剣に生きた人生をもう一度と願うのは間違っているだろうか   作:お刺身弁当

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小「なぁ武神よ」

タ「どうした?」

小「最近虫取りに出かけておらぬが、飽きたのか?」

タ「何を言っているんだ小次郎殿…?もうそんな季節ではないぞ」

小「何…?」


第9話

誰かが待ちに待ち、誰かは不安を感じ、誰かはいつも通りにその日がやって来た。

「…いらっしゃい」

「じゃが丸くん炎のチーズ味を3つ包んでもらえるかしら」

「…承知。炎のチーズ味が3つ…お待たせした。気をつけて帰られよ」

「はい、有難うね。お兄さん美形なんだから笑顔が見られるとオバちゃん嬉しいわ〜」

「…生憎と、そのようなサービスはやってないのだが…」

そう言いながら呆れた様な困った様な薄笑みを浮かべ初老の女性に応える。

「あらあらあら〜いいじゃないイイじゃない!そういうのがあると嬉しいのよ〜!それじゃ、また来るわね」

小次郎の対応に満足した婦人は笑顔で帰っていった。

ミステリアス侍は短い期間で接客限定の対マダム特攻を習得し、じゃが丸界隈婦人部にて絶大な支持を得ていた。

(いつの間にか、小次郎君がマダムキラーになってる…)

ちなみに男性冒険者にもウケは良く、出店が暇な時は適当な雑談相手として情報を頂きながら、上級冒険者でも下級冒険者でも態度を変える事なく対応している。

最初こそ突っ掛かられたりもしたが、日が経つにつれ此方から話さずとも向こうから話題を振ってくる様になっていき、ほぼ適当に相槌を打ち偶に質問を挟みながら話を聞いてるだけで満足して帰っていく。

近い将来、接客限定の対男性冒険者特効も習得するのは不可能ではないだろう。

いや、もう既に習得しているのかもしれない。

 

 

そしてじゃが丸先輩ことヘスティアが開発した新商品は本日も売れに売れていた。

新商品開発とその売り上げを評価されたヘスティアはアルバイトから出店の新商品開発担当になりお給金大幅アップ。無事貧乏女神から一般女神(眷属0人)に格上げされた。

なお、小次郎のお給金は据え置きとなっている。

まぁ当然と言えば当然だろう。

 

ヘスティアは新商品の権利を主張せず出店のオーナーへと譲渡した様でオーナーは「今後も宜しく頼んだZE☆」と瞳を金色に輝かせながら狂喜乱舞していたらしい。

そして出店の看板女神兼開発担当にスピード出世を果たした女神はというと

「うーーーー…夕方まで在庫持つかなぁ〜…」

ツインテールをウネウネと動かしながら(神力なのかは不明)女神は唸っていた。

ヘスティアが新商品を開発してから足を運ぶ客数が目に見えて増加しており接客は小次郎、ヘスティアは在庫の確認、じゃが丸くんの準備などを担当し忙しなく動いていた。

 

一通り客を捌き切ったヘスティアは一度休憩へと向かい小次郎一人で業務をこなしていた。

「…またのお越しを」

「おう!またな剣士の兄ちゃん!女神様にもいつも美味いじゃが丸くんをありがとうって伝えといてくれ!」

「承知、女神ヘスティアもそれを聞いたら喜ぶ事であろう。必ず伝えよう」

「おう!」

冒険者の男性を接客し終えた小次郎は次の客を対応すべく前を向いた。すると昨日出会った「少年」、フィンとその主神らしき女神が立っていた。

「やあ、小次郎。また会ったね」

「…フィン殿か、隣にいるのは女神だろうか」

「…!!よう聞いてくれた!ウチがフィンの主神のロキや!よろしゅう頼むわ。フィンから聞いていたよりええ男やないか!!ウチの眷z…むぐぐぐ…」

隣に立っていたフィンは女神の口を押さえる。

「ロキ、今日はそういう話をしに来たんじゃないだろ…小次郎じゃが丸くんのプレーンを3つ、小豆クリーム味を1つクリーム多め小豆マシマシ、炎のチーズ味を5つ用意して貰えるかな」

「…承知した。プレーン3つ、小豆クリーム1つトッピング有、炎のチーズが5つ…それとフィン殿、そろそろ女神を開放した方が良い」

「おっと、忘れていた。すまないね、ロキ」

「むぐぐぐ…っぷはぁ!し、死ぬかとおもた…」

不憫な女神だと小次郎は素直にそう思った。

女神ロキ、オラリオ二大派閥の一角ロキ・ファミリア、その主神である。はずなのだが、この扱いを見ると大派閥を従える女神には全く見えない…見えないが神であり己が主神のロキにここまでやれる程の信頼関係と長い付き合いがあるのだろうと小次郎は思った。

「…注文は承った、それで、此処に足を運んだのはそれだけか」

代金を受け取り、注文されたじゃが丸くんを準備しながら小次郎はフィン達に問いかける。

「あちゃ〜バレとるか、まぁええわ。自分、昨日はフィンが世話になったらしいやないか。主神として感謝するわ。有難うな。」

「僕からも礼を言わせてもらうよ、小次郎昨日は助かった。ありがとう…そして改めて自己紹介させて欲しい。僕はフィン、ロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナだ。」

フィン・ディムナ、ロキ・ファミリアの団長にしてオラリオ数少ないレベル6であり【勇者】の二つ名を持つ槍の名手。小人族の星とも言える英雄の中の英雄。(異世界人でも理解る!迷宮都市の常識!:タケミカヅチ[著]より引用)

「…そうか、私は勘違いしていた様だな。童として扱った無礼、許して欲しい」

「ハハ、僕は気にしてないさ…それでここからが君を尋ねた理由なんだけど。一度僕たちの本拠まで来てもらえないだろうか?僕達はこう見えてそれなりに大きいファミリアでね、助けてもらったのに礼もしないとなるとファミリアの沽券に関わる。世話になった身で厚かましい事この上ない話だが、頼む」

「ウチからも頼むわ。道場の宣伝ってだけじゃ安すぎるからな…その話も詳しく聞きたいところやし…この通りやわ!(…それに本拠に連れてくることさえ出来ればゲットしたも同然や!ゲッヘッヘ…)」

(頼む小次郎、今のロキの顔だけは見ないでくれ…)

何もかもが台無しになる程の悪辣な笑みを浮かべている主神に対し、締め落とした方が良かったかと不敬極まりない感情が芽生えそうになるフィン。

偶然なのか小次郎は、注文されたじゃが丸くんを包んでおり隣の悪神の顔を見られずに済んで内心ホッとしていた。

(あれこれ理由を付けて来るかと思ったが。…此方も童と扱った無礼もある。態々敵に回す必要の無いものまで敵にする事は得策では無いな)

じゃが丸くんも包み終わり、質問に答えるべく顔を上げると

「その話d「ちょーーーーーっと待ったァ!!!」………」

そこに現れたのは休憩中であるはずのじゃが丸開発の女神ヘスティア。

「嫌な予感がすると思ったんだよ!!やっぱりロキ!キミか!?!」

「こっちの台詞やわドチビィィ!!!やっぱり現れよったな!!」

 

ぐちゃぐちゃである。

 

小次郎とフィンは場外乱闘へ発展寸前の女神を一瞥すると向き直り

「…いつもあの様な感じなのか」

「そう、らしいね。話には聞いてたんだけど、うん…人目に付く場所では控えて欲しい所なんだけど…」

フィンはアハハ…と乾いた笑いを浮かべ、何処か遠くを見つめている。

団長である彼のストレスは計り知れないものがあると内心同情する小次郎だった。

「…それで、さっきの話なんだけど」

「…其方の本拠には足を運ぶとしよう。敵に回す必要の無い勢力まで敵に回す程私は物好きでは無い」

「ハハハ、そう言って貰えて良かったよ。日程は小次郎、君に合わせる。都合の良い日があれば教えて欲しい」

「…4日後。そちらの本拠に向かおう」

「分かった、それじゃあ4日後に準備して待っているよ」

 

具体的な時間なども決め、注文されていたじゃが丸くんをフィンに手渡す。

 

「…で、アレはどうすればいいのか」

「…………とりあえず止めようか」

ツインテールを逆立たせる珍獣と糸目の怪獣をそれぞれが引き剥がしこれにて珍獣大戦争は終結。

「これで終わったと思うんやないでドチビ!ウチは必ず!次こそは決着をつけたる!それまで首洗って待っとけやぁぁぁぁぁ…‼︎」

ビシッとヘスティアを指差し高らかに宣言する女神ロキ。

「ロキ、お土産も買ったし用事は済んだから帰るよ…それじゃ女神ヘスティア、小次郎。また来るよ」

…眷属である少年(42)に引きずられていなければ格好は付いただろう。きっと、多分、それなりに。

 

ガルルルル…と未だ珍獣モードな女神は放置して接客を再開する事にした小次郎。

「いらっしゃい」

「じゃが丸くん炎のチーズ味とやらを4つほど頂けるか」

「…承知、炎のチーズ4つ。少々お待ちを」

暫くすると珍獣も女神らしさを取り戻し、小次郎を休憩に向かわせ入れ替わりで接客に入る。

「いらっしゃい!ってミアさんじゃないか!…ボクのおすすめはね〜…えっ?ミアさんのお店に炎のチーズ味を⁉︎」

 

休憩に入った小次郎はじゃが丸くん炎のチーズ味を片手に出店近くの木陰で休んでいた。

(うむ、やはりこの新商品は美味だ。…山門に縛られているだけだった私が人の世界を歩ける事、感謝せねばな)

じゃが丸くんを食べながら行き交う人の群れを見つめる。

この世界は不思議だと、小次郎は改めて思う。

人間以外の種族、神の存在、ダンジョンという大穴、神の恩恵、考えたらキリがない程にこの世界は新鮮で面白い。

生活自体には慣れたといってもいい。

客の冒険者や一般人に受け入れられ、ヘスティアに比べたら少ない会話だが此処で生活を営む様々な種族との会話は興味深く、同時に楽しかった。

神々は見慣れ、聞き慣れた事であっても異世界からやってきた小次郎にとっては未だ未知なるモノが多い。

だからこそ人の往来の多い場所に建つあの出店は、小次郎にとって重要な拠点でもあった。

生活費と借金返済に必要な職場でもあるが、それ以上にこの世界に生きる様々な種族(偶に神々)から得られる情報や噂は貴重だ。

今はまだ、ファミリアに属しダンジョンへ潜る気などはしないがいつかその時が来たら有効活用できると小次郎は思っている。と不意に声をかけられた。

 

「…おい」

「私に…何用か」

振り向くとそこには筋骨隆々な猪人が立っていた。

鋼の様な肉体を持ち、背は小次郎よりも高くおそらく200Cは優に越えているであろう長身の男。

 

「小次郎…というのはお前か」

「……如何にも…それで、私に何用か」

 

「ある御方がお前の事を気にかけていた。それに足り得る人間か、確かめさせてもらう…」

 

「…そのある御方とやらにそう指示された、と此方は受け取るが良いか?もしお前の独断であるならば、態々出向いてもらって悪いが今はバイトの休憩中だ。日を改めて参られよ…私は基本そこの出店とこの道場にいる…」

 

そう言いながら、持っていた大量注文用の紙に道場の場所をメモし猪人の男に手渡す。

 

「…明日はバイトで居ないが、明後日ならば時間はある。この続きは道場で聞こう…」

「…………」

 

猪人の男は、メモを受け取ると何も言わずに去っていった。

 

(………ふむ、大方あの女狐めの眷属か、私兵…といったところか。素直に出直すのを見るに、警戒する必要はあるまい。…と、そろそろ時間だな。戻るとしよう)

休憩を取り終え出店で孤軍奮闘しているヘスティアに合流すると、お互い休憩を取りつつ無事閉店まで客を捌き続けた。

 

 

 

(…………なるほど、フレイヤ様が気に掛けるのも頷ける。纏う雰囲気が普通すぎる異質な男…見極めさせてもらうぞ)

 

猪人の男は2日後の約束を主神に報告すべく、足早に本拠へ向かっていった。

 

「…へぇ。あの子に会ってきたの…」

 

 

「勝手な行動、申し訳ありません…」

「良いのよオッタル、そろそろ私も会いにいってみようかと思っていたの。それで2日後にこの道場に行くのよね…?」

「はい」

「オッタルが私以外の子の言うことを素直に聞いて帰ってきちゃうんだもの、もっと興味が出てきたわ…ねぇオッタル。2日後、私も行くわ…」

「分かりました」

 

(フフ、小次郎、だったかしら…2日後の貴方は……どんな色になるのかしら?この出会いが素敵なモノになれば良いのだけれど)

 

 

 

閉店作業も粗方終わり、小次郎はそろそろ帰るかと思案していると

「ねぇ小次郎君、この後って予定はあるのかな?」

ヘスティアからこの後の予定を聞かれる小次郎。

「…特に無いが、何故だ」

「実は、神友に新商品開発おめでとう会を開いて貰える事になったんだけど折角なら…小次郎君も一緒に来てくれないかなぁって…」

「ふむ、そうだな………分かった。私も同席させてもらおう」

「……ホント!?わーい!やったーー!それじゃ小次郎君、ボク急いでオーナーに売上と報告して来るから少しだけ待ってて!」

ツインテールをピョンピョンとさせながら小走りでオーナーの元へ向かうヘスティアを見送りながら、小次郎は壁に寄りかかり星を眺めながらヘスティアの帰りを待つ。

暫くするとヘスティアが戻って来たので、神友の待つ酒場へと足を運んだ。

「いらっしゃいませニャー!2名様かニャ?」

「へファイストスが席を取ってくれてると思うんだけど〜…」

「あぁ、へファイストス様と同じお席かニャ!だったらこっちニャー!へファイストス様のお連れ様をお席までご案内しますニャー!」

酒場[豊穣の女主人]へ訪れた二人は猫人の女性店員に案内されへファイストスの待つ席までやって来た。

 

「遅いじゃ無いのヘスティア!約束の時間…ってあら?その隣の子は?」

「ごめん!閉店作業にちょっと時間かかっちゃって〜…っとこの子は〜」

「………女神ヘスティアよ、自己紹介くらいは自分で出来る…お初にお目にかかる…女神へファイストスよ。私の名は小次郎、最近オラリオに流れ着き、今は女神ヘスティアの働く出店の後輩だ。よろしく頼む」

先輩ムーブをかましたかったヘスティアは、むぅーーーと唸りながらツインテールをゆらゆらと恨めしそうに揺らしている。

「貴方がヘスティアの言ってた新人君ね。私はへファイストス。へファイストスファミリアの主神をしているわ。よろしくね。ほらヘスティア、いつまでいじけてるのよ、さっさと席に座って貰わなきゃ始まらないじゃないの」

「むぅうう〜〜…ってそれもそうだね、ゴメンゴメン」

我に返ったヘスティアはへファイストスに促され席に着く。

「小次郎君、キミはお酒を飲むのかい?」

「…嗜む程度だな。だが今宵は祝いの席だ、ならば私も酒を頼もう」

「良い後輩君を持てて先輩は嬉しいよ…」

感動するヘスティアといつも通りの小次郎は酒を注文し、へファイストスも追加の酒を店員に注文していた。

注文を聞きに来たエルフの店員が少し小次郎を見て固まっていたが、気のせいだろう。

無事3人に酒が届き静かな祝いの宴が始まった。

「それじゃ、簡単な挨拶も済んだ事だし。ヘスティア、新商品開発担当就任おめでとう。」

「おめでとう、女神ヘスティア。そして出店では色々と世話になっている事、改めて感謝する」

「うぅ…へファイストス…小次郎君………ありがとう!!!」

「……それでね!次はこんな新商品を…」

「小次郎くんはね〜もう少し口調を何とかすればもーっと人気出ると思うんだ〜!!」

ヘスティアもといじゃが丸くんの神様の新商品案や、出店での楽しい話も一通り落ち着き。

追加の酒を人数分注文し終えた時、

「…小次郎君、貴方の持っている武器?なんだけど…」

席の端に立てかけられた長刀を見ながら、へファイストスが口を開く。

 

「……コレか…オラリオでも刀はさして珍しくもなかろう…」

 

 

「うーん確かに…打刀に太刀…オラリオには、色々な刀と呼ばれる武器は存在しているわ。でもね、そこまで長い刀は見た事ないわね…見せてもらっても良いかしら?」

 

「……無論、女神ヘスティアの神友となれば悪事を働く事もないだろう。故に断る理由はない。」

 

そう答えるとほぼ同時に小次郎の持つ刀に飛びかかっていった。

「……小次郎、ごめんね…へファイストスは珍しい武器に目がないんだ…」

 

「私は構わぬ、鍛冶の神ならばこの長刀…どう映るのか気になるからな」

 

「すごいわね…この刀、小次郎君はどこでこの刀を?」

鞘に収まった状態でも業物であろうと確信していたへファイストスは、刃こぼれ一つない美しい刀身見て思わず喉を鳴らす。

 

「……幼き頃に出会った剣聖から譲り受けた物だ」

 

「そう…この刀を打った刀匠を知っていたら、是非会ってみたかったのだけど…難しそうね。ありがとう小次郎君、凄く良い刀よ。…正直、ウチで買い取りたいくらいにはね」

 

 

「へ〜〜へファイストスがそこまで言うなんて、凄い武器なんだね〜」

何処か呑気なそうなヘスティアは、一瞬だけ感心を向けるが再び料理と酒の世界に戻っていった。

 

「そうか…有難い話ではあるが買取は勘弁していただきたい。多少なりとも愛着があるのでな。……ところで女神へファイストスよ、この刀が折れた場合は修復も可能か」

 

「極東の名匠であろう人物が打った作品を汚してしまうのは申し訳ないけれど……可能だと思うわ。これでも鍛冶を司る女神なのよ。」

 

ふふんと少し誇らしげにへファイストスは小次郎の質問に応え

「…まぁ今のところ冒険者になる予定は無いみたいだし、早々折れるとは思わないけどね。…という訳で刀を振る予定が無ければたまぁ〜にその刀見せてほしいのだけど」

 

お目々キラキラで何処かの服屋の神みたいな発言をする女神を見てコイツもか…と少々ゲンナリしてきた小次郎、目の前で食を楽しんでいるじゃが丸女神みたいな神々ばかりであれば…と思わずにはいられない。

 

「…機会があれば、そうしよう。ただ、私の愛刀を預けるのだ、代わりの獲物くらい都合して貰わねば預けられんぞ」

 

「そうね、それくらいは当然させて貰うつもりよ…(見せて貰うだけだったけど貸してもらえるなんてラッキー!!!)長さは…152Cくらいね。代わりの武器が完成し次第小次郎君に届けるわね」

 

料理と酒そっちのけで、話を続ける鍛冶の女神に内心引き気味の小次郎は

「……………そうか、だが今日より7日程はこの長刀を貸し出す事は出来ん。其処は了承してくれると助かる」

 

「えぇ、勿論。小次郎君の都合が良い日に、バベルまで足を運んでもらう事にはなるけど、眷属達には伝えておくから拒まれる事はないと思うわ」

 

「…委細承知した。それと…そろそろ女神ヘスティアを止めねば倒れられても困る」

 

「……ホントね。」

貧乏女神から一般女神に格上げされた事によってヘスティアはこれ以上ないくらい上機嫌であった。

普段飲まない度数高めの酒も浴びるように飲み、美味しい料理もこれでもかと口に放り込むヘスティアを見ながら二人は「この女神(この子)どうしようかな…」と口には出さずとも同じ事を考えていた。

 

暫くヘスティアの奇行を観察していたが、漸くヘスティアの食に飢えた心は満たされ、酒場の中で幸せそうに眠りについたところで此度の宴はお開きとなり、無防備すぎる上機嫌女神はこのまま帰すのは危険だと判断し小次郎に抱えられへファイストスの自室まで運ばれていった。

ちなみに料金は祝いの席という事でへファイストスが支払っていた。

 

小次郎も少ない身銭を切ろうとしたが、ヘスティアの後輩なんだから払うわよと言われ、申し訳なさは感じたがありがたく了承した。

へファイストスの部屋まで送り届けた小次郎は居候先の本拠へ足を向けると夜闇に紛れ消えていった。

 

 

 

そして翌日のバイトも無事終えた小次郎は、この日道場で一人訪れる客を待っていた。

普段通り薄い笑みを浮かべて。




うーーーーーーーーーーーん、納得いったような、いかないような

猛者戦まで書いてたんですけどね、なーーーんか違うよなぁ→書き直しの無限ループです。
待たせといてそれかよって感じですが…すみません…またもう少し時間いただきます。
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