グランブルーでハーレムチートなお話(オリ主添え)   作:社畜だったきなこ餅

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ユエルとソシエの尻尾、いいよね


一般通過傭兵がモフモフ尻尾エルーン娘達に振り回されるお話

 

 

 青い空、白い雲、美しく輝く砂浜。

 さすがアウギュステ、どこに出しても恥ずかしくないリゾートの装いである。

 前にエルステ帝国が進駐してきたり、星晶獣リヴァイアサンがぷっつんして大暴れしたのも今や昔、今では癒しと潤いを求めた人々にとっての憧れの地と言えよう。

 

 ただ、一つ問題があるとすれば。

 

 

「ほらボサっとしとったらアカンよ! 鮫を撃退せな!」

 

「ユエルちゃん、先走ったら危ないよ。ラインはん、急がんと魔物に人が襲われてまうよー」

 

「俺、見なかった事にしてローアイン特製焼きそばカッ喰らって不貞寝してぇよ……」

 

 

 訂正、一つじゃなくて二つ……いや三つだわ。

 まず一つ、サメが竜巻になって襲い掛かってくるトンチキな状況に、何故か俺とユエルとソシエの3人だけが割り当てられているという事。

 二つ目は、なんでサメが竜巻になって襲い掛かってきてるのかという事、目を覚ませお前達は空を飛ぶナマモノじゃないだろう。

 そして三つ目、なんで俺は察知した危険をあれやこれやして何とかしてきたのに、こんな危機的状況に放り込まれているのだろうか?

 

 

 そもそも、なんで危機察知と回避くらいにしか定評のない俺が今や空域に名を轟かせるグランサイファーの一員になんぞなってしまっているのか。

 これにはそう、涙なくしては語れない俺の奮闘が関わっているのである、不条理極まりない上に不本意な事この上ないが!!

 

 俺が道を踏み外した、と言うか俺の人生設計が狂ったのは間違いなくあの時だろう。

 懇意にしている銃工房に預けていた愛用のリボルバーライフルを引き上げて、意気揚々と入った酒場で目撃したあの一件が全ての元凶であった……。

 

 

 

 

 

 

「おいーす、相変わらず流行ってねえなおっさん」

 

「ぶっ飛ばすぞ変態銃使い、第一おっさんはテメェもだろうが」

 

「ほーん? 俺はまだ四捨五入すればピッチピチの20歳だが? と言うか変態銃使い呼ぶんじゃねぇよ、ちょっと変わった銃使ってるだけだコラ」

 

「良く言うぜ、ったく……テメェの銃を真似した連中が軒並み大怪我負ってんだからその呼ばれ方は正当な評価だよ」

 

「解せぬ」

 

 

 店主のドラフのおっさんと言葉の応酬を交わしつつ、どっかといつもの席に座り適当なつまみと安酒を頼む。

 悲しい事に想定以上に銃のオーバーホールと弾薬やらの消耗品補充で懐が寂しくなったので、このぐらいに抑えるしかないのだ。

 

 

「テメェ、まーたこんなもん頼みやがって……たまにはうちの店の売り上げに貢献しろや」

 

「しょうがねえだろ金欠なんだから、命は金で買えないけど安全は金で買えるんだよ」

 

「その安全を買う金の為に金欠になってたら世話ねえな、おらよ」

 

 

 何が起こるかわからんから、実力を高めつつ備えてるだけというのにこの扱いである。

 俺は物心ついた時から人一倍どころか二倍三倍も危険に敏感だった故に、今まで命の危機は数あれど死に直結するような目に遭ってはいないのだ。

 しかし、大きくなり見識を広めれば広めるほどこの空には危険が多い事を知り、まぁ色々あって俺は傭兵になった。

 

 正直早まったかも、と思った頃には傭兵を止めれない程度に仕事が増えており今更堅気に戻るのも躊躇する状態だったのは内緒である。

 

 そんなしょうもない事を考えながらチビチビと安酒を味わっていたところに、エルーンである俺の耳に酒場の中の喧騒で気になる会話が飛び込んでくる。

 なんじゃらほい、とそちらへ視線を向けてみれば……随分と露出の多い恰好をした黒髪の、珍しい事に尻尾のあるエルーンの少女がドラフの荒くれ達に囲まれていた。

 

 

「なぁなぁ、それホンマなん!?」

 

「ああ本当だぜお嬢ちゃん」

 

「お嬢ちゃんが探してる王家の秘宝、とやらならうちの団がこの前見つけて保管してるぜ?」

 

 

 つまみである茹で豆を口に放り込みつつ、少女を取り巻く集団の会話の推移を見守る。

 いやぁ、あの少女も随分と警戒心無さそうだがさすがに気付くだろ。

 尻やら太腿に手を伸ばす事まではしてないものの、その視線は丸見えな胸元や太腿に釘付けだしな。

 

 

「とっといてくれておおきにな! その場所に案内してもろてええ?」

 

「おうよ、お嬢ちゃんみたいな可愛い子ちゃんなら大歓迎だぜ」

 

「へっへっへ、パーティもしないといけねぇな!」

 

 

「いやそこは気づけよさすがに!!」

 

 

 荒くれ達に呑気にお礼を言い、連れ立って店を出ようとしているその姿に俺思わず全力で突っ込む。

 視線の隅っこで店主のおっさんが顔に手を当ててやれやれとか言ってるのが地味に腹立つ。

 

 

「ラインよぉ、お前危険なんぞごめんだとか言う割にそうやって首突っ込むからいつも金欠になるんだよ」

 

 

 と言うか口まで出してきやがった、やかましいわ!

 

 

「あん?なんだぁ、てめぇ……」

 

「おい待てよ! ライン……それに背中に背負ってるみょうちきりんな銃……コイツまさかあの変態銃使いじゃねぇか?!」

 

「げっ、マジかよ!?」

 

「おいおいおいちょっと待て少しウェイト、その変態銃使いって名前そんなに広まってんの?」

 

 

 問題の中心点だった露出多めのエルーン少女を他所に、俺の不本意極まりない異名にざわつく荒くれ達。

 俺の質問を他所に、荒くれ達はそのまま捨て台詞を吐いて酒場から逃げ出していった。

 

 

「あ、行ってもうた……もーおっちゃん!折角手がかり得られたのに何するんや!」

 

「いやぁお嬢ちゃんや、アレ信じてたの?」

 

 

 状況的に勝利の筈なのになんか釈然としない俺を他所に、ぷりぷりと怒りを見せ立派な尻尾を膨らませながらエルーンの少女がのっしのっしと俺に近付いてきて文句を言う。

 その言葉の内容に俺は、目の前の少女が荒くれ達の言う事を欠片も疑っていなかった事に戦慄しつつ、とりあえず隣の席を勧める。

 

 

「おっさん、この娘になんか(安い)飲み物でも出してやってくれ」

 

「おうよ、(高いけど)甘くて美味しいの特別に用意してやらぁ」

 

 

 俺達の様子に少女はむくれつつ、おっさんが見事な手際で出してきた酒精抜きの飲み物を一口啜れば機嫌を上向きに持ち上げる。

 うーん、体つきはともかく世間を知らない幼子とか相手にしてる気分だなコレ。

 

 

「自己紹介遅れてもうたな、うちはユエルや。おっちゃんは?」

 

「おっちゃんではない俺はまだ二十代だ。 俺の名はライン、ケチな傭兵だよ」

 

「そかー……で、ラインのおっちゃん。うちはあのおっちゃんらに騙されてたって事なん?」

 

「だからおっちゃんではない。むしろ気付いてなかったお前さんに俺はビックリだよ、どう見ても怪しかっただろ……」

 

 

 チビチビと甘味を味わいながらこっちに問いかけてくる少女、ユエルの言葉に俺は溜息を吐きつつ安酒をぐいっと呷る。

 何のかんのいって10年近くこの傭兵稼業を続けているもんで、あの手の手合いは腐るほど見てきた自信がある。

 

 

「その腰に提げてる立派な得物の様子から腕に自信があるようだから、何かあっても大丈夫だと思ったんだろうが……ああいう連中は騙して連れ込んだ腕自慢の女傑を無力化する術なんざ、幾らでも知ってるというもんさ」

 

「そうなんや……せやけど、そんな事してどないするつもりやったんやろ? ウチそんな手持ちもあらへんのに」

 

 

 想定以上に無垢なユエルの言葉に俺は思わず酒場の店主に視線で助けを求める、しかし店主は視線でお前が助け舟出したんだから責任もって最後まで言えやと述べる。無情な。

 

 

「あーー、まぁなんだ。見た目が良いエルーンの女なんて売り先や使い道はいくらでもあるってヤツさ」

 

「え? それって、ええっと……そう言う事、なん?」

 

「どういう事を思い浮かべてるかは知らんが、まぁそう言う事だ」

 

 

 気まずさの余り目を逸らしつつ、茹で豆を噛み潰しながらユエルへ教授すれば……世間知らずそのものと言える少女とはいえ、さすがにその手の事は知ってたようで。

 顔を真っ赤にし、上目遣いでこちらへ問いかけてくる。やめろ俺は悪くないのに物凄い罪悪感感じるだろ!

 

 

「お、おおきにな。ラインのおっちゃん」

 

「だからおっちゃんではない。まぁこれに懲りたら少しは警戒心を持つべきだな、何か探し物するならシェロの姐御がやってるよろず屋を頼るのいいだろうよ」

 

 

 おっちゃん呼びを訂正させつつ、これ以上厄介事に巻き込まれてもゴメンだし店主に会計をしようとし……。

 

 

「おいおっさん、なんだこの値段は」

 

「そりゃお前、そこで飲んでるお嬢さんの飲み物代だよ。いやーー、ケチで有名なお前が奢るなんて太っ腹だなぁ!」

 

「くたばれこの野郎!」

 

 

 このクソ店主、俺の意図を察しつつここぞとばかりに稼ぎに来やがった!

 やべぇ、払えない事ないけど下手すると島を移動する定期便の金にも事欠くぞコレ……。

 

 

「ラインのおっちゃん、その。大丈夫?」

 

「お、おう大丈夫だ。心配するな若者よ」

 

「どう見ても大丈夫やあらへんやん……せや! ウチいい事思いついたで!」

 

 

 めっちゃ軽くなった財布の中身に世の無情をかみしめつつ、心配そうに声をかけてくるユエルに精一杯の虚勢を張る。

 さすがにこんな少女に懐事情で気を使わせるのはみっともなさすぎる、なんて考えていたら突然ユエルが何か閃いたとばかりに胸を張りながら声を上げた。

 

 

「ラインのおっちゃん傭兵なんやろ?」

 

「さっきは訂正忘れたがおっちゃんではないと言うに。まぁそうだな」

 

「それなら、ラインのおっちゃんのお仕事。このユエルちゃんがお手伝いするわ!」

 

 

 恩返しも出来て一石二鳥やでー、なんて朗らかに笑う少女に俺は毒気を抜かれ。

 苦笑いを浮かべながら、短い間かもしれんがまぁよろしく。なんて言って手を差し出して握手をしたのだが…………。

 

 この時の俺は思いもよらなかったのだ。

 何のかんの言って目の前の少女、ユエルと腐れ縁が続き途中で合流してきた彼女の親友と名乗るソシエと言うこれまた立派な尻尾を持つエルーンの少女とも引き合わされ。

 彼女らが抱えていた事情である大騒動に全力で巻き込まれ解決に奔走する羽目になり、やさぐれた少年少女であるコウとヨウの面倒まで見る羽目になるなんて……。

 

 

 

 

 

 

「そんでもって今となっては、空に知らないモノは居ないグランサイファーの一員なんだもんなぁ。この俺が」

 

「ラインのおっちゃん! そっち行ったで!!」

 

「だからおっちゃんではない!」

 

 

 思わず遠い目をしながら振り返って来た過去から戻ってきた俺は、こっちに牙をむいて飛び掛かって来たサメに両手に持ったリボルバーの掃射を浴びせて絶命させ。

 その瞬間背後に感じた飛び切り危機感に振り向くことなく、最後に一発残していたリボルバーの弾丸をサメの眼に叩き込んで怯ませた後全力で蹴り上げて葬り去る。

 

 しかし落ち着いてリボルバーのリロードをする余裕もありゃしねぇ、なんて思っていれば舞い踊りながらサメをいなしていたソシエに一際大きいサメが向かっているのに俺は気付くと。

 両手のリボルバーを空に向かって放り投げ、背負っていた愛用のリボルバーライフルを構えて巨大サメを狙い撃って吹き飛ばす。

 大口径弾故に抜群の反動と燃焼ガスが俺を襲うが、体に染みついた動きはそれらを適度にいなしてライフルを背負い直し……空に放り上げたリボルバーを落とす事なくキャッチした。

 

 

 いやもうほんと、どこにでもいる傭兵だった筈なんだけどなぁ。俺。




《唐突なキャラ紹介》
【ユエル】
グランブルーファンタジーでは割と初期からいるSSRのもふい尻尾が特徴的なエルーン娘。
余りの露出の多さに肌面積がナーフされるという、中々にない経歴を持っている。
本作ではサイドクエストの『ごめんなさいとありがとう』、及び『コウと空っぽ影法師』で原作主人公のポジで、七転八倒一騎当千の活躍をこなした主人公に懐いている。
露出の多さと絶妙な色気と裏腹に下手すると妹分のヨウ以上に初心いせいか、アプローチは余り順調でないらしい。
最近はいかにして主人公をソシエと二人占めするか思案中。

【ソシエ】
上記のユエルの幼馴染であると共に親友の、これまたもふい尻尾が特徴的なエルーン娘。
当初こそ主人公に対してのスタンスは親友が懸想している男性、くらいで親友にクソでか感情を持っている彼女は余り良い感情を持っていなかった。
しかし、『ごめんなさいとありがとう』にて九尾からのヘイトを全力で集め傷塗れになりながら自身を救出する足掛かりを作り、そして滅する為の舞をユエル・コウと共に舞う為の時間を稼ぎ切った主人公に堕ちた。
普段は控え目だが、隙あらば涙を使ってでも主人公の気を引こうとする女狐。
君、九尾の属性若干残ってない?

【主人公ことライン】
生まれも育ちも境遇も割と普通で、当人単品ではサイドストーリーになるような事件や因縁もない一般通過傭兵。
危機察知能力を様々な所で発揮しており、生き延びて結果を出す傭兵として割と評判は悪くない。
だが使っている銃は当人のチートじみた危機察知能力がないと、暴発と隣り合わせなことから周囲からは変態銃使い扱いされている。
当人は心外だとのたまうが残念でもないし当然である。
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