調としたゴスロリを纏っている少女のアバターを持つ彼女は、まるで支配者のような挨拶をしている。ちなみにそのスキンは自作らしいが、生憎俺はそんなスキルは持ち合わせてないので、事務所にいた絵師さんに書いて貰ったものをずっと使っている。
また彼女は化け物みたいなスタミナを持っていると言われており、例えばとある24時間企画をしていても最後の最後まで一切疲れを見せなかったり、その配信をした数時間後にはしれっとまた長時間の配信をしていたりなど彼女が休んでいる光景を見たことが無いと言われているのだ。
なおそのことを社長と話していたら「事務所のネットの管理、ホームページ作成、新人指導……等々をほぼ毎日行っていた君に言われてもねぇ……あっ私も私で仕事があったねアハハハ」と乾いた笑いと共に言われてたりする。それに対して俺も笑っていたが、この光景を見ていた後輩たちからは俺たちの目が死んでいて怖かったとかなんとか。
話を戻して、コメント欄ではアリュカードの登場に湧きあがっており、今が深夜0時とは思えない程の人気ぶりだが、明らかに外国人の比率が多いことは気にしないことにした。多分俺関係だろうな……。
「ではでは、早速やっていきましょうか。この12時間を」
「いえーい!」
リスナー:先生の目が死んでそう
リスナー:教師が12時間勤務……リアルっぽくて……なんか、やだな……
リスナー:社会の闇を見た
リスナー:おうちに帰りたいなりぃ……
リスナー:苦行かな?
「ま! 私に掛かればどんなゲームも何時間だってやれるとも!」
「……ここにとあるオープンワールドのパズルゲームがありましてね」
「噓噓! 冗談! それは流石に勘弁!!」
リスナー:即 落 ち 二 コ マ
リスナー:ただの苦行はやめろぉ!
リスナー:申し訳ないが、ただの地獄はNG
リスナー:吸血鬼すらビビるゲームは草
アリュカードがビビっているが、このゲームは確かに苦行でしかなかった。一度配信をしたが、あまりの難易度と最悪の初見殺しがてんこ盛りに詰め込まれているこのパズルゲームは、それはもう、精神的に死にかけた。それは彼女も同じようで、声を震わせて、全力で拒否の意を示していた。かく言う俺も配信をした日のことを思い出して胃が痛み始めた。何で自分の古傷を抉っているんだ俺……(正気)
ちなみに俺がこのゲームの配信を終えたあと、何故かこのゲームの購入者が爆増し、つい最近アップデートもされたのだ。ちなみにちゃんとそれも含めて配信した後、さらにRTA配信もした。心が死にかけた。
「いや、だって……もうやりたくないんだもんッ!!」
「私だってやりたくないですよ。これだったらまだFPSをやってた方が数百倍マシですよ。これ2時間やるかFPS12時間やるかを選ぶなら、迷いなくFPS選びますね」
リスナー:そういやこの人たち完走していたんだった……
リスナー:どうして自分を苦しめる毒を持ちだしたんです?
リスナー:↑人外だからさ
リスナー:ナチュラルに先生を人外扱いしてて草
「あっ、それはそれとしてこのゲーム、
リスナー:じょ、冗談はよしてくれ(震え声)
リスナー:じゃ、じゃあ俺、FPSして帰るから……
リスナー:た だ の 地 獄 絵 図
リスナー:だれも救われないのやめろ
リスナー:俺はまだ死にたくねぇ!
軽く小話をしたところでゲームのロード画面が終わり、いつでも開始できるようになった。ちなみに最初にやるのは最近人気の『ACE Heros』というゲームだ。
このゲームは所謂バトルロワイアルゲームで、最大3人で1つのチームを組んでチャンピオンを取るゲームだ。そしてこれから俺とアリュカードは2人一組つまりデュオモードでプレイする。しかしただプレイしただけでは盛り上がりに欠けるのではないかと判断し、キャラの完全ランダム化や相方の蘇生禁止、最初に拾った二つの武器種以外の使用を禁止、チーターやチーミング等と遭遇したら逃げずに戦う……等々の縛りを設けた。そしてこれらを説明したら視聴者にドン引きされた。
「さて、ではやっていきましょう」
「刮目せよ! 我らの蹂躙劇を!」
「――さて、困りました。完全に囲まれましたね」
「私達のいるこの家の周りに少なくとも5チームはいる!? なんで!? 助けて!」
あれから10時間が経過して神経をすり減らしていた頃、この間にもたまたま入り込んだ室内の中にありったけのグレネードを投げ込まれたり、全方位からスナイパーで狙われたり、たまたま近くから飛んできた流れ弾が脳天に当たってアリュカードが死んだりもした。巻き添えを食らってまたアリュカードが死んだりもした。
そして時間的に最後になりそうな今、俺たちはとある一軒家に入り込んだのだが、気づいたら家を5チームぐらいに囲まれていた。今も
とは言え流石にチーミングかその類では無いかと疑ってはいる。あからさまに互いにやり合わず、明らかに互いに射程圏内に入っているのに撃ち合わないからチーミングだろうな。
リスナー:草
リスナー:何をやったらここまで囲まれるんだ……
リスナー:うわぁ……
リスナー:これはチーミングですねぇ……
リスナー:運悪すぎて草
リスナー:死んだな(確信)縛りの「チーミングから逃げない」で戦わなきゃいけないし……
「しかも全員こっち狙ってない!?」
「まぁ……私達は袋の鼠ですからね……そりゃあ狙いたくもなりますよ。あ、グレネードお願いできます?」
「私に任せよ!」
敵が少し近くにまで迫ってきてるため、アリュカードにグレネードの投擲をお願いした。アリュカードが意気揚々とグレネードを窓から構える。これでダメージを受けて顔を出してくれればいいが……。と思い銃のリロードをしていたら、
「は、は、は……はっくしゅ! あ」
「え」
リスナー:あ
リスナー:あ
リスナー:ふぁ!?
アリュカードがグレネードを投げる寸前、可愛らしいくしゃみをした。その結果恐らくマウスが思いっ切り下にずれて……カランと音を立てて、グレネードが俺の足元に転がってきた。……え?
「し、し、しまったぁあああああああ!!」
「不味い早くここから離れry」
先の戦闘で消耗していた為、即座に家から飛び出ようとした。だが間に合うはずも無く
「ぎゃああああああ!!」
「ほぉああああああ!?」
無論爆発した。
この爆発によってアリュカードは死んだ。俺はというと……ギリギリ生きていた。ただし死の一歩手前、所謂オワタ式といった所だ。俺が何をしたって言うんだ……。
そしてこの状況で1人が爆死し、1人が瀕死(ライフがあと一桁)になったので間もなく全員がこの家に攻め込んでくるだろう。
「や、やってしまったぁああああ!?」
リスナー:草
リスナー:ガチの戦犯で草
リスナー:先生もう死ぬ寸前で草
リスナー:これは酷い
画面では俺の体力バーが僅かな欠片のみを映しており、完全に無理ゲーといった所だろう。ちなみに負けたらこのゲームに5万円課金することになっている為スリル満点といった所だろう。
「えー……これどうしましょうかね……回復も先の戦闘で使っちゃいましたし……」
「あ、あわわわわわ……」
リスナー:今の状況をスペイン語でオナシャス
「『マジで死ぬ3秒前』」
リスナー:草
リスナー:即答できる辺り流石としか言いようがないですね
リスナー:これ……どうすんの……?
リスナー:なに食らっても死ねる体力
いやー……どうすればいいんだろうな……。1人はもう完全にノックアウトしているし、縛りが無ければこのまま逃走したいものだ。だがここで逃走するとさらに2万円課金することになるため、正直それは避けたい。課金した所で買うアイテムがもう無いことと、精神的なダメージもやばいからだ。
リスナー:やって見せろよ! マルチ先生ェ!
リスナー:何とでもなる筈だ!
リスナー:ソロだと!?
アリュカード:がんばれ♡ がんばれ♡ 人間の可能性を見せて♡
リスナー:↑お前がやらかした定期
リスナー:他人任せで草
「……何とかしてみせましょう」
リスナーからの赤スパ……アリュカードからも赤スパが来てたが、それは放っておく。俺は残り少ない弾薬とアイテム、スキルのクールタイムを確認して家を飛び出した――!
結論。勝った。
「いやー……何とかなりましたね。流石に疲れました……アハハ……」
リスナー:うっそだろおい……
リスナー:ほんとに何とかしやがった……
リスナー:流石だぁ……
アリュカード:(無言の赤スパ)
俺が無事あの鬼畜陣営を退け、更にチャンピオンまでなった瞬間えげつない勢いでスパチャと賞賛コメントが流れてきた。正直今の俺にはそれを確認する余裕はなく、張りつめた緊張感が緩み、その反動で呆然としている。だけどこれだけは言わなければいけないと思い、それを口にする。
「……アリュカードさんには後で〝課題〟を出します」
「そ、それだけはお許しをぉおおおお!!」
リスナー:草
リスナー:当然の報いなんだよなぁ……
リスナー:自爆したアリュカードが悪い
リスナー:全てのFPSプレイヤーが参考にするべき動き方
リスナー:誰も真似できない定期
リスナー:人間卒業試験やめろ
「それでは丁度12時間経ちましたので……これにてコラボ企画は終わりにします」
「皆の者! おさらばじゃ!」
リスナー:乙
リスナー:おっつ、楽しかった
リスナー:やはり素晴らしい……
リスナー:生身でこれか……やはり素晴らしい……
俺は最後までコメントを確認することなく、配信を終了させてそのままベッドに倒れ込んだ。
全身に伝わるどうしようもない疲れに対して思わず口にする。
「あー……小学生の頃とか、なんであんなにゲーム出来たんだろうな……あの時の気力が欲しい……」
枕に頭を乗せてからすぐ、俺の意識は闇に落ちた。
◆◆
12時間コラボ配信から数日後。
俺は実家に手ぶらで帰るわけにはいかないので、土産を買いに行っていた。デパートでは俺と同じように土産を買いに来ている人が大勢いたりして最初に目当てにしていた物が売り切れていたりしたが、何とか済ませることが出来た。
そして良い時間帯なのでデパート内のカフェで休んでいた。
「すみません。相席宜しいでしょうか?」
「あっ、いいですよ」
「失礼します」
そう言って俺の前に俳優のような渋い顔つきをした男性が腰掛けた。この暑い中ビジネススーツを着ているのは少し違和感を覚えたが、周りは全席満席状態なので、俺は相席を承諾した。そして席に着いた男がコーヒーを頼み終えると、男は丁寧な所作と言葉遣いで俺に話しかけてきた。
「相席、感謝します」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
そして僅かに微笑んだかと思うと、
「『流石はイムール星人の同盟者ですね』」
「!?」
突然俺の知らない言語で話しかけてきた。俺はその内容を理解して、驚愕していると。
「『ああ、気にしないでください。私は別に君と敵対しにきた訳ではありません』」
「『……あ、アンタは一体……!?』」
「『いえいえ、私……こういう者です』」
そういって男は懐から二枚の名刺を取り出した。1枚目には日本語で【株式会社クォーツァー 課長補佐
「『【リゲン星出身 超特殊バクテリア生命体 イシノヴァ】……!?』」
「『お初にお目にかかります。そちらにも記載されている通り、私……いえ、
「『あ、あぁこちらこそ……よろ……しく?』」
目の前のイシノヴァはどう見ても只の会社勤めのサラリーマンにしか見えないと思い、少し顔を凝視していると、イシノヴァが苦笑したかのように笑い
「『そんなに警戒しないでください。私達は先も申し上げた通り、敵対する意思はありません』」
「『じゃ、じゃあ何が目的で地球に来たんだ?』」
「『端的に申し上げれば……それがリゲンという種族の定めなのです』」
俺が頭に?を浮かべていると、イシノヴァは次のように語った。
イシノヴァの故郷のリゲン星は、星自体の体積が非常に小さく、それこそ地球と比較しても大分小さいらしい。
そしてリゲン星人はその星に存在するバクテリア状の生き物が無数に合体した生命体であり、彼……いや彼らは生まれて間もなくリゲン星を捨ててどこか遠い星に旅立つ生態をしているとのこと。目の前のイシノヴァも今は地球人の形を保っているが、実際は無数のバクテリアの集合体であるという。
そしてリゲン星人は故郷から飛び立ち、あちこちの星に根付くと現地人の姿、言語、そして仕事を覚え、そこで一生を暮らすらしい。あくまでも〝生きる〟その行動原理が細胞に深く刻まれているとイシノヴァは語った。曰く「生まれてから旅をする為だけに生きている存在」、「リゲン星は私達が旅立つための発射台のような物」とのこと。
そして彼らの特徴はその圧倒的な学習能力と適応力であると言い、イシノヴァのように二足歩行型である者や四足歩行に特化した者等多岐にわたるとのこと。彼らの寿命は降り立った星によって変わるが凡そ数百年は余裕で生存できるとのこと。ちなみにイシノヴァは酸素に適応するのにかなり時間と労力がかかったと苦笑交じりに語った。
「『私達はこの星に根付き、この星で育ち、そしてこの星で死ぬ定めなのです。あまり想像できないようですが、私達はただ〝生きる〟為にこうした変化を遂げたのですよ』」
「『なるほど……で、どうして俺のことを知っているんだ?』」
「『この地球に来る前にイムール星人の1人と知り合いましてね。『地球に同盟者がいる、彼は君たちも歓迎するだろう』と……太鼓判でしたっけ? それを押されたので、興味が湧いて来たのですよ』」
そう言ってイシノヴァは僅かに微笑み、再び懐に手を入れ、今度はスマホを取り出した。慣れた手つきで操作し始め、とある画面を見せてきた。俺のチャンネル画面だ。ご丁寧にチャンネル登録と通知をオンにしていた。
「『そして、私達はあなたのファンでもあります』」
「『……ご丁寧にチャンネル登録してくれてありがとうね……』」
「『私達もすっかりハマってしまいましてね。明らかに地球人の中で突出した君の潜在能力には毎回驚愕させられているので……次回も楽しみにしてます』」
「『あ、あぁ……期待しててくだ……さい?』」
「『あと、それと……これを』」
そう言ってイシノヴァは色紙とペンを出してきた。
「『日本語とリゲン語で私達にサインをしていただきませんか?』」
「『……おっけー』」
この後サインをした後、近くのファミレスで早めの夕食を取った。ちなみにイシノヴァは滅茶苦茶食った。既にステーキセットやピザ、蕎麦、カレーを頼んでおりその皿が机を埋め尽くしていた。
「『どんだけ食うんだよ……』」
「『私達は所謂食い貯めが出来る構造になっておりましてね。こうして大量に摂取することで娯楽への時間を増やせるのですよ』」
「『娯楽ガチ勢かよ』」
「『後は仕事ですね。最近忙しくなってきたので常に最高のクォリティを保ち続けるという目的でもこうして過剰に摂取してますね。誰かが言いましたね「労働はクソ」と』」
「『……どこも同じなんだな』」
「『これは地球の悪徳ですね。ですがその後に待つ娯楽や食事は格別じゃありませんか?』」
「『全く以てそう思う』」
この後連絡先を交換して、解散した。ちなみに俺が払ってあげた。ファミレスで諭吉数枚が飛んだのは初めてだ。
主人公
新たな友人(バクテリア)が出来た。この後友人の会社を調べて、かなりの大手企業であったことを知り、何とも言えない感情に襲われた。
この次の日、実家に帰る予定。
イシノヴァ
簡単に言えば、無数のバクテリアの集合体。なので一人称が「私達」
それぞれが思考能力を備えている為異常な程の適応力と思考の速度を可能にしており、更に高度な擬態能力を兼ね備えており、背景と同化して透明になることも可能。
偶々流れ着いた地球でどっぷりと娯楽に嵌ったバクテリア。地球に流れ着く際にイムール星人から「あいつ凄いから」と言われたので配信を見たら嵌った。
見た目は30後半か40代の中年の渋顔でその丁寧な物腰も相まって社内では人気のよう。
モチーフは言わずもがなシン・ウ●トラのメ●ィラス星人。皆も見よう(ダイマ)
ブラッディ・アリュカード
吸血鬼系のVtuber。調子に乗ってはいつも逆転されるのが定めで、視聴者はそれを見に来ている。
またスタミナお化けであり24時間配信後にしれっとまた長時間の配信をしたり、自分で切り抜きの編集をしてたりする。
鋭く尖った犬歯をしていたり、夜道で目が真っ赤に輝いてたり、日光を忌々しい表情で見つめていたり、何故か血の匂いがするが、なんてことはない()
Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?
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