転生人後~めだかボックスの箱庭で好き放題に生きる~ 作:碧桜琥珀
俺が瞬間移動して安心院を連れて来たのは、まぁ、その、なんというか……
「おいおい、『精神と時の部屋』じゃねえかここ」
安心院が楽しそうな声を上げる。
そう、『精神と時の部屋』だ。
一面真っ白、果てが見えない。唯一、俺の後ろには宮殿のような建物が立っている。
俺がイメージしたのは『本気で戦っても周りに被害が出ないところ』ということ。
それでここになるってことは、俺、ジャンプ好きなんだなぁ……。
「さ、早速やろうぜ。たとえ宮殿壊しちまっても、お互い自由に出れるだろう?」
「ま、そうだね。じゃあ、さっさと始めようか」
流石は安心院といったところか、戦うことに嬉々としている。
めだかボックスのキャラクターたちは、戦闘狂が多いしな。
俺と安心院の距離はざっと100m。
お互い自然体で、構えも何も取っていない。
俺はポケットから10円玉を一枚取り出し、指で弾いた。
くるくると回転し、宙を舞う。
その間、勿論安心院から目を離さない。
ただ合図を、10玉が落ちる音を待つ。
ちゃりん、と足元から音が聞こえた。
「銃火器精製のスキル、【
安心院がそう声に出し、創り出したのは機関銃だった。
轟音を轟かせながら、無数の銃弾が撃ち出される。
「弾で弾を打つスキル、【
先ほど製造しておいた拳銃を構え、引き金を引く。
まず、俺が発射した一発目の弾丸が安心院の弾の一つに当たり、当たった弾がそれぞれ軌道をそらし、別の弾へと更に当たっていく。
そうやって弾の軌道をそらし、所々俺が追加で弾を撃ち、人一人分くらいの安全地帯を作る。
頬をかすめながら、安心院の弾丸は飛んでいく。
「閃光弾のスキル、【
機関銃から一発だけ弾が撃ち出され、俺の前方1m地点で爆ぜた。
眩い閃光と、耳を劈く音が響く。はずだった。
「遮光のスキル、【
そう呟き、光も音も遮る。
無論、目も耳も使えないことは同じだが。
「武器を作るスキル、【
俺はかの必中の槍、『グングニール』を創造。
右手に黒の雷を纏った紫の槍が現れる。
それを適当に投げつける。
見えはしないが、恐らく安心院の方へ飛んで行っているだろう。
「真剣白羽取りのスキル、【
【遮光輝度宮】と【耳隠し芳一】を解除すると、両手で槍の刃を挟み掴んでいる安心院が見えた。
安心院は槍を横へ投げ捨て、手を上へかざした。
「雷を司るスキル、【
声が響き、何もない空から雷が降ってきた。
雷鳴が轟き、俺の脳天へと向かってくる。
「透過のスキル、【
視覚的にも物質的にも透明になるスキルだ。
雷はそのまま俺のいた地面へと落ちた。
俺は一気に安心院の方へと飛び出していく。
「パワーチャージのスキル、【
右足を前に、左足を後ろに引き、上半身を右にねじって、右こぶしを腰に据える。
まだ透明なはずだが、安心院は俺をしっかりと見据えていた。
「カウンターのスキル、【
俺がチャージした力を放ち、亜音速にも達する拳を放つ。
が、半身で避けられ、その勢いを利用され、顔にひじ打ちをくらった。
勝利を確信したような笑みを安心院は浮かべる。
「倍で返され三倍で返すスキル、【
ひじ打ちで体勢を後ろに崩されたが、そのまま右足で安心院の顎を蹴り上げる。
「これで最後だ。意識不明のスキル、【
蹴りは見事に顎を打ち抜き、安心院は吹っ飛んでいった。
スキルはちゃんと作用したようで、安心院は立ち上がらない。
「ありがとうな、安心院。ゆっくり眠りな」
存分に楽しめた。
俺的には、「殺し合い」というより「じゃれ合い」だったがな。
もう意識がない安心院に語りかけ、傷をすべてスキルで癒し、俺の家へと連れて行き、ふかふかのベッドで寝かせてあげた。