グランブルーでハーレムチートなお話(オリ主添え) 作:社畜だったきなこ餅
毎年夏の風物詩とも言えるアウギュステの騒動を終え、俺が所属する騎空団もまた平常運転へと戻り……。
一方俺はと言えば、ククル達の協力で漸く手元にやってきたリボルバーライフル(4代目)の手入れを鼻歌交じりに甲板にて行っていた。
爽やかな風と時折吹く突風に難儀はするのだが、いかんせん部屋で作業してるとユエルが強襲してきては構えと寄ってくるのだ。
ただでさえ露出が多い恰好してんだからせめて恥じらいは持てと言えば、何故かぶんむくれて枕で叩いてくる始末である。
後からユエルを追いかけてきたと思しきソシエにユエルを何とかしてくれと頼めば……何故か恥じらいながらユエルと一緒に俺みたいなとりえのない傭兵にくっつこうとするから更に混乱が加速するしな。
もうほんと、乙女心とやらはようわからんわ。
「どうせ窮したら銃で殴り始めるでしょとか言われて、銃身の下に斧を取り付けられる機構搭載された時はどうなるもんかと思ったが……いやぁほれぼれする仕上がりだわ」
いやマジで、ほんと良い出来だわ今回のは特に。
今までは弾倉に収めてる5発を連続発射すると、たまに暴発する予感するから時々連射間隔が落ちるんだが……今回は前に比べてその頻度も大幅に減っている。
さすがククルにクムユ、いい仕事してるわほんと。シルヴァの指摘もあってスムーズに仕上がったしな。
そんな感じに上機嫌に手入れを進めていた俺だが、近寄ってくる足音と危機を察知して咄嗟に銃を横の木箱へと立てかけた、その次の瞬間である。
「どーーーん!!」
「うおぉぃ!?」
背中に勢いよく何かが突進し、柔らかではりのある何かを押し付けられた激しい衝撃が俺の身体を揺らすのもつかの間。
そのまま吹っ飛ばされ空を往くグランサイファーの甲板を転がされる羽目となる俺。
「にゃふふ、隙ありだぜぇ? そんな隙丸出しじゃぁ戦場でやってけないのさライン! 知らんけど」
「お前、今の俺のこの状態見て言う事がソレか?」
天地ひっくり返った姿勢のまま、声の主の方向を見ればそこにいたのは花冠をつけた灰色のふわふわとしたロングヘアと、健康的な褐色肌が特徴的なエルーン……。
そんな見た目とは裏腹に、身の丈ほどもある斧を片手でぶん回し時には敵に投げつけて大暴れする愉快な女こと、ネモネがそこに立っていた。
「わたしさんの突進も受け止められないようじゃぁ、まーだまだだね~」
「お前、ほんとお前……」
「にひひひ、めんごめんご」
俺が貧弱だと言わんばかりの態度にこめかみをヒクつかせる俺だが、いつもの軽い調子で謝りながら俺の手を引っ張って立たせてくる。
「で、俺は今日は武器の手入れやら帳簿をつけるのやらで忙しいから一日中遊んで過ごすのには付き合わんぞ?」
「え~~~!付き合いわるいぜライン~! そんなんじゃぁ女の子にモテないぜぇ? 多分」
「うっさいわ!」
誰が彼女いない歴=年齢じゃい!これでもモテて……モテ、て…………いかんやめとこう、灰色の独身事情に我ながら泣きたくなるわ。
いや出会いが無かったとは言わんよ? うん、目の前にいるネモネ絡みの事件とかで色々あったしな。
「ネモ姉~、ラインいた?」
「おー!妹くん! ここに獲れたてぴちぴちの三十路前独身傭兵をゲットだぜぃ!」
「だーれが年中女っ気なしの三十路前独身傭兵だコラァ!」
ひょっこり現れたネモネの妹こと、ネモネと同じように髪に花冠をかぶった褐色小柄エルーンなメルゥの言葉を受けたネモネに俺はがっしと音が出る勢いで捕獲される。
コイツ相手の場合、俺の危機察知で反応するよりも早く野生の感やらで確保してきやがるからマジで手に負えねぇ……!
若干ネモネの柔らかな体で確保されている現状に役得感を感じなくもないが、そもそも普段からへばりつくユエルやソシエで免疫は出来てるし。
そもそもコイツがこうやって俺を確保してくる時は大体が禄でもない案件の引き金だから、嬉しくはないとは言えないがそれでもめんどくせえ!
「……ネモ姉、ラインまじで言ってる?」
「……多分まじもまじ、大まじだぜぃ……」
そんな事を言い合ってる褐色エルーン姉妹に揃って溜息を吐かれる、何故だ。
「まぁいっか、ネモ姉ー。ルル姉から手紙届いた事、ラインに言った?」
「あ、忘れてたや。いやー、わたしさんとしたことがうっかりうっかり」
「ぐぇっ」
てへぺろ♪何て言いながら急に俺を放すネモネ、突然の解放に甲板にべしゃっと落ちる俺。踏んだり蹴ったりにもほどがある。
付き合いの浅い輩にこんな事されたら流石の俺も、女であろうと関係なくしばき倒すがまぁネモネだししょうがないわ。
「んで、フェルルカから手紙だって?」
「うん、はい」
どっこいセ、などと言いながら立ち上がりメルゥから手紙を受け取り……部屋で読もうかと思えばここで読めという二人の視線を受け、溜息を吐きながら封を切って中の分を認める。
「ふむ、ふむ……」
「何が書いてあんのー?」
「えぇい引っ付くな、年相応に恥じらいを持てよお前も」
「わたしさんは難しい事はさっぱりなのだー!」
ネモネのメルゥの姉、フェルルカから送られた手紙は彼女達の故郷であるクフア特有の花の匂いがほんのりと香り、ネモネとメルゥの姉とは正直思えないお淑やかな女性を想起させる。
そして書かれていた内容は、綺麗な文字で丁寧な挨拶から始まり姉妹が面倒をかけていないかという心配に続き、俺の身体を気遣う内容も書かれており……。
「近況報告とネモネとメルゥが元気にやってるかと言うのと迷惑かけていないか、と言う感じの内容だな」
「ぶー、ルル姉はほんと心配性さんだなー」
「ん」
俺の言葉に二人は不満げな声音でぶーたれつつも、その顔は気恥ずかしそうで言葉ほど悪くは思っていないようだ。
まぁ色々拗れてた姉妹中が修復されたとはいえ、長年に渡るわだかまりもあるだろうに気遣う内容の手紙を送られれば悪い気はせんわな。
いやぁあの時は大変だったわ、傭兵仕事仲間だったネモネと成り行きで手伝ったり世話した事のあるメルゥに……故郷の姉が倒れたとか言う手紙が届いたとかで、何故か俺が一緒についていく羽目になって。
紆余曲折死闘と二代目リボルバーライフルの犠牲の果てに、奇跡的に死者も出ずクフアの騒動を落着させる事になったからな。 二度とやりたくねえ。
「後は仕事が落ち着いたらまたネモネやメルゥと一緒にクフアに遊びに来てほしい、とも書かれてるな」
「お~いいねぇ! あの時は遊べなかったし案内もできなかったから、わたしさんはりきっちゃうよ~」
「うん、ボクもさっちゃんと一緒に森とか案内したげる」
手紙を読み進めると、最後の方に迷いながら書いたのか若干筆跡が乱れつつも書いてあるのを呼んで二人へ教える。
まぁ実際クフアで落ち着けたのは最初の方だけで、後は女王……アリィとなったフェルルカの市政に不満がある伝統重視派との小競り合いやら、フェルルカをアリィと認めてもらう為の作戦に奔走したりしたからなぁ。
最終的に伝統も尊重しつつ、それでも変えるべき因習はゆっくりと変えていくというフェルルカの意思を皆尊重してくれる大団円を迎えられたのだから、まぁ苦労した甲斐はあったというものだ。
重ねて言うが二度とやりたくねぇけど。
しかしこう、俺の危機察知能力が告げてんだよな。
ネモネとメルゥと俺の3人でクフアに行くと、帰ってこれなくなる可能性ある事を。
だが、うーむ。改革の中で疲れて心細いとも書かれてる手紙の内容見るに断るのもなぁ……。
「ラインのおっちゃーーん、構ってぇなー!」
「だからおっちゃんではないと言ってるだろうがユエル」
そんな風にネモネとメルゥに気が付けば引っ付かれてた中考え込む俺の耳に届くユエルの声。
イイ事思いついた、ユエル達とククル達も誘うか!
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トンチキかつ自身が置かれた状況を毛ほども理解してなかった一般通過傭兵が、複数人の女性と共にクフアへ向かって少し経った頃。
グランサイファーの談話室にて、ラカムを筆頭にした一般的に良い年と言われる男性陣は酒を酌み交わしながら雑談に興じていた。
その中で、ふと何かを思い一瞬口を止め僅かな沈黙の後にラカムが同じ卓についていたオイゲンへ言葉をかける。
「なぁ、オイゲン」
「ん、どうした? ラカム」
「ラインのヤツ……何時頃帰って来れると思う?」
「何言ってんだラカム、俺はむしろアイツ帰ってこれないんじゃないかとまで思ってるぜ?」
ラカムの問いかけに対してのオイゲンの言葉に、ラカムはだよなぁなどと呟きながら酒を呷る。
グランサイファーに話題の種になっている一般通過傭兵、ラインが参加してから同じ団の一員として少なくない死線を潜ったと言える戦友が人生の墓場へ行くかどうかの瀬戸際と言う事実に、心で黙とうを捧げる。
「アイツ、ラインはなぁ……見捨てたら寝覚めが悪いだとか儲けに響くとか言いながら、自分だけなら危機回避余裕とか言って死地に平気で飛び込みやがるからなぁ……」
「嬢ちゃん達にとっては劇薬みてぇなもんだよなぁ、アイツも」
しみじみとぼやくオイゲンの言葉にラカムもまたさもありなんと頷く。
オイゲン自身、ラインのクソボケムーブに巻き込まれた事が一度や二度じゃないだけに、いっそ人生の墓場に雁字搦めになっちまえばおとなしくなるんじゃね?などと考えている始末である。
「あ、いたいたラカム。ちょっといい?」
「ん? どーしたグラン」
「ラインさんが何時頃戻ってくるか知らないかな? 危機察知についてちょっと教えてもらいたい事あったんだけど……」
何とも言えない空気が漂う男二人の中に、騎空団の団長である少年グランが手を振りながらやってくるや否や、どこか切羽詰まった様子で問いかけ。
ラカムから暫く戻ってこれないだろうなぁ、などと返す。内心もしかすると帰ってこれないかもと思い始めているが、弟のように思っている少年に一般通過傭兵を取り巻く複雑骨折した恋愛事情を言うのも憚られた結果。
微妙にボカすことにしたようだ。
「ユエルとかククルとかネモネとか、沢山の女の人に慕われてるのに何時も通りにしていたラインさんにアドバイスをもらいたかったんだけど……」
「あー……グラン、アイツに聞いても多分期待した回答はもらえなかったと思うぞ」
最近特にアプローチが激しくなってきた団員の一部女性達の猛攻を躱す為に、女性事情を外から見る限りは上手くやってるように見えたラインを頼ろうとしていたグランだったようだが。
多分ラインがこの場に居ても何の役にも立たねーよな、なんて地味に失礼な事を思いつつオイゲンはアドバイスを送る。
「あー、その、なんだグラン。俺達で良ければ相談に乗るぜ? なぁオイゲン」
「お、おう勿論さ。なんでも頼りにしてくれよグラン」
下手をすると第二のラインみたいに女性陣に拉致されていきかねない弟分、グランの様子に危機感を刺激されたラカムとオイゲンの二人は立ったままのグランに椅子を勧め……。
深刻そうな男達の様子に次々とやってきた頼りになる団の男性陣らに、念入りに助言をもらえたグランは何とか直近に迫っていた女性陣のアプローチへ対抗する術を編み出す事に成功するのであった。
なお渦中の一般通過傭兵、ラインは一か月後ぐらいにげっそりした顔で団に戻って来たらしい。
その時に深刻な顔をしてグランに、女性陣に適当な態度を取っていると色々と酷い目に遭うぞ。などと大真面目に語っている姿が目撃されたとかされてないだとか。
ネタ切れによって一般通過傭兵が捕食(意味深)されたので完結です。
多分続き書くとしたら各エピソードの掘り下げとかになると思います。
《唐突なキャラ紹介》
【フェルルカ】
地球におけるマオリとかポリネシア諸島とかアマゾネスとかその辺りの文化体系がごっちゃになって出来た感じな『クフア』の新米女王(アリィ)
略奪や侵攻によって成り立っていた故郷の伝統を改革し、文化的な生活を故郷にもたらした割と有能な偉人。
しかし個人のトラウマやらなんやらもあって伝統を蔑ろにし過ぎた結果、昔からのクフアの人間や妹達と溝が出来てしまい割と危険な状況に居た、が。
サイドストーリーの『パリウリ・パラライハ』にて過激派の暗躍やらなんやらで本格的に命の危機に見舞われるも、手紙によって帰郷したネモネとメルゥが引きずってきた一般通過傭兵ラインの奮闘と死闘によってその危機を脱する事が出来た。
なおそのせいで、男性慣れをしていなかった純情なお姉さんであるフェルルカは堕ちた。
騒動を終えてクフアをラインが立ち去ろうとした時、その袖をそっと引いて引き留めようとしたが勇気が出なくて諦めた過去があり、今回は不退転の気持ちで臨んでいる。
【ネモネ】
クフア出身の女王であるフェルルカの妹、普段から飄々としており捉えどころのない言動をして人をからかったり煙に巻く事が多いがその性根は優しく、しかしその真心を素直に出す事を極端に恥ずかしがる乙女でもある。
ちなみに戦闘能力が重視されるクフアの文化においてへっぽこと言わざるを得ないフェルルカよりも、女王に相応しいと人々から見られていたりしていたが、色々あってクフアを飛び出した。そして姉との仲が拗れた。
旅をしている中でうっかり腹ペコになったところを、野営していたラインに助けられてから事あるごとにラインにだる絡みするようになり……分りにくい変化球アプローチをしてはスルーされてぐぬぬってなっていた。
今回の帰郷にて姉妹3人でラインを捕食(意味深)しようと企むも、嫌いではないがライバルである他の女子も来てまたぐぬぬってなった。
【メルゥ】
クフア出身の王であるフェルルカの妹でありネモネの妹、要するに末っ子。
さっちゃんと呼んでいる割と複雑な事情を持っている仮面を被った騎獣と心を交わし人獣一体変幻自在の戦闘を得意とするが、当の本人はぽやーっとしたボクっ娘である。
善悪問わず獣が寄ってくる性質があり、その中で魔物に不意打ちをされてあわやと言うところで偶然通りがかったラインに助けられ、惚れた。
三姉妹の中で実は最も直球にラインへアプローチをしているが、肝心のラインがぼんくらすぎてアプローチが何一つ通じていない。
結果的に団の仲間である他の女子もクフアへ来ることになったが、実はそんなに深刻視しておらず……どうせなら皆で幸せになろうよ、とか考えている一番の危険人物。
【主人公ことライン】
騒動に遭遇する度に女を引っかける事に定評のある一般通過傭兵、なお本人にその気がないのが最もタチが悪いのは言うまでもない。
最初に女人だけしか立ち入れず男が足を踏み入れると命がない、と言われていたクフアへ誘われた時はネモネに殺す気か!!と騒いでいたが、いざ立ち入るとそんな事もない平和な島に胸をなでおろした事がある。
しかし平穏無事に終わる事があるわけなく、結果から言えば過激派に命を狙われたフェルルカの危機を救ったり、フェルルカが女王と認めてもらうための儀式を完遂する為に最後まで手を貸したりするなど……。
危機察知能力とは?と問いたくなる程度に死線に片足どころか全身を突っ込む行為をして、大団円へと騒動を導いた。
今回は平和に島を観光したいなー、なんて考えているが自分が人生の墓場に放り込まれるという事に気付いたのは、退路が完全に塞がれたその時であった。