真の実力はギリギリまで隠しているべきだったかもしれない   作:ちぇんそー娘

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何とか完結させることが出来ました。皆さんここまでたくさんの応援ありがとうございました。





その力は不正(チート)と呼ぶか 後編 (挿絵あり)

 

 

 

 

 

 

「──────魔導錬成」

 

 もう一度言うが魔導錬成とは、魔術の奥義の一つである。

 術式を現物質として現し、威力と速効性を飛躍的に上昇させる。巨大で強力な術式ともなればそれだけ扱いは難しくなる。

 

 これを使える時点で上級者なのだが、普通は短剣程度。

 1年で剣の形として使えるハツネや、何故か詠唱をすっ飛ばしてるアラシ先輩は十年に一人クラスの天才。

 本当に魔力量が多く、その扱いに長けた者は砲台や鎧等を生み出せたりするがそんな奴らはそうそう現れない。

 

影よ来れ(shadow with me)深淵より来れ(abyss with you)我が形成す黒紫の檻よ(dark is mine)

──────矮小なる命に運命を刻め(calling of death)!」

 

 では、受肉降魔がそれを使うとどうなるか? 

 現れればその場所を生命の痕跡ごと全てを消し飛ばしてしまうとも言われる彼らの魔導錬成とは。

 

「ハバキくん、足元!」

 

 いつの間にか闘技場の最上階にまで移動していたシャルロッティがそう叫ぶ。

 見れば、俺の足元近くの地面が段々と黒くなりそこから人の形をした何かが生えてくる。

 

「これ、あの時シャルロッティを追ってた使い魔か?」

「いや……違う! それは使い魔じゃない。『生命』だ」

 

 アラシ先輩の声を聞いて改めてそれらに目を向ける。

 真っ黒で表情などは分からないが、目鼻立ちがシャルロッティに似ている気がするその影の人形は、それそのものが全て()()()()()

 

 信じられない話だが、これは生命だ。

 あの受肉悪魔は己の魔力で生命を再現している。しかも10、100……際限なく増え続けるそれらは()()()()()()()()()()()()()()

 

「さぁ武器を取れ、術理を唱えてみせろ。その上で、真っ向から全て打ち砕いてくれる」

 

 いやー確かにこれはやばいな。魔導錬成使いを自分で生み出し、生み出した後は自律稼働してるから本体は魔力を消費しない。しかし幾ら受肉降魔でもこんなものは1000生み出すのがやっとだろう。

 

『俺は権能の方向が違うから出来ないけど、王クラスの降魔なら似たようなことは10000くらいはできるよ』

 

 おもしれーくんの声が脳に響いてくる。アイツ今どこにいるか知らないけれどそういうテンションが下がる情報だけ言うのやめて欲しい。

 ま、まぁ? 10000体くらいが相手でも別にどうにか……。

 

「……わかりました。奴は、取り込んだ人間を魔導錬成を使用できる兵隊に改造しているんです。……私の国の人口は、約30万。アイツは30万の兵士のストックが存在します!」

「はぁ?」

 

 30万ってなんだよ急にインフレしすぎだろ。トリコの捕獲レベルだってもうちょっと段階踏んでたろ。

 おもしれーくんの野郎適当言いやがって。というかヤバい。さすがに30万は馬鹿だぞ。見えてる範囲だけでも1000くらい。その術式の矛先が全て俺に向けられてる気しかしないし、影の中から今も無尽蔵に湧き出してきてる。

 

 ふざげんなよ〜! さすがにこんなバケモン相手に無双なんて出来るわけねぇだろ。

 チート能力にはちゃんとチートとしかいいようがないような活躍をさせろ! 

 

「焦りが顔に出てるぞ人間。今すぐ泣いて許しを乞うならば、一撃で殺してやらないことも無いぞ?」

 

 やべ、顔に出ていた。思いっきり焦ってるのがバレて受肉降魔は下卑た笑みを浮かべながら見せびらかすように影の兵隊達を並ばせる。

 確実に守る為には連れてくるしか無かったんだけど、これをシャルロッティに見せるなんてあまりにいやらしい。すっげぇ悪な感じの敵が使ってくるあれだよ。

 

 

雷火(shine)!」

 

 

 そんなことを考えていた俺の横を光の一閃がすり抜け、敵の兵隊の1体の頭を見事に貫き消滅させた。

 一応誰が撃ったのかなと振り向いてみると、いつの間にか魔導錬成を済ませていたのか、大砲……というか銃のような武装を装備しているシャルロッティがいた。

 

「えぇ……撃っちゃっていいの? これってお前の国の人だったんじゃ……」

「悲しいですがみんな既に四年前に殺されています。今更この程度でビビってられる程ヤワな人生は送ってないんですよ」

 

 なるほど、俺が思うより全然覚悟がガンギマリのお姫様だったようだ。普通はこういう時攻撃を躊躇しそうなものだけど、むしろキレが上がってる気さえするもん。

 

「義姉さん」

「なんだ?」

「本気出します。サポートよろしくお願いします」

「いいの? 使ったらただじゃ済まないよ?」

 

 まぁ本音を言うなら出来れば使いたくなかったけれど。ここで負けたら元も子もないし、シャルロッティが覚悟決めてるんだから俺も頑張らなくちゃだし。

 

 何よりここで本気を出さなかったら、ちょっとかっこ悪いだろう。鮮やかにカッコよく勝てなければ、モテるものもモテない。

 

「はぁ〜……わかったよ。馬鹿な弟をもつと大変なもんだよ」

 

 義姉さんと俺は背中を合わせるようにして立ち、大きく息を吸って、まるでお互いの存在を肺の中に取り込むように意識を集中させる。

 

「「我らは大地と共に生き(秩序は炎と共に)季節と共に巡り(法は雨と共に)星と共に老いてゆく(営みは光と共に)」」

 

 それは、惟神家に伝わる変則詠唱。

 それを俺と義姉さんに合わせて改造した、オンリーワンのオリジナル。

 

「…………おい、おい! おいお前! バカ!」

「ちょ、詠唱中になんですか!?」

「お前……この詠唱やると私達は魂が接続されるの忘れてないか……? お前、受肉降魔と……」

 

 やっべ。

 義姉さんの言う通り今俺と義姉さんは魂が繋がっている。どういう状態かと言うとお互いのことがだいたい全部わかるようになり、お互いが同じ存在のように感じられる。

 

 つまりまぁ、はい。隠し事が出来なくなるので……受肉降魔であるおもしれーくんとの契約とかその他諸々がバレました。

 

「魂を悪魔に売りやがって……浮気モノ……男色家! モテるなら相手は誰でもいいのか!?」

「誤解ですマジで誤解です。俺は女の子に囲まれたいです」

『ふっ、おもしれー言い訳』

「お前は黙ってろ!」

 

 せっかく割とかっこいい詠唱だったのに、これじゃあ台無しじゃねぇか。シャルロッティもアラシ先輩も何やってんだアイツら……みたいな目で見てきてる。

 

 なんか割とマジめになにかにショックを受けてる義姉さんを小突いて現実に引き戻しつつ、気を取り直して詠唱を再開する。

 

「「人が人である為に(護るべきものを見つけたのなら)我らは此処で人を越える(拳を握り敵を見よ)

偉大なる(クソッタレの)神々よ──────我らが蛮行を(力だけ寄こして)見守り給え(黙って見てろ)!」」

 

 詠唱の後、義姉さんの手には二振りの長剣が現れる。

 それ単体でも一騎当千、『紅蓮』の銘を授かった1組の双剣。だが、これの本当の使い方は俺達だけが知っている。

 

「よし、我慢しろよ」

「……やっぱ怖いんでいちにのさんでヅァ!?」

 

 俺の話を全く聞いてくれない義姉さんは、なんの躊躇いもなく()()()()()()()()()()()

 

「…………? 何をしている? 恐怖で頭でもイカれたのか?」

 

 あまりに義姉さんが遠慮なく刺すものだから受肉降魔すらも若干引いてるよ。本当にこの人ってばイノシシの擬人化なんだから。

 

 だが、この行為をただの仲間割れとか自害としか捉えられない時点であの受肉降魔の格はたかが知れるというものだ。

 

 義姉さんの、と言うより惟神家が伝えてきた魔導錬成の特性は『封印』と『解放』。

 在ってはならないもの、在るだけで他者を傷つけるものを抑え、在るべきものをこの世に解き放つ世界の均衡の番人。

 義姉さんは常に自分の魔力のおよそ半分を、とあるものを誰にも悟られないように封印している。そして、今その封印が解かれ義姉さんは全力を振るえる状態となり、俺も同時に『アレ』が可能になる。

 

 

「──────魔導錬成、『極光(sun shine)』!」

 

 

 そう高らかに宣言し、俺は遂に自らの魔術の極地、魔導錬成を顕にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………くは、ははははは! 何をするかと思えば、()()()()()()()()()()()! 所詮人間のガキ、出来もしない夢を見て、見栄を張って、その末路がこれとは!」

 

 受肉降魔は久方ぶりに腹の底から笑った。

 己に楯突いた者が紡いだ詠唱、顕にした魔導錬成は不発に終わった。そのあまりに滑稽な姿に堪えきれず、戦闘の途中ということを忘れて笑い続けた。

 

 確かに傍らに立つ赤髪の女の魔導錬成は強力な気配があるが、それでも相手は人間だ。

 剣を振るい、魔力を練り、戦い続ければ疲弊し倒れる。無限の兵隊を持つ自分が負ける道理はどこにも無い。

 最早相手は絶望するしかない。そういう確信があったからこそ、受肉降魔は嗤ったのだ。

 

 

「──────光芒(shine)

「──────は?」

 

 

 その笑みが、たった一言でこの世から消し飛ばされた。

 

 惟神ハバキの一節の詠唱。

 それと共に空から降り注いできた幾千もの光の雨。破壊の化身とも終末の光景とも言える、そんな地獄の顕現が瞬きの間に1000を超える兵士を光で焼き切り、消し去ってみせたのだ。

 

「何を、いや、そもそもどこから!?」

 

 魔導錬成は成功していたのか? 

 だとしたらどこから攻撃をしてきたのか。少なくとも武装はハバキの手にはなく、彼は両の手をズボンのポケットに突っ込んで悠然と受肉降魔を睨みつけたままだった。

 

「お前、影を操るみたいな力あるんだろ? それならちゃんと自分の得意な影に目を向けてやれよ」

「影、だと?」

 

 相手に指摘され、屈辱に感じながらも受肉降魔はつい視線を下ろした。

 そして、自らの影がより濃く、二重になっていることに気がついて、すぐにもう一度空を仰ぐ。

 

 

 魔導錬成は顕現させる武装の大きさというのは一つの強さの指標となる。

 顕すものが巨大であればあるほど、形成と制御が難しくなり、必要な魔力も上昇する。

 

 魔導錬成を使える時点で一人前。

 剣や弓に出来るならそれは天才の技。

 双剣、鎧、大砲など巨大で複雑になれば研ぎ澄まされた天才。

 

 御伽噺の存在ならば、城や国なんてものを己の魔力で生み出してしまったり。

 そんな存在に比肩する受肉降魔は、一国の国民ほぼ全員を己の魔力だけで再現してみせた。

 

 

 だが、惟神ハバキは格が違う。

 彼のその力は規格外や天才や異常などでは表せない。この世のバグ、存在を許されない不正(チート)

 

 

「……太陽が、2つ? いや、まさか!」

 

 

 空に輝くもう一つの太陽。

 黄金の輝きを纏うその姿こそ、惟神ハバキの魔導錬成だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が授かったチート能力。膨大な魔力はそれこそ星を生み出す魔導錬成が可能な程であった。

 しかしその魔力量はこの国の法律と死ぬほど相性が悪い。もう存在がダメ、頼むから死んでくれって感じで生まれて間もなく殺されそうになり、実の両親はそんな俺を隠して育てるために人里離れた場所で生活し、その結果不幸にも獣に食い殺されてしまった。

 

 当時の俺は肉体が幼すぎて上手く魔力を行使できず、たまたま武者修行中に通りかかった義姉さんが居なければ一緒に食われて死んでいただろう。

 

 そんなわけで俺は惟神の家に拾われ、どうにか普通に生活できるように魔力を隠す方法が、義姉さんが俺の魔力を封印することだった。

 

 ……そういう訳で、実は全力の魔力をぶっぱなすのは人生でもほぼ初めてなのである。

 それでも日頃からこのバカみてぇな魔力を操る訓練をし続けたおかげで操作精度にはかなりの自信があったし、青ざめた受肉降魔の顔を見るにこの自信に見合った実力が俺にはあるらしい。

 

「星……星を、魔力で? は? ……ふざけるな! なんだそれは!?」

光芒(shine)連奏(rain)

 

 受肉降魔は更に兵士を出そうと影を蠢かせたが、繰り出す兵士は現れるとほぼ同時に空からの光の雨が貫き、穿ち、存在した証すら残さず消し去っていく。

 

「我は1万年だ! あの忌々しい黄泉王の時代すら最近と言える程、途方もない時間をかけて受肉を果たし、ようやく見つけた『極点』、国を生み出すことが可能なほどの魔力を持つ女、シャルロッティ・ニベルライト、我が肉体に相応しいその女を手に入れるため、我が、どれだけの労力を──────」

「他人に迷惑かけまくったことを自分の努力みたいに自慢してんじゃねぇよカス」

 

 湧き出す影の兵隊を光で焼き続けたが、しばらくすると受肉降魔の息が荒くなり肌に大粒の汗が滲み出していた。

 俺と比べたらそりゃあ矮小に見えるけれど、アイツがやってることも相当異次元な行為だ。消費魔力は相当だろう。

 

「おい、おもしれーくん。アイツって殴れば死ぬのか?」

『んー、多分死なないね。肉体が滅んでも、アイツの存在を消すには魂を焼く必要がある』

「どうやるんだの魂を焼くって」

『仕方ないなぁ……俺が力を貸してあげる』

 

 そう言って俺の隣に現れた『悦楽』の王、受肉降魔……ダメだ、やっぱり名前覚えてないわ。おもしれーくんは唇と唇がふれあいそうになるくらいに俺に顔を近づけてきてこう呟く。

 

『──────合体しよう』

「変な意味じゃないよね?」

 

 つまり一時的に降魔であるおもしれーくんの『降魔の魂を捉える第六感』を得る為に俺の体で受肉する、ということらしい。これは契約により詳細な情報が脳に叩き込まれたので嘘はないだろう。

 

『それじゃあ──────合体!』

「合体って、そういやどう言う風に……っ!?」

 

 次の瞬間、俺のケツに猛烈に嫌な感覚が走った。

 

「まて待て待て。え、え? 合体って、魔術的なあれだよね? 魂とかのアレであって、ねぇ待って!?」

『安心してくれ。肉体に傷一つつきはしない。ただ、自分の魂ではない異物が体の中に入るから本人が思う()()()()()()()()イメージが拒絶反応として脳に叩き込まれて苦しいかもね』

 

 なるほど。だから俺は今猛烈にケツに嫌な感覚がしてきてるのか。

 

「じゃあとりあえず背後から入ってくのやめてくれない? 正面から頼む」

『…………』

「おいふざけんなよ。お前ちょっと楽しんでるだろ」

『ふっ……普通の人間なら拒絶反応で死んでもおかしくないのにその反応。おもしれー男……』

「それ言えば俺が全部流すと思ったら大間違いだからな?」

『ケツだけに、流す?』

「お前ホントに後で覚えとけよ?」

 

 こっちは割と真面目に受肉降魔討伐に全力を注いでるのに、この特に事件と関係の無い方の受肉降魔はどこまでも遊び感覚で困る。実際、関係ない立場なので契約とはいえ付き合ってくれてるだけありがたいのだが。

 

「ハバキ……その」

「どうしたんですか義姉さん、俺今ちょっとケツに余裕なくて…………」

 

 いつも強気で男よりも男らしいあのカサネ義姉さんが、顔を真っ赤にし目に涙を浮かべて俺を睨みつけている。剣を握ったまま、左の手を背後に回して、多分臀部を抑えている。

 

 ……そういや、今俺と義姉さんは魂が繋がってるんだった。俺の魂におもしれーくんが侵入しようとするということは、その感覚が伝わって、うん。

 

「最低! 私の、私の尻に何をしてるんだお前!」

「これは本当に俺悪くないですよね!? 悪いのは変な想像するような入り方してきたおもしれーくんですよ!」

「お前が変な想像するからその感覚が私にも伝わってくるんだよ! もっと心を強く持、ひゃっ!」

 

 義姉さんが可愛い悲鳴を漏らし、つい目線がその跳ねるような動きで揺れる胸とか尻に行ってしまい、気付いた義姉さんにジト目で睨まれる。

 

「その……俺も同じの味わってるんで、我慢の方向で……」

「あっ…………あ〜もうやだぁ! お嫁にいけない!」

 

 実際俺のケツの貞操はまだ無事なので、穴に入れられる感覚は想像がつかないから感じるのはケツをめちゃくちゃ撫でられてるくらいの気持ち悪さなのだが、女の子である義姉さんはその感じ方が違うのだろう。

 

 すっごい真面目な戦闘の最中なのにマジで申し訳なくなる。義姉さんが泣いてるところ見たのまだ人生で2回目だよ。

 

「ハバキぃ……終わったら責任取れよ……?」

「なんの? なんの責任ですか?」

『複数人と魂レベルで繋がる。見方によってはハーレムだよ。良かったね。おもしれーハーレム』

「俺と義姉さんが一方的にケツ揉まれてお嫁にいけなくなってるんだが?」

 

 さすがにこんなケツが嫌な感じになるハーレムなんてのは願い下げだ。

 さっさと受肉降魔を倒して、英雄として凱旋し本物のハーレムの方を楽しませて貰うとしよう。

 

「合体、終わったか?」

『OK。今の俺達は2人で1人』

「私完全に被害者なんだが……まぁ、さっさとやってこい。マジで臀部が気持ち悪い」

 

 おもしれーくんと一体化した影響か、髪が急に伸びてきたが動きに特に影響はない。

 まっすぐと俺達と敵対する方の受肉降魔。……こっちも名前忘れたな。とにかく敵を見据えて俺は指で銃を象って照準を合わせる。

 

「ふざけるな……何故我以外に受肉降魔がいる!」

 

 それは俺も聞きたいよ。

 

「何故、何故何故何故何故! 何故我の邪魔を、こんな狂ったバケモノ共が! クソがァァァァァァァァ!!!」

 

 確かに考えてみれば、中々コイツも可哀想だ。

 何年もかけ、1国を滅ぼし、綿密に練ったであろう計画が、おもしれーくんというたまたま通りがかった受肉降魔と、俺という神からチートを授かったトンデモ存在に真正面から砕かれるなんて。

 

 でも、シャルロッティの故郷を滅ぼしたりとか同情できる余地は全くないので本当に助かる。気持ちよく殴って終われる悪役だ。

 

 空に浮かぶもう一つの太陽の光を右腕に集中させ、狙うは目の前の受肉降魔の存在の核。

 

 

「──────落陽極光(twilight sun shine)!!!」

 

 

 義姉さんとおもしれーくん、2人の魂の影響を受けて紅の色となった光が空から受肉降魔の体目掛けて放たれる。

 空に浮かぶ恒星一つのエネルギーを全て注ぎ込んだ最大火力。

 光の向こうで絶叫を上げながら必死にどうにか魂だけは守ろうとする受肉降魔だったが、いつまでたっても止まぬ光の猛攻に、段々とその声は小さくなり、姿は光に呑まれ見えなくなり。

 

 

 光が止み、空の太陽が一つに戻った時。

 まるで悪い夢から覚めるように、受肉降魔の体は跡形もなく消滅していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 遠くでシャルロッティが涙を流しているのが見える。

 そりゃあ自分の国を滅ぼした因縁の相手をようやく倒せたのだ。少しくらい我慢していた分を吐き出したいだろう。

 

「とりあえず、助かったよおもしれーくん……おもしれーくん?」

 

 呼びかけてみるけれど反応がない。まぁ消えたとかではないだろうし、今はどうでもいいか。

 

「終わった……のか? ……はぁ、疲れた」

「お疲れ様です義姉さん。怪我とかしてません?」

「お陰様で臀部がめちゃくちゃ気持ち悪い以外は無事だよ……」

 

 それは……本当にごめん。

 でもあれやっぱ悪いの10割おもしれーくんで俺も被害者なので俺がとやかく言われるのは納得いかねぇよ。

 

「おつかれさま〜ハバキくんにカサネ先輩〜」

「アラシ先輩も色々とありがとうございます。攻撃の余波でシャルロッティとか、避難した人達が傷つかないように適度に打ち消してくれてたでしょう?」

「あは〜! 女の子の細かな変化に気付くなんて満点〜! 童貞じゃないみたい〜!」

「残念ながら童貞なんですねこれが」

「可哀想」

 

 マジなトーンで言わないで欲しい。

 俺まだ肉体年齢は14だから。まだまだこれからだから。

 

「さて……それはそうとすごいね〜。なにか隠してるとは思ってたけど、受肉降魔との契約に魔力隠匿に恒星規模の魔導錬成。ハバキくんってほんと面白くて好き〜」

「好きなだけ好きになってください。明日から受肉降魔討伐の英雄としてモテモテでしょうし、今のうちに好意を伝えとく方がお得ですよ」

「あは〜やっぱり調子の乗り方が童貞さんだ〜」

 

 さすがに今回ばかりは調子に乗っても許されるだろう。

 死にかける、という程ではないがそれなりに肝は冷えたし何より俺と義姉さんのケツが大切なものを失ったんだから。

 

「でも、だから残念だな〜。……どんなに好きな相手でも、お仕事しなくちゃいけないから」

「お仕事?」

 

 返答より早く、俺の腕に手錠がかけられる。

 

「受肉降魔との契約及び魔力保持法違反。魔導九家、御狐家()()()()()惟神ハバキ。貴方を拘束させていただきます」

 

 ごめんね〜、といつもの雰囲気で謝るアラシ先輩であるが、これがなにかの冗談とかな雰囲気は一切ないし、残念なことに証拠だけは死ぬほどある。

 

 

 

 ようやくハーレムエンドにたどり着いたと思ったら、もしかしてこれ豚箱エンドになる感じ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







完結しませんでした腹切ります。
あと合体は普通は死ぬか人格が擦り切れるのでケツですんでる惟神姉弟がおかしいだけです。


チートハーレム杯主催者である氷陰様より義姉こと惟神カサネちゃんのイラストを描いて頂きました。ルーズサイドテールは気分で流す方を変えるおっぱいのでかい美人さんです。めちゃくちゃ自信満々な表情のいいサムズアップしてますがだいたいこの人が全部の原因です。


【挿絵表示】



そしてひふみつかさ様より悦楽の受肉降魔バルゼ・プロキアスことおもしれーくんのイラストを描いて頂きました。メインヒロインのようなえっちさ。おもしれー男……。


【挿絵表示】



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