ようこそ個人主義者のいる教室へ   作:ボロネーゼ

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見切り発車ではありますが、よろしくお願いします。


入学〜中間試験編
高度育成高等学校に入学


『天才』

 

日常生活でも頻繁に使われ、誰もが聞いたことのある言葉ではないだろうか。意味は、天性の才能、生まれつき備わった優れた才能のことで、人の努力では届くことのない能力を持つ者を指す。しかし、そのような天の祝福を一身に受けたような人物など滅多にいない。世の中のほとんどが凡人で、彼らは涙ぐましい努力を積むことで、数少ない天才に必死くらいつく。それでも尚圧倒的な力を持つものこそが真の天才である。しかし、ここで矛盾が生まれていることにお気づきだろうか。天才はほんの一握りほどしかいないのにもかかわらず、世の中では天才という言葉が日々飛び交っているのだ。何故この矛盾が生まれているのか、それは、天才という言葉が、称賛の言葉の一つとして使われているからだ。

「すげぇ、天才じゃん。」「こんなこともできるの?天才だね。」など…

しかし、これらの言葉から表される人物は果たして本物の天才なのだろうか。いや、そうじゃない。何故なら、もし天才という言葉で称賛された人物が皆天才なのだと仮定すれば、世の中に天才は溢れかえってしまうだろう。それはたちまち希少な存在である天才の存在を否定してしまう。天才と称賛を受ける人物のほとんどはとても優秀な凡人なのである。そもそも、誰しもがそこまで深く考えることなく天才という言葉を使っている。だが、もちろん例外はいる。天才と称され周りと一線を画す、本物の天才が。

 

 

♢♢♢♢

 

四月。日本人にとって、とても重要な一ヶ月だ。あらゆることの始まりの季節であり、とても慌ただしくなる。

また、綺麗な桜の季節でもあり、木が風に吹かれ桜が舞っている。桜のピークは基本的に三月の下旬なので、今日ぐらいから散り始めたのだろうか。

そんなことを考えながら、桜道を歩いていると、大きな建物が見えて来る。

 

『高度育成高等学校』

 

国が運営する学校で、特殊なルールを持ち、希望する進学先に必ず答えるという。

 

俺はその敷地に足を踏み入れた。

学校に入ると、クラス表が張り出されていた。俺は自分の名前だけを探す。

 

もし、中学からの友達や知り合いがいれば他の人の名前を探すのかもしれないが、俺はその可能性は低い。中学の時はそもそも友達自体いなかったので可能性は絶対に0%だ。可能性があるとすれば十歳まで通っていた小学校の友達だろうが、その時でさえ友達と言えた存在は一人しかいない。それに対して、日本に高校は数えきれないほどある。ピンポイントでここがかぶるなんてことは起こらないだろう。もし、起こったら、それはもう奇跡か運命かだろう。普段、運命という曖昧なものを信じない俺でさえそう思う。

 

そう考えながら上から名前を探していく。AクラスからDクラスまであり、上から順に並んでいるのでAクラスから見ていく。

 

(八剣迅、八剣迅、八t………)

 

その時、Bクラスの紙のところで目線が止まり、頭が真っ白になる。ただ、運命ってあるんだなぁっと思った。

ちなみに、俺はDクラスだった。

 

 

 

♢♢♢♢

 

 

Dクラスの教室に入ると、時間が早いからか生徒はまだまばらだった。

すでに着いていた生徒から視線を向けられるが無視して自分の席に座る。

 

(なんだ…この学校…)

 

教室のいたる場所に監視カメラが仕掛けらていた。おそらく、誰も死角にならないように付けられている。

生徒を監視すると言っても少し過剰にも思えるが…

 

(まあ、今考えても仕方ないか)

 

俺は鞄からアイマスクを取り出して装着した。

数人から好奇の視線が寄せられるが、気にせず仮眠をとる。

 

少しして周りの気配が多くなってきたことを感じたので、アイマスクを外し、周りを見回す。

 

やはり、予想通りほぼ全員揃っていた。周りではまだ出会って間もないだろうにすでにガヤガヤと賑やかになっている。

 

それにしても、美人が多い気がする。教室に来るまですれ違った人も美人だったし、今クラス内にいる女子も美人が多い、特に窓際から二列目の一番後ろに座っている子。黒髪のロングで落ち着いている様子で本を読んでいる。しかし、性格がかなりキツそうだ。関わることはあまりないかもしれない。

 

それから数分ほど経って、始業を告げるチャイムが鳴った。それと同時にスーツを着た一人の女性が教室に入ってくる。歳は30くらい、髪はロングで、ポニーテールのように後頭部で結ばれている。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から一時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな。」

 

今、さらっと変なこと言ったな。学年ごとのクラス分けは存在しない、裏を返せば、学年が変わる以外のことでクラス替えがあるということだ。クラスが変わることになんの意味があるのかわからない現状ではなんとも言えないが…

すると、前に席から見覚えのある資料が回って来る。合格発表を受けた時に貰ったものだ。

 

この高度育成高等学校には、世界中どこを探しても他にはないような特殊な教育システムを導入している。それが、Sシステムと外部との接触禁止の校則だ。この学校は完全寮性で学校の許可なしには卒業するまで外部との連絡を一切取ることが出来ない。当然、学校側の許可なしには学校の敷地から出ることも固く禁じられている。しかし、その反面生徒たちが苦労しないよう数多くの施設や設備が整っている。スーパーやコンビニ、カフェにカラオケ、映画館、漫画喫茶、レンタルショップなど他にもたくさんある。学校の敷地の中に街があると言っても過言ではない。そのため、学校の敷地は60万平米を軽く超えるそうだ。

 

「今から配る学生証カード。それを使い、敷地内にある全ての施設を利用したり、売店などで商品を購入することが出来るようになっている。クレジットカードのようなものだな。しかし、ポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものならなんでも購入可能だ」

 

学生証カードとは言うが見た目はただのスマートフォンだ。カードといっていいのかいささか疑問ではあるが、

 

「施設では機械にこの学生証を通すか、提示することで使用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことはないだろう。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たちには、全員平等に、10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき一円の価値がある。これ以上の説明は不要だろう。」

 

その言葉に教室がざわついた。つまり俺たちの手元には10万円があるということだ。政府が関わっている学校なだけあって大掛かりな仕組みだと思う。

だが、気づいただろうか?先生は毎月一日にポイントが支給されるとは言ったが、10万ポイント支給されるとは言ってない。来月からはまだ未知数ということだ。考えすぎならいい、だが、教室に大量に仕掛けられている監視カメラのことも考えると少しずつ概要が見えてきた。

 

「支給額の多さに驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちにはそれだけの価値があるというわけだ。そのことに対する評価みたいなものだ。遠慮せず使え。ただし、ポイントは卒業後には学校側が回収することになっている。現金化したりすることはできないから貯めても得はないぞ。好きに使ってくれ。ポイントが余る様なら誰かに譲渡してもいい。無理やりカツアゲするような真似だけはするなよ。学校側はいじめ問題にだけは敏感だからな。」

 

だけは?また意味深なセリフが出たな。

 

「質問はないようだな。では良い学生ライフを送ってくれたまえ」

 

そう言い茶柱先生は教室から出ていった。

すると、教室が再びざわつきだす。早速貰ったポイントの使い道をクラスメイトと相談しているようだ。

 

「皆、ちょっといいかな。」

 

そう発言したのは好青年っといった形の生徒だった。

 

「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから、今から自発的に自己紹介を行なって、1日でも早く皆んなが友達になれたらと思うんだ。入学式まで時間もあるし、どうかな?」

 

さらっとすごい提案したな。コミュニケーション能力の権化みたいだな。

 

「賛成ー!私たち、まだ皆んなの名前とか、全然わからないし」

 

一人が賛同したことによって、他の者も次々に賛成を記していく。

 

「じゃあ、まずは僕から。僕の名前は平田洋介。中学では洋介って呼ばれることが多かったから、気軽に下の名前で呼んで欲しい。趣味はスポーツ全般だけど、特にサッカーが好きで、この学校でもサッカーをするつもりなんだ。よろしく」

 

完璧な自己紹介だな。イケメンな顔に爽やかな雰囲気、クラスの中心に位置することになるであろう人物、あれでモテない方がおかしいだろう。もうすでに女子の平田を見る目が他の男子とは違う。

 

その後、赤髪の不良のような生徒が教室から出て行ったが、自己紹介は続き、お調子者の池と山内、変わり者の高円寺、そして、男女ともに人気が出るであろう櫛田の発表が終わった。そして…

 

「そこの君、次、お願いできるかな」

 

俺の番が回ってきたわけだがどうするか。

無難にやり過ごすか、少し盛り上げるか。いや、後者は後々疲れるな。妙に絡まれても面倒だ。

 

「名前は八剣迅。趣味は読書。よろしく」

 

我ながら何の面白味もない自己紹介だな。まあ、初日だしこれくらいでいいだろう。

その時、椅子のガタッという音が鳴る。いつに間にか次に進んでいたようだ。

 

「えー……えっと、綾小路清隆です。その、えー……得意なことは特にありませんが、皆と仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします。」

 

綾小路。へぇーあいつが。

 

 

 

♢♢♢♢

 

どこの学校でも同じような入学式が終了し、寮の軽い説明を受けた後、解散となった。ほとんどは、今日できた友達と遊びに行くようだ。まだ昼間だし外食にでも行くのだろうか。俺は特にそういうこともなく学校巡りを開始した。

 

 

 

 

軽く学校巡りを終えるといつの間にか夕方になっていた。

学校巡りと言ってもまだ校舎付近だけだが。敷地が広いため全て足を運ぶのは時間がかかりそうだ。

校舎付近を探索してわかったことがある。それは監視カメラで常に監視されているということだ。至る所にカメラが設置され気が抜けない。一方で特別棟を含む一部の場所にはまるでおびき出すかのようにカメラがない。あきらかに歪だ。悪事も場合によっては黙認するってことだろうか。

 

(とりあえず、飯でもたべるか。)

 

よく考えれば昼ごはんすら食べていない。熱中しすぎたな。

俺はスーパーにより食材を買っていくことにした。

 

(無料コーナー?)

 

食品を選んでカゴに入れていると、その文字が目につく。

ポイントがなくなった生徒への救済措置だろう。このシステムを導入するにあたって確かに必要な措置だろうが、10万も与えられて一ヶ月で枯渇するだろうか?

無料コーナーには、賞味期限が近い食材が多かった。肉類は少ないが意外と取り揃えられていた。せっかく無料ならと鶏肉を一つそのコーナーから取り、会計をする。ポイント残高は、89432pになった。

 

寮の外見は、マンションって色が強かった。想像していた寮って感じではない。

部屋も普通のワンルームにキッチンと浴槽がある。キッチンには基本的な調理器具も付いていて今すぐにでも料理できそうだ。

俺は八剣流焼飯を作り、その日は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 




ほぼ会話することなく一話終わってしまった…
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