突然ですが、お空の変態堕天司と一緒に呪いが蔓延る世界で目を覚ましました。 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「……つまり、星歌に体力がなかったり、力があまり強くなかったりした理由は、その呪霊創術を使役するにあたり、身体能力や体力を得ることができなくなる代わりに、呪霊を使役するための呪力を得た結果……と言うことかい?」
「ハクヤの説明だとそうらしいんだよね。」
「説明だとそうらしい?」
「私の母さんが、仲が良かった人を一瞬で亡くした話、知ってるだろ?」
「ああ……あの話か。すごく不運だったと言うか……心中察してしまうね。きっと、私も目の前で星歌や家族を失ったりしたら、悪夢としてみてしまうかもしれない。」
「そこまで大切に思ってくれてんのには驚いたけど、まぁ今はそれは置いといて。」
「置いていいのかな……?」
「繰り返しの悪夢として何度も見ては辛そうにしてるから、少しくらい辛さを軽減したいと思い、解釈によっては記憶を司る呪霊を創れるんじゃないかって思ってハクヤを創ったんだよ。でも、特級レベルなんて初めて創ったから、能力が暴発しちゃってさ。一部の記憶が吹っ飛んだ。」
「うん、何やってるのかな?」
傑からの冷静なツッコミがグサリと突き刺さる。いや、ホント記憶を失う前の私何やってんだろうな?
都合が良いからむしろ利用していたんだが、周りからしたらただの迂闊バカである。
まぁ、でも、ゲームのチュートリアルみたいで楽しいから、これからも一部記憶喪失状態を楽観視したままになりそうだ。
それに、自分と関係のあるものに触れたら思い出せることもあるし、何より、呪術廻戦の原作知識が丸々抜けてない分、特に問題はない。
これなら、どのタイミングで傑の転機が起こるのかわかるし、傑が離反するのを阻止することもできそうだからな。
「でも、母さんにもちゃんと効果は出たみたいだから、最近は悪夢を見なくなったみたいだよ。」
「それと引き換えに自分にも影響を出してるんだから元も子もないと思うけど?」
「…………それに関してはマジで言い返せない。」
いや、ホント言い返せないわ。自分にも影響出すとか間抜けにも程がある。
そればかりはもちろん要反省だな。
「なぁ、セイカ?」
そんなことを思いながら、住宅街から出た先にある街の中にあったカフェのテラス席でコーヒーを飲んでいると、ベリアルに名前を呼ばれる。
どうしたのやらと思いながら、首を傾げてベリアルに目を向けてみると、彼は私の隣に座ったまま、頬杖をつきながらこちらを見つめてきており、真顔を私に向けていた。
「確か、オレはセイカをデートに誘ったはずなんだが……。」
「確かに誘ってきたな。」
「………何でスグルがついてきてるんだ?」
「ん?」
見た目が良いせいで、頬杖+足組み+真顔も様になってんなー……とイケメン特有の何をやってもイケメンなのは変わらないを改めて思い知らされていたら、ベリアルが傑を見ながら、何で彼がいるんだ?と口にする。
名前を呼ばれた傑はと言うと、今年高校に入学する年齢だと言うのに、砂糖もミルクも入れないブラックコーヒーを口にしながら、名前を呼んできたベリアルに目を向けて首を傾げていた。
「普通、デートってヤツは、男女が二人きりで出かけることを言うはずだよな?何で第三者がついてきてるんだ?」
「………。」
ベリアルの指摘を聞き、何度か瞬きをした私は、スッと傑に視線を向ける。
私の視線に気づいた傑は、すぐに私の方を見てニコッと笑顔を見せたあと、ベリアルの方へと視線を戻した。
「誰だって友人の側に悪魔なんて名乗る奴がいたら、警戒するようなものじゃないかな?」
「キミさぁ、オレがセイカと契約してる話を聞いていたよな?現在進行形で彼女の側にオレがいる理由もわかってるだろう?」
「確かに話は聞いていたけど、それとこれとは話が別だよ。」
「は?」
「あなたが本当にあのベリアルだと言うのであれば、いつ嘘をついて星歌を騙しすかわからないからね。警戒して然るべきさ。」
「確かに人を騙すのはオレの生き甲斐の一つではあるが、こっちで過ごす間は彼女を騙してどうこうするつもりは毛頭もないし、大人しく戦力として協力するだけだぜ?」
「それに、ベリアルと呼ばれる悪魔は、いろんな話で嘘つきで淫靡でロクデナシと言われている。私は友人を守るために当然のことをしているだけだよ。」
「ひどい言われようじゃないか。」
おっふ……何やら二人の間に流れる空気が少しだけ悪くなっている。いや、まぁ、ベリアルって名前の悪魔は基本的にロクデナシだったり、あんまりいい印象を抱かれることがなかったりするレベルの存在だから、警戒するのも無理はないけど……。
ていうか、傑にとっての私はちゃんと友人として見做されているのか。それは、喜んでいいのかな?
いや、今はそれどころじゃないな。確かに警戒すべき相手であることには間違いないけど、私にとっては死活問題になるから、彼の協力はかなり必要なわけだし。
「あ〜……まぁ、ベリアルを警戒しちまう理由はわからなくもないけど、そこまで気を張らなくても問題ないぞ。」
「そう言われてもね……」
「それに、ハクヤから聞いたけど、ベリアルを呼び出したのは私自身の意思だったらしいんだ。自室には悪魔学を調べた形跡もあったし、間違いなく私が呼んでいる。ベリアルと言う悪魔がどのような存在であるのか……理解はできてるんだ。でも、記憶を失う前の私がそれを呼んだってことは、きっとそう言うことなんだろ。」
「………。」
「疑いの目〜……まぁ、そんな目を向けたくなる理由はベリアルと言う悪魔が関わっている以上、仕方ないとは思うけどさ。
兄さん曰く、呪術師と呼ばれる存在は、呪力はもちろんだけど、同時に肉弾戦などを行う際の筋力や体力、身体能力を身につけておかなきゃならないらしいんだよね。でも、私はその必要なものを会得することができないんだよ。
平均くらいの体力はあれど、持ち合わせている筋力、身体能力、体力を以って動かないといけないから、間違いなく足手まといになる。
でも、呪力を持ち合わせている以上、呪術師や呪霊と関わることは避けることができない。だから、命綱みたいなものなんだよ。悪魔なんかに頼らなくてはならないくらい、私が抱えてるハンデは大きすぎる。」
自身が抱えているハンデがどれだけ厄介なものであるかを傑に説明する。
正確には、意図せず彼を私の転生に巻き込んでしまったので、責任を持って彼が元の場所に戻れるまでの居場所の保証ついでに自身の弱点を補うのを手伝ってもらっているのが理由だけど、傑は私が転生者であることを知らないわけだし、嘘をついているわけでもないから、ついでの理由を主な理由として語っているんだけど。
「…………本当に大丈夫なのかい?」
「さっきからオレ、問題ないって言ってるんだが?」
「あなたには聞いてない。私は星歌に聞いているのだから、いちいち口を挟まないでもらえるかな?」
「…………。」
……うん。ベリアルにこんなこと言えるの、多分、一部の存在だけ……いや、兄さんに傑。特異点にグラサイ組。天司に創造主、ついでにバブさん……あと、場合によっては五条と硝子ちゃん、そんで甚爾さんとか、他にも………。
……一部と言うには多過ぎでは?
「大丈夫だよ。それに、何かあれば私には兄さんがいるし、傑だって助けてくれるって思ってるからさ。懸念材料がなくなったわけじゃないけど、彼とは一緒に過ごしてみるよ。とりあえずね。」
「そう……。もし何かあったらすぐに言うんだよ?彼がいなくても問題ないように、私も自分の力を鍛えてみるから。」
「ん。ありがとさん。そうだ。今度兄さんに、私たちも呪術師になれないか聞いてみようか?」
「いいのかい?」
「うん。一応、どっちも必要な条件は満たしてるはずだし、私の呪力特化の特異体質は、呪術師の世界では説明がつくものらしいから、その道を歩ける可能性は十分あるんじゃないかなって。」
「そうだね。そうすれば、星歌が危ない目に遭う前に助けてあげることもできそうだ。今度お兄さんに会わせてもらえるかい?私からそのことを伝えたいんだ。」
「それは構わないけど……」
「どうかしたのかな?」
「……いや、サラッと危ない目に遭う前に助けてあげたいって言われるとは思わなかったから。」
「え?だって星歌は私にとって大切な友人……ある種の幼馴染みでもあるんだよ?こんな風に思うのは普通だと思うけど。」
「……………いったいこれで何人の女性をオトしてきたんだこの子は。(ボソッ」
「ん?」
「ンッフッ……ククク……ッ」
あまりにもサラッとさも当然のように助けると言われ、思わず少し照れてしまう。
自然体過ぎて逆に怖い。なんなんだこの子。流石、公式五条よりもモテる呪術廻戦屈指のモテ男。
あれか?彼がクズ扱いされてた理由って、その気なんて全くないのにサラッと勘違いさせちゃうようなセリフを吐いて、勘違いさせた末の告白切り捨て野郎だったから……とかだったりすんの?
まぁ、所詮はこっちの想像だから、正解はわからないけど。
ていうかベリアル。私の呟きを聞いて笑うんじゃない。
年齢近い奴がナニ言ってんだって言いたい気持ちはわからなくもないけど!!
「じゃあ、今度兄さんに都合が良い日を聞いておくよ。つっても、呪術師は年中人手不足って言えるレベルの職場っぽいから、いつ都合がつくかわからないけど。」
「うん。助かるよ。」
小さく笑い声を漏らしたベリアルに対してのツッコミを内心で入れながらも、私たち二人が呪術高専に通えるかどうかの相談を、私の兄とすることを決める。
そして、傑は席を立ち上がり、手にしていた財布からお金を出した。
「……一旦は、星歌のことを信じてこれ以上追求したりしないけど、もし、彼女に何かしらの害を与えようとしたら、その時は覚悟してもらうからね、悪魔さん?」
「へぇ……。どんな覚悟か聞いても?」
「もちろん、私に消される覚悟をだよ。」
「ふぅん?じゃあオレにそう言うキミにも覚悟はしてもらおうか。」
「私にも?」
「ああ。返り討ちに遭う覚悟を……だよ。言っておくが、オレの返り討ちにあった場合、キミはまともな生活は送れなくなると思うよ。負けたんだから勝った方から好き勝手ナニをされても文句は言えないだろう?」
「………なるほどね。まぁ、私もあなたに負けるつもりはないけど、一応頭に入れておくよ。念を押しておくけど、星歌に害を成すようであれば、黙ってるつもりはない。害を成さない間は、黙認しておいてあげるよ。じゃあ、お邪魔したね。ああ、私の分は渡しておくよ。星歌。何かあったら私に真っ先に教えてね。」
「ん。わかったよ。」
終始ベリアルに対する警戒を怠ることなく、去り際に宣戦布告を残す傑。
私に対しては、失う前の私の記憶と同じ穏やかな雰囲気のまま言葉を紡ぎ、ベリアルに何かされたら必ず言うようにと一言告げられる。
……問題はないと思うけど、傑が心配してくれていることだけはしっかり伝わってきたので、その時はちゃんと言うと約束をすれば、彼は笑顔を見せたあと、私たちがいる席から離れていった。
残されたのは、私とベリアルとハクヤの二人と一匹。しばらく無言が辺りに広がる中、不意にベリアルがテーブルの上に置かれたお金を手に取り、口元に笑みを浮かべる。
「随分と大切にされてるじゃないか。」
「ああ。正直言って驚いてる。仲が良い記憶は一応思い出していたけど、これほどまでとは思わなかったな。」
「案外、スグルには友情以上の感情があって、どこか友人と言うには大きいものをキミに向けているのかもねぇ。」
「どうなんだろうな。……ところで、返り討ちに遭わせた傑に何するつもりでいんの?」
「うん?ここで言ってもいいのかい?もしかしてそう言うプレイが好きだったり?」
「……察したからいい。黙ってろ。」
「それは残念。サディズムが満たされると思ったんだけどね。」
……うん。もし、傑とベリアルが戦うことがあったら絶対に傑の味方につこう。返り討ちにに遭ったら、傑の尊厳破壊まっしぐらな気がする。
そんなことを思いながら、私は残りのコーヒーに口をつける。すると、スイッと口元に何かを近づけられた。
何だ?と疑問を抱きながら、近づけられたものを見てみると、フォークに突き刺さったケーキが視界に映り込んだ。
「オレってあまり食を必要としないからさ。まぁ、よくてコーヒーくらいでイイと思っていたんだが、キミが二種類のケーキで悩んでいたから、セットにしてもらったんだよ。ほら、その可愛い小さなお口を目一杯開けて、味わうように頬張るとイイ。オレはそれを見とくから。」
「…………唐突に羞恥プレイをさせてくるな。」
「でも、欲しいんだろう?」
「………………。」
普通に食べさせろやと思いながらも、ベリアルの指示通りに頬張り味わえば、先程の楽しげな笑みは深まり、その赤い瞳には何かしらの熱が宿る。
こいつ……残念とか言いながらしっかりとサディズムを満たそうとしてんじゃねぇかと内心で吐き捨てながら、一口サイズのケーキを噛み砕き、飲み込めば、再び一欠片がフォークと共に運ばれてくる。
普通に食べてやろうかと考えるが、それは見透かされていたようで、「おっと」と言う一言とともに口元から離される。
どうやら指示通りに食えと言いたいらしい。ふざけんなこの野郎と軽く睨みつけるが、私で確実に遊んでる堕天司は、気にしていないどころか、ニヤニヤと笑いながらこちらを見据えている。
食べなきゃいい……と思わなくもないけど、廃棄とされた食べ物が問題になっていた未来を知ってるせいか、抵抗と罪悪感が凄まじい。
「どうしたんだ?食べないのかい?」
「………チッ……言われた通りの食べ方をしたらいいんだろ。」
「わかってるじゃないか。」
舌打ちを漏らしながらも、廃棄を少しでも出さないことを優先することを選び、ベリアルの指示通りにケーキを食べ進める。
テラス席に座るんじゃなかったと、周りから向けられてくる生暖かい目に晒されながら後悔しつつ、食べたケーキの味は、まぁ、美味しかったとは思う。
ほとんど味なんか分からなかったけど。
星歌
傑に自分の側にベリアルがいる理由を話し、なんとか黙認してもらえるように調節した転生者。
彼が立ち去ったのち、ベリアルの手により羞恥プレイ込みのお茶会に付き合わされてしまう。
ベリアルの発言から、もしも、傑とベリアルが衝突した場合は、傑の安全と保険のために絶対に傑の味方につくことを心に決める。
ベリアル
星歌をデートに誘ったはずなのになぜかいる傑に不満を抱き、ケーキを食べる際、自分の指示通りに食べるよう星歌に指示を出し、その不満を発散する。反抗的な目を向けながらも恥ずかしげにケーキを食べる星歌の姿に軽く興奮していたのは言うまでもない。
傑からの宣戦布告に、同じく宣戦布告を返した。もちろん、傑を返り討ちにし、跪かせた場合、おもちゃ扱いをするつもり。
夏油
星歌のことをかなり大切にしている彼女の幼馴染み(のようなもの)。ベリアルに対する懸念や警戒は消えていないが、一旦は黙認することを選ぶ。
しかし、ベリアルが星歌に害を成すようであれば、容赦なく彼を消すつもりでいる。