モンハンのキリンがウマ娘世界に転生したら   作:キサラギ職員

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ツインターボ:逆噴射
ケルビ:ゲート難 掛かり
キリン:????


6、メイクデビュー

 

 メイクデビュー。

 それはウマ娘たちの初舞台であり、トレーニングの集大成とも言える。このデビュー戦で敗退し、ずるずると負けを重ねればその後の活躍は難しいし、仮に結果を残せても優秀なトレーナーに目を付けてもらえるとは言えない。

 キリン、ツインターボ、ケルビの三連星(さんばか)のような例は異例とも言える。トレーナーであるハンターが入学前から目をつけていたキリン、粗削りながらキラリと光る原石のツインターボ、素質十分ながらメンタルが弱いものの元の世界の記憶を保持しており、肉体的には完成度の高かったケルビなどは例外中の例外と言える。

 

「これで競り合いに頭を使えるだけの“賢さ”があればよかったんだが」

「なんか言った?」

「なんでもない。全力で走ってぶつかってこい」

 

 最初に出走するのはツインターボである。体操服にゼッケンをつけて、準備体操というには動きが適当なそれをやっている。腕を伸ばしたり、かと思えば伸びをしてみたり。

 ハンターはため息を吐くと首を振った。

 

「なんでもない。お前たちに駆け引きをしろとは言わんから、体力を全部使い切るつもりで走ってくれ」

「? わかった。ターボ、全力で走ってくるね!」

 

 ツインターボは元気よく返事をすると、ゲートへと入った。

 ゲートオープン。ツインターボは出遅れることなく、素早く射出された。ツインターボ搭載の車よろしく、地面の芝を盛大にえぐり取りながら、蹄鉄を打ち鳴らし、一気にギアを上げていく。

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

 最初はよかった。どんどんと加速していき、バ群に飲まれることなく、先頭に踊りでる。

 しかし中盤になるとどんどんと減速が始まり、最後は目をグルグル回しながら汗びっしょりになり他のウマに凄まじい速度でブチ抜かれるのであった。

 まさに逆噴射である。

 結果はビリ。

 ツインターボは地面に転がってじたばたとしていた。

 

「どーじでぇぇぇぇぇぇぇ! ターボ、まだいけるのにぃぃ!」

「配分をもうちょい考えさせた方がいいかな」

 

 ハンターは冷静に分析すると、次のレースに待機した。

 次はケルビである。びくびくと周囲を見回しており、耳がぶんぶんとあっちこっちに向いている。短い尻尾は見事に股に巻かれている。「馬」というより羚羊(れいよう)の動きに酷似しており、腕で胸元の豊かな双丘を守るようにして、内また気味である。

 ケルビには最大の問題があった。

 

「今回は大丈夫か?」

「ひぃ!? た、食べないでください!」

「食べないよ………元の世界じゃだいぶ食ったけどこっちでやるわけにはいかないんだよ。狩猟免許は持ってるけど」

「ぴっ………」

「食わない! 食わないから落ち着け!」

 

 まるで前世でハンターに殺されたとでも言わんばかりであるが、実際そうなのだろう。ケルビの角は薬効があり、装飾品にもなる重要な資源である。乱獲が問題になることもあったくらいだ。

 ハンターはケルビの頭を撫でると、顔を近寄せた。

 

「大丈夫なんだろうな。アレは」

「だいじょうぶれす! 何度もやりましたし!」

 

 そう、それはゲートである。さすがは元ケルビというか、調教そのものをされるはずのない種族である。ゲート難があった。

 ゲートに次々入っていく他のウマ娘たち。ケルビは怖気ついてうろうろした挙句係員に強引に押し込まれる。

 そしてスタート。ゲートオープン。

 

「ひっ!? あっ出遅れたっ! ごめんなさいごめんなさい!」

 

 見事出遅れる。他のウマ娘のお尻を追いかける形となり、しかしそのステップの速いこと。猛烈な追い上げをみせるものの、どうしてもブロックされ抜け出せず。

 大泣きしながら走る走る。けれどスタミナ切れを起こし、ステップもぐだぐだに。

 

「えーん!!」

 

 大回りして迂回しようとしたが迂回すれば当然の如く距離が延びる。結果として五着になってしまったのであった。

 地面に座り込んで漫画よろしくえんえん泣きまくるケルビに、さすがのトレーナーもおろおろとするしかない。

 

「ぴぇぇぇぇん! トレーナーさんすびばぜん! すいません! 脱ぎますね!!」

「脱がなくていいから!! やめろ! やめろって!」

 

「なんであの子脱ごうとしてるんだろ……」

「さあ……トレーナーの趣味なんじゃあ……」

 

 と白い眼を向けられたとか、向けられなかったとか。

 

 

 そして最後はキリンである。

 いろんな意味で疲労したトレーナーは、キリンの肩に手を置いた。キリンは自信満々に胸を張っていた。

 

「頼む……」

「ふふん、任せておけ」

 

 キリンは言うとにやりと口元を緩めた。

 

「本気を見せてやる」

 

 青空に、あっという間に雲がかかっていく。キリンの髪の毛が風もないのにはためき始めていた。

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