ハイスクールP×P 作:鳳凰
「どうして貴方がここに居るの」
「言葉に気をつけろリアス・グレモリー。婚約者でなくなった以上、俺とお前は他人だ。そして俺は成人していて先日超越者として数えられたことにより爵位と領地を得た。次期当主ってだけのお前とじゃ、身分が違う」
部長の敵意丸出しな言葉にライザーは癇癪持ちの子供でも相手にするかのように面倒くさそうに言う。
「っ! どうしてここに居るの、ですか………ライザー様」
「ま、学園では先生で良いさ。どうしてかと聞いたな? 鍛えるためだ、お前の眷属達をな」
「私の、何を勝手な!」
「魔王様から既に許可は頂いている。なに、こっちにはカルラがいる。カルラが治せねえのは世界の法則を書き換えるベルゼブブ様か、理ごと消し去る俺やルシファー様の与えたダメージぐらいだ」
カルラ………確か、俺の傷やドラゴン化した部分を治してくれたライザーの僧侶だっけ? 聞いた話だからあったことないけど。
「そういうことを言ってるんじゃな………ありません! そもそも、何故あなたが私の眷属達を鍛えるのですか!」
「全員転生悪魔だからな」
「…………?」
転生悪魔。元々悪魔ではなく、別の種族から眷属悪魔になった者達の呼び方。俺や木場、朱乃さんは人間。今ライザーの膝の上で撫でられている白音ちゃんは猫魈という妖怪で、元々悪魔ではない。けど、何故その言葉が今?
「俺の目的は古き血族共が伝統だ血統だと騒ぎ立てる現状をぶっ壊すこと。そのためには元から悪魔ではない転生悪魔を上級、最上級に据えるのが一番なのさ。もちろん今度は古い血統ってだけで蔑む奴が出ねえように、派閥には今の貴族も入れる予定だが。とりあえずお前の世代なら人間の文明をむしろ気に入ってるシーグヴァイラ、転生悪魔、下級悪魔も上に上がるべきと考えるソーナ。有名どころならディハウザーが賛同者だ」
「ソーナも…………いえ、それより……血統主義を壊す?」
「そもそも今の4大魔王を立てた時点で壊れるべきだった習慣だ。バアルの化石がそれを止めた………あの爺は爺なりに誇りだ何だを持って、利益ではなく社会の形のために行動してるが、甘い蜜を啜る虫を放置してるから俺の敵だ。そもそも大戦を終えて数が減った現状何時までも古臭いやり方をしてられっかよ」
「ライザー、お前……」
「あ?」
「っ! ライザー先生は俺が強くなれると思ってるんですか?」
ギロリと睨まれ、さきほど部長が言われていたことを思い出し、すぐに理由を察し言葉遣いを直す。よし、と頷いたからあっていたのだろう。
「言ったはずだ。お前は鍛えれば徐々に強くなって、その下地さえあるならきっかけで一気に成長するタイプだと」
──お前は鍛えてためた力をなにかのきっかけで爆発させるタイプの天才だ
そういえば初対面時、そんなことを言われたような。
「私は天才という言葉が嫌いよ」
「まあ悪魔なのに天からの才能ってのは変か。だがな、リアス。俺も、お前も、俺が否定したくて仕方ねえことだが血統による才能がある。下地は他の奴等より整ってんのさ。赤龍帝、お前もそれを整えりゃ次の段階に進める………方法は……………女のためだろうな」
少し考えたあとそう答えを出すライザー………先生。女のため………確かに俺は部長のためになら頑張れるつもりだけど、結局負けている。
「勝敗はこの際忘れろ。何かのために挑める奴はそれだけ強くなれる可能性を秘めている。それを鍛えるために俺が来た」
「魔王様の許可………私では、不足だと言う……んですか」
「言うね」
「っ!!」
「ま、俺もうまく鍛えられるとは言わねえよ。神器に関しちゃ知識なんざねえからな。俺の眷属全員神器持ってねえし」
少なくとも俺や木場は神器の知識がないと効率よく鍛えられない、そういう意味だろう。
「だがそこに頼らねえ強さなら教えられる。まあ、無理強いはしねえよ。兵藤一誠、木場祐斗………それから姫島朱乃と塔城白音、お前等はどうしたい?」
「…………俺は、強くなりたいです」
「イッセー!?」
俺の言葉に部長が驚いたような声を上げる。でも、この人の強さはよく知っている。俺もあれぐらいとは言えずとも、今より強くなれるなら。
「俺を鍛えてください! 何時か貴方に、勝てるぐらいに!」
「生意気な小僧だ。良いだろう、基礎能力だけだが鍛えてやる」
「ありがとうございます!」
「俺の眷属は元から強かったからな、弱い奴を上級まで育てるのは初めてだ。燃えてくる」
パン、と拳を己の掌に打ち付けるライザー先生。そういや、部長達の修行でも辛かったんだけど………この人の修行耐えられるだろうか? めっちゃドSな笑顔なんですけど!! いや、やるんだ! 死なないって言ってたし!
「神器に関してはそのドラゴンに学べ」
『丸投げか?』
ライザー先生の言葉にドライグが声を出す。
「丸投げするとも、俺は赤龍帝について無知もいいところだからな」
「理想としては堕天使の知識を借りることだな」
とあるレストランにて、ライザーの言葉にサーゼクスは確かに、と頷く。昨今の転生悪魔の多くは神器持ちの人間やハーフだ。だというのにコレクション感覚で集めるばかりで碌な研究も行われていない。
「とは言え長年の確執があるからねえ。アザゼルやミカエルも和平には賛成なんだろうけど、自分から言い出すと下の者が、ね……」
「俺達なら無理矢理抑えられなくもないが、旧魔王派が妙な動きを見せてる今悪魔社会をこれ以上割るわけにもいかないしな」
別に魔王級が何体いようと、サーゼクスとアジュカ、そしてライザーなら殲滅できるだろう。だがそもそも最初から勝つ気のない奴等が他神話に突っ込み恨みを買えば、目も当てられない。
「いっそ大々的に動いて敵対してくれりゃ他の神話に言い訳も立つんだが」
「彼等あまり頭良くないから、動くならわざわざ敵対を宣言してから他の神話にも攻撃してくれると思うよ」
「…………実は内部に工作員でも仕込んだ?」
「まさか」
少なくともライザーなら勝ち目がない戦いなら、他の神話の恨みを買うことになってもそちらの対処に回らざるを得ないように動く。旧魔王派はしないらしい。
「かつて追いやられた身でありながら、数や作戦を立てれば悪魔だけでも勝てると思われてるのさ」
「馬鹿なのか?」
「馬鹿だから王座を奪う必要があったんだ」
そう言いながら出された食材をナイフで切り分け口に運ぶ。
「ん………美味しいね、これ」
「色んな異世界を巡ったがこの世界ほど食が発展した世界はない。美食そのものが価値となる世界だからな」
「食材で戦争が終わった世界だけはある。私達の世界もそれだけ単純ならいいのだけどね」
ここは異世界。眷属探しの旅に出る前、修行時代にミルたんと寄った異世界だ。ミルたんの望む魔法はなかったが、食材はとても美味いのでよく立ち寄るようになった。人生のフルコースを探す者もいて、ミルたんはやたらファンシーな魔法少女を思わせるフルコースを作ってた。
「ライザーも作ったのかい?」
「…………まあ」
「はは、今度是非食べさせてくれ。それはそうと、案外三大勢力の会談は早いうちに行えるかもしれない」
サーゼクスの言葉にライザーが首を傾げる。
「何でも教会からエクスカリバーが数本盗まれたらしい。主犯はコカビエル、協力者は皆殺しの大司教バルパー・ガリレイ」
「コカビエルに、バルパー…………確かリアスの騎士の関係者か。喋るパン作ってそうな見た目した」
「パン?」
「こっちの話だ」
「そうか。それで、コカビエル達はどうやら日本に向かったらしい。戦闘狂の彼が日本ですることは、何だと思う?」
「既に教会に喧嘩を売って、自分から逃げるとも思えない………となると、悪魔に喧嘩を売るつもりか?」
そして、日本で行う悪魔への最も効果的な挑発方法といえば魔王の妹であるリアスとソーナの殺害。そうなれば戦争は止められなくなる。
「アザゼルとしてもそれは望まないだろう。間違いなく、この件は堕天使の戦力によって止められる。いや、止めなくてはならない。どの勢力にとってもね」
悪魔か教会が止めたならば、下の悪魔と教会の信徒達は責任だなんだと騒ぎまくり、堕天使から絞れるだけ絞ろうとするだろう。そうなれば和平どころではない。一つが一つから絞るということは、均衡が完全に崩れることを意味する。
「だからこそ、嘗てコカビエルを脅かしたデュランダル使いは動かない。教会は動いたという形を見せるために、デュランダル使いの後継が向かうらしいけど、まあ勝てないだろう」
「堕天使が動かなきゃ死ぬぞ?」
「動くさ。アザゼルはそういう男で、元々彼の部下であるミカエルなら私以上にわかっているだろう」
サーゼクスの言葉にライザーはふむ、と顎に手を当てる。
「なら俺がすべき事は、コカビエルと教会の連中の活動を見逃して、堕天使から派遣される奴を待てばいいのか」
「ああ」
「血の気の多い奴等は一度帰らせるか。それと、堕天使が駒王の人間を襲うようなら容赦はしねえ」
「ああ、彼処は借り物の領地。人間と日本神話の土地だ……その辺りの教育も頼むよ」
「これが教会から派遣された神父共に聖剣使いね………聖剣使いはともかく、神父共は捨て駒か? 天使もなんとも残酷な」
まあ人間の味方なんてイメージは信徒が抱いたイメージ。自分を崇めないという理由で自分の信徒と明確に差別しエジプトで大虐殺を行う「妬む神」に従う存在だ。
まあ悪魔の領地に入ろうってのになんの連絡もしないというのなら、ライザーとて知らん。悪魔と契約したという理由で人を殺すようなら灰も残さず焼き尽くす。
「とはいえ、来るのは数日後か………リアス達の使い魔探しは邪魔させずに済みそうだ」
因みにライザーに使い魔は居ない。
因みに修行で死なないとは言ってない!
死んだら生き返れないとは言ってないけどね!
ライザー(笑)の眷属
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