多分一番頭がいいのがケルビなのトレーナーの胃袋がぶっ壊れる
「わたし、ハルウララ! よろしくおねがいしまーす!」
新入りがやってきた。はんたー曰く、これ以上増えると管理ができないので最後のメンバーとのことである。
しかしわしが言うのもあれだが、このチーム小さい奴が多いな。ケルビもツインターボも平均よりだいぶ低い。新入りのハルウララもかなり低いほうなのではないか。わしの身長は一応平均以上はあるわけだが、ウマ娘の中にはもっとでかいのもいる。ちらっと見たのだが、見上げるように大きいウマ娘をこの学園で見たことがある。まさか、わしがチームで一番背が高い時代がやってくるとは思ってもみなかった。
ハルウララ。聞いた話では“一勝もしていない”ウマ娘らしい。わしは、重賞ではないものの二回は一着をとっているし、ツインターボも一度は作戦が功を奏してぶっちぎりの一位、ケルビも一回だけゲートに怯えずに勝利した経験がある。ところがこのハルウララ、いつも最下位らしく、弱いことで有名であった。
辛辣な言い方かもしれんが、命のやり取りがないだけでレースは弱肉強食の世界であろう。弱いことに価値があるのか。と思わずにはいられない。
ツインターボは堂々と、ケルビはおどおどと胸元で祈るように手を重ねて挨拶をする。
「ターボはツインターボ! よろしくねーっ!」
「わた、わたしはケルビって言いますぅ。ハルウララさんようこそチーム“ライズ”へ! ……えへへへ、言えたちゃんと言えたよ……」
「ターボちゃんにケルビちゃん! 仲良くしようね!」
三人がきゃっきゃと自己紹介している間にわしははんたーの腕を掴んで隅っこに連行した。
「言わんとしていることはわかる。だが、彼女はすごいぞ」
「すごい?」
「へこたれないんだ。あんなに負けているのに、全く。レース後も見ていたが、全く悔しそうな素振りを見せないどころか本気で楽しかったと言ってるくらいだ。しかも、負けてるのに地元の人気者と来ている。きちんと鍛え上げれば、上位を狙える素質はある。と俺は思う」
わしはううむと唸った。メンタルは重要だ。なにがってもへこたれない心の持ち主が実力を身に付ければ、さぞ強かろう。
はんたーは、がしがしと頭を掻きつつ言葉を続ける。
「それにうちのチーム、ダートが得意なのがいないだろ。一人くらいは欲しかったんだ」
「なるほど」
ダート。ようはむき出しの砂地というべきか、競バには二種類のコースがある。一つは芝。もう一つはダートだ。わしも、ターボも、ケルビも、ダートは苦手である。ハルウララの主戦場はダートなのだろう。
わしは腕を組み、はんたーの顔を見上げた。ハルウララと比べると、まるで子供と巨人のような身長差があるな、そういえば。
「おぬしがそういうのならば何も言わんよ。ちゅうちゅう猫を噛むというしな」
「窮鼠猫を噛むだろ……使い方もおかしいぞ」
「うるさい! だいたいあってればいいのだろう!」
「あっ、私ハルウララ。お名前教えて欲しいな!」
「ごほん! わしはキリンよ。よろしく頼む」
「キリンちゃんすっごく綺麗な髪の毛だねぇ! きらきら光ってて、いいなー」
「ふふ。そうであろう、そうであろう。自慢の髪の毛ぞ」
ピンク髪がニコニコとその桜の花びらのような模様の目を向けて笑いかけてくる。人をころっといかせてしまうような人懐っこい笑みである。人たらしの才能があるな、こやつ。
わしは腕を解くとハルウララの肩に手を置いた。うんうん、とハルウララが頷いてくる。
うむ。いまはまだ子供だが、大人になればさぞ男にモテるであろうな。まあわしにはかなわんわけだがな!
はんたーが手を叩いた。
「よしさっそくトレーニングだと言いたいところだが、もう時間が遅い。明日、車で……いやオートバイで遠出をしよう」
「は? 遠出というとあれか、わしらは走っていくということか」
「わーい! どこにいくのー? 面白いところだといいなー」
「ターボね、ターボね、海に行きたい!」
「わたしはえへ、みなさんと一緒ならどこへでもいけますのでぇ……えへへ、えへ」
遠出ね。車でと言いかけてオートバイなあたり遊びにでかけにいくわけではあるまい。はんたーはバリキこそウマ娘並みにあれど、足の速さは常人と大差ない。オートバイでも乗らねば我々に追従などできまい。わざわざオートバイというのだ、これもトレーニングであろう。
どこどこに行きたいと好き勝手言っている面々を見てわしは、はんたーがどこに連れて行ってくれるのかを想像していた。
そういえば単発で水着メジロが来たんですよ(自慢)
虹色ゲート来たしそろそろだれかにバトンタッチしたいですね