言語系チート授かったのでvtuber始めました   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます!

色々と試行錯誤しながらの作品ですが、沢山の評価と感想ありがとうございます!

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!

それではどうぞ!


第二部
多々買わなければ生き残れない!


「――ではこれで、ゲーム配信は終わりにします」

 

 

 リスナー:乙

 リスナー:嫁さん大事にしろよ

 リスナー:ミソジドクシンオーにならなくてよかったな

 リスナー:こいつら交尾したんだ!

 リスナー:↑やめないか!

 

 

 あれから暫くして、俺は社長含めた関係者に結婚報告をした。既に逃げられないことともし拒否をすれば間違いなくヤバいことになることを悟った俺は迅速に行動を起こしたのだ。最初こそそれはもう大驚愕されたが直に、相手はどんな娘だ、とかいつ結婚式を開くのだ、とか言われたりもした。そして、当時の俺たちが懸念していたことである「いつリスナー達にも報告するのか」を話し合った。

 

 話し合った結果は、結婚式を終えた後に報告をすることにしたのだ。社長曰く「君のガチ勢が結婚式当日に何するか分からないから、いっそ関係者だけの結婚式にして、秘密裏にあげればいいんじゃないか?」という意見に賛同した俺たちはお盆を開けてからすぐ式場を取った。その際初めて狐子と社長たちが顔合わせをすることになったが、良妻賢母モードの狐子にすっかりほだされ、俺の両親と同じような状態になった。

 

 

 ちなみに■■■■ちゃんは意外にも普通に祝ってくれた。そういうのでいいんだよそういうので……。

 

 そして式の際中、俺の家族や社長たちが座っている中、一部人間に化けている人外たちがいたりもしたが特に何事もなく済んだので本当に良かった。……明らかなオーバーテクノロジーを秘めた贈り物に関しては目を瞑ることにする。イムール星人、お前らの事やぞ。仮面なライダーでも見たのか、魔改造を施したバイクや、アタッシュケースに詰められたベルト紛いの物を渡された時は胃が悲鳴を上げたぞ。

 

 

 そしていざリスナー達に報告をした時、歓迎して祝福する声もあったが中には過激派と思われる連中や、それに便乗したアンチそして俺を叩きたいだけの邪な連中に目を付けられ一瞬で炎上した。俺も覚悟はしていたがいざ来るとなると心に来るものがあった。Twitterでは俺のファンとアンチが絶えずレスバを繰り広げていて、

 

 しかしそれも僅か3日足らずでそいつらのアカウントが全消去、そして凍結のコンボを受けたと知った時は何事かと驚いた。社長に聞いても「自分達は訴訟を起こすと告知しただけでそこまでやった覚えは……」と言われ、思わず脳裏にあの爬虫類の連中がピースサインをしている図が浮かび上がってきた。うん、俺は理解するのを止めた。

 

 そして俺の下に脅迫文が来たと思ったら狐子が虚無の表情で手紙を狐火で燃やして「今日の夕餉は何にするかの!」と笑顔で振り向いた時は更に恐怖した。狐子は人間なんかまともに相手にならない上位存在であったことをこの時改めて認識させられた。後日とある町中で突然発狂して警察に連行された無職の男がいたとか。

 

 

 しかし今はと言うと、今日の配信のコメント欄のように俺をいじるコメントが見られるが、特になんてことはない平穏な状態だ。何時ものように90分のゲーム配信を行ったり、時折コラボ企画をするくらいだ。

 

「ふぅ……今日の配信は終わりっと……」

「お疲れ様じゃ。ここにおにぎりと味噌汁作ったから一息吐かんかの?」

 

 そう言って狐子が配信を終わったのを見計らって2つのおにぎり(塩のみとしゃけ)と豆腐とわかめの味噌汁を俺の作業机の上においてくれた。こうした界隈で配信中のうっかり乱入を少し危惧していたが、狐子に限っては一度も無くそこはありがたいと思っている。

 

 皿に盛り付けられたおにぎりのしっかり効いた塩味が疲れた体に身に沁み渡り、そこに流し込まれる味噌汁の旨味がベストマッチだと思うのは俺だけではない筈。まだ夕食の時間ではない所謂間食だが、これをもっと食べたいと思う位には俺の胃は狐子に鷲掴みにされている。

 そして食べ終えた直後、スマホの通知が鳴った。そこには『収録2時間前』と記されており、この後午後3時から事務所で収録を行うことを思い出した俺は事務所の近くに引っ越したとは言え、流石に残暑と言う名のただの猛暑に晒されることに絶望しながら重い腰を上げて、準備した。

 

「其方、今日も残暑が一段と酷くなっておる。氷を入れた飲み物を水筒に入れておいたのじゃ!」

 

 とてもありがたい。俺は水筒をカバンに入れて家を後にした。

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

 

「――はい、皆さんごきげんよう。午前中から引き続き見てくださった方もごきげんよう」

「みんなー! スイスイだよー!」

 

 

 リスナー:オッスオッス!

 リスナー:スイスイちゃんきたー!

 リスナー:楽しみにしてました!

 

 

「まあコラボと言う名のごった煮枠ですので、どうか気軽にご視聴くださいませ」

「僕たちが声を当てたオリゴこと、オリジン・ゴッドをプレイをしていくねー!」

 

 

 リスナー:オリゴ呼ばわりは草

 リスナー:糖かな?

 リスナー:このゲームキャラゲーだから先生ヤバそう

 

 

 このゲームは所謂オープンワールド。広大な大陸を舞台にして各地の大国を奔走するゲームだ。このゲームの目的はこの世界に飛ばされた主人公と彼、もしくは彼女の相棒を探して元の世界に帰還するという目的なのだが、その過程で大国の抱える問題を解決したり、本作の売りの1つである魅力あふれる多様なキャラとの絡みや、そのゲームの細かな部分のこだわりが兎に角すごいのだ。

 そのこだわりと言ったら、ゲームの中で出現する敵が使う特殊な言語を設定していたり、あちこちにみられる遺物や深いシナリオなどの考察要素も盛りだくさんで、考察勢が日夜議論を交わしていることは耳にしていた。

 

 

 早速ゲーム画面を開き、キャラの背後が映し出される。スイスイの方は矢鱈豪華な衣装を纏っていたり、見た感じでも分かるくらいに強そうなキャラが控え合わせて4人いる。え? 俺? もちろん環境クラスだよ。……そこに掛かった費用は察してください。

 

「では早速やっていきましょうか」

「あっ、そうだ! ねぇ~先生? 今日が何の日か知ってる~?」

「今日が……何の日……?」

 

 突然猫なで声で俺に語り掛けて来るスイスイ。その表情には蠱惑魔のような笑みが浮かんでおり、恐らく碌なことではないと思いつつ、考えを巡らせる。

 

 

 リスナー:ヌッ!

 リスナー:↑おいおいおい、こいつ死んだわ

 リスナー:ASMR助かる

 リスナー:こちらも抜かねば不作法というもの……

 リスナー:お労しすぎだろ

 

 

「……さぁ、皆目見当がつきませんね……」

「ふっふーん! じゃあ、せ い か いわぁ~……」

 

 そう言ってスイスイが俺のコントローラーを操作する。

 

 

 リスナー:あ

 リスナー:メニュー……あっ、ふーん……

 

 

 メニューを開いて……? カーソルをガチャに……あっ(察し)

 

「今日は限定ガチャの日でしたぁ~♡」

 

 

 リスナー:草

 リスナー:おいおいおい先生死んだわ

 リスナー:ヒカリちゃんに10連続でじゃんけんで負けるような人やぞ

 リスナー:運以外の全てのステータスに極振りした男の末路か……

 リスナー:流 石 は じゃんけん最弱王ですね……

 

 

 そう、コメントでも言われている通り俺は運が致命的なまでに無いのだ。このゲームだってそう、俺の使っているキャラは確かに最高レアだが、これは天井まで回した結果の代物なのだ。俺の担当したキャラだって【限定キャラ完凸するまでやめれま千!】の生放送中にも関わらず天井まで回す羽目になったのだ。ちなみに内心ブチぎれた俺は生放送の現場で全凸するまで課金をした。六桁持ってかれたとだけ言おう。

 

 それに加えてvtuber対抗のじゃんけん大会があったのだが、結論から言えば最弱になったのだ。特にヒカリちゃんに関しては運で勝てる気がしない位には負けまくった。むしろ負け過ぎて八百長を疑われたが、試しに目隠しでやっても、趣向を変えてポーカーでもこっちがブタ(役無し)を連発するのに対して、ヒカリちゃんはロイヤルストレートフラッシュやファイブカードを出した。この時は流石に視聴者から同情された。

 

「せ ん せ い? 引きますよね? まさかここで日和るような先生じゃないです、よね?」

「……今課金することはできませんよ……?」

 

 

 リスナー:もう天井すること見越してて草

 リスナー:あ、悪魔じゃ……!

 リスナー:なぜだろう、先生程になると逆にメシウマじゃなくなるような……

 リスナー:全ガチャ天井した男やぞ

 

 

「先生、このプレートに見覚えはありませんか?」

「それは……『スイスイのミッションボード』ですね。……まさか」

 

 そう、この企画をするに当たって俺と視聴者以外に提示された、この企画を盛り上げる隠しミッションがあるのだ。これはスイスイの十八番芸で、何時もスイスイとの企画では俺以外も犠牲になっているのだ。他の後輩は……『中二病時代のポエム朗読』や『恥ずかしいこと暴露』等の到底人に見せられない、知られたくない秘密を暴露されていったのだ。ちなみにミッションは企画に沿ったものを基本的に出される。

 

「ふふふ……それでは第一のミッションを! こちら!」

 

 

【80連して限定キャラを出せ!】

 

 

「無理ですね」

「即答!? え!? これでも相当妥協した方ですよ!? 100連してSSR確定ですよ!?」

 

 無理なもんは無理。

 

 

 リスナー:諦め速すぎて草

 リスナー:先生の目死んでそう

 リスナー:終わったな……

 リスナー:恐ろしく速い投了宣言……俺でなきゃ聞き逃しちゃうね

 リスナー:今の内に先生のガチャ代っと……

 

 

 コメント欄から俺を憐れむ声と共に幾つかのスパチャが流れ込んでくる。中には俺の確率の酷さを知った海外のリスナー達もスパチャを投げてくれている。『お前やっば……』とか『俺の方がマシだと思う日が来るとは思わなかった』とか『神は彼に運を与えなかった。アーメン』とか言われている。

 

「ちなみに私が出さなかったら?」

「このゲームをプレイしている間、このゲーム独自の言語であるカムヤッチャ語で実況とプレイをしてもらいます」

 

「それくらいならどうにか……」

「え?」

「……なんでもありません。では回しますよ」

 

 驚愕しているスイスイを横目に俺はガチャの画面に行く。

 

「なに、80連もあれば流石に一体くらい出して見せますよ」

 

 

 リスナー:フ ラ グ 建 築 完 了

 リスナー:学びを知らなすぎる……

 リスナー:駄目みたいですね……

 リスナー:おう、この前のvtuber合同TRPGで10回ファンブルかましたこと忘れたのか

 

 

「生きて終われたのでセーフですよ」

 

 

 リスナー:なんでこの人ハッピーエンド迎えられたんだろうな……

 リスナー:言語学関係で全クリかましたから

 リスナー:1と100しかでないサイコロ使ってたのかと言わんばかりだったもんな……

 

 

「とにかく引きますよ」

 

 

 

 

「『いやー本当に最低保証しか出なかったのはきつかったですね』」

「ほ……本当にカムヤッチャ語を話してる……。この時の為に作ってもらった自動翻訳もばっちり反応している……!?」

 

 結論。最低保証しか出なかった。

 

 俺は罰ゲームでカムヤッチャ語で会話とプレイ縛りをしている。傍にはこのゲームの開発スタッフが作ったカムヤッチャ語翻訳機があり、常に俺のプレイ画面の下に翻訳された文章が流れている。そして俺は更に追加で課せられた罰ゲーム【外国の曲縛りカラオケ】で100点という地味にキツイ縛りを課せられたため、再びスイスイともう1人の追加枠とのコラボを近日に行うことになった。

 

「『というかあのプレート。完全に私不利じゃないですか』」

「え……えっと……流石に、先生でも80連あれば……」

「『私の運の悪さを舐めないで貰いたい』」

「なんでカムヤッチャ語かつそんなことでどや顔出来るんですかァ!?」

 

 

 リスナー:スイスイちゃん発狂で草

 リスナー:こうして再び新たな伝説が刻まれた……

 リスナー:不名誉なあだ名が増えていく……

 

 

「『いいですか? ガチャと言うのは当たるまで引けば100%なんですよ』」

「せ、説得力が違い過ぎる……! 負け惜しみの筈なのに……!」

 

 

 リスナー:重みが違い過ぎる

 リスナー:本当にただの負け惜しみなんだよなぁ……

 リスナー:流石幸運を捨てて言語に全振りしているだけあるな。面構えが違う

 リスナー:既婚者の発言か? これが……

 

 

 画面では俺のキャラとスイスイのキャラの放つ技やエフェクトだらけでとても賑やかになっており、敵の体力がみるみるうちに削れていく。これが……天井の力か……。この数十万円があったらゲーム何本買えるんだろうなと考えるとただただ虚しくなるだけなので、俺はそれを考えないことにした。

 

 そして画面では数と質量の暴力で爆☆散☆した哀れなボスの姿があった。

 

「『ふぅ……一先ずボスは討伐できましたね』」

「あのー……そろそろいいですよ? 先生。日本語で喋ってください」

「おっと、そうですか」

 

 リスナー:マジでカムヤッチャ語で乗り切りやがった……

 リスナー:事前に勉強したにしても凄すぎる

 リスナー:もうコイツ一人だけでいいんじゃないかな

 リスナー:↑いや、先生の運を相殺できる人物がいないと……

 

 

「それでは、今日はここまで次回もお会いしましょう」

「みんなー♡ ばいばぁーい♡」

 

 

 リスナー:おっつ

 リスナー:乙

 リスナー:最後に心臓に来るのやめてスイスイちゃん

 リスナー:運ばかりは……科学では……

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

 配信を終えた帰り道、俺は狐子に何か買ってあげるかと思い、近くのスイーツ店に寄った。

 

「あ」

「おやおや、お久しぶりですね」

 

 イシノヴァがいた。その手にはスイーツが詰められた袋が握られていた。見た感じでもかなりの量が入っていた。

 

「イシノ……石星か、結構買ったんだな」

「ええ、ここは安くて美味しいと小耳に挟みましてね。この後楽しみにしてます。立ち話もあれですし、どうです? ここの店の席に座りません?」

「そうだな」

 

 俺は店員さんに狐子に持っていくようのスイーツと俺用のスイーツを頼んだ。店員から出されたお茶を飲んだイシノヴァはというと

 

「『そちらはどうです? こちらは最近やっと山場を越えることが出来て一安心ですよ』」

「『まぁ……大分前の騒動よりかは落ち着いたかな』」

「『それは良かったです。私も最近新たな趣味を見つけましてね。釣りなんですけど』」

 

 そう言ってイシノヴァはスマホの写真を見せてきた。

 そこには幾つかの小魚と魚についてあまり知らない俺でも知っているブリやクロダイが並んでいた。かなりの大きさだ。

 

「『お前、これ釣ったのか!』」

「『思ったよりうまく行きましてね。あとそうそうこれも……』」

「『ほう…………ううん!?』」

 

 次に映し出された写真には緑色の髪をした女性の…………人魚がいた。え? 人魚?

 

「『おま、おま、お前ぇえええ!?』」

「『私も驚きましたよ。やけに強い引きで釣竿が折れそうになったので、思わず全力を出した所これが釣れたので、思わず体の全細胞が一瞬フリーズしましたよ』」

「『人魚って釣れるもんなの!?』」

 

 俺が驚愕していると、イシノヴァはあることを告げた。

 

「『実はですね……この人魚……地上の歌という物に興味を寄せておりましてね。時折地上から聞こえてくる歌が気に入ったようで……』」

 

 そして、と付け加えて更に告げた。

 

 どうやらこの人魚は〝地上の言語〟で自分たちの言語の歌を歌いたい……つまり、海の底の歌を言語化して広めたいという。……要するに翻訳して欲しいと…………あっ。

 

「『……いやな予感がする』」

「『その嫌な予感は当たってます。彼女に、貴方のことを教えました。彼ならばアナタの言語も分かるだろう、と』」

「ハァアアアアアアアア!?」

「お客様!? どうなさいました!?」

「あっ、いえ、何でもないです……すいません……」

 

 驚く俺を余所眼に、イシノヴァはスマホである記事を提示してきた。そこには【マルチ+スイスイ+???のカラオケ企画】と書かれていた。これは俺の罰ゲームが執行される企画だが……。

 

「『ここだけの話。この???の子が彼女なんですよ』」

「『……は?』」

「『私が遭遇してからすぐに、善は急げと言わんばかりに貴方のことを調べて、同じ事務所に向かったようですよ』」

「『…………は?』」

 

 厄介ごとが増えた……。ドウシテ……?




主人公
この度籍を入れることになった。式の際中、視界に映る人外が何かやらかさないかと心配していた。
その幅広い()伝手で祝いの品が届いた。一部オーバーなテクノロジー機器が届き、胃を痛めた。
ガチャとか実力でどうこうできない類のゲームはマジで苦手。天井しか知らない。


狐子
大 勝 利

スイスイ
主人公のあまりの運の悪さにキャラがすっぽ抜けた。しかし素の状態を出したのにも関わらずチャンネル登録者が伸びた。喜んだ。

Vtuber要素と異種族要素の比率はどちらが読みやすいですかね?

  • 1:9
  • 2:8
  • 5:5
  • 8:2
  • 9:1

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