転生人後~めだかボックスの箱庭で好き放題に生きる~   作:碧桜琥珀

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転入日の朝

朝、俺は雀の鳴き声を聞きながらふかふかのベッドで目を覚ました。

「……どこだ、ここ」

いや、知っている。

神から知識を送り込まれたから、ここが何処なのかも、これから何をすればいいのかも分かっている。

だが、寝起きで頭がうまく機能していないせいか、俺はそんな独り言をつぶやいていた。

とりあえずベッドから出て、俺は時計を確認する。

「朝の5時……まだ早いな」

シャワーでも浴びてスッキリしようと、俺は風呂へと向かった。

 

俺の家は二階建ての地下有り、ベッドルームは二階で風呂は一階にある。

地下は……まぁ、後々使うこともあるだろう。詳しい家の探索は後だ。

階段を下りて、来ていた甚平を脱衣所へ置き、風呂場へと入った。

シャワーを出し、まだ冷たい水を頭からかぶる。

だんだんと目が冴えてくる。意識がハッキリとしてきた。

「よし、まずは自問自答かな。状況の整理をしよう」

シャンプーを泡立たせ、頭を洗いながら俺は整理する。

目に泡が入らないように、俯いて目を閉じる。

「問一、ここは何処か」「答、異世界、かの『めだかボックス』の世界」

頭のシャンプーを洗い流し、ボディソープで体を洗う。まずは首と肩から。

「問二、目的は何か」「答、神様のバラバラになった力を見つけ集め、神様に力を返す」

腕と背中、前も洗う。

「問三、それによって起こる俺のメリットは何か」「答、メリットは無し、ただしデメリットも無し」

下半身も、足の指の間までしっかりと洗う。全身泡だらけになったな。

「問四、俺のやりたいことは何か」

泡をすべて洗い流し、バスタオルを手に取る。

体を拭き、水を乾かし、脱衣所から出る。

「……答、転生人生を存分に楽しむ!」

バスローブを羽織り、リビングへと向かった。

 

冷蔵庫には様々な食料が入っていた。

その中から俺は適当な食材を調理して、簡単な朝食を作った。

神様から貰ったスキルを活用すれば、もっと料理も簡単にできたんだがな……

「ま、何でもかんでもスキルに頼るってのも、人としてダメでしょ」

朝食のメニューはトーストと野菜炒めだ。

飲み物は紅茶。こればっかは欠かせない。

俺の血液の主成分は紅茶だ。

テレビを付け、朝のニュースを見ながら朝食を食べ終わった。

時刻は7時。ここから学校まで5分で着くのだが……。

「転入初日で遅刻するわけにもいかないし、早めに行くか」

あの学園は無駄に広い。知識があるとはいえ、慣れていないと迷いそうだ。

俺は洗い物をし、身支度を整えて家を出た。

 

 

歩いてジャスト5分。俺のこれから通う学校、箱庭学園(はこにわがくえん)へと到着した。

校門にはよぼよぼな老人、漫画でもよく見た箱庭学園の理事長、不知火 袴(しらぬい はかま)が立っていた。

「……よく分かりましたね、俺が来るって」

理事長に話しかける。

細い目のまま、穏やかな雰囲気で顔を上げた。

「いやはや、よくいらっしゃった。天笠 碧斗(あまがさ あおと)君で間違いないかな?」

「ああ、間違いないですよ」

すると理事長は背を向け、学園内へと向かった。

俺も後を追って、とうとう箱庭学園へと入っていった。

 

理事室。豪華なテーブルを挟み、豪華な椅子に座り向かい合う。

「ようこそ、天笠君」

テーブルに置かれた茶を持ちながら、話しかけてきた。

俺も同じくお茶を持ち、なるべく音を立てないようにお茶を飲んだ。

「遠いところから一人暮らしでの転入と聞いているが……まだ若いのに、立派でいらっしゃる」

「いえいえ、そんな事ありませんよ。生きていたらこうなっただけです」

なんちゃって。転生前は両親もいたし、家事も親にやってもらっていた。

ただ、転生と同時に知識も覚悟も備わっていた。

「ははは、また謙遜を。今どきそんな自立した高校生、なかなか居りませんよ」

からからと笑い、お茶をテーブルに置いた。

「さて……早速本題に入りましょうか。わざわざ理事長室まで足を運んでもらったのは他でもありません」

お、やっとか。待ちくたびれたよ。

俺自身もどうなるか気になるな。

「天笠君、君は自分が優秀だと……」

「御託はいいですよ、理事長。さっさとサイコロを渡しな」

理事長の眉がピクリと動く。

少し目が開き、俺の目を見据える。

「サイコロ……ですか、一体どこでその話を聞いたんです?」

「俺は何でも知ってるのさ。この世界の事なら何でもね」

そう言うと、理事長は少し声のトーンを落とした。

「……やはり君は、普通ではありませんね」

「ほう、なら十三組にでも入れてくれるのかい?そいつはありがたい。一年の十三組と言ったら、黒神めだかと同じクラスかね」

もう動揺は隠しきれないようだった。

完全に目が開いている。驚いたような、恐怖するような、そんな目で俺を見ている。

「君は……一体……」

「言ったろう?俺は天笠碧斗。転入生だよ」

ついつい楽しくなって、意地悪になる。

口元に笑みを浮かべていると、理事長はいつもの表情に戻り、ワイングラスに入った十個ほどのサイコロを渡してきた。

「説明しなくとも、分かっているようですね」

「分かってるよ、ほら」

ワイングラスからサイコロを取り出し、軽く投げて振った。

サイコロはカラカラと回り、回っている。

そう、回っている。ずっと、回り続けている。

回転の勢いは止まることなく、安定した位置で回り続けた。

「なるほど、こうなるのか」

「……君は、異常(アブノーマル)でいいのでしょうか?

通常(ノーマル)では勿論ないし、特別(スペシャル)でもない。

しかし、異常というには余りにも異常すぎる」

「さぁ、何ですかね。まぁ適当に、完璧(パーフェクト)とでもしといたらどうかな?」

もう、何だろうな。理事長は驚きに驚いて思考がフリーズしているようだった。

俺は立ち上がり、理事長室から出た。

「じゃあな、理事長。組が決まったら、後日連絡してくれよ」

その言葉を残して、俺は家へ帰ろうとした。

「待ちなさい。君のクラスは決めました」

「……ほう、どこだい?通常(ノーマル)か?特別(スペシャル)か?異常(アブノーマル)か?」

「いいえ、君は箱庭学園の一年生十四組(・・・)。君の言う完璧(パーフェクト)専用のクラスを増設します」

驚いた。

いいのか、そんなことをして。

クラスを増設っつったって、俺一人のクラスかよ。面白味のねぇ。

「りょーかい。で、その教室は何処にあるんだ?まさか一から作るつもりじゃないでしょう?」

「ええ、クラスは空き教室を一つ使いましょう。案内は……」

「いや、案内はいらない。場所さえ教えてくれれば一人で行くさ」

俺は返事を待たず、今度こそ理事長室を出た。

 

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