ハイスクールP×P 作:鳳凰
幾つもの岩の柱が乱立した荒野に俺とライザーは立っていた。
「俺と今まで戦ってきた奴で、不死性を使わせることなく負けたくせにまた挑んできたのはお前が初めてだ」
ゴキゴキと首を鳴らしながら、ライザーは言う。そりゃあそうだろうな………一度だって不死性を使用してないってことは、誰もダメージを与えられなかったってことだ。もしより強くなって出直しても、不死身をどうにかしなきゃいけないってんなら勝ち目はない。
「だからって、はいそうですかって諦められるわけねえだろ!」
「そうか………」
ライザーは俺の言葉に面白そうに笑う。
「フェニックスは炎と風と命を司る。炎はすべて俺のもの、大気は全て俺の支配下。この風が届く範囲全てが俺の領域………さて、楽しませろ赤龍帝」
風を使い岩を削り玉座を作り腰をかけるライザー。余裕綽々の態度だ。ふざけやがって!
「それで? その
「気づいてやがったのか………」
じゃあ俺が何をするかってのも解った上で、この態度かよ。それでも勝てると思われてんのか!
「……………10秒だ。10秒でお前をぶっ飛ばす!」
「なるほど、10か…………無理だな」
「やってみなきゃ分かんねえだろうが!!」
「ああ、そうだ。ここは敵地ってことでいいぞ………『
「っ! 部長!」
この光景を見ている部長に向かって叫び、プロモーションが許可された感覚がすぐにきた。
「『プロモーション』! 『
お望み通り全力で行ってやる! 全身から漲る力を感じながら、俺は左腕を掲げる!
「輝きやがれええええ! オーバーブースト!!」
『Welsh Dragon Over Booster!!!』
籠手の宝玉が赤く輝き、俺の体が真紅のオーラに包まれる。
力が…!
お前の力が流れ込んでくるぜ!
『ああ、使ってみせろよ。ただし時間は、10秒だ。それ以上はお前が持たない』
それでもいい! 10秒あれば、あいつをぶっ飛ばせる!
俺は赤いオーラを纏いながら突っ込む。その身はドラゴンを模した赤い鎧に覆われていた。全体的に鋭角的なフォルム、何時もの籠手は右腕にも装着されている。籠手にあった宝玉は両手の甲、両腕、両肩、両膝、胴体の中央にも現れる。背中にはロケットブースターのような推進装置もついている。
「これが──」
「余計なことに時間を使うな。来いよ」
「っ!!」
ならその助言通りにいかせてもらうぜ!
この姿は
今なら何だって出来る!
「オオオオオオ!!」
『X!』
両手を少し開けるように合わせ、そこにためた魔力を放つと巨大な帯となってライザーに迫る。なんて大きさ! 出した俺でも驚く。
でも、これなら!
そう思った瞬間、
「火の鳥、鳳凰とそして不死鳥と呼ばれし我が一族の業火に沈め」
「────!!」
『Ⅸ!!』
あの時と同じだ………抵抗するまもなく、炎が世界を飲み込んだ。
「…………なっ」
その声ははたして誰が漏らしたのか。集まっている貴族の誰かかもしれないし、あるいは僕かも知らない。
画面に映る全てが、大地も空も川も等しく燃える。圧倒的な火力。地平線が赤く染まる業火の海。
圧倒的で絶対的な炎の権能。これが、成人しているとはいえ若き悪魔の力?
「サ、サーゼクス様! これはいったい!?」
「ははは。強いよね、彼」
「そういうレベルではありません! こんな、馬鹿げた……まさかあなたは、無断で『
「彼は私やアジュカと同じさ」
貴族の一人が何かをつぶやきかけ、慌てて口を抑える中サーゼクス様は告げる。
「称えるといい、喜ぶといい。新たなる超越者が我等悪魔に現れた」
「「「────!!」」」
カシャカシャとフラッシュが焚かれる。超越者…………サーゼクス様やアジュカ様を指すという、悪魔のイレギュラー。
「サ、サーゼクス様! その称号は貴方方のような特別な方にこそ送られるもの! 先の発言を聞いたでしょう? あの様に血筋を敬わぬ者に与えていいものでは」
「超越者とは力を以て決めるものなのだろう? それに血筋で言うなら、私だってルシファーの血筋ではないよ」
「し、しかし………!」
「先程も言ったろう? 喜ぶといい、と。悪魔の戦力が上がったというのに、何故そうも否定するんだい? よもや個人的な感情で認めぬわけではないだろうね」
その言葉に貴族達は言葉を噤む。
メディアと、多くの貴族が集まったこの会場。もしかして、サーゼクス様ははじめから………
「知って、いたんですか?」
「リアス………」
「お兄様は、最初からイッセーが勝てないことを、知っていたんですか?」
「ああ。当然だろう?
「っ!!」
それは、つまり………サーゼクス様は、最初から部長がライザーと結婚することになるとわかった上で………?
「それでもね、僕も彼も、あの赤龍帝が何処までやるのか興味が尽きない」
炎を放ったわけではない。吹き出した魔力の性質に、世界が歪んだ結果。故に一瞬にして燃え広がった炎はライザーに言わせればそもそも
赤龍帝の鎧なら死なない程度には耐えられるだろう。もちろんそれだけ、下級悪魔の中でも更に弱い鎧の中身は相応のダメージを………
「おおおおおおおおお!!」
炎の中から赤い竜人が現れる。炎に耐えるために、皮膚と肺、眼球をドラゴンに捧げドラゴンのそれと入れ替えたイッセーがライザーに突っ込む。
聖水を入れていた瓶は既に水蒸気爆発を起こし消し飛んだ。十字架は溶けて消えた。それでも、半竜化したこの肉体なら多少の無茶は通せる! 代償を捧げて得た力を、左腕に込めて!!
「まあ、その心意気だけは合格にしてやる」
振るわれる拳にライザーの拳がぶつかり合う。左腕が炭化を通り越し一瞬で蒸発し、イッセーは再び吹き飛び炎に沈んだ。直ぐに炎の中から転移の光が見えた。
「イッセー!!」
文字通りの丸焼けとなったイッセーに駆け寄るリアス。かろうじて生きているとしか言えない状態。イッセーに遅れ戻ってきたライザーをキッと睨みつける。
「……………」
「っ! イッセー!?」
それを気にせずライザーがイッセーを見るとイッセーの身が炎に包まれる。
「やめてライザー! もうやめて! 結婚でも何でもするから!」
「勘違いするな」
ライザーが呆れたように言うとイッセーがピクリと動く。焼け焦げていた皮膚………もとい鱗も、消し飛んだ左腕も回復していた。
「フェニックスの炎は生命も司る不死の炎。俺はその権能を他人にも渡せるのさ。カルラ」
「はい」
ライザーの言葉に彼の眷属が現れる。修道女のような格好をした美しい少女。幼さを残した顔に聖母の如き慈悲を浮かべ、イッセーに手を向ける。
「………あの、ライザー様。傷はもう癒えておりますが?」
「左腕以外悪魔に戻せ」
「はい、かしこまりました」
ニコッと微笑み、イッセーを治す理由も聞かずイッセーに向き直る。
「時よ戻りなさい」
ただ一言。それだけでイッセーの肉体が人の形、ドラゴンに捧げる前の悪魔の肉体に戻っていく。
「服はサービスです」
「…『炎の聖女』」
それがこの眷属の通り名。
膨大な魔力を炎に変換し、ただ放つだけで並の上級悪魔をも凌駕する規格外の
「ふふ。リアス様の眷属は主思いの方ですね。人は蛮勇と呼ぶかもしれませんが、勇気を持って行動した。それは褒められるべきことです」
そうイッセーを賛美する彼女の言葉に一切の嘘はない。全て本心から言っている。
「さて、ライザー君。君は勝者として何を願う?」
と、サーゼクスがライザーに問いかける。新たなる超越者が、魔王たる超越者に何を願うのかと貴族も記者達も固唾をのんで見守る。
「リアス・グレモリーとの婚約破棄を望みます。元より両家両親が決めたこと。私は彼女を娶る気はありません」
「うん、わかった。魔王の名において、二人の婚約を破棄しよう」
「部長!」
叫びながら飛び起きる。何故そんな事を叫んだのか、記憶を探る。たしか俺はライザーに挑んで、その後は………
「イッセー、目が覚めたの?」
「……あ」
その声に振り返る。部長が居た。俺が何かを言う前に、俺の体を抱きしめ…………だ、だき!?
「ぶぶぶ部長!?」
「もう、あんな馬鹿な真似はしないで…………」
「……………嫌です」
「どうして!?」
「俺があなたの『
「っ!!」
そんな事を言った直後、俺の唇は部長の唇に塞がれた。それは一瞬のものではなかった。
キス──
舌を絡めるようなディープなものではないけど、唇の柔らかい感触と紅髪の馨しい香りが俺の思考を止める。
………………。
キス……キスウゥゥゥゥゥッ!! キス! 俺、部長とキスしちゃたよ!?
「私のファーストキス。日本では女の子が大切にするものでしょう?」
「ファーストキス!? な、なんで俺なんかに!?」
「私を助けようとしてくれた、ご褒美」
「助け……そうだ、試合は!?」
どうなったんだ!? あれ、でもこのパターンは………。
「負けたわ」
「っ!!」
前回と、同じ。それじゃあ、部長は………
「そしてライザーの方から婚約破棄してきたわ」
「…………え?」
部長いわく、ライザーもそもそも部長と結婚する気はない………むしろしたくなかった、らしい。部長の何処が不満か解らないけど、その不満を飲み込む程度には貴族として生きていたらしい。婚約破棄されたとなれば自分や家の名に傷がつくから。
だけど多くの貴族、メディアの目があったあの場でライザーの方から振ることで名に傷がついたのは部長の方。圧倒的で強大な力を持つライザーに振られた、というのは家の取引に関してはともかく今後社交界で良くない噂が流れる理由には十分とのことだ。
部長の名に泥を塗った。俺が負けたせいで………!
「おいおいどうしたイッセー、元気ないぞ」
「仕方ないな、ついてこい。こっちに女子バレー部の部室を覗ける秘密のスポットが」
松田と元浜が元気のない俺を心配してそんな事を言ってくる。へへ、やっぱり持つべき者は友達だな!
「ああ、行こうぜ!」
「行くな馬鹿ども」
いざ
「イ、イケメン……イケメンだ!」
「おのれ! 俺達のもとに来たかもしれない女を奪い、尚も邪魔をするかイケメンめ!」
「なぁに言ってんだお前等」
心底呆れたというような男の顔に、俺は見覚えがあった。
「ラ、ライザー!? なんで、ここに!?」
「知り合いかイッセー」
「誰だよこのホスト」
「新任教師のライザー・フェニックスだ。お前達の噂はかねがね………次覗きに行ったら玉焼く……退学にするからな」
ところで職員室はどこだ、と尋ねるライザーに俺は思わず職員室の窓を指差す。ライザーはそっちに歩いていった。
ふーん………新任教師か……………
「はああああああああ!?」
ライザー眷属
僧侶×1カルラ(ラグナクリムゾン)
カルラ19835番(後のアルティマティア)の行為により廃棄された躯体の一体。ギリギリ息がありライザーに助けを求めた。炎を纏い己の前に現れ命を救ったライザーを太陽神の化身と崇拝している。ライザー眷属の中で唯一ライザーに様付けをする。
ライザーをあんな奴扱いしたとある
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