突然ですが、お空の変態堕天司と一緒に呪いが蔓延る世界で目を覚ましました。 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「もう……いきなり大きな声をあげるからびっくりしたじゃない。」
「ごめんなさい……。でもさ、普通女が寝てる間に上半身裸で隣に潜り込む男なんていないでしょーが……。目を覚ましたら上裸の男って軽くホラーだよ?」
「まあ、それは言えてんな。ったく……明彦お前なぁ……。俺の妹をビビらすんじゃねーよ。」
「え〜?これってオレが悪いわけ?」
「当たり前だろうがアホ。」
「せめて入るんなら服着たまま入ってくんない?」
「首元まで閉まってるのってあまり好きじゃないんだよ。なんか、息苦しい感じするだろう?」
「「胸元を途中まで開けときゃいい話だろうが。」」
あれからしばらくして、私とベリアルはこの自宅の下の回に降りていた。最初、私の悲鳴を聞きつけた母さんと兄さんが部屋まで上がってきて、飛び込んできた時はかなりびっくりしたけど、今はなぜか普通に話せている。
上半身ブラだけの姿を見て、兄さんがぶっ倒れたのはなかなかに印象的だったが、俺の年齢にそれはかなりくるもんがあるんだよ妹でも!!って怒鳴られた。もちろん、すぐに謝罪した。
悪いのは私だからね。
で、まあ、朝食を食べるために一階に降りたわけだけど……どうやら私とベリアルは、それなりに一緒に過ごしているようで、母さんや兄さん……あとはまあ、多分だけど父さんもベリアルのことは織部 明彦という名前の青年として認識されていることがわかった。
年齢は兄さんと同い年である20歳で、母さんと父さんは織部の苗字を持つベリアルの両親らしき人と先輩後輩の関係だったらしく、幼くして事故で両親を失った彼を、母さんと父さんが引き取ったことになっているようだ。
ちなみに、これを聞き出したのはベリアルだ。たまたまリビングに飾ってあった写真に自分に似た少年が写り込んでいることに気づいたようで、写真を元に話を作って口にしたところ、その話を口に出させることに成功した。
流石はベリアルだと思ったよ。人を騙すのが生き甲斐であると自負するだけある、見事なまでの作り話だった。
ただ、兄さんだけその話に若干の疑いを抱いているようだった。母さんは完全に信じきっていると言うのに、彼だけ鋭い視線をベリアルに向けていた。
もしかしたら、私とベリアルの本当の関係性を知っているのかもしれない。上手く聞き出せるといいんだけど。
「相変わらず兄妹仲がイイようで。オレだってセイカちゃんと一緒に過ごした期間はそれなりにあると思うんだけどねぇ。」
「兄妹舐めんなアホ。」
「兄妹の気が合うのはそれなりにある事象だと思うよ。」
「へぇ……。それはそれは……なかなかに妬けることで。なあキョウスケ。セイカちゃんをオレにくれないか?」
「誰がやるか!!」
揶揄うように言葉を口にするベリアルと、それに対して即断りの言葉を怒鳴り返す兄さん。
このやり取りは、母さんには見慣れたものとなっているのか、相変わらず仲良しねーと呑気に言葉を紡ぐのみ。
仲がいいと言えるのだろうか?と軽く疑問を脳裏に浮かべたが、それを指摘するつもりはないので、黙って朝食を食べ進める。
そう言えば、呪術廻戦の世界に転生する夢小説だと、転生した人間が五条悟に近い能力や、五条悟に引けを取らない能力を転生特典として獲得することがあるけど、私にはそんな能力ないのだろうか?
まあ、なんとなく、身体中に浮かび上がっているジータ版オルターエゴフォービドゥンの紋様や、右腕だけアバタール化して紋様を浮かべているベリアルが何かしらの能力になっていそうだけど、詳しいことはまだわからないな……。
そんなことを思いながら、朝食を食べ進めれば、次第に食べるものはなくなり、出された朝食を完食する。
「「ごちそうさま。」」
手を合わせて一言口にすれば、同時に重なる別の声。すぐ隣から聴こえてきたので、ベリアルも私とほぼ同時に食べ終わったらしい。
朝食を食べるためにリビングへと足を運んでいた際、獣に食事は必要ないんだけどねぇ……とか言ってたくせに、ちゃんと食べ切るんだな。
まあ、食べなかったら怪しまれそうだし当然か?
「さて……なあセイカちゃん。朝食は食べ終わったし、キミ、今は学校もお休みだっただろう?暇しているなら、ちょっとオレとデートしないか?」
「え?」
「あら、いいじゃない!行ってきなさいよ、セイちゃん!」
「は?いや、母さん何言ってんだよ!そんなの許せるわけないだろ!?」
「んもう……キョウちゃんってば……。セイちゃんだってもう高校生になるのよ?男の子とデートに行くくらい許してあげなさいよ。いつまで経っても妹離れできないわねぇ……。」
「いやいやいやいや、15歳だぞ!?15歳の未成年がデートとか……」
「いいじゃない、悪いことしてるわけじゃないんだから。」
「ふぅむ……じゃあ、こうしよう。手っ取り早いのは、本人の意思を聞くことだからねぇ。オレと一緒にデートするか、それともゆっくりゴロゴロ自宅で過ごすのか……セイカちゃんはどっちがいい?」
賑やかだなぁ……と半ば他人事のように眺めていると、ベリアルから私はどうしたいのか問われる。
彼とデートするか、家の中でゴロゴロするか。まあ、彼の声音には、もちろんオレを選ぶよな?みたいな謎の圧が込められているんだけど。
でも……そうだな……。今は日中で、外を見て周るには最適な時間帯だし、呪術廻戦の世界であると言う確証も得たいし、ここはベリアルの提案に乗るべきか。
「じゃあ、デートで。」
「フフッ……そう言ってくれると思ったよ。」
少しの思案から、今の私に必要なものを判断した私は、ベリアルの提案に乗ることにした。
街のことを知る必要もあるし、呪霊が見えるかどうかも知る必要があるし、自身の能力を把握する必要もあるからね。
それに、さっきからずっと思っていたけど、この体の私、なんかかなり握力が弱い気がするんだよね。
明らかに、前の世界の自分に比べて、力がほとんど入らない。物を持つことに支障はないけど、まるで必要最低限の力しか肉体に宿っていないような……そんな感じがする。
ちょっとだけ嫌な予感を抱きながら、出かけるならそれ相応の格好をしなければと席を立ち上がる。
まずは歯磨きをして、そのあとお出かけ用の服に着替えて……。
「キミのコーディネートはオレが全部してあげるよ。ほら、オレってスタイリストだからさ。」
「嘘乙。」
「ウフフフフ……つれないねぇ。」
今からやらないといけないことをしないと……と思って立ち上がったら、すぐにベリアルが私のところに寄ってきた。
自分はスタイリストだからと、ノリノリで準備を手伝おうとしていることに対して、見たことあるノリだなと呆れながら言葉を返せば、笑い声を小さな笑い声が聞こえてくる。
いやぁ……生でこの嘘つきベリアルを見ることになるなんてね。世の中わかったもんじゃない。
「それはそれとして、意外とヘアアレンジとか服選びは得意そうだよね、アキ兄ってさ。」
「まあ、それなりにね。オレのコーディネート、受けてみるかい?」
「ちょっと気になるかな。」
「オーケイ。じゃあ、オレにできる精一杯でキミを返信させてあげよう。オレなりのコーディネートで着飾らせることができるなんて、なかなか楽しめそうだ。」
そんなことを言いながら、私の肩を抱き、移動を始めるベリアル。
兄さんは、ベリアルのことを背後から睨め付け、今にも人1人の命を奪ってしまいそうな形相だった。
これは……ベリアルを完全に怪しんでいるっぽいかな……?
星歌
ベリアルと一緒にデートと言う名目の情報収集に赴くために準備を始める転生者。
兄である京助がベリアルを警戒していることに気づいている上、なにかとベリアルとの行動を止めようとしている様子を見て、織部明彦という存在に関して知る機会を得ようと企んでいる。
ベリアル(織部明彦)
星歌と共に異世界入りしたので、情報収集を兼ねてのお出かけに誘ったお空の堕天司。
リビング内にあった写真から話を作り、情報を聞き出すことに成功したり、上手くとぼけた話を使って自分の状況を整理したりした。
京助の警戒心には気づいているため、上手く自分達の話を聞き出せるかもしれないと企んでいる。
篠花 京助
呪術廻戦内での星歌の兄である20歳の男性。髪の色や瞳の色は全て黒。
星歌のことが大好きで、大切な妹だからとそれなりに過保護。
ベリアルに対して明らかな警戒心を抱いており、何かを知ってる様子がある。
篠花 茜瑠
星歌と京助の母親で、織部明彦を引き取った(とされている)穏やかな女性。
仲良しの兄妹と、自分の先輩の息子(とされている)明彦のやりとりを見て、いつもニコニコ笑っている。