悪性隔絶魔境新宿────クリア後。
何故か正装に身を包み……綺羅びやかな飾り付けが施されたホールに居た。物事は色々と収束するらしい、本来ならばセイバーオルタにジャンヌダルク・オルタと"踊る"と言う事が起こる部分を無かった事にして──どころか、二人のオルタと一切関わらずに終わった亜種特異点。
──しかし。
何故だか、その辺の記憶を持っていたりする王様に「"今度は男女で踊るぞ"」と言われてしまえば、マスターは「ハイ」としか言えるわけもなく。
確して、カルデアの中でも一際広い空間である────そこにて開催される旨となったのだ。
「では、一番は私だ」
黒いドレスに身を包んだセイバーオルタがホール中央に居る、マスターの前に立つ。
「宜しくね」
「あれから時間が経っている、上手くなっていなかったら……明日からダンスレッスンだ」
それは、勘弁してほしい。
音楽が流れ始めて、踊り始める。足の運びに気を付けつつも、固い表情にならないように。そうして……今生にての初めてのダンスは終わりを迎えた。
「ふむ……"前よりも良かったぞ、マスター"」
「ありがとう、オルタ」
離れて行く彼女を見ながら、それとはすれ違う様に入って来るジャンヌダルク・オルタにすれ違う前から口を開いて応酬される言葉の数々。普通以上に頭痛がする……そして、そんな中肩を怒らせて不機嫌顔の彼女が目の前に来る。ドレス姿の彼女を見るのは、"実に二度目である"のだが──。
「ドレス、良く似合ってるね」
「──当たり前でしょう。さ、踊るわよ!」
手を取り、嘗てのように踊り始める。とは言え、彼女と正装でしっかりと踊るのは初めてである……彼女に自分はどう写っているのだろうか。
「ふふ、良くお似合いよ、"マスターちゃん"」
「それは良かった」
彼女からの呼び方で言われているのなら……大丈夫だったと判断し曲の終わり迄踊る。そうして終わりと共に彼女もホール中央から外側へ。
「踊りたくなったら何時でも言いなさい」
「うん、ありがとう」
物事は、収束する。これにて終わり──
に、なる筈もなく。
今回の亜種特異点にて大金星を上げた、"竜の妖精"、その人型時──メリュジーヌ。彼女が気に入っているドレス(ニ臨時の)、それを着てマスターの元へ歩いて来る様に……普通に見惚れてしまう。
「待ちに待っていたよ、マスター」
「ありがとう、メリュジーヌ。ドレス、良く似合ってる」
「この服はボクもお気に入りだから、マスターにそう言ってもらえて嬉しいよ」
「それじゃ、メリュジーヌ」
「うん、"ボクだけのマスター"」
手を取り、踊り始める。
対面して踊り始め──背丈の差はあれど、全く問題なく。それどころか前二人と踊るよりも明らかに踊りやすく、ステップミスも全然起こりそうもない。彼女が上手くリードしてくれている、本当に良く尽くしてくれて最高に頼りになる存在だ。
軈て、そろそろ曲が終わりを迎えそうになる所で──何やら"物陰に居る人物がマスターに片目を閉じてきた。"
「もう終わっちゃうね……凄く凄く残念」
「そう、だね」
マスターと二人で踊れるのは非常に嬉しいが、それが僅かばかりであると言うのは寂しくもあり……もう少しこうしていたいと思うのも無理からくもなく──
──果たして、"曲は代わって続きを奏で始めた。"
それも、此れは……チークタイムである。
「──マスター!」
「うん、メリュジーヌ」
先程より穏やかで緩やかに、加えて密着度も高く。
「温かいね、マスター」
「そうかな」
「うん」
和やかにお互いを見つめ続けながら踊る二人。
……それとは別に
『アレはどういう事だ(よ!)』
とある眼鏡の紳士に詰め寄る……二人の姿が。此方も起こるべくして迎えた収束である(愉悦)
まあ、そちらについては置いておくとして──
「ふふっ、何がどうなってかは置いておいて……君と少しでも長くこうしていられるなら、それだけでボクは嬉しい」
「うん、俺もかな──」
それから、前二人の倍以上の時間密着して過ごしたメリュジーヌは終わって、前二人に対して──ふふん、と言う感じを、醸し出し……オルタ二人組みからは暗黒のオーラが迸っていた。
◇◆
さて、次は誰なのだろうと思っていると……。
「マスター、わたくしめに御座います。どうぞ宜しくお願いしたく」
道満でした(白目) 今さっき迄踊っていたメリュジーヌとの身長差はマスター側が高くサーヴァント側が低い……と言う風だったが、今度はサーヴァント側が高くてマスター側が低いとなってしまった。しかも、男同士で踊るとか……それってどうなの? と思ってしまう。しかし、芦屋道満は今回他のサーヴァントたちと共に実によくやってくれたのだから……端的に言って、少しくらいのお願いは叶えてあげたいとも思うのだ。
「男同士でもいいの? 道満」
「ンンン、そこは勿論良いですとも! ですが──確かに見た目的にアレかも知れませぬ……故に、この芦屋道満に一つお任せあれ!!」
──……。
何となく思っていた、"此れもこうなるのだろうと。"
「ふ、ふふふ、ンンンンンン! お似合いですよ、我がマスター!!」
赤色系のドレスに、長い黒髪、そして……施されたるは完璧なメイク。
『きゃー! マスター、こちらを向いてください!!』
ダンスホール中央の周りに集う他サーヴァント、そこから焚かれるフラッシュの嵐。
「マスター! 是非ともこちらを向いて頂きたい! そう、そんな感じで!! 次は──」
多くのサーヴァントたちからの黄色い声援に、カメラが趣味となった聖人から、目線やポーズの注文が来たり。周りがすっかり変に白熱していた……。
「……道満、踊ろうか?」
「はい、是非とも!」
手を取り、ステップを踏む。踊り始めてどうなるかと思ったが……以外や以外、何とも踊りやすい。
「それは良うございました。この芦屋道満、マスター殿に不自由などさせるつもりはありませぬ故」
「そっか……ありがとう道満」
「はい」
このやり取りが、正しいかは別として……彼に助けられているのはそうなのであるからして、これくらいならばとも思うマスターである。
「実に良き経験でした、マスター」
「此方こそ、何時もありがとう道満」
「勿体なき御言葉を」
離れて行く道満の後ろ姿を見つつ、この流れからして次はと思っていると。彼女がゆっくりとゆっくりとこちらに向かって歩いて来る……その身に纏うは、カルデアに初めて来た時の物でもなく、ユガや妖精國で見た時の物でもない。
全くの今回の為の新作。
「どうでしょうか、マスター」
「とても良く似合っているよコヤンスカヤ」
そう言われて彼女も嬉しそうにしている。
「それより……この格好だから着替えて来るね」
「いえいえ、そのままで結構でございます。どうかお気になさらずに」
先程道満が施したそれにより今もまだ女装姿のままなのだ。流石にこれではと思い、着替えようとしたら何故だか止めてくるコヤンスカヤ。なんでかな? とも思うが……本人が良いと言うならばと彼女の手を取り踊り始める。
「コヤンスカヤ、上手いね……ダンス」
「お褒めくださり、ありがとうございます。ですが、これも──淑女の嗜みと言うもので御座いますわ」
改めて、彼女のスペックの高さを思い知らされ、そう言えばうちのサーヴァントたちは皆高スペックばかりであり……自分も頑張らなければと思う。
そして、曲が半分に到達した……
──途端。
「それでは次にございます」
「え?」
コヤンスカヤのそんな一言で──自分が身に纏っていた赤色系のドレスも、長い黒髪も、そしてメイクも全てが消えて……元の正装した、藤丸立香(男) へと。
「それでは引き続き私のお相手をお願い致します、マスター」
「うん」
こうして、今回の亜種特異点で解決に向けて活躍したサーヴァントたちへのマスターからの感謝のお返しは無事に終わった。
若干、そうでは無い感じの存在も居ましたが……まあ、そこはご愛嬌。
(終わり)
「はい、毎度ありがとうございます。いつもいつも皆様に素敵な素敵な商品を御紹介&販売致します、NFFサービスに御座いますれば……今回は、ななな何と! 目玉商品も目玉商品! 我が社が独自の技術を持ってして開発したこのゴーグル装着をすれば、マスターがご購入された方の名前を呼んでくれながら二人切のダンスを何度でも体験出来ると言う、大変な優れもの!! 今ならば此方のお買い得価格にて販売させて頂いております。あ、ただし、ただし〜、お買い得価格は本日限りとなっておりますれば……どうか皆様、奮ってのご購入を、ご購入を〜!!」
(今度こそ本当に終わり)
ありがとうございました。