ユグドラシル世界の崩壊と共に異世界へ飛ばされたのはナザリック地下大墳墓 戦闘メイドプレアデスの四女の一人、シズ・デルタこと“CZ2128・Δただ一人。


●説明●
シズ単身で転移!以上!

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「何でこの設定でヨシって言ったんですか?」


第一話にして最終回 オートマトンは待機中

 ナザリック地下大墳墓第九層に現れたのは至高の四十一人の最後の一人、モモンガであった。生と死の支配者たるオーバーロードである彼は見た目こそ白骨化死体のソレだが、歩くし、喋るし、魔法だって使える。立派な装飾のローブを纏い、ギルド武器と呼ばれる大層立派な杖も持っていた。

「追従せよ」

 その一言でそれまで待機していた執事のセバス・チャンと戦闘メイドのプレアデス7人の計8人はモモンガに着いて歩く。

 

(命令を確認。モモンガ様への追従を開始する。)

 

 戦闘メイドプレアデスの四女の一人、シズ・デルタこと“CZ2128・Δも命令を受け入れそれを実行していた。

 やがて玉座の間に踏み入れ、しばらく歩くとモモンガより「待機せよ」の命令が発された。

 

(命令を確認。現在位置にて待機状態に移行する。)

 

 暫くののち、モモンガは立ち上がると「ナザリック地下大墳墓…、アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」と発し、世界は光に包まれた。

 眩い光にもシズは目を閉じることなく、見えなくなる最後の一瞬までモモンガのことを見続けていた。

 

 

 

 次の瞬間である。

 

(座標の変化を確認。現在位置…………不明。命令は…未入力。現在位置での待機状態を継続する。)

 

 簡単に言うとシズは単身でナザリックではない森の中に一人佇むこととなった。しかし、彼女は動じない。何故なら彼女はオートマトンであるから。命令があるまでその場所が森だろうと街だろうと待ち続けるのだ。雨が降ってもシズはその場で待機していたし、魔物に襲われた際は直様魔導銃による迎撃こそすれその場で待機を続けた。

 

 そう、ある時までは

 

 

 

 

「誰か、誰か助けて!」

 突然森の中にそんな声が聞こえた。シズはその声の主が本来の主では無いと分かっていたが、自然とコマンドが入力されていた。

 

(命令を受領。対象の防衛を開始する。)

 

 シズは武器である魔道銃を取り出し、声の聞こえた方へと走り出した。暫く走ると声の主であろう少女と今まさに助けを求める声の主に振り下ろそうとしている男を目視した。

 

(戦闘モードへ以降。敵性存在の抹殺を開始する。)

 

「なんだ?嬢ちゃんも仲間に入れてほしいのか?」

 銃などという武器はこの世界では異端である。故に剣を持っていた男はシズをも自分達の遊び相手の一つとカウントしていた。

 シズはというと、銃を構え、発砲。弾丸は真っ直ぐに男の脳天に着弾する。そのまま突然味方が倒れたことに困惑するもう一人の男へ発砲、見事殺害する。

 

(敵性存在の無力化を確…異常検知。防衛対象以外の生命体反応を確認。)

 

「あ、あなたが助けてくれたんですか…?」

 シズが生命体反応へ銃を向けるよりも早く、助けられた声の主、エンリ・エモットは質問を行った。助けてくれた相手が自分とあまり歳の違わない少女だったからである。

 

「質問の入力を確認…肯定」

 

「あ、ありがとう。私エンリ・エモット。こっちは妹のネム。」

 頭を下げての感謝と自己紹介、命を救ってもらった者への当然の礼であった。

 

(個体名ネムの危険度を測定…危険度無し。対象の防衛のために殺害する必要は無しと断定。戦闘モードから警戒モードへと移行する。)

 

 因みにあのままエンリが何も言わなければ撃たれていたのはネムだったが、今となっては誰も知る由などない。

「あの、良かったら名前を教えてもらっても…?」

 助けてもらった相手の名前がわからないでは話にならないとエンリはシズへ質問をしていた。

 

「質問の入力を確認…。本機の正式名称はCZ2128・Δ(シーゼットニイチニハチ・デルタ)」

 

「えーっと…デルタさん?」

 聞きなれない言葉をつらつらと言われて覚え切れる人間などそうはいない。エンリはただの村娘であり、シズの名前を聞き取れるような才能はなかった。

 

「質問の入力を確認…肯定」

 

 エンリはここで迷っていたことがある。それは自分達の育った村のことだ。自分達への脅威はシズが追い払ったものの、シズの見た目は自分と年変わらない少女のもの。故に「お願い、村のみんなを助けて」とは頼めなかった。

 

(一定時間の経過を確認。防衛任務完了。警戒モードから待機モードへと移行する。)

 

「コマンド入力待機中。ご命令を。」

 

 少女が悩む顔など機械の目で見れば一発でわかる…などということはなく、シズもまた「助けて」の命令を実行し終えたと判断し、次の命令を要求した。しかしながら、それをエンリは勘違いした。

「ならお願い、村のみんなを助けて…!」

 

「命令受領…失敗。みんなの定義が曖昧です。」

 

 エンリはこれまた勘違いした。突然初対面の人に「村のみんな」と言われても誰が村のみんななのかなどわかるはずもない。エンリは自分の焦りを感じながら、倒れた甲冑の男たちを指差した。

「この、鎧の人たち以外が村のみんな!この鎧の人たちをやっつけて!」

 

「命令受領…失敗。村の範囲を指定してください。」

 

 エンリはさらに勘違いした。突然初対面の人に「私の村に来て」と言われても村の位置など知るはずがない。結果いうより早いから連れて行くということでシズは了承した。

 

「命令を受領。対象の殲滅を開始する。」

 

 命令の入力を確認したシズの動きは早かった。視界に入る甲冑の男たちの脳天を確実に撃ち抜いて行く。彼らの用いる剣、盾、鎧、兜そのいずれもがシズの魔導銃の前では紙同然であった。あっという間に殲滅し、シズは再度警戒状態に移行した。

 

 因みに、エンリがシズを連れてくるまでにかなりもたついたやりとりがあったため、村人の生き残りはほんのわずかとなり、復興は絶望的となったのだが、それを責める人など居ない。

 

「先ほどとは異なる甲冑の存在を視認。攻撃しますか?」

 

「えっ!?どこ!?」

 シズの視力と人間の視力には当然ながら差がある。よってシズの目に捉えたガゼフ・ストロノーフとその愉快な部下達をエンリが見ることはできなかったが、一先ず森に逃げて様子見ということになった。やがてやってきた鎧の男達を見た生き残りの村人があれは味方だと話し、エンリがシズに説明するとシズは銃を下げた。

「君が村人達を守ってくれたのか…!?」

 

「質問の入力を確認。肯定。」

 

「…変わった話し方の女の子だな。もしかして他の国から来たのか?」

 シズはその質問の解答に詰まった。何故ならそもそものナザリック地下大墳墓がどの国にあったのかわからなかったのだ。

 

「質問の入力を確認。解答不能。」

 

「わからない…と?それとも答えられないか…いや、君は我々の代わりに村を救ってくれた恩人だ。深く探るのは無粋だな。」

 そしてガゼフは生き残りのごく僅かな村人達を見て彼はだけでも街へと連れ帰ろうと決心した。それと同時の事である。

 

(一定時間の経過を確認。殲滅任務完了。警戒モードから待機モードへと移行する。)

 

「コマンド入力待機中。ご命令を」

 

 シズは待機状態に移行した。

「命令…ではないが、そうだな。我々と共にエ・ランテルまで村人達の護衛をしてくれないか?」

 ガゼフは何の気なしにそんなお願いをしたのでシズは了承した。

 

「命令を受領。エ・ランテルなるエリアまでの案内は委任する。この場に居る者の護衛任務を開始、この場にいない敵性存在を確認次第殲滅する。」

 

 ガゼフは少女のそんな言葉を聞いて、子供なりにやる気があるのだと勘違いした。そしてその勘違いが彼の命を救う。

 

 

 

 

 

 

 

「ありえるかぁ!?」

 運悪く殲滅モードのシズに敵対行為を仕掛けてしまったのは陽光聖典のニグンとその一行。ニグンの部下がガゼフの部下に放った魔法をシズが視認した瞬間、シズは魔導銃を構えると的確に発砲、瞬く間に脳天を確実に撃ち抜いて行く。焦って召喚される天使達も召喚され次第蹴散らされ話にならなかった。ニグンは奇跡的に地に伏す事で斜線を切っていたが、それだけでは状況は好転しないことはニグンもよくわかっていた。

 

「敵性存在の視認数と撃破数の不一致を検出。索敵モードに移行する。」

 

 その言葉を聞いて直様ニグンは理解した。このまま隠れていても確実に殺される。謎の手段で部下がやられたように自分もやられるのだと。無様にも他に平伏したままガサガサと荷物を漁り目当ての魔封じの水晶を取り出す。そしてそれを召喚さえ出来ていればシズには勝てたかもしれない。しかし、取り出して歓喜したのも束の間。オートマトンであるシズの索敵に対し余りにも無警戒な行為であった。当然後で位置が探られ、銃口は既にニグンに向けられている。

「い、命だけはっ!!」

 

「敵性存在を確認。殲滅する。」

 

 その冷たい瞳には命乞いなど無駄であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後は特にトラブルもなく、ガゼフとシズとエンリ達はエ・ランテルへと辿り着いた。そして頼れる者がある一人しかいないエンリはある少年の家を訪ねることになる。そして護衛任務を完了したシズは例の如く待機状態に移行するのだ。

「デルタさんはこれからどうします?」

 

「質問の入力を確認。本機は待機状態に移行し、命令を待ちます。」

 

 シズにとってそれは当たり前のことであった。与えられた命令をこなし、命令を終えたら次の命令を待つ。しかし、シズをちょっと変わった子くらいにしか思っていないエンリは首をかしげて少し思考した。

「じゃあ一緒にくる?」

 

「…。それは命令ですか?」

 

「いや、命令ってわけじゃないけど…。」

 

「コマンドが入力待機中。命れ…」

 

 シズとしては命令じゃないなら聞かないでいいやと思ったのだが、エンリは慌てた。

「わかった、わかったこれは命令!デルタさんも一緒に来て!」

 

「命令を受領。これより個体名をエンリ・エモットへの追従を開始する。」

 

 こうして、オートマトンは新しい生活を始める。みんなちょっとめんどくさいなとか思いつつ、お願いをしたりしながらシズはエ・ランテルのンフィーレア・バレアレ家で暮らしていく。

 

「指定された物品の購入を完了。」

 

「指定位置への物品の運送を完了。」

 

「個体名、ライジー・バレアレの肩の凝り解消を確認。」

 

「個体名、ネム・エモットの入浴の完了を確…清潔度の異常を検知。再度の洗浄を開始する…」

 

 

 

 

 

「コマンド入力待機中。命令を。」

 

 

『オートマトンは待機中』 完!

 

 

 

 




多分本編のシズちゃんはこんな融通の効かないメカみたいな思考回路してないと思うんですよね。

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