パン!
頭部の大部分を失った異生物の渾身の一撃は凄まじく、ガーべと名乗った四課生は先のビルに凄まじい勢いで激突、今までの物とは比べ物にならない一撃。
異生物はその一撃を放った後倒れ込み絶命。
私も気絶してしまった。
目を覚ました時には空ではなく、知らない真っ白な天井が見えた。
どうやら私は丸一日眠っていたらしい。
すぐさまあの弾き飛ばされた四課のガーべ君の安否を看護師に問いかけた所。
「確か左腕腕を『骨折』してましたね」
「え、それだけ?」
「?、はい」
彼は人間なのだろうか?
戦闘四課の規格外な能力を身にしみて感じた出来事だった。
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「いやー、災難だったね」シャクシャク
「いやマジで、災難なんてレベルじゃないっスよ、てか喋りながらりんご食べんのやめてください果汁飛んでますって」
りんごを丸齧りでシャクシャク食べる女はあの朝二日酔いで潰れていた先輩、ドウ・ラン。
折れた左腕を摩る。
あの後俺はビルを4坪貫き5坪目のビルに突っ込み一瞬気絶したが、すぐ意識を回復し自分の足へ病院へ行った。
診断結果は『骨折』。
最低な日だ。痛いし、腕動かんし。
そんな最低な日も気付けば昼時、俺はドウ先輩に昼飯を誘われ、今その飯屋に向かってる最中なのである。
「二日酔いは大丈夫なんすか?」
「ん?あぁ、二、三回吐いてだいぶマシになったよ」
「そっちの腕は?痛い?」チョンチョン
「痛いに決まってんでしょ…てマジで、小突かないで下さ痛い痛い痛い」
「あはは、やっぱガーべ君のリアクション面白いな、芸人目指したら?」
「しばくぞ」
先輩と話つつ歩いてると、先輩の足が『腹がなる象』という店で止まる、いやなんの店なんだ。
「ここ、なんの店なんすか?」
「まあ、入ってみりゃ分かるよ」
店に入ると一人歳の行った爺さんが一人厨房でタバコを吸いながらテレビを見ていた。
「いらっしゃい」
カウンターに座ると先輩はラメーン二つを注文し渡されたお冷をすぐ飲み干した。
『昨夜、リンカ市にて『白面』が出現し遺物を持ち去った事件でーー』
「へー、また出たんだ」
「らしいっすね、マジで。おっかないなあ」。
『白面』。
最近活動が活発化している最上級遺物犯罪者。
そいつについてわかってる事は二つ。
『旧文明人の技術を扱うことができる』事と『祝福者である』ことだけ。
その能力、身元が一切不明なのだ。
本部も手を焼いているようだ。
「次は私たちの担当地区に来たりしてね」
「フラグですか?」
その後はラメーンを食って寮に戻り適当に療養した。
腕は三日で治った。
あ、後あの時助けた三課の女隊員からお礼を言われた。
割と可愛い顔してた。
連絡先は交換する勇気がなかった。
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深夜、ガドール戦闘部女子寮の一室
彼女、ドウ・ランの部屋には一面に写真が貼り付けられていた。
とても異様な光景である。
しかも写真達は一貫して、ある男を写していた。
その顔はガーべ・ラリルとよく似てはいるが、所々違うので別人であることが窺える。
「…お兄ちゃん…会いたいよ…」
彼女がそう譫言のように言葉を小さく発しながら凝視するパソコンのデスクトップにも、その男を写した写真でいっぱいだ。
「あぁ、でももう少しで会える気きが、えへへ、するなぁ、ねぇ、お兄ちゃん?」。
その吸い込まれてしまいそうな光のない真っ黒な目は、もはやその男以外、写してはいなかった。
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