転生人後~めだかボックスの箱庭で好き放題に生きる~   作:碧桜琥珀

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粛清

教室で時間をつぶすこと4時間。

時刻は12時ぴったりだ。

俺は安心院に作ってもらった弁当を食べながら、これからのプランを考える。

「そういや、初めの接触は音楽部だったかな」

めだかと冥利、この二人の初対面は放課後の第弐音楽室だったはずだ。

放課後はそこに行ってみるとして、それまでどうするか……。

そう考えていると、教室の扉が開いた。

また刺客かな?と思い目をやると……

「こんにちわぁ、天笠くん。私もお弁当ご一緒していいですかぁ?」

恋乃宮陽乃だった。

しかも、箱庭学園の制服を身に纏っている。

「…………何してんの?」

恋乃宮は勝手に教室に入ってきた。

隣の席に座り、手に持っていた弁当を開ける。

「何してんの?」

「何って……お弁当を食べようとしているんですよぉ?」

ピンク色の箸を使い、小さな口で食べ出した。

「いや違う。弁当のこともそうだけど違う。なんで箱庭学園の制服着てんの?」

「私もぉ、転入してきたんですよぉ。十四組に♡」

顔が引きつる。

おいおい、マジかよ。なんのつもりだ?

「あの後、鈴様に報告しようとしたらぁ、何故か連絡がつかなくてぇ」

「あ、捨てられたのか」

恋乃宮の眉がピクリと動く。

だが顔はにこやかなままだ。

「家は元々ここら辺ですしぃ、連絡がつくまで暫く貴方を監視でもしておこうかとぉ」

「捨てられたんだろ?」

再び眉が動く。

笑顔も少しぎこちない。

「せ、戦闘兵としてはダメですがぁ、私のスキルは本来戦闘向きではないですしぃ」

「つまり、俺に戦闘能力を封印されたから、鈴様とやらに見捨てられたのか」

何かが折れた。

音の方を見ると、恋乃宮が箸を片手でへし折っていた。

笑顔は消え、凄まじい形相で立ち上がった。そのまま胸ぐらを掴まれる。

「ええ捨てられましたわよぉ!貴方がこんな封印をしたせいで!私は使い物にならないんだそうですわよぉ!!」

俺がした封印、【良心という名の柵(ピースオブザワールド)】は『他人への悪意ある傷害行為』を一切禁ずるというものだ。

それを発動した証として、喉には黒いハートマークがつく。

恋乃宮はそのマークを指さし、俺を揺さぶった。

なんだろう、この世界の女は怒ると他人を揺さぶるのか。

「あー、揺らすな揺らすな。飯が逆流するだろうが」

「あ……ごめんなさい、取り乱してしまってぇ……」

胸から手を放し、おとなしく椅子へと座った。

そのまま割れた箸で弁当を食べ始めた。

「で、行き場がないから取りあえず転入してきたのか」

「はい……」

俯いてしょぼくれる。

明るいピンクの髪とは合わない、暗い顔だ。

「好きにしたらいいんじゃないのか?お前の封印は解除できないしないし、封印しているなら安全だしな」

俺はさっさと弁当を平らげて、立ち上がった。

恋乃宮の反応は無い。

「まぁ、何もしないって言うなら歓迎するぜ。鈴みたいな崇める存在がほしいってんなら、俺でも崇めてな」

ばっと顔が上がった。

何処となく嬉しそうな、だけど迷っているような顔だ。

すると決心したように、立ち上がった。

「……暫く、暫くですよぉ、暫くの間は貴方について行ってあげますよぉ!」

恋乃宮はそう言って、俺のに手を差し出してきた。

それを握り、握手を交わす。

「暫くよろしくな、恋乃宮」

「はい、よろしくですぅ、天笠くん」

それから俺は教室の外へと出ていった。

 

第弐音楽室は閉まっていたが、俺はスキルを使って中に入った。

誰もいない教室。いいね。

俺は音楽室特有の壇上に上がり、透明になるスキル【透過迷彩(ステルスメイト)】を使った。

後はこのまま待つだけだな。少し仮眠でもとるか。

…………。

教室内のざわつきによって俺は起きた。

いつの間にか部活が始まっていたらしい。

音楽部の部員が次々と集まってくる。

俺は透明のままなので、誰にも気付かれることは無い。

音楽部の練習を聴きながら、あいつらを待つ。

少し待つと、扉が急に開いた。

ゆらりとした動きで、冥利が入ってきた。

お、始まったな……。

俺は透明になったまま、冥利へと近づく。

「え~っと、今日は皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらいまーす」

いきなりそう言ってのけた。

ざわついていた教室が急に静かになる。

「って違う違う違う!ダッメだなーオレって本当にダメだ!大人数を前にするとついつい殺し合いをさせたくなっちまうぜ」

手を額に当てて、やれやれとしたポーズをとっている・

よし、ここだ。

「よろしい、ならば戦争だぁ!!」

俺はスキルを解除して、姿を現せた。

冥利が驚愕の表情で振り向く。

音楽部も俺の登場に驚いたようで、全員注目している。

「なっ、天笠ぁ!?」

「人を殺しちゃいけません!!」

俺は冥利を捕まえて、たかいたかいをした。

つーか重いな。冥利の服って何㎏あるんだよ。

当然ながら、降りようとして暴れている。

「クソッ、離せ!お前いつの間にそこに居たんだよ!!」

「こら暴れるな!服を脱がせにくいだろ!!」

「お前は何を言ってんだ!?」

邪魔な服を脱がせようとしていると、扉が開いた。

誰かと思って見てみたら、黒神めだか、不知火 半袖(しらぬい はんそで)鬼瀬 針金(おにがせ はりがね)の三人が入ってきた。

めだかは何処かの音楽隊パレードのような格好をしている。

「お、ようめだか。それに半袖と鬼瀬も」

冥利の服を掴んだまま、冥利を降ろす。

「……なぜ貴様がここに居るのだ?」

めだか以外の二人は、俺によって半裸になった冥利を見て様々な表情をしている。

「いやなに、ちょっと暴れる冥利を押さえつけてんのさ」

「取りあえず、服を離したらどうだ?その絵面は少し犯罪の匂いがするぞ」

めだかと話していると、冥利は服を脱いでいた。

下に来ていた薄着のシャツのまま、音楽部の集団へと突っ込んで行った。

「くっそおおおおおおお!!」

腹いせとばかりに、音楽部員を次々と血だらけして倒していく。

「あーもう、何だよクソッ!手っ取り早く粛清する筈だったのによおおおお!」

一人残らず粛清した冥利が、返り血に塗れたまま苛立ちの雄たけびを上げる。

「雲仙二年生!やり過ぎだぞ!!」

めだかが冥利を捕まえる。

「あぁ?んだよ黒神ぃ。やり過ぎなきゃ正義じゃねぇ、それが俺のポリシーだ!」

冥利が腕を振ると、めだかの頭に何かが当たって弾けた。

おっと、今のスピードは結構本気で投げただろうな。

これじゃああのセリフが聞けなくなっちまう。ちょっと修正するか。

「おいめだか、今のは避けれたんじゃないのか?」

軽い感じで、めだかへと話しかける。

ちらっとこちらを見たが、すぐに冥利へと視線を戻した。

「……雲仙二年生から攻撃を受ける理由がない。ゆえに、避ける理由がない」

ひゅー、かっくいー。

冥利はムカついたように、めだかを睨む。

「面白いこと言うじゃねえか、もっぺん同じこと言えたら、ベタ褒めしてやんよ!!」

同じように腕を振ると、今度はめだかの顎に何かが当たり、弾けた。

「へっ」

冥利は鼻で笑って、教室から出ようとした。

「貴様から攻撃を受ける理由がない。ゆえに、避ける理由もない」

めだかは冥利を睨みながら、そう言った。

「言ってやったぞ、褒めるがよい」

「……素晴らしい」

冥利はにやけながら、睨み返す。

うーん、そろそろイベントスキップするかな。

「なぁめだか。風紀委員がそろそろお前の生徒会を襲うはずなんだが、いいのか?」

「「!?」」

めだかは真偽を確かめるように、冥利は何故知っているのかというような目線を投げかけてくる。

「ほらほら、早くしろよ。お仲間が虐められるぞ」

めだかは少し戸惑って、冥利を投げ出し飛び出していった。

「不知火、ここは任せたぞ!」

半袖にそう言って、教室の扉を開けた。

「今からこっから間に合うワケねーだろが!ムダな悪アガキしてんじゃねぇよボケ!!」

三度腕を振るうと、複数の物がめだかを後ろから襲った。

だが当たったのは服だけで、めだか本体は居なくなっている。

「あり?」

冥利が呆けた声をだした。

掴んだままだった服を壇上に置く。

「……誰かが傷つこうとしているとしている。それだけで駆け出す奴なんだよ、主人公(あいつ)は」

俺はそう言って、次のイベントの場となる生徒会室へと向かった。

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