ハイスクールP×P   作:鳳凰

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教会の使徒

「写真のガキが現れた?」

「はい。後なんか、女の子だったみたいで………教会の戦士で聖剣も持ってて」

 

 何でもこの街を縄張りとしている部長に話があるらしい。

 

「あの聖剣、すっげえ力を感じました」

「だから俺に居て欲しいってか。リアスがなにか言ってきそうだな」

「それは………」

「まあ良いさ。教会から派遣された聖剣使いがどの程度か見ておきたいからな」

 

 この人からしたら彼奴が爪楊枝持ってようと聖剣持ってようと変わらないんだろうな。

 

 

 

 

「そもそもこの町の悪魔で一番階級が高いのは俺だしな」

「だから、自分が対応すると?」

「ああ」

 

 黒歌さんとゼットンさん(眷属の中できちんと言うこと聞くのはこの二人と妹さんぐらいらしい)を連れ部長の代わりに椅子に座るライザー先生。部長、苛ついてるなあ。

 でもこの人なら聖剣使いがもし敵対してきても全員無事で済みそうだし。

 部長は最後まで納得いかないって顔だったけど、ライザー先生の言うとおり一番偉いらしいから部長も引き下がった。

 

 

 

「さて、こちらも色々複雑な事情があってな。リアスではなく俺が対応しよう。ライザー・フェニックスだ」

「フェニックス………不死鳥か」

 

 ライザー先生の名を聞き眉を顰めるメッシュの女性、確かゼノヴィアだっけ?

 

「ああ、リアス・グレモリーの婚約者だったか?」

「それ以上の侮辱は許さん」

 

 ライザー先生にとっては侮辱なのか。

 木場は木場で聖剣使い達がよっぽど憎いのだろう、凄い目で睨んでいる。ギスギスした空気の中で、教会側から口を開く。

 

「先日カトリック教会本部ヴァチカン及びプロテスタント側、正教会側に保管、管理されていたエクスカリバーが盗まれた」

 

 エクスカリバーが盗まれた? しかもプロテスタントとカトリックって………ああ、派閥が分かれてるんだっけ?

 でもなんで複数の場所から?

 

「エクスカリバーは先の大戦で砕けてんだよ。天界が盗んで担い手を用意できなかったからな」

「へー………え、砕けた!?」

「おい待て、天界がエクスカリバーを盗んだだと? 貴様一体どういう了見でそのような戯言をほざく」

「どうもこうも、ベディヴィエールから湖の乙女に返還されたエクスカリバーを大戦時に盗んだのが天界だろうが。その上担い手を用意できず本来の力を発揮させることなく砕かせた。伝説はよく見返せよ、自分等の使う武器だろ」

 

 呆れたように言うライザー先生に言葉を失うゼノヴィアとイリナ。ライザー先生は気にせず話を続ける。

 

「それで? そのエクスカリバーが盗まれたことと、教会の犬がこの町に来たことになんの関係がある?」

「下等な悪魔風情が随分見下した言い方をしてくれる」

「鏡が必要か?」

 

 ゼノヴィアがピリピリと肌を震わせる殺気を放つ中、これっぽちも気にした様子のないライザー先生。

 

「赤龍帝、エクスカリバーは天界がまともな使い手を用意できなかったせいで砕かれてな、その後湖の乙女に返還もせずに欠片を打ち直したのが7本、それぞれの教会に所持されうち一本は行方不明なんだ」

 

 へー、伝説の聖剣が7本…………7本!?

 

「どれもこれもオリジナルの7分の1にも劣る鈍ららしいがな」

「その鈍らでも、不死の君を殺す程度の力はある」

「寝言は寝て言え。てめぇの持つ聖剣なんざ木の枝にも劣る」

 

 敵意むき出しのゼノヴィアとやはり面倒くさそうなライザー先生。多分本音を言ってるだけなんだろうなあ。

 

「もうゼノヴィア! 悪魔の戯言にいちいち反応しないの!」

 

 イリナも明らかにこっちを見下しながらも、ゼノヴィアをなんとか抑えてくれた。

 

「それで、そのエクスカリバーがこの町に運ばれたってことでいいのか?」

「ああ。奪った連中は日本に逃れ、この地に持ち込んだって話なのさ」

「魔王の妹が2人住む町に、ね。喧嘩を売られているわけだ、俺等は」

「或いは君達悪魔が『見張る者(グリゴリ)』と通じているとかね」

「下手人は堕天使か。教えてくれてありがとな」

 

 挑発も気にせず皮肉を返すライザー先生。グリゴリ………確か堕天使の集団だよな? つまり今この町に教会だけでなく堕天使の連中も!?

 

「………奪った主な連中は判明している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」

「『神の星』か………お前等人間に季節の移り変わりを知れる知識と夜の暗闇で方角を見失わぬ知識を与えた堕天使だったな」

 

 神の星? な、なんか強そうな名前だな。ていうか、知識を与えた?

 

「古い堕天使は人々に知恵を与え神から追放された天使達だ。その知恵を以て人間はここまで発展してきた。服も製鉄も、神からではなく堕天使から与えられた知識だ」

「だ、堕天使って悪い奴らなんじゃ」

「古の堕天使程人が好きな人外はいねえよ。鉄を得た人間は人を殺す術を覚え、黄金を得た人間は奪うことを覚えた。与えられた知識を悪用する馬鹿に教えることが悪だと言うなら、堕天使は悪だろうよ」

「っ! 人こそが悪だという気か、悪魔!」

「聖剣計画、シグルド機関、その他諸々の実験を思い返せよ。堕天使から知識を授からず穴蔵で過ごして他神話の信徒に滅ぼされてたなら、可哀想な種族だとでも思ってやったさ」

 

 この言葉にはイリナも明らかに切れている。でも言い返せないのは、多分ライザー先生が言った言葉、聖剣計画とかシグルド機関が悪の所業だと思っているからだろう。

 

「…………先日から神父……エクソシストをこの町に秘密裏に送り込んでいたんだが、尽く始末されている」

 

 マジか。俺達の知らないところでそんなことが?

 じゃあ俺達に力を貸してほしいとか依頼しに来たのかな?

 

「我々の要求は唯一つ。私達と堕天使のエクスカリバー争奪に悪魔が介入しないことだ。つまり、今回の事件にそちらが一切関わるなと言うことだ」

 

 ゼノヴィアの言い分に部長の眉が釣り上がる。

 

「随分なものいいね。それは牽制かしら? それとも、私達が堕天使と手を組んだとでも言いたいの?」

「本部は可能性がないとは思っていないのでね」

 

 部長が切れてる!

 態々自分の領域に入り込んだ敵が、自分達のやることに手を出すな、口を出すなと言ってきて他の組織と組んだら許さないよと言ってきたのだから当たり前だ。

 

「良いだろう」

「ライザー!?」

「未熟な聖剣使いがこの町で勝手に死ぬだけだ。得はないが、かと言って損もない」

 

 それって聖剣使いの二人が教会にいても教会の戦力は変わらないって言外に言ってませんかねえ!?

 ほら、二人もキレてる!

 

「私達が死ぬと言いたいのか」

「死ぬだろ。おおかた当初の目的であろう刺し違えてでも聖剣破壊、なんて事すら果たせず」

「え、当初の目的………死ぬ気ってことですか!?」

 

 思わず二人を見ると、二人は涼しい顔をしていた。

 

「そうよ」

「私もイリナと同意見だ。まあ、できる限り死にたくないが」

 

 しょ、正気かよ!? 目的のためなら死んでもいいって、理解できない!

 

「それではそろそろお暇させてもらおうかな。いくぞ、イリナ」

「まあ待て、最後の晩餐ぐらいは奢ってやる」

「いらない」

 

 ライザー先生の厚意(?)を拒否しゼノヴィアは立ち上がる。イリナはごめんね、と謝りながら立ち去ろうとして、不意にゼノヴィアがアーシアに目を向ける。

 

「………兵藤一誠の家で見た時からもしやと思っていたが、『魔女』アーシア・アルジェントか? まさかこの地で会おうとは」

「っ!!」

 

 『魔女』という単語にアーシアがビクリと震える。

 

「お前等の神が作ったのにお前達()()()()()()都合の悪い神器(セイクリッド・ギア)所有者にして、悪魔を癒やした馬鹿な女は確かにそいつだが?」

「ライザー先生!?」

「敵対してる奴を治すのは愚かだろうよ。それが例え聖書の神が作った悪魔さえ癒やす力だろうとな」

 

 アーシアのために言い返したい。けど、ただアーシアが優しいからだと言ったところでこの人には言い返せない。

 

「あ、あの……私は」

「大丈夫よ。ここで見たことは上には伝えない、安心して。『聖女』アーシアの側にいた人達がショック受けるでしょうからね」

「……………」

 

 イリナの言葉にアーシアは複雑そうな表情を浮かべる。そんなアーシアにゼノヴィアは問いかけた、まだ神を信仰しているのかと。信仰を捨てきれないと言ったアーシアに、ゼノヴィアは剣を向けた!

 

「そらならば、今すぐ私達に斬られるといい。今なら神の名の下に断罪してやろう。罪深くとも、我等が神なら寛大な心で救いの手を差し伸べてくれるはず」

「────!!」

 

 俺の腹の底から、例えようのない熱が湧き上がる。気が付けばゼノヴィアからアーシアを庇うように立っていた。

 

「触れるな」

 

 はっきりとした口調で、俺はゼノヴィアを睨みつける。

 

「アーシアを魔女と、そう呼んだな?」

「そうだよ。少なくとも今の彼女は『魔女』と呼ばれるだけの存在であると思うが?」

「ふざけるな! 救いを求めるアーシアを、誰一人だって助けようとしなかったんだろう! アーシアの優しさを理解できない連中なんか、皆ただのバカ野郎だ! 友達になってくれる奴もいないなんて、そんなの間違ってる!!」

「『聖女』に友情など必要だと思うか? 分け隔てない慈悲と慈愛、聖女に必要なのはそれだけだ。他者に友情と愛情を求めた時、聖女は終わる。彼女は神からの愛だけあれば生きていけたはずなんだ。最初からアーシア・アルジェントに『聖女』の資格なんてなかったんだ」

 

 当然だというように返すゼノヴィアに俺は怒りを抑えられなかった!

 傷を癒やす力を見て、自分達で勝手に聖女と祀り上げて、少しでも理想と違ったら切り捨てたくせに……!

 そんなのってねえだろ!?

 

「アーシアの苦しみを誰も分からなかったくせによ! 何が神だ、何が愛だ! アーシアがピンチの時神様は何もしなかったくせによ!!」

「神は愛してくれていた。何も起こらなかったとすれば、彼女の信仰が足らなかったか、偽りだっただけさ」

「落ち着け赤龍帝、信仰を試すために息子を燃やさせようとしたり、預言者に親友の国を滅ぼさせかけたり、あからさまな贔屓をする聖書の神の愛がマトモなわけねえだろ」

 

 呆れたようなゼノヴィアと………後何故かライザー先生。え、聖書の神様ってそんなキャラなの?

 

「随分と、言ってくれるな悪魔」

「聖書だけでも、神が殺した人間の数の方が多いからな。個体で見れば神に勝る虐殺者は悪魔にもいないだろうよ」

 

 そ、そうなんすか? 俺もう聖書読めないけど、そんな言うほどなんですか。

 

「貴様! 我等が神を侮辱するか!」

「っ! ああ、侮辱してやるよ! アーシアを、女の一人も救えない神様なんかくそくらえだ!」

 

 俺もそう叫んでやるとゼノヴィアも目を細める。

 

「それは我々教会に対する挑戦か? 一介の悪魔風情が、大きく出たものだ」

「イッセー、やめなさ……」

 

 部長が止めようとした時だった、木場が会話に入り込んでくる。

 

「丁度いい、僕が相手になろう」

「誰だ、君は?」

 

 特大の殺気を向けてきた木場に眉を顰めるゼノヴィアに、木場は不敵な笑みを浮かべ告げる。

 

「君達の先輩だよ、ただし失敗作だったようだけどね」

 

 次の瞬間、部室内に無数の魔剣が出現した。




次回「さらばエクスカリバー、砕かれた誇り!」

ライザー(笑)の眷属

  • 女王(オーフィス)以外原作と同じ
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