突然ですが、お空の変態堕天司と一緒に呪いが蔓延る世界で目を覚ましました。 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「…………あれ?」
不意に意識が引っ張られる感覚を覚え、それに従うように目を開けると、知らない天井が広がっていた。
先程まで暗闇を彷徨っていたため、急なことに困惑する。
体の痛みはない。グッサリと包丁で貫かれて、そのまま引き抜かれて血溜まりに倒れていたはずなのに、健康体そのもののようだ。
あれは夢だったのかと一瞬考える。だとしたら長く、あまりにも濃い夢だ。
しかし、暗闇での出来事は現実で、夢とは全く違うものであると示すかのように、私の隣では、上裸な1人の堕天司がすやすやと眠っていた。
……っておい。
「なんで上半身裸なんだよアンタ。」
「ん…………あ?」
見事なまでの肉体美。整いまくった顔立ちも合わさって、ただのイケメンになっている堕天司に呆れながら声をかける。
暗闇の中でヴァージンを奪われそうになってなかったら、間違いなくガチ恋勢になっていた。
でも残念ながら、これとあんな邂逅をした以上、トキメキよりも呆れの感情の方が強くなってしまい、思わず溜め息を吐きそうになる。
これは、トキメキを感じれないことに対しての溜め息じゃなく、問題児に呆れた溜め息だろう。
「んん……ふあ……なんだこれ?どうなってるんだ?」
欠伸をしながら起き上がり、よくわからない現状になっていることへ珍しく困惑しているベリアル。
いつも余裕しか持ち合わせていないはずの彼でさえも困惑するとは、やっぱり変な状況なんだな。
「さあ?意識が引っ張られる感覚を覚えて、それに従って目を覚ましたらこんなことになってたから知らない。どうなってんのこれ?」
ベリアルと顔を見合わせながら、同時にその場で首を傾げる。とりあえず状況の整理をするために、室内を調べるべきだろうか。
「ベリアルはそっち。私はこっちを調べる。」
「流石によくわからない現状で手を貸さないわけにもいかないからね。ここは大人しく協力するとしようか。」
聞いてくれるかわからないけど、念のためにベリアルにも調査を頼んでみると、意外にもあっさり聞いてくれた。
少しだけびっくりするけど、指示を出してる癖に何もしないのはよろしくないとすぐに頭を切り替え、近くにあったタンスを開ける。
中にあったのは下着と服。どう見ても男性物と女性物の両方が入っている。
軽く拝借してみれば、女性物の服は完全に私のサイズだった。となると、こっちの男性物は……?いや、まさか……。
でも、念のために確かめるべき……?
「ベリアル。」
「うん?」
「ちょっとこれ自分の体に当ててみな。」
そうでないことを祈りたい……そう思いながら放り投げたのは、タンスの中に入っていた男物のシャツ。
こちらが投げたものを軽々とキャッチしたベリアルは、すぐに自分の体にそれを当て、同時に目を丸くした。
「これ、どう見てもオレの体に合ったサイズだな。」
「………マジ?」
「大マジ。」
「………嘘だろ……。」
……どうやら、ベリアルのサイズにピッタリと合うものだったようだ。いや、なんでだよ!?
え?じゃあ……まさか……この下着類も………?
「……完全にオレのサイズだな。」
「……………。」
え、ちょっと待って?それってつまり、私とベリアル一緒に暮らしてんの?目を覚ましたら変態堕天司と同棲してましたって意味わかんないんだけど?どうしてそうなった?
ますます意味がわからなくなってしまい混乱する。そもそもここ事態どこだよ。
「ええ……?マジでどうなってんのこれ?」
「ん?セイカ。ちょっと来てくれ。」
「うん?」
なんで変態堕天司と同棲してんのと頭を抱えていると、その本人から名前を呼ばれた。
すぐに彼に近寄ってみれば、何やら片手に冊子のようなものを持っている。
なんだなんだとよく見てみれば、それはアルバムで、一番手がかりになりそうなものだった。
「見せて。」
「オーケイ。」
これなら何かわかるかもしれない、そう思いながら見せてと告げれば、ベリアルはすぐに私にアルバムを手渡してくれた。
同時にその場に座って私の手を引っ張り、自身の足の間に座らせてから背後から抱きしめて来たが、一旦はスルーしておこう。
「これは……中学校のアルバムかな?でも、私が通っていた中学校のアルバムとは冊子の種類も学校名も違うから、もしかしなくても私は転生したのだろうか……。」
「転生ねぇ……。正直言ってどうでもいい話だが、もし仮にそうだとしたら、オレはなんだ?別に死んだわけじゃないんだぜ?」
「ベリアルの場合は転移かな。仮説に過ぎないけど、もしかしたらあの暗闇の世界は次元を越えるための特殊な道の途中で、出口を探す内に抜けてしまい、死んだ私は別の世界へと転生し、ただ迷い込んだだけのベリアルは私が転生したと思わしき世界と同じ場所に転移した可能性がある。ファーさんのところに戻すつもりだったのに、私が歩き回ったせいで巻き込んだのかな……。だとしたらごめん。帰る場所に送ることができなかった。」
「……その仮説が当たりなら、帰る方法を探せばいいだけだろ。むしろ、その仕組みを上手いこと解析して、ファーさんを空の世界に戻すこともできるようになるかもしれないし、別に悪いことばかりじゃないさ。まあ、だが、巻き込んでくれた責任は取ってもらおうか。こっちにいる間は、オレの相手をしっかりしてもらうぜ?セイカ。」
「……私にできることなら喜んで。ああ、でも、姦淫やソドミーはパス。その気じゃなかったらちっとも楽しめそうにない。」
「じゃあ、その気にさせてヤるよ。オレの得意分野だ。」
「アナゲンネーシス使おうとしてないかそれ?」
「それもありだが、ヴァージンにキメセクは厳しいだろうし、特別になしで。使わなくても、その気にさせる方法はいくらでもあるんでね。キミみたいに性にあまり興味を持たない子をその気にさせて自らオレの体を求めさせ、甘く激しく喘がせることができたら……想像しただけで達しちまいそうだ。最高に楽しめるだろうね。」
「うっわ絶対堕とされたくないヤツ〜。どこぞのエロ同人かよ、お断りだわ。」
「ふぅん?じゃあ賭けようか。この世界にいる間、一度でもキミがオレを求めたらオレの勝ち。ごめんなさいのあとに、ぐちゃぐちゃに犯してくださいって言うこと。まあ、気分次第でその要望は却下するし、はしたなくおねだりできるまで焦らしプレイになるだろうけどね。」
「じゃあ、この世界にいる間、私にそれをさせることができなかったら永遠に私のパシリね。」
「マジかよ。まあ、別に構わないけどね。ところで、キミは空の世界に興味は?」
「あるに決まってる。」
「オーケイ、それなら話は早い。次元を越える方法や、次元の狭間から外に出る手立てが見つかったらこっちの世界にキミも来るといい。退屈しないと思うからさ。」
「可能ならね。」
「オレに負けたら、空の世界でも飽きるまでキミを飼うとしようか。」
「人を犬猫扱いすんな変態堕天司。」
話しかけて来るベリアルの対応をしながら、手にしていたアルバムのページをめくる。
表紙の下には当たり前だけど、このアルバムの中学校の名前と校舎の写真、それと、その学校の校章が現れる。
裏表紙には、校歌が記されていた。
なんとなく校歌の歌詞を口にすると、脳裏にはその校歌のメロディーがはっきりと浮かび上がる。
転生したことに気づく前の私が、通っていた証拠だろう。
この間、ベリアルはアルバムに興味を持っていないのか、それとも私を敗北させるためか、もしくはその両方か……少しばかり読めないけど、明らかにこちらの胸を服の上から変な手つきで触ってるし、たまに耳に息を吹きかけたり、甘噛みしてみたりとなんかしてきていた。
あ、ちょ、ま、めっちゃゾワゾワする。なんか知らんがゾワゾワする!!
「…………は?」
「うん?どうしたんだ、セイカ?」
「ああ……うん……ちょっと……ね。」
やめろやと思いつつも、我慢して知らんぷりしながらアルバムを眺めていると、見覚えのある名前がクラス別写真に載っていた。
思わず声を漏らしてしまい、ベリアルからどうしたんだと声をかけられたが、濁すように言葉を返し、目に入った名前を見つめる。
そこに記されていたのは“夏油 傑”の三文字。
見間違いかと思い、数秒目を閉じたあと再び目を開け、名前の方に目を向けてみるが、その文字は変わる様子がない。
それによりこの世界がどんな世界であるかを理解する。マジか。ここ呪術廻戦の世界じゃん……しかも私、明らかに夏油 傑の同級生なんだが?
「セイカ?」
「………この世界……私が知ってる世界だわ。」
「マジかよ。」
思わず頭を抱えて天を仰いでいると、ベリアルから名前を呼ばれる。
その声には何があった?と言う疑問が含まれていたので、すかさずその疑問に対する答えを口にすれば、こっちの胸を触る手が止まり、背後からこちらが抱いていた感情と全く同じ感情の言葉が聞こえてきた。
「どこで判断したんだ?」
「これ。」
「……ゲトー……スグル?誰だ?キミの知り合い?」
「この世界では同級生だったみたいだね。本来は私が一方的に知ってるだけの存在。呪術廻戦って言う漫画があって、その世界の登場人物……さらに言うと、結構な重要人物として暗躍していた敵キャラ。まあ、この時代ではまだ敵キャラになってないみたいだけど。」
「へぇ?なんでわかるんだ?」
「そこのカレンダーの日付。」
「……えっと……何何……2005年、3月24日?」
「このキャラクターが敵側に回る原因となる分岐点が発生する一年前。彼が変化するのは2006年で、最終的に2007年で本来いた場所から離反し、2017年で本格的に味方側の重要キャラの1人である五条 悟、および、物語の味方側の登場人物である禪院 真希、パンダ、狗巻 棘、乙骨 憂太の前に立ち塞がるキャラだよ。さらに言うと、今挙げたメンバー……まあ、メインは乙骨 憂太か。その彼と全力の衝突の末に敗北し、五条 悟の手により引導を渡されたんだけど、そのあと、原作の敵キャラである存在に肉体を利用される形で復活し、再び物語の歯車を回し始める。まさか、死んでから連続して知ってる物語と繋がりを得るとはね。頭がこんがらがってきた。」
溜め息を吐きながら、その場に大の字で転ぼうとするが、私の背後にベリアルがいるせいで転がることができない。
仕方なく背もたれ代わりに利用してやれば、大丈夫か?と問いかけられた。
背もたれに使われてるのは気にしないんだな。
「……なんか、変な感じだな。漫画で見てきたキャラクターと、仲良くしてる自分の写真を見るのって。」
ポツリと呟き、再びアルバムへと視線を戻す。夏油と同じクラスの女子として存在している私の写真は、ひどく存在感を放っていた。
クラスでまとまっていない写真にも、私の姿は写っており、チラホラと夏油と一緒に写ってるものが混ざっている。
それだけで彼との仲の良さは明白だ。
「随分とゲトーってヤツと仲良くしていたみたいだねぇ。」
「ああ。出会ったのは小学生の時で、クラス内で二人組を作るように言われて一緒になったのが始まり。プールの授業でもよくバディを組んでいたし、どちらも足が早かったから、運動会の二人三脚とかもよく一緒に組んでいたみたいだ。中学の体育祭とかでも、私と傑はよくセットにされていて、クラス別対抗リレーとかも、私がアンカーの前を、そして、傑がアンカーを担って勝っていた記憶がある。」
「うん?何でわかったんだ?」
「アルバムを眺めていたら、自然と思い出した。この体に刻まれている記憶みたいだね。」
「なるほどね。前世を思い出す前の生活の記憶か。」
ベリアルの言葉を肯定するように頷けば、彼は私の肩に顎を乗せて、そのまま一緒にアルバムを眺め始めた。
相変わらず胸元に腕は回したままだけど、さっきみたいに揉んだりするつもりはないようだ。
「セイちゃ〜ん!織部く〜ん!2人とも起きてる〜?起きてるなら、早くパジャマから着替えて朝食食べちゃいなさ〜い!」
「「…………は?」」
そのまま大人しくしとけと内心で呟きながらアルバムを眺めていると、どこからか女性の声が聴こえてきた。
すぐにその声が、この世界での母親の声であることが理解できたけどちょっと待て。
今、全く知らない単語が聞こえてきた気がするんだけど?
織部君?いや、織部君って誰?………いや、待てよ……。この場にいるのは私とベリアルだけ……ってことは……?
「…………。」
「……え?織部ってオレのこと?」
「むしろ、アンタ以外誰がいんのさ。」
こちらの返しを聞き、「ええ……?」と困惑の声を漏らすベリアル。
ま、誰だって困惑するわな。本来の名前とは違う名前で呼ばれたんだから。でも、母さんが口にした織部って名前、どう考えてもベリアル以外いないんだよな。
いったいどうなっているのやら……。肩を竦めながら、ベリアル越しにこの部屋のドアに目を向ける。
「んん……今起きる〜……。」
寝起きの声を演じながら返事をすると、早くしなさいね〜!と言う言葉を残して、母親は移動する。
足音からして、家事の合間に声をかけてきたらしい。結構はっきり聴こえていたから、多分、この部屋、階段の近くにあるな?
「上手いこと演じたな。」
「前世で劇団に参加してたからね。重要キャストとか良く任されてたよ。」
ベリアルの感情が、困惑から感心へと変わる中、起きると返した以上、パジャマを脱がなくてはと考えて立ち上がる。
こっちにちょっかいを出していた時とは違い、腕に込められていた力はかなり抜いていたようで、簡単に離れることができた。
とりあえず服を着替えようとするが、ベリアルは部屋にいるまま。
追い出したいところだけど、言うこと聞いてくれなさそうだなと半ば諦めて、さっさとタンスの中にある私服に着替えようと脱いでいると、胸元に何やら紋様のようなものがあることに気づく。
「………え……?…………!?」
こんなものあったっけ?と疑問に固まる、だが、どことなく紋様の形が見覚えのあるものだったため、慌てて部屋の中にある鏡の方へと走り寄る。
そして、パジャマの下に着ていたインナーも脱ぎ捨てた私は、上半身ブラジャーだけと言う姿で鏡の前に立った。
その際、ベリアルが口笛を吹き、イイ格好するじゃないかとか言ってきたけど今はそれどころじゃない!!
「な……!?何これぇえぇえぇえぇえぇええええ!!?」
思わず叫び声を上げてしまう。だってしょうがないじゃないか。
私の体に!!ジータ版オルターエゴフォービドゥン衣装の紋様が刻まれていたんだから!!!!
星歌
意識が浮上して目を覚ましたら見知らぬ天井が視界に広がり、隣でベリアルが上半身裸で寝ていると言う訳のわからない状態だったが、すぐに冷静になり情報収集をする行動力を見せた転生者。
アルバムに写っていた夏油の写真から、自分が呪術廻戦の世界に転生したことを理解し、夏油と仲が良かった記憶を獲得する。
色々疑問は残るけど、服を着替えようとしたところ、自身の体に起こった異変に気づき絶叫した。
ベリアルと流れで賭けをすることになったことは大して気にしていない。
ベリアル(織部)
星歌に声をかけられたことで意識を覚醒させた空の世界の狡知の堕天司。
星歌と一緒に異世界旅行をすることになってしまったが気にしていないし、むしろここでの経験を活かせばファーさんを空の世界に戻せるんじゃね?とプラスに考え、自身の転生に転移の形で巻き込んでしまったことを謝罪してきた星歌と一緒に行動を取ることにした。
なぜかこの世界の星歌の母親と思わしき存在から織部と呼ばれ、それが自分のことであることにかなり混乱したが、そのあとすぐに星歌がブラ姿で慌て始めた姿を見て、ニヤニヤとそれをガン見して、混乱を払拭した。
星歌との賭けは負けるつもりないし、全力で堕とすつもりでいる。