今日はその連絡先に電話をかけてみる。最初はいろいろあったけど、新しい実家に一度帰ってみることに。そして……
「ただいま、行ってきます」からの続き、「InMyHome」と同時の話となります。……うん色々と難しい……
ということで全く以て私の原作からの予想&憶測&捏造&希望だらけ(なずなの両親なんて原作では一言も出てないはず)であること、ご了承をお願いいたします。
改行や句読点など読みづらい箇所も多々あるものと思いますが、感想や評価、指摘などありましたらよろしくお願いします。
銀狼公園から少し離れたところに、住宅街にある公園ぐらいの大きさをもつ広場がある。
そこは木立に囲まれていて、大きい銀狼公園が近いためか普段は人があまり来ない。
そんな仕切られた静かな場所で、みちるとなずなはあることを実行する。
「じゃあなずな、かけようか。電話」
「うん、いいよ」
なずなは、すーっ、はぁー、と一度深呼吸をしてから、みちるから借りたスマホで電話をかける。
通話先はみちるの母から教えてもらったあの連絡先。
トゥルルル、トゥルルル……、と呼び出し音。そして音が途切れて。
「はい」
「母さん? わたし、わたしだよ、なずなだよ!」
「えっ!!」
久しぶりの母親の声に、なずなは感無量の表情をする。
「やったぁ、なずなんちにつながったぁ!」
みちるが歓声を上げた。
「なずな? 本当になずななの? 本当に?」
「うん、そうだよ。連絡先はみちるのお母さんから聞いたんだ。久しぶりだね、元気そうでよかったよ」
「よかった、あなたも元気そうで、うう、よかった……」
スマホから、なずなの母親の嗚咽が聞こえてくる。
調べてきた甲斐があった、ついでに私の母親とも会えるきっかけにもなったし。
自分たちで行ってきて本当によかったぁ、みちるはそう思った。
これでなずなも両親に会いに行けそうだ。
そう考えたとき、その事態は始まった。
「今どこにいるの? どうして、どうして? 元気にしてたのなら連絡の一つもくれればいいのに?」
「とっても心配したのよ、急にいなくなって、警察にも届けることになったのに。もしかして今やっと自由になれたの?」
あまりにも突然の再会で混乱しているためだろうか、涙声ながらなずなを問い詰めるような母親の文言が聞こえてくる。
なにせ突然に行方不明、今日まで全くの音信不通。
これだけ元気なら、なぜ連絡を早くくれなかったのかと思ってしまったのかもしれない。
なずなは静かにその問に答える。
「今ね、私携帯もってないんだ、これも友達のを借りてかけてる。でね、お母さん、私、急にいなくなったりしてないよ。いなくなる前、私助けてって家の前で言ったよ。何回も。覚えてない?」
「あなたがそんなこと言ってたら気が付かないわけないじゃない」
「うん、分かった。じゃあ私からもう一つお母さんに伝えたいことがあるんだ。そっちビデオ通話できる?」
「できるわよ」
「じゃあ一旦切るね。すぐかけなおすから」
と、なずなは電話を切った。
そしてすぐにビデオ通話アプリで再コール。
なずなの母の顔がスマホ画面に表示される。そしてなずなの顔もワイプ状に表示されている。
「お母さん元気そうでよかった」
「あなたも元気そうで、ほんとうによかったわ」
「で、私の顔と体見えてる?」
なずなは広場の端にあったベンチ代わりに配置されている庭石にスマホを置いて、全身が見えるように距離を取る。
「ええ、今見えるようになったけど」
「ん、じゃあ見ててね。それっと」
「!!」
なずなの母の表情が固まる。
それはなずなが人間態から獣人態に変化したからだ。
「これが今の私なの。この姿見覚えない?」
「もし偽物と思うんだったら、前の家にあったもの玄関から台所まで言い並べてみてもいいよ」
なずなの母親は一言も声を発せないでいる。
「私、急にいなくなったりしてない。ずっと助けて、って言ったよ。でもお母さん、家に入れてくれなかった。獣人の子なんかうちにはいないって言ったんだよ」
「だから」
なずなはうつむいて、一旦言葉を途切った。そして再び顔を上げ、少し涙ぐんだ声で残りの言葉を続けた。
「私はもう家には戻れない、もう家の子じゃない、そう思ったんだよ」
まだ信じられないといった表情を浮かべつつ、なずなの母親は返事をする。
「だって、いきなりそんな姿で言われてもあなたって分かる訳ないじゃない」
「そうだよね。私自身もこの姿になったとき訳が分からなかった。それは仕方ないと思うけど、だけど、私が勝手にいなくなったとか、連絡してくれなかったとか言わないで。それは決して私のせいだけじゃないんだから」
沈黙。
やがて母親のすすり泣く声が聞こえてくる。
「……ごめんね、なずな。つらい思いをさせたね……」
「……こっちもごめんなさい、きつく言って。でもどうしても知ってほしかったんだ」
そのとき、母親がぽつりと呟いた。
「でも、あなたがそんな姿になってるってことは、あのSNSの話って本当だったんだ……」
その言葉に力強くなずなは否定した。
「違うよ! 私が獣人化してるからってSNSが正しかったんだ、なんて決して思わないで!何で獣人になったのか詳しくはわかってないんだけど、ちゃんと元は人間なんだ。お母さん、お父さんだって人間でしょ、偽装なんてしてない。だからSNSのあれは何も知らない人たちが面白がってバカ騒ぎしただけなんだから!」
なずなの力のこもった言葉に、母親も応える。
「……そうだったね、しっかりしなきゃね」
「やっぱり、もっとしっかりとお母さんとお父さんと話をしたい、私がいなかったときのこととか。そっちに行って話したい」
「そうね、ぜひこちらにいらっしゃい」
「うん、そうする、じゃあまた連絡するね。あ、私が見つかったってこと警察とかにまだ言わないでね。さっき言った通り、私獣人化しちゃってるから本人確認とか難しいし、何かまずいことになるかもしれないんで。それに他の人に知られたらSNSとかで、またひどいことになっちゃう」
「分かったわ。じゃあ連絡待ってるわね」
「うん、また警察への出し方とかも話しよ、自分のこととか伝えたいことたくさんあるし、1週間以内にするよ、じゃあ」
なずなと母親との通話はそこで終わった。
みちるは終始焦った顔で右往左往し、成り行きを見守ることしかできなかった。
「ああ、ハラハラドキドキしっぱなしだったよー。感動の再会で終わると思ってたのに、なずなとお母さん喧嘩別れしちゃうのかと思った」
「うふ、もしそうならそれでもよかったんだけどね。でも謝られちゃったし。向こうに行ってちゃんと話して今後どうしていくのか決めてくるよ」
「えーっ、まだ縁切りありうるの?!」
なずなの気持ちも分からないではないが、そこまでしなくても、とみちるは思った。
とはいえ、なずなはもう何を話すかを決めていた。
自分が獣人化してからの話、シティでの生活のこと、自分がやっていきたいこと、行方不明でいたことへの事後処理。そしてシティにいるかけがえのない友人のこと。
ちゃんと話しておかないと。やっぱりSNSやビデオ通話では伝えきれない。
何はともあれ、なずなは実家に行くことを決めた。
ロゼ市長にも今後の対応など相談しないと。
あれから数週間、今なずなは実家への往路の途上にいる。
シティから公共交通機関を乗り継いで、ほぼ一日かけて実家に向かう。
人間態の顔がTVやSNS、Jutubeなどで公になっているため,乗客などに分からないように変身して人相は変えている。
単線の軌道を走るディーゼル車にしばらくゆられ、実家最寄りの駅で降車する。
そこは山間にある小さなプレハブの待合室があるだけの無人駅で、降りたのはなずなひとり。駅前に客待ちのタクシーなどなく、線路と並行に走る2車線の道路があるだけ。
そして駅からの風景は、線路と道路の左右に広がる畑や田圃、その中にぽつりぽつりと見える木立に囲まれた人家。
絵に描いたような田舎、かなりの僻地に実家は転居していた。確かにここらあたりだと、SNSで騒ぐような人物はいないだろう(いや、油断は禁物だが)。
駅前の小さな看板にあった電話番号からタクシーを呼び、駅から実家近くまで移動。母親からメールで送ってもらった実家の所在地に近づくと、家が数軒。その近くで下車して歩く。数軒の中から同じメールに添付されていた写真と同じ家屋を見つけ、思わず小走りで近寄る。
玄関前に家庭菜園ができそうな広さの前庭がある、その土地にぴったり馴染んだ典型的な農家の家屋、ここが私の新たな実家のようだ。
家の門柱まで来ると、周囲に人がいないことを確認、なずなは自分本来の容姿に戻す。そして門柱に設置されていたインターホンを押す。
ピンポーンと音がして、ほどなく懐かしい二人の姿が玄関から現れた。
二人が駆け寄ってくる。なずなも駆け寄る。
「よかった、また会うことができた……」
「1年ぶりだね、お母さん。お父さんも元気そうでよかった」
「なんとかな。さぁ疲れただろう、上がってゆっくりしなさい」
「うん、そうする」
今日の夜は長くなりそうだ。なずなはそう思った。
そしてそれは自分が望んでもいること。
一年ぶりの家族の団らん。本当に久しぶり。
夕食から夜を通していろいろなことを話した。両親からはなずながいなくなってからの家の状況を、なずなからは今までどのような生活をしていたのかを、そのほか本当にたくさんのことを。
それは唐突に始まった、家族が離れ離れになっていた時間、それを埋めていくように。
その時間のおかげで、なずなは、獣人化した時に何者かに捕縛され、その後、獣人が信奉する宗教団体に保護され十分な生活ができていたこと、家に入れてもらえなかったためもう家に帰ることはできないという思いでいたこと、そのため家に連絡を入れることもせず宗教団体に居続けたこと、今は獣人の街アニマシティで生活していること、それらのことを両親に知ってもらうことができた。
そして、今は家に戻ることができたから、また家族として生きていくつもり、ただこの後も、自分を必要としてくれるアニマシティでほかの獣人を支えていきたい、向こうではオーディションに受かった演技力でアイドル業みたいなこともやっている、向こうで生活することを許してほしい、そう言った。
「自分のやりたいことをしたらいい」
「あなたがやりたいこと、それを応援してきたんだから。よかったじゃないオーディションの経験生かせるし」
両親とも了承してくれた。
ありがとう。なずなは感謝した。
と同時に、正直なところ両親を少し恨んでいたことに後悔した。
それは見捨てられたという失意から湧き出てきた思い。
でもどうしてそこで思い出せなかったんだろう。よくよく考えたら、自分がアイドルになりたいと言ってオーディションを受けるのも許してくれて、さらには応援もしてくれていたというのに。
両親へのわだかまりが消えつつあった。
行方不明の事後処理も、事前に市長さんに相談して決めたメディセンの法務担当の弁護士から支援を受けること、それを両親も了承してくれた。成人年齢が18歳になったことで、自分ももう成人扱い、対応も変わるかもしれないので。
すべての話しを終えた頃には夜が明けかけていた。
うん、今夜は充実した時間だった、そうなずなは思った。
そのあとの数日を実家で過ごした。
その間、自分の物品の整理などをしたり、最寄りの街でスマホを入手したり。
夜は、同じく実家に帰省していたみちるとメッセージのやり取りをしたり。
「初日は夜通しで今までのこと話したよ、おかげでシティでの1年間のこと知ってもらえたよ」
「みちるのお父さん、反応どうだった?お母さんはもう知ってたから知らないふりするの大変だったんじゃない?」
「家族には私たちの今を知ってもらうほうがいいよね」
「私たちのこと他人に言わないようにしてほしいの、変身能力もあるからって知ってもらいたいしね」
「ふーん、前決めた予定とほとんど同じなんだ。じゃあ私も近くの場所に行くよ」
「うん、じゃあ向こうで。おやすみ」
みちるも両親と今後の話などをしたようだ。
アニマシティに帰る日。みちると決めたこの日。
突然で両親には悪いと思ったものの、ちょっと長い行程になるがシティまで車で送ってもらうことをお願いした。
両親も「これはまた突然に」と言ったものの、快諾してくれた。
長いドライブなど、小学校の時以来。
家ではこれからのこと、未来のことを話したが、車の中では昔のドライブのこと、小学生、中学生のこと、家族と一緒に過ごしていた過去のことについて話をした。
この実家の滞在で、両親と本当に一生分の話しをしたのかもしれない。いやこれからも行き来するつもりだから、一生分は多すぎか。
そして朝のうっすらと明るくなってきた時間。アニマシティへ通じるトンネルのある山稜、その中腹付近にある、アニマシティを望める平地の一つに車を止めてもらい、降りる。
頬に当たる風が心地よい。
両親はこの場所になぜ?という顔をしている。
目的のアニマシティには近いもののシティ市内にいるわけではない。
この時間帯にここで止めてもらった理由の一つは、みちるから聞いていた路上で獣人を襲う一団を避けるため。
別の一つは私の別の姿を両親に見せるため。
おとといの夜、みちるとやり取りをして互いに決めたこと。それを私も実行する。
「父さん、母さん、私獣化できるけど、実はこんな姿にもなれるんだ。」
なずなは獣化し、さらに背中から羽を生成する。
「まぁ!!」
両親は驚きの顔でなずなを見た。
「びっくりした?私も初めてやってみたら、やっぱりびっくりした」
「それ本当に飛べるの?」
「うん飛べるよ、天使みたいに。天使なんてコスプレでしかなれないし、飛ぶことなんかもっと有り得ないし、なんて思ってたのに、まさか自分の体でできちゃうなんてね」
「あ、父さん、母さん、このことは獣人化したことと同じく誰にも言わないでね、ほかの人に知られたら獣人になったことよりも大変だから」
「いっても誰も信じないと思うけど。なぁ母さん」
「でもかわいい恰好ね」
「ありがと」
もう一つこの場所に来た理由がある。
それは私のかけがえないのない友人を紹介するため。
もう来てるかな?向かいの高台に目を凝らす。
あ、見えた。
手を振る。向こうも気づいたようだ。
お互い会釈する。
「あれ、あれは影森さんじゃないのか?」
「お父さん、実はね、みちるも獣人化したんだ」
「ええ?!あなたひとりじゃないの?」
「うん、お母さん。獣人化した理由はまだアニマシティで調べてもらってる最中なんだけど。だから私、決して一人孤独なわけじゃないんだ。心配しなくても大丈夫だよ」
「え、ええ、でもみちるさんもってことは、あの事故が原因じゃ……」
「母さん、やめて。母さん父さんの気持ちはよくわかる。原因を探りたいんでしょ。私たちも調べてる。でも原因は今のところ分かってないんだ。そして人が獣人化した例は私たち二人しかないんだ。だから変な詮索で人が獣人化した、って他の人に知られちゃったらまたSNSのときと同じになっちゃう。だから原因を探ったりしないで。それは私たちも一生懸命やっているから。お願い。またこの前のようなことを父さん母さんに経験してほしくないんだ」
娘の言葉に両親は受け入れざるを得なかった。
「ごめんなさい、なぜこうなったのか二人でつきとめていくから」
申し訳なさそうになずなは答える。
「それに……」
「それに?」
「実はこの体、今じゃ結構好きなんだ、なれて良かったって思ってるくらい」
「まぁ」
「勝手言ってごめんなさい。えへっ」
そして、
「じゃあ、私たちシティに帰るね。この数日間ありがと。ひさしぶりの母さんのごちそう、おいしかったよ。また近いうちに食べに戻ってくるね、事後処理のことがあるし」
「ええ、いつでも戻ってきなさい。田舎だから人目を気にすることもないから」
「うん、じゃあ行ってきます,元気で過ごしてね」
「気を付けてね、行ってらっしゃい」
なずなは羽を拡げて大きく一振り、二振りと羽ばたかせる。
両親の上方で2、3回旋回しながら上昇。
4階ぐらいの高さに到達すると、そこでまた両親に向かって手を振り、そしてアニマシティの方向へと進路をとった。
そこにみちるが近寄ってくるのが見えた。
みちるも両親と目一杯話をしてきたんだろうな、胸側のリュックも大きく膨らんでいる。
いいものがたくさん入ってるんだろう、いい笑顔で羽ばたいている。
シティに戻ったらどんな話をしたのか詳しく聞いてみよう。
「おはよう、なずな」
「みちる、おはよう」
さぁ空も晴れ上がっていい天気だ。
今日も一日がんばっていこう。
BNAは設定とかすごく色々と考えられているのに、その途中、前編、で終わったように感じてます。コミカライズは本編12話以降の話ではなさそうですが、人間が出てきてますね。本編後の話につながる何かがありそうな気もしつつ。
BNAの監督さん、サイバーパンク2077の総作画監督をされているようで。それが終わった後で2期やってくれたりしないかなぁ・・・・・・それで中途な事象が解消されるのを期待。
コミカライズ止まってるのも、ネタが2期する前に全部出てしまわないための調整だったりして…… いや知らんけど。
#コミカライズの単行本が9月に出るようですけど,何か書かれてないかな?