サキにとって
どんな光よりも、貴女は輝いておりました。
その夏の日は、とても眩しくて
空も海も美しい青に染まっていました。
それでも、貴女の髪には敵いません。
貴女の髪は気品に溢れたガラス細工の様で
毛先に至るまで、貴女の光を伝え輝いておりました。
誰よりも強くて、いかなる運命を前にしても
決して逃げなかった貴女はいつまでも
私にとって――
サッちゃん!
サッちゃん!!
聴き慣れた声で目を覚ました途端
ものすごい磯の香りと共に
シップちゃんに抱き寄せられました。
「ぶうわああん!サッちゃん!!
えがっだぁああ!!」
「あれ……?私は……?」
記憶が正しければ……
『サキは前職で”13番目のそうりゅう型”
と恐れらていたんですよ!えっへん!』
そう、私が自慢していましたら
シップちゃんが競争を挑んでこられて
皆様の反対を無視して、共に泳ぎ始めまして
それから――
「サッちゃんのアンポンタンを超えたアンポンタン!
ソロでどこ行こうとしたんだよー!
マルチプレイ嫌い部なんて聞いてない!」
ああ、そうでした。
泳いでる内に行きたくなったんですね。
「ちょっと、海の向こうに……」
「ライムも持たずに海旅なんかすんなよー!
ゴルシちゃん達を置いてくなよー!!」
横になったまま泣きじゃくるシップちゃんを
慰めていますと、マックイーンお嬢様と主治医さんが
私たちの元に駆け付けてくれました。
「サキさん!ご無事でして!?」
「マックイーンお嬢様。
誠に申し訳ございません……」
「何をおっしゃいますの!
主治医さん!サキさんを!」
「サキは大丈夫です。
ほら、この通り……あれま?」
シップちゃんを抱えながら立ち上がろうとしたら
体中に巻きついた昆布に邪魔されてしまいました。
「ゴールドシップ様がそちらを使われて
天利様を救出されました」
「そうだったんですか。主治医さん。
ごめんね。シップちゃん」
私は泣き疲れて寝始めました
シップちゃんの頭を撫でます。
潮水に晒されてしまいましたのに
その絹の様な柔らかさは失われておりませんでした。
「まだ栗毛だった頃を思い出しますね……」
「もう!なにを呑気な事を!
私達がどれだけ心配したか……!」
ライアン様も、パーマー様も
ドーベル様も、ブライト様も
私の元に皆様が集まって来てくれています。
こんなにも愚かなサキの身を案じて。
こんなにも愚かだから
自分のワガママを抑えられない。
今すぐにでも貴女の元に行きたい。
貴女のお側にずっと居たい。
『サキ。あの娘たちの事をお願いします』
私に与えてくださった使命すらも
捨て去りたくなってしまう。
そんな自分勝手な私に向かって
愛らしい寝言が聞こえてきました。
「サッちゃん……
行っちゃやだ~……」
ありがとうね。
シップちゃん。
私の錨になってくれて。