ということでターボと同室になりました。
賢さ×の天然コンビの明日はどっちだ!!
トゥインクル・シリーズというものがあるらしい。実績を残せばあの男はいいだろう、お前を貰ってやろうなどと抜かしていた。今に見ておくがよい。幻獣とも言われた我らが種族の生きざまを見せてやる。
で。めいくでびゅーなる、デビュー戦に向けての特訓が待っていた。まずは、どんな走りをするのかというために好きに走って見ろと言われた。
わしの走り方というのは、距離を定めないマラソンみたいなものなのだ。というのも自分で旅して日本全国走ってきたので、特定の距離走ったら終わりではなかったからだ。走っては休みを繰り返してきたので、長距離走るのは得意だ。すていやー? としての素質があるらしいが。
わしが走ろうとしてきたとき、青い髪の毛のちんちくりんが横に並んできた。
ついんさいくる?とかいう女で、わしの同室の女である。髪の毛を後ろで分けて結んでいるのが特徴で、ぎざぎざの痛そうな歯と笑顔が印象的な女であった。わしよりもだいぶ背が低い。
『はじめましてだっ! ターボはツインターボっていうの! よろしく!』
『元気な童がきたのお。わしはキリンよ、よろしく頼む』
『わー! すっごい! 角だ! ねぇ触っていい!? 触っていい!?』
『触りながら言うでないわ!』
『ね、触らしてよ! お願い!』
『条件を付けよう。これから外で“軽く”走るから、勝ったら触らせてやってもよいぞ!』
『ターボ負けないもん! 外いこ!』
なぜか角を触りたがるので、勝ったらいいとかおもわず啖呵を切ってしまった。まあ、よい。勝てばよし、勝てなくてもよしだ。
「ううおおおおおおおおお!」
「こ、この走りは配分も何も考えていないっ!? よかろう、わしだってこうよ! うおおおおおおおお!」
全力でダッシュし始める背中を追いかける。しかしこの女、速い。速い。ペース配分がどうの、そんなこと知らぬと言わんばかりの全力ダッシュである。おいて行かれるわけにもいかぬ。わしも全力を出すことにした。
「なにやってるんだあいつら……」
おい、はんたー。なぜ呆れ返った顔でわしらを見ておる。よく見ておけ。これが幻獣の走りよ。
わしの走りは、歩幅が大きいらしい。その分筋力が必要らしいのだが、一方でターボは体に合っているちょこまかした歩調である。
「うおおおおおおターボ負けないもん!」
「わしだって負けないぞおおおおおお!」
あれ? 何m走るんだっけ? 決めてなかったっけ? まあいい。体力の続く限り走りぶべぇっ!?
「ぐべー!?」
「あべー!?」
そしてわしらは同時にこけてごろんごろんと転がったのだった。
「ばかもんが」
「あいたー!?」
ぱしんと容赦なく頭をブッ叩かれる。ウマ娘の体は強い。人間が叩いたくらいでどうにかなるものではないが、この男の殴打は特別強く、膝ががくんとなるところだった。
「走れとは言ったがこけてどうする。というかそっちの子はどこから来たんだ?」
「あっ、もしかしてトレーナー!? すっごい! もうトレーナーがついてるの!? ターボはね、ツインターボっていうの! よろしくね!」
トレーナーの手を勝手に取って握手し始めるツインターボ。やめんか。その男はわしのもんだぞ。
「ああ、こやつはツインブレード。わしの寮の同室のもんだぞ」
「ツインターボ! 前しか合ってないじゃん!」
「ああ、あの、入試試験で配分考えずに走ってた子か………しかも同室とは、とんだめぐり合わせだ」
ドスファンゴ二匹コンビが同室とは先が思いやられると呟くんじゃない。聞こえておるぞ。わしは冷静な女なのだ、同じにするでない。
「ね、触っていい!? 触っていい!」
「はー。わかった。先が尖っているから気を付けて触れよ」
このままほっておくといつまでも触っていいって聞いてきそうなので、触らせることにする。
「キリン。お前の脚質はおそらく中距離、長距離が適正だ。逃げでいいだろうな、というか配分やら駆け引きできる才能があるとはとても思えん」
「なぜかバカにされてる気がするが、まあよい。しかし逃げてはいないぞ」
「ああ、逃げって言うのは要するにツインターボみたいに先頭を全速力で駆けて、そのままゴールを目指すやり方だ。バ群に飲まれなければ駆け引きもいらない。ただしスリップストリームの恩恵は受けられないし、一度飲まれると復帰が難しい点がある」
「????????????」
すりっぷすとりーむ?? わからない単語を使うんじゃないぞ、はんたー。
「あっ、痛っ」
「だから言ったではないか。このくらいつばつけておけば治る」
「そうなの? んー」
「やめろ。消毒して、絆創膏だな」
ツインターボがうっかり指先を傷つけた。はんたーが舐めようとしたターボに首を振ると、ポケットから消毒液と絆創膏を取り出して処置をする。さすがははんたーである。準備が良い。
「ちなみにツインターボも逃げだな。それも大逃げ。キリンと同じだな。似たもの同士なんじゃないか」
「そうなの! じゃあターボもキリンと一緒に走って練習する!」
「いいライバルができてよかったじゃないか」
わしは少々不満なので腕を組んだ。
「ライバルではない。今回はわしの勝ちだったではないか」
「同時に転んだじゃないか」
「………一寸程わしのほうが先に進んでいた!」
はんたーが生ぬるい目で見てきたわけだが。そんな目で見るな。
こうしてわしは、ライバルというか練習仲間を手に入れたのであった。
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