言語系チート授かったのでvtuber始めました   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます!

いつも沢山の感想と高評価ありがとうございます!
主人公のチートに関しての考察が多々見られてとても楽しいです。

一先ずこれで第一部は終わりといった感じです。

それではどうぞ!


上位者に負けない……そう思っていた時期が俺にもありました

「間もなくー、○×駅ー、○×駅でーす。お出口はぁー左側です」

 

 独特のアナウンスを聞いた俺は電車から降りる。都会と比べて少しボロボロで寂れた印象の駅が俺を出迎えた。俺は故郷についたのだ。

 真夏真っ盛りの日差しが痛いほどに俺を突き刺してくる。マジで生物が生存できるような温度では無いと思うんですよ。

 

 俺は駅に取り付けられた古いタイプの自動改札機を通り、照り付ける太陽に目を細めていた。

 

「暑っっっっっつァ!! は、早くタクシーを…………ここタクシー無いんだった……フ●ック!」

 

 1人でコントをしていても仕方ないので、実家まで歩くことにした。実家までは徒歩1時間と結構距離がある為、ただの地獄でしかない。夏は照り付ける日差しと地熱で上も下も焼かれ、冬は積もる雪とこごえる風に身を蝕まれるのだ。

 我ながらよくこんな田舎で生きてこれたなとつくづく文明の利器の偉大さに感銘を受けつつ足を進めた。

 

「くっそ……マジで熱い……それに家に行っても嫌な予感がするんだよな……」

 

 数日前の母との電話の際に聞いた異常に起こる天気雨とキッちゃんという確実的不穏要素の数々に嫌な予感がしつつも、このまま家にたどり着かなければ何が起こるか分からない為、今もこうして歩いている。気分はエジプト旅行さながらだ。

 ついこの前までは梅雨だと思っていたら既に猛暑が到来し、俺の家では既に冷房が酷使無双されている。しかし今は実家に向かっている為、家は冷房が利いていない灼熱地獄に成り下がっているだろう。帰るのが……億劫になってきた。

 

「……あーあー……。どうせならこのまま天気雨降んねーかなー……それも土砂降りで」

 

 そんな訳ないかと自嘲している(フラグ建設完了)と――超土砂降りになった。天気雨で

 

「なんでじゃああああああああ! フラグ回収早すぎだろォオオオオオ!?」

 

 俺は生憎傘を持ってきてない為、全力で走らざるを得なかった。

 

 降り注ぐ豪雨が……ぬるい! とにかくぬるいのだ! こんな日が照る中で降り注ぐ雨はまるで水と熱湯の中間のようなぬるま湯に仕上がり、何とも言えない気持ち悪さを俺に与えて来る。加えて日差しは継続中な為、ただの苦行でしかなかった。

 

「アッアッアッぬるい! 熱ぅい! ぬるい! 熱っぅううううい!? 環境変化についていけないって! 天候はどうなってんだ! 天候は!?」

 

 この後俺は全身を濡らしながら必死に実家に向かって走った。その間脳内では走馬灯のように様々な存在しない記憶が沸き上がっていた。ACの新作が出た、ガチャでSSR2枚抜きした(一回も2枚抜きしたこと無い)、俺の身体が改造されて仮面をつけたバイク乗りのように変身! できてしまうこと、何故か、吸血鬼になったり等々明らかに現実離れしたものが浮かび上がってきた。

 

「――俺の走馬灯可笑しいだろ!? なんで存在しない記憶しかねぇんだよ!? しかも途中で俺人間卒業してたし……熱っちゃあああああ!?」

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

「はーっ、はーっ……やっと着いた……。体が……ぬちゃぬちゃして気持ち悪い……」

 

 あれから全力疾走した俺は、漸く実家にたどり着いた。俺の身体は汗とぬるい雨でぐちゃぐちゃにされており、ハッキリ言ってさっさと風呂に入りたい気分だった。

 

「『神よ……何故私にこのような試練をお与えになるのですか……?』」

 

 思わず英語で喋りたくなるぐらいには消耗した。ともあれ俺は都会ではあまり見ない引き戸を横にスライドする。田舎特有の木の香りと梅を干している香りが漂い、懐かしさに身を震わせていると奥から髪を纏めてポニーテールにした俺の母がやってきた。

 

「お帰り……って! あんたどうしたの!? その服と汗!?」

「……取り敢えず風呂に入らせて……」

「み、水風呂で良いなら……」

 

 

 

 

「はー……生き返った……」

 

 水風呂から上がった現在の俺は、半袖短パンの完全クールビズスタイルだ。これをスタジオとかでやった際にはスタッフ一同仰天物だろうなーと思いつつラムネアイスを頬張っていた。ラムネとソーダの味がマッチして気持ちええ。

 

 縁側には俺のびしょ濡れになった服を洗濯して干している母の姿があった。梅干しの匂いが染みつかないように配慮してくれるのは本当にありがたい。母は俺の服を干し終えると、呆れた様子で俺に話しかけてきた。

 

「本当にどうしたのよ……こんなお日様の中でびしょ濡れになるなんて」

「少々どころかえげつない勢いで降ってきた天気雨に濡れて……」

「……あっ! そうだわ! 天気雨といったらね……」

 

 俺が噓偽り無い出来事を話して、リラックスしていると母が突然何かを思い出したかのような反応を見せた。

 

「あんた何で言わなかったのよ!」

「ふぁにが?(アイス咥えながら)」

 

「源吾の婚約者がわざわざ一人で来てくれたのよ!」

 

 ふーん。婚約者ねぇ………………え?

 

 

「え?」

「あんたねぇ……自分の婚約者のことを忘れちゃったの!? あんな可愛くておしとやかで、料理も上手なあの子を!?」

「い、いや、ちょ、ちょちょっと待って!? え? ここに、え?」

 

 混乱している俺を余所目に母が俺の下に一枚の白いファイルのような物を運んできた。嫌な予感がする……。

 

「ほら! これを見なさいよ!」

 

 そして母が俺の眼前にファイルを突き出して、そのページを開くと中には……白無垢に身を包んだ、向日葵色の髪をした少し小さめの女性…………うん?

 

「????」

「ほら、本当に可愛いわよねぇー。源吾と電話したすぐ後からだったかしら? ここにね……『初めましてお義母様。わたくしは伴野源吾様の妻で御座います。夫がいつもお世話になっております』って」

 

(一歩どころか千歩先に行かれてたぁあああああああ!!)

 

 

 まさか既に挨拶も済ませられていたとは露知らず、俺はただただ顎が外れる位に驚愕していた。行動が早すぎる……ッ! メタルなスライムよりも速くないか!?

 内心ビビり散らかしている俺を置き去りにして母は次々とその内容を語りだす。

 

「それからねぇ……ここに来ては家事を手伝ってくれたり……美味しい料理を振る舞ってくれたりしてね……」

「待て待て待て! え、母さんはそれでいいの!?」

「何言ってるの。あんないい子が源吾を数十年間慕ってくれたのよ? 私は大賛成よ」

「じゃ、じゃあ親父は!? あの人、割と頭硬かったろ!?」

 

 俺の親父は所謂頑固者で、自分の芯を通し過ぎる人、兎に角真っ直ぐだったが不器用そんな人だった。母も親父のそんなところにほれ込んで結婚したらしい。また親父は俺が都会で仕事をすると知った時、

 

『何で許してくれねぇんだ親父! 俺を納得させる理由があるんだろうな!』

『都会に行って何がある源吾。確かに食事には困らない、移動手段は豊富、便利な機械が……………………あるぐらいだ』

『ちょっと心揺らいでんじゃねぇか!』

 

 この後俺は親父にバックドロップや背負い投げ、バックドロップにバックドロップ……を食らったが、最終的に都会行きを勝ち取ったのだった。……今思えばバックドロップ食らいすぎだろ俺。ちなみにしこたま母に怒られた。

 そして母さんによると親父は自分たちから離れていく俺のことが心配で心配で仕方なく、素直に口に出せない性分が災いしてああなったという。不器用にも程があるだろ。

 

 で、そんな堅物の親父が果たして許したのか、と母に問い詰めると

 

「父さんなら狐子ちゃんの手料理を食べて、『……息子を頼む』って」

「クソッ! やられた! 親父も母さんの手料理にやられたんだった!」

「あと咲もね『お兄ちゃんをお願いね』って」

「外堀をコンクリートで埋められた!? いくら何でも早すぎるだろ!」

 

 咲とは俺の妹で、華の高校2年生だ。母譲りの美貌の自慢な妹だが、まさか咲すらも攻略されてたとは思いもしなかった。読めなかった……この源吾の目を以てしても!!

 

「あっ、そうだわ。この後あの神社で待っているって伝言も預かっていたから早く行ってあげなさい」

「アッ…………ハイ」

 

 どうやら俺の退路は完全に塞がれたようだ。俺は既にアイスが無くなった棒を咥えたまま呆然としていた。

 

 

 

 

 あれから俺は、キッちゃんこと狐子が待つ神社に向かった。あろうことか俺が行動を起こす前に既に行動を起こされていたどころか外堀を完全に埋められていたことに胃が悲鳴を上げながらも、その重い腰をあげながら俺は山奥の神社に向かった。これが娶られって奴ですか……。

 ちなみにあの後色々と言ったのだが、母に「彼女どころか同年代の女友達が出来たことが無いあんたに女心が分かるのかしら?」と言われ、精神的に母に負けたことを悟った。やっぱつれぇわ……生放送で「彼女出来たことありますか」と視聴者からの質問に「出来たことないですね」と即答した時並みにつれぇわ……。

 

 

 そして自分で自分の精神を抉っていると、漸く神社についた。古ぼけて色が脱色した鳥居とボロボロになった石造りの階段が懐かしさを誘う。

 

「懐かしいな……中学以来か、ここに最後に来たのは…………で、いい加減無視するわけにはいかんよな……」

 

 そう言って俺は必死に目を逸らそうとしていたが、流石に無理だったので鳥居の後ろから僅かに見える黄色い毛並みに視線を向ける。明らかに鳥居をくぐった瞬間に拘束されるんだろうな、と思いつつこのまま帰ったらどうなるんだろうなー。と思いふと来た道に視線を向ける。

 

 

「…………わーお」

 

 そこには無数の狐火が退路を塞ぐようにユラユラとうかんでいた。明らかに俺を逃がさないという決意の表れを感じる。そして反対側も同様に夥しい数の狐火が進路を塞いでいた。どうやらもう駄目みたいですね……。

 

「……行k「遅いわ!」グハァアアアア!?」

 

 俺が鳥居をくぐろうとしたその瞬間。俺の腹部にめり込むほどの速さで黄色い影……狐子が突撃してきた。頭部が腹部に突き刺さり、万力のような力で締め上げられて、再び存在しない記憶が走馬灯代わりに流れた所で俺は、声を掛ける。

 

「ひ、久し振り……! キッちゃん……」

「久し振りじゃ! ……と言うとでも思ったか!」

「グフォ!」

 

 マウントを取られた俺の胴体に拳が突き刺さる。

 

「『クソ痛いんだが!?(上代日本語)』」

「ええい! 懐かしき言葉で悲鳴を挙げおって! 泣きたいのは……こっちのほうじゃ!」

「……え?」

 

 狐子の目元には涙が浮かんでおり、ぽたぽたと俺の服を濡らしていく。そして周囲の空気が冷え切る感覚を味わいながら、狐子が口を開いた。

 

「其方が幼き頃……儂と結んだ約束……忘れてはおらぬな?」

「……〝大人になったら結婚して〟だったっけ……?」

「そう、だが其方は、一度死んだ」

「……ファッ!? え? 何で知ってるんだ!?」

「儂の手に掛かれば、其方の魂から何が起こったかを知ることなど容易いこと……」

 

 それから狐子は語った。

 

 俺の魂に僅かに残され電話越しに漏れ出した、あちらの自分の無念と後悔、憎悪と同調してしまい、今にも胸が張り裂けそうになるほどの悲しみに襲われていること。そして俺の家族に接触したのも最早手段を選んではいられないという決意の表れだったという。

 

「もう儂は手段を選ばぬ……! 人間は弱い……! すぐ死に、老い、朽ち果てる! だからこそ其方を、儂の所に連れていくことに決めた!」

 

 そう言うと狐子の尾が数を増し、やがて毛並みも黄色から白に変化した。それに伴い爪が伸びたり、周囲の空気が氷点下まで落ちたような感覚を覚えた。どうやら本気で俺をあちら側に連れていくようだ。流石にそれは勘弁してほしいと懇願する。

 

「……なぜじゃ?」

 

 そう言われたので、俺は咄嗟に

 

「一度死んだ身で確かにもう一度死にたくはない。けど、俺はまだやりたいことがある」

「やりたいこと……?」

 

「俺の配信を待っている生徒(リスナー)がいるから……悪いけど死ねない」

 

 それを聞いた狐子はポカンとした表情をした。そして張り詰めた空気を裂くように一頻り笑ったかと思うと、

 

「アッハッハッハ! ……あーあ……残念じゃった……『せっかく不老不死の空間に引きずりこもうと思っていたのにボソッ』」

「『おい今何て言った』」

 

 シリアスが有給休暇を取ったようだ。張り詰めた空気が完全に緩み、狐子がボソッとヤバいことを恐らく神代の言葉で呟いた。それに俺もチートをフル活用して答えた。するととぼけたような表情をしながら

 

「『別にー? このまま不老不死にして、ずっとヤることやろうと思っていただけだしー?』」

「『クソッ! 遂に本性表しやがったな駄狐!?』」

「『ええい! 待たされた分ここで儂が……!』」

「『おい、やめろ!? ちょ、ちょ待て! 服に手を掛けるな、破くなあああああ!!』」

 

 

「カー『草』」

「カー!『上位存在に勝てるわけないだろ!』」

 

 

 

 

「あら! お帰り二人とも……って、源吾どうしたの!? その恰好!?」

「……いや、ちょっと暴風雨に……」

「そ、そうなのですよお義母様! あの神社に局所的に暴風雨が巻き起こったのですわ!」

「そ、そうなの……って! その体の引っ搔き傷と噛み痕は!?」

「……これはそう……獣に……襲われて……」

 

 

 結論。

 

 数十年の思いと上位者を舐めてはいけないことを思い知らされた。多言語のチートがあってもどうしようもないことってあるんすね()




主人公
気付いたら外堀を完全に埋められて、攻略されていた。この度言語が通じても効果が無かったことを骨の髄にまで思い知らされた。
この後も元気()に配信をするようになった。飯が美味い。


狐子
キッちゃんと呼ばれていた天狐の類。
普段は黄色毛並みだが、興奮すると白に染まり、瞳孔が開く。
主人公の魂から主人公の前世かっらついて来た自分について知り、手段を選ばなくなった。結果主人公を理解させた。フフフ……F●X!
この後主人公の身の回りの生活を一身に担うことに。



イシノヴァ
主人公が分からされている頃、新たな娯楽として釣りを楽しんでいた。

人魚が釣れた。主人公のこと教えた。人魚、どこかに泳ぎ去っていった。どこに行ったのかはイシノヴァのみぞ知る。

Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?

  • 1:9
  • 2:8
  • 5:5
  • 8:2
  • 9:1
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