ハイスクールP×P   作:鳳凰

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ライザーの炎

「っ!!」

 

 二人同時に振り返りながら、木場は剣を振るうも、片手で受け止められた。って、さっきの騎士さん!? まさか、あの一瞬で背後に!?

 いや、にしては動きを感じなかった。まさか、瞬間移動?

 

「っ! ドラゴンショット!」

 

 考えるのは後だ!

 先手必勝と放ったドラゴンショットはしかし半透明の壁に防がれる。騎士さんが片手を振るうと壁が迫り俺と木場を吹き飛ばした。

 

「………ライザー・フェニックス眷属『騎士(ナイト)』、ゼットン」

 

 ゼットンさんはピポポポと謎の音を出しながら自己紹介してきた。

 

「っ………同じく、リアス・グレモリーの『騎士』、木場祐斗だよ」

 

 木場も名乗りながら立ち上がる。『騎士』として決まりかなんかか?

 

「気を付けてイッセー君。彼女の二つ名は『怪獣』………戦車にも劣らぬ怪力と、強力な炎を操る騎士(ナイト)と聞いている」

「剣は?」

「使わない」

 

 騎士なのに?

 と、思っているとまた一瞬で目の前に現れる。

 

『Boost!!』

「……ん」

「ぐう!?」

 

 咄嗟に交差した腕で防ぐが、重い! 倍加が起きてなかったら終わってた! いや、これ多分倍加する前の俺に合わせて手加減してる。

 

「君の相手は僕だ」

「2対1でこないの?」

 

 木場の言葉にそう返すゼットンさん。俺達なんて2人同時に相手に出来るって言いたいわけか!

 

「ああ、一騎打ちだ。受けてくれるかい?」

「結果が変わらないのに時間を掛ける意味がありますの?」

 

 木場の言葉に返答したのはゼットンさんではなく、赤い髪の女の子を連れたお嬢様だ。赤い髪の女の子はフヨフヨと浮いており、体中に巻いた包帯から炎が吹き出している。

 

「………ライザーが、底力を引き出せって言ってた。手加減はするよ」

「はぁ、お兄様の転生悪魔贔屓も困ったものですわ」

 

 ゼットンさんの言葉に呆れたようなお嬢様。転生悪魔贔屓? いや、それより………

 

「おにいさま!? 白音ちゃんだけでなく、あいつ!」

「勘違いなさらないでください。あちらは勝手に呼んでるだけ、本物の妹は私だけですわ!」

 

 何か良く解らん宣言してきた。

 

「あはは。この子は正真正銘ライザーの妹だよ。過去ライザーが眷属集めを面倒くさがっていた時、彼の名のために自ら立候補したんだ」

 

 そう答えたのは赤毛の少女。俺より年下だろうか? 確かあの子も騎士だったはず。

 

「ライザー・フェニックスの騎士、アルティだよ。よろしくね」

「お、おう………」

 

 人懐っこい笑みを浮かべるアルティ。そのままゼットンさんと戦ってる木場を見る。

 

「あれで手加減してるのか?」

「してるよ。駒の価値こそ兵士(ポーン)3つ分だけど、その強さは眷属の中で三番目だからね」

 

 朱乃さんや白音ちゃん達を倒した黒歌さんや風乃さんはその上なのだろうか、それとも下? 少なくとも、弱くはないだろう。

 

「縛れ、影蛇鎖剣(シャドウバインド)!」

 

 と、木場がゼットンさんの影に剣を刺すと影が蛇のように蠢きゼットンさんを縛る。なんか、エロい!

 

「………不埓なことを考えてません?」

「考えてるに決まってるニャ。女の服を剥ぐような変態だもの」

「面白い子よね」

「っ!!」

 

 不意に聞こえた声に振り返ると黒歌さんと風乃さんがたっていた。どちらも傷らしい傷一つ負っていない。

 

「ぐあ!?」

 

 と、木場が吹き飛んでくる。ゼットンさんの周りには無数の剣が砕けていて、絡みついた影は千切られていた。

 

「眷属である私達だけでこれですのに、お兄様に勝てると? まだ眷属最強の女と眷属最強の男に、強さ4位も残ってますのに」

 

 つまり黒歌さんも風乃さんも、ゼットンさんより下だったのか。そして彼女よりも強いライザー自身も残っている!

 

「まあ戦車のお2人も、ヴァイスも、どうせ今回もサボりでしょうが」

 

 呆れたような妹さんだが、多分それは自分達が出るまでもないと思っているからなのだろう。

 

「それに、お兄様には絶対に勝てません」

「っ! 例え彼奴が不死身でも──」

「は?」

「────っ!!」

 

 俺の言葉に妹さんが眉間にシワを寄せ怒気を放つ。明らかにブチギレていた!!

 

「何を勘違いしているのか知りませんが、不死身でも? 前提が間違っていますわ。不死身だからお兄様が負けないのではありません。誰にも負けないぐらい強いのに、不死身なだけです。そもそもお兄様はレーティングゲームで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「──え」

 

 それって、レーティングゲームで一度も怪我をしなかったってことか? 10戦もやっているのに?

 

「お兄様は誰よりも強い。私の知る限りあのバカ蜥蜴の相手をしている時しか怪我をしたことがない。なのに、誰も彼もお兄様を不死性頼りと馬鹿にして………!!」

 

 溢れる魔力が炎となってボッボ! と空気を焼く音が響く。滅茶苦茶ブチギレてる!?

 

「フェニックスは不死性だけではないというのに。フェニックスの炎を、その身で味わってみます?」

「っ!!」

 

 炎の翼が現れ、焔の波が迫る。俺は間近だったため広がる前に咄嗟に回避するも木場は津波のような炎に飲まれ………

 

「殺すな」

 

 突如現れたライザーがその炎を片腕に纏った炎で飲み込む。

 

「レイヴェル、お前が俺を思い怒ったのは理解しているが、殺すな。此奴等は転生悪魔………悪魔ならざる者達が悪魔になった。俺の計画にはもってこいの人材だ」

「っ! お兄様」

「ありゃ、もう出てきたの?」

 

 妹さんが感情のまま動いた事を恥じるように顔を伏せ、黒歌さんが呑気に笑う。ライザー………敵の(キング)が目の前に………!!

 

「────!!」

 

 妹さんに意識が向いたライザーの首目掛けて振るわれる木場の剣! 倒せなくても、殺し続ければ精神を疲弊──

 

「なっ!?」

「は………?」

 

 弾かれた。

 ライザーは何もしていない。確かに首にあたったはずの剣は岩でもぶっ叩いたかのように金属音を立て、ピシリと亀裂が走る。再び振り下ろされた魔剣は、ライザーが軽く握るような動作で砕かれる。

 

「だが弱いな。そんなものか? リアスと俺を結婚させたくないんだろう? リアスの将来の夢を叶えてやりたいのだろう? なら、今この瞬間もっと強くなってみせろ!」

 

 ダン! と地面を踏みつけた瞬間、地面に亀裂が走り、亀裂の奥が輝く!!

 

「ぐあああああ!?」

「うあああああ!!」

 

 噴火のように吹き出す炎に飲まれる俺と木場!

 地面に落ちると同時に燃えるような痛み………違う! マジで、焼かれてる!

 

「ぐぅ!」

 

 直ぐに翼を広げ空へと逃げる。目に写った光景は、赤く染まった運動場………新校舎の一角ごと焼かれている。ライザーの眷属達はゼットンさんのバリアーで守られていた。

 おいおい、今の一撃でこれかよ? 木場の一撃でも傷つかなかったし、こいつもしかしてとんでもなく強い!?

 

「なんで今になって出てきやがった!」

「眷属だけでも十分だろうが………赤龍帝の力を見ておこうと思ってな」

「っ!!」

 

 俺達が絶対に勝たなきゃと挑む戦いを、遊び感覚かよ!

 だけど、それだけの力の差がある! このままじゃ負ける。負けたら、部長が!

 そんなの、絶対に許さねえ!

 

「俺に力を貸しやがれ! ブーステッド・ギア!!」

『Dragon Booster!!』

 

 赤い閃光を放つ俺の神器(セイクリッドギア)。だけど、足りない! これじゃあ届かない!!

 

「もっとだ! あの時はアーシアだった! 今度は部長だ! 俺の思いに応えやがれ! ブーステッド・ギアァァァァァッ!!」

『Dragon Booster Second Liberation!!』

 

 初めて聞く音声が籠手から発せられ、赤いオーラが籠手を覆い形を僅かに変えていく。宝玉が新たに増え、全体のフォルムも変化したそれの使い方が、頭に流れる。そうか!

 

「木場ぁぁぁ! お前の神器(セイクリッド・ギア)を解放しろおおお!!」

 

 俺の叫びに木場が当惑しながらも翼を羽ばたかせライザーに向かう。狙いはライザー………ではなく直前の地面!

 

「『魔剣創造(ソード・バース)』!!」

 

 ギャァン! と金属音を響かせながら冷気や水を纏った魔剣が地面から生えだす。ここだ!

 

「『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」

『Transfer!!』

 

 ブーステッド・ギアで高めた力を木場の魔剣を創造する能力に流し込む!

 籠手にためた力を他のもの、もしくは物に与える新しい能力! 強化された木場の魔剣が運動場を覆い水と冷気があたりを包み込む。

 

「どうだ! これで────!?」

「解ってねえな」

 

 鋭い剣が幾重にも合わさり生まれた剣山の中から声が聞こえる。ジュウウと音を立て魔剣の剣山が溶ける。いや、そこだけではない。木場が凍らせたのは、地面のほんの表層。直ぐに地面の底の熱が木場の魔剣を溶かして先程の赤く燃える地獄を顕現させる。

 

「もう治ってるのか!」

「いいや、そもそも傷ついちゃいない。手数で攻めるタイプは、それで攻めきれないなら途端に何もできなくなる」

 

 コキコキ首を鳴らしながら木場を評価するライザー。

 

「量より質を………いや、お前の神器じゃ限界があるか。禁手(バランスブレイク)に期待だな。お前はもういいぞ」

「がっ!?」

 

 途端に木場が火に飲まれる。いつ攻撃しやがった!?

 

『リアス・グレモリー様の騎士1名、リタイヤ』

「木場あああああ!!」

 

 光の粒子になって消えていく木場。治療室に転移したのだろうが、大丈夫なのか、あの怪我で!?

 

「安心しろ。俺の『僧侶(ビショップ)』は優秀だからな。それこそ時間ごと焼かない限りは時間を戻して五体満足に回復させる」

「『僧侶(ビショップ)』?」

「治療スタッフの手伝いさせてんだよ。眷属一人足りなくても問題ねえしな」

 

 その言葉に反論できないだけの結果が、目の前にある。グッと歯を噛みしめる俺を前にライザーは余裕を崩さない。

 

「だとしても………お前がどんなに強くても、部長を渡すかよ! ぜってえに負けねえ!!」

「ほう?」

 

 俺の言葉にライザーは興味深いとでも言うような笑みを浮かべる。ここまで来ても、俺は敵としてすら見られていない。

 

「………確かに……使えそうだな」

「…………?」

 

 何かを小さく呟いた後、ライザーは両手を広げる。

 

「だが悪いな。()だ…………次はもう少し俺の力を見せてやる」

 

 次の瞬間、駒王学園が………世界が燃えた。

 

『っ………リアス・グレモリー様の兵士1名、リタイヤ。及び投了(リザイン)を確認。ライザー・フェニックス様の勝利です』

 

 

 

 

 

「なんというか、心を折りかねない試合だったね」

「折れたならそれまでだ。ここで立ち上がれねえなら蹲っていたほうがいい」

 

 ライザーとサーゼクス二人だけの部屋にて、ライザーは言葉を崩してサーゼクスと話していた。

 

「だが立ち上がるなら、もっと上も目指せるだろうよ。それこそ上級……貴族に到れるレベルに。そうなってくれると俺も助かる」

 

 貴族の混血化による、純血の古式派の弱体化。それこそがライザーが望む在り方。そういう意味では貴族に殴りかかれるイッセーは良識のない馬鹿だがライザーとしては面白い部類に入る。

 

「ところで、君の戦車達は本当にサボりかい?」

「10日で思ったより成長してなかったからな。俺があからさまに失望しちまったし、それに気づいた彼奴等なら殺しかねねえ………」

「それは………確かに。迷惑を掛けるね…………まあ、私の妹の結婚だ。有力者達や、報道陣をできるだけ集めるよ」

「ああ、主役への招待状を忘れずにな」

「…………殺さないでね?」

「あいつ次第だ」

 

 ライザーの言葉にはぁ、とため息を吐くサーゼクス。

 

「でもまあ、いい機会だ。悪魔に新たな超越者が現れたとなれば貴族の連中も喜ぶしかない」

「そうだな。なにせ悪魔の戦力が上がるんだ。俺みたいな若造で、解りやすく血筋を敬わない奴だろうと力こそ全てと嘯き新たな四大魔王を立て、傀儡にしようとした奴等は喜ぶしかない」

「例え四大魔王派の発言力が高まろうと、ね」

「ククク」

「ハハハ」

 

 二人が浮かべるそれは、正しく悪魔の笑みであった。




ライザー眷属
騎士×1ゼットン
異世界旅行中襲ってきたシャドービーストを焼いている道中ピグモンと知り合い衣食住と現地の通貨を対価に『契約』し、共に戦う中となり勧誘した。
現在も『GIRLS』に席は残っておりたまに帰る。有事の際には二人が駆けつける。

騎士×1アルティ『火の理を盗む者』(異世界迷宮の最深部を目指そう)
迷宮って面白そうっ、と観光気分でやってきたライザーに見つかり勧誘された。最初は乗り気ではなかったが紆余曲折あり眷属に。恋をしている誰かを見るのが好き。また、思いを口にしない者には生きているうちに伝えたほうがいいと助言する。

ライザー(笑)の眷属

  • 女王(オーフィス)以外原作と同じ
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