ネタバレ注意。
pixivにも同タイトルで投稿させてもらっています。
個人的に、ラストのシステム復帰?にB12のデータはまだ残っているんじゃないかと淡い期待をしています。
種族?を越えた絆は尊いです。DLCで再開してくれませんかね、お金払いますから!!
クンクンと地面の匂いを嗅いでいた猫は、顔を上げて前を見つめる。
――こっちの方だ、さっきよりも近くなっている
懐かしい仲間の匂いを便りに、猫は真っ直ぐ歩きだす。柔らかい土の感触に、暖かい日射し、嗅ぎなれた匂いは猫をとても安心させた。
――あそこの匂いは酷かったから
少し前までいた、薄暗い灰色の世界を思い返す。全体的にごちゃごちゃしていて、濡れている場所が沢山あり、歩く度に肉球が冷たくなっていく感覚に、何度も不快感を覚えた。特に酷かったのが匂い。嗅いだことのない独特の異臭は、どちらに進めばいいのかの判断を狂わせた。途中でなれたからよかったものの、決して良いものではなく、また嗅ぎたいかと訊かれれば嫌だと即答する自信はある。
散々な世界だった、けれど。
――嫌いじゃない、いいところもあった
あそこで生活しているロボットと呼ばれていた存在は、優しくて好きだった。ゴツゴツした手で背中や頭を撫でられるのは、仲間たちとの毛繕いとはまた違う気持ち良さがあったし、眠ることの出来る場所のいくつかは、フカフカとした感触で何時までも眠っていたいくらい居心地が良かったし。
何かを手伝ったり、探し物を渡した時に貰ったバッジも、何の意味があるのかはよく解らなかったけれど、バックパックに付けた物が増えてカチャカチャとした音を立てる度に、それだけ良いことをしたんだと気分が良くなった。
何より、あの世界で一番の思い出は。
――びーとぅえるぶ
ついさっきまで、一緒に行動をしていた空飛ぶ仲間の名前を呼ぶ。
不思議な名前で、姿もまたヘンテコだった、羽もないのに空を飛べたのだから。特に最初は、思いっきり前足で叩いてしまった。が、それについては『ZURK』に追いかけられて此方の警戒心もまだ解けていなかったので、仕方がない所もある。
それを解っていたのか、びーとぅえるぶは怒る事なく、ここから出ようと言って一緒に行動してくれた。
びーとぅえるぶがいなければ、自分はここに戻って来ることはなかっただろう。ロボットたちの声を、自分の言葉に直して教えてくれて、壁だった場所を通れるようにしてくれたり。互いの出来ることと出来ないことを上手く補いながら上を目指すことによって、外に戻るだけではなく、あの薄暗くて灰色の世界にも日射しを入れることができたのだ。
本当は、そのまま一緒に仲間の元へ帰って紹介するつもりだった。きっと仲間とも仲良くなれただろうけれど。
――申し訳ありません。一緒にアウトサイドを見ることは出来ないでしょう
――あなたは私の友だちでした。本当に最高の親友でした
空を塞いでいた壁が引っ込んでいくと同時に、地面に落ちて転がるびーとぅえるぶ。それを見て、もう二度と動くことは無いのだろうと解ってしまった。同じように仲間が、動かなくなって冷たくなる姿を何度か見てきたことがあったから。
寂しさは感じたが、悲しみはそれ程込み上げてはこなかった。だって、びーとぅえるぶは言っていたのだ。
――皆今頃は平和な世界にいるのでしょうか?
――私も死んだら平和な世界に行けるのでしょうか?
びーとぅえるぶは、きっと幸せな世界に行って自分のことを待っている。
動かなくなった仲間は、自分たちよりもずっと長く生きていて、生きる術を全て教えてくれてから、役目が終わったかのように動かなくなったから、自分も長生きして他の仲間に教えるようになって動かなくなるのだ。
長く生きるから、待っているびーとぅえるぶは退屈するかもしれないが、その分色々な話を持っていこう。仲間も連れていって、今度こそ紹介しよう。
それだけじゃない、びーとぅえるぶが言っていた釣りや沢山の本を見て教えるのだ。だって自分とびーとぅえるぶは親友なのだから。
決意していから、向こう側から声が聞こえてきた。
――おーい
――おーい
仲間たちの声だ。どうやら向こうも自分を探してくれていたらしい。
此方も、仲間に聞こえるように大きな声を上げる。
――おーい、こっちにいるよ
少しして、匂いが強くなって声もはっきり聞こえてきた。
――見つけた
――皆で探したんだぞ
――ありがとう、ただいま
走りよってくる仲間たちに礼を言うと、身体のあちこちを舐めてくれた。そして、不思議そうな顔で自分を見る。
――変わった匂いがする、何処にいってたんだ
――うぉーるしてぃ
――知らない。どこだそこは
――変な所。でも、面白かった
――なんだそれ
――教えろー
当然、そのつもりだ。仲間にも知ってもらいたい、びーとぅえるぶのこと。出会ったロボットのこと。
――うん。えっと
揃って歩きながら、仲間たちに説明を始める。きっと、長い一日になることだろう。