モンハンのキリンがウマ娘世界に転生したら   作:キサラギ職員

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ライバルはいやーきついっす
ということで不審者枠で登場


9、迫り来る白い影

 

 

「そう! ターボについてきて!」

「うぬぬぬ!」

 

 ターフ傍らの空いている場所で必死にダンス練習をするキリン達ご一行を、遠くから眺める姿があった。

 勝負服なのだろうか。ラバースーツにも似たツナギを一枚着込み、なぜかその上からトレンチコートを着込み、マスクに分厚い丸眼鏡に帽子という不審者丸出しの姿の存在がいた。

 

「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァいいよぉいい電磁波カンジチャウよぉぉぉぉぉ」

 

 と、手に持ったビデオカメラでがっちりキリンを撮影している。

 比較的馬っぽい姿のキリンやケルビと違い、彼女には耳らしい耳が生えておらず、代わりに驚異的なまでに白い肌と、白い髪の毛のボブカット、牛乳瓶の底並みの丸眼鏡の反射のせいで目がどんな色かもわからない。代わりにタコの吸盤のような機構を備えた尻尾が生えており、地面に設地していた。

 急にすんすんと鼻を動かし始めたかと思うと、あたりを確認する。ビデオカメラで。ド近眼過ぎてカメラを見ている方が楽らしい。

 

「ハッ!? この匂い! この磁界は!?」

 

 危険を察知したのか、直ちにビデオカメラをしまうと、大きすぎる胸をたゆんたゆんしながら走り出す、その速度のまあ遅いこと遅いこと。だが事前に走り始めたお陰か、その存在から逃げることはできた。

 

「うーんおかしい……デジたんセンサーがあの不審者をキャッチしたと思ったんですけど……」

 

 ピンク色の髪の毛のウマ娘オタクがやってきて、誰もいない周囲をキョロキョロと確認している。

 彼女の名前はアグネスデジタル。戦場を選ばぬ脚質の持ち主にして、ウマ娘なのにウマ娘オタクというこれもキリンがみたらちんちくりんとか言い出しそうな小さな女の子である。

 デジたんは激怒した。あのウマ娘を盗撮する不審者を取り除かねばと決心した。デジたんは尊みのためなら命を張れる女である。

 

「う、ウマ娘たんの為には! 不届き者は捕まえなくては! あたしにだってできるとこ見せてやりますよ! えい、えい、むんぶぶべぁ自分でやるの畏れ多い! えいむんの破壊力高すぎィ! 自分鼻血いいすか!?」

 

 と自分でネタやっておいて盛大に鼻血を出しつつ撤収して行ったとか。

 夕方頃。

 トレーナーが手を叩いて練習の終了を告げる。

 

「今日はこのくらいにしておこう。お疲れさん。盆踊りからダンスにランクアップくらいはしたんじゃないか。ターボの教え方がいいんだな」

 

 意外なことだが、ターボは教え方がうまかった。具体的な言葉は使わないものの、天性の無邪気さと明るさで、失敗しても怒らず、次どうするべきかを大真面目に考えてくれるので、キリンもむっとせずについてこれるのであった。

 一方ケルビはだめだった。委縮するわ謝り始めるわジャージを脱ごうとしてトレーナーに羽交い絞めにされるわ、ダンスはそこそこできるくせに人にものを教えるということが致命的に向いていない。

 

「しかし、ターボは教え方がうまいな」

 

 キリンは素直に彼女を称賛した。ここで茶化したり突っかかっている場合ではない。素直に伝えるべきなのだ。

 ツインターボはどうだと言わんばかりに薄い胸を反らした。

 

「習字の先生の教え方を見てべんきょうしたんだぞ! えらいでしょ!」

「習字!? こんなすきるを持っているとは意外な……」

「有段者なんだぞ! どーだ! すごいでしょ!」

「有段者!?」

 

 意外な特技を発見したりもした。

 

 こうして、四人が押さえたチーム室には整いすぎた字で『チーム ライズ』というターボの力作が掲げられることになったのだった。

 

 夕飯時。カフェテリアにやってきた三人は料理を注文する。

 ウマ娘の身体能力の高さは人類の規格を大きくはみ出している。それは食べる量にも比例しており、どこの大食い選手だと言わんばかりの量を比較的食べない子でも食べてしまうあたりに察することができる。

 

「あやつも大食いだったな。そういうことなのか?」

 

 トレーナーことハンターも大食いであった。前世で食事風景をこっそり見ていたことがあったのだが、バカみたいにでかいこんがり肉を数分かからずぺろりと平らげていた。こっちの世界でも同じくらいは食べるのだろう。異常な代謝能力があるからこそ、人知を超える力を発揮できるのではないか。

 

 もりもりのカレーライス。キリンである。

 もりもりのサラダ。ケルビである。

 ケチャップやらマヨネーズやらガーリックソースてんこ盛りのステーキ。ツインターボである。

 

「うーむかれーらいすはいいのお。ケルビ、サラダだけで足りるのか?」

「えへ、えへ、私は菜食主義(ベジタリアン)………ひいいいい嘘です美味しそうな小鳥ちゃんがいたので食べちゃったことありまぁす!」

 

 草食動物も、食える機会があれば肉を食うものだ。えんえん泣きながら小鳥さんごめんなさいとか言いながらサラダをもしゃる。

 

「ターボ、それは調味料をかけすぎて味が………死んでないか?」

「死んでないよ。すっごくおいしいんだよ! もっとかけよっと。そりゃー!」

 

 と、ドバドバマヨネーズをかけまくるターボにキリンはドン引きしたとか。

 

「ぎゃ、ぎゃくにぃキリンさんは草食? なんですよね。サラダじゃなくていいんですか?」

「腐っても古龍よ。肉も食らう、野菜も食らう、なんでも食らってこそよ」

「ね、キリン。こりゅーってなぁに?」

「ん? ま、まぁ、そのアレよ。アレ。そのうち教えてやろうぞ」

「ええー」

 

 話についていけないツインターボが質問するもはぐらかす。流石に前世がどうとか言ってもわかるまい。ハンターに前世殺されましたというところまで話すわけにもいかない。

 仲良く食事を終えた三人は寮に戻って行った。

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