ようこそ個人主義者のいる教室へ   作:ボロネーゼ

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一巻終了です。


中間テストと救済

中間試験当日、クラスではいつもの騒がしさの様なものはなく緊張感ある空気が出来ていた。人によっては退学がかかっている、当然といえば当然だ。

 

「欠席者はなし。ちゃんと全員揃っているみたいだな」

 

茶柱先生は不敵な笑みを浮かべながら教室にやってくる。

 

「お前ら落ちこぼれにとって最初の関門がやってきたわけだが、何か質問は?」

 

「僕たちはこの数週間、真剣に勉強に取り組んできました。このクラスで赤点を取る生徒はいないと思いますよ?」

 

「随分な自信だな平田」

 

平田の言う通りやれるだけのことはやっただろう。他の生徒もそう思っているのか目から自信が伺える。

茶柱先生はトントンとプリントの束を整え前から配り始める。一時間目は社会だ。

 

「もし今回の中間テストと7月に実地される期末テスト。このテストで誰一人赤点を取らなかったら、お前ら全員夏休みにバカンスに連れてってやる」

 

「バカンスですか?」

 

「そうだ。そうだなぁ……青い海に囲まれた島での夢のような生活を送らせてやろう」

 

夢のような生活ねぇ。この学校が言うと楽しみという感情より嫌な予感が先に来るのだが。周りを見ると特に男子から妙な威圧感を感じた。大方、女子の水着が見られるって考えてるのだろう。まぁ、俺も全く興味がないと言えば嘘になるが、

 

「な、なんだこの妙なプレッシャーは……」

 

茶柱先生も男子から発せられる気迫に押され一歩下がる。

 

「皆………やってやろうぜ」

 

『うおおおおおおおおおお!』

 

池のセリフにクラスメイトの咆哮が続いた。俺は流石に叫ばなかったが、綾小路はどさくさに紛れて結構叫んでた。あいつも女子の水着がそんなに楽しみだったのだろうか。

 

やがて全員に試験のプリントが配り終えられる。そして教師の合図と共に一斉に表に返す。

俺はまず初めに過去問と問題が同じ、もしくは類似しているかを確認する。その結果は見事に大当たりだ。ほとんどの問題が過去問と同じ内容、順番で並んでいる。過去問を丸暗記していれば満点に近い点数を出すことも容易だろう。周りを小さく確認しても焦っている生徒はいないようだった。俺も過去問通り答えを当てはめていく。

 

二時間目、三時間目の科目も特にハプニングなく進んでいた。そして迎えた四時間目の休み時間。

 

「楽勝だな。中間テストなんて」

 

そんな池の声が聞こえる。声の明るさからしても自信があるのだろう。俺が池の方を見ると他にも山内や櫛田も集まっており、勉強会のメンツで堀北のところに集まっているようだ。

 

「須藤くんはどうだった?」

 

櫛田は一人机に座って過去問を凝視している須藤に声をかける。しかし、須藤の様子がおかしい。あれはまさか……

 

「須藤くん?」

 

「………あ?わりぃ、ちょい忙しい」

 

額に浮かぶ汗からも動揺していることは目に見えてわかる。

 

「須藤、お前もしかして……過去問勉強しなかったのか?」

 

「英語以外はやった。寝落ちしたんだよ」

 

つまり今初めて過去問を見てるってことか。

 

「ええっ!?」

 

休み時間は残り十分。それまでに覚えなければ須藤の成績を考えてもおそらく赤点だ。しかし、見ていないのが英語というのが運が悪い。英語は基礎が出来ていなければ何を言ってるか全くわからない。それを覚えるのは当然時間がかかる。

 

「須藤くん、点数の振り分けが高い問題と答えの極力短いものを覚えましょう。」

 

堀北が席を立ち須藤の隣に行ってそう指示する。最後の悪あがきではあるが何もやらないよりましということだろう。

堀北が行動してから、数分後チャイムがなる。

 

「やれることはやったわ。後は忘れないうちに、覚えている問題から解いて」

 

「ああ……」

 

こうして最後の科目である英語のテストが始まった。

 

 

 

♢♢♢♢

 

 

 

中間テストの結果発表の日、クラスにはテストの時に引き続き緊張感が蔓延していた。教室に入ってきた茶柱先生は少し驚いた様にクラスを見渡し、教壇まで歩いていく。

 

「先生、本日中間テストの結果が発表されると伺っていますがそれは具体的にはいつからですか?」

 

平田が先生にそう尋ねる。

 

「お前はそこまで気負う必要はないだろう平田。お前ならあれくらいのテスト余裕のはずだ。」

 

「……いつなんですか」

 

「喜べ、今からだ。放課後じゃあ色々と間に合わない手続きがあるからな」

 

手続きという不穏な言葉にクラスの一部が動揺を見せる。

 

「それはどういう意味でしょうか?」

 

「それは今から説明する。」

 

そう言いながら茶柱先生は生徒の名前と点数が載せられた大きな紙を黒板に貼る。

 

「正直感心している。お前たちがこんな高得点を取れるとは思っていなかったぞ。特に八剣、全教科100点とはな」

 

茶柱先生は嫌味っぽい言い方で俺にそう言った。

 

「どうも」

 

そんな気持ちの籠っていない返事を先生に返す。すると教室のいたるところから視線を感じる。特に堀北からは睨む様な視線を感じた。やっぱり前のテストでは手を抜いていたんじゃないっという声が聞こえてきそうだ。

しかし今回のテストは俺以外にも満点が続出している。過去問の存在はやはり大きかったようだ。その事実に周りは歓喜の声を上げている。さて、須藤はどうなったか…

 

「っしゃ!!」

 

思わず須藤が立ち上がって喜び、池と山内も喜んでいる。須藤は英語以外の四教科は60点前後と須藤にしてはかなりの高得点を叩き出している。肝心の英語の点数は39点、見たところ赤いラインを記す線も見当たらない。赤点は逃れたってことか。

 

「見ただろ先生!俺たちもやる時はやるってことですよ。」

 

池がそうドヤ顔で言う。

 

「ああ、認めている。お前たちが頑張ったことは。だが……」

 

茶柱先生は赤いペンを持ち須藤の名前の上に線を引く。

 

「あ……?」

 

須藤は何が起こったのかわからない様子だった。

 

「な、なんだよ、どういうことだよ」

 

「お前は赤点だ須藤」

 

その言葉に歓喜一色だったクラスの空気は一瞬で凍りついた。茶柱先生曰く赤点は平均点の÷2で小数点は四捨五入されるとのこと。平田や堀北がフォローするが、それが報われることはなかった。

 

「ウソだろ……俺は………俺が、退学、ってことか」

 

「短い間だったがご苦労だったな。放課後、退学届けを出してもらうことになる。放課後、職員室に来ること。保護者には私から連絡を入れる。」

 

茶柱先生の淡々とした様子を見てこれが本当のことだと全員が悟った。

 

「他の生徒はよくやった。この調子で次回の期末テストも励む様に。もう一時間目が始まるので準備を早くしろ」

 

そう言って茶柱先生は教室から出て行く。教室は静寂に包まれ音一つない。

 

「………ごめんなさい。私がもっとギリギリまで点数を削るべきだったわ」

 

堀北は須藤のところまで行きそう謝る。そう、堀北は英語の平均点を下げるために点数を50点まで下げていた。だが、現実的に考えるとこれ以上下げれば堀北にも退学のリスクがあった。これ以上下げるのは無理があるだろう。

 

「な、なんで……お前、俺のこと、嫌いだって言ってただろ」

 

須藤は震える声で堀北にそう言う。堀北が自分のためにここまでしてくれるとは夢にも思ってなかったのだろう。

 

「私は私のために行動しただけよ。勘違いしないで。それも無駄になってしまったけどね」

 

堀北は力なくそう言う。

 

「ど、どこ行くんだよ綾小路!」

 

「トイレ」

 

そういって綾小路はクラスから飛び出していった。堀北はそれを目で追っている。やっぱりこうなったか。

 

「堀北、ちょっといいか?」

 

「何かしら?」

 

俺は堀北を廊下に出るように促す。俺が廊下に出ると堀北もそれに続く。一時間目の授業が近いからか、廊下には誰もいなかった。堀北の様子は自分が退学になったわけでもないのにまるでそうなったかの様に沈んでいる。

 

「もう諦めるのか?クラスから退学者を出さないんだろ?」

 

「そんなこと言ってもこれ以上どうしろというの?もう私にうてる手なんて……」

 

「入学した日、プライベートポイントについて説明されたの覚えてるか?」

 

「…ええ」

 

堀北はこんな時に何を言い出すのかっという顔をしている。

 

「この学校にポイントで買えないものはない。それは逆に言えば普通なら買えないようなものもこの学校にあるならなんでも買えるってことだ。」

 

「だからそれがなんだというの?」

 

堀北は少し苛立った声で聞いてくる。

 

「ここで重要なのはなんでも(・・・・)ってとこだ。例えば、退学を回避する権利とか、テストの点数とかな。それも学校内にあるものだ」

 

「っ!?」

 

その瞬間、堀北は目を見開く。

 

「まさか……綾小路くんもそれに気づいて……」

 

堀北はすぐに職員室の方向に走り出そうとする。

 

「待てよ」

 

「何?一緒に来てくれるの?」

 

「悪いがそれは出来ない。その代わりにこれ持ってけ。」

 

「これ、何?」

 

俺が渡したのは、掌サイズの巾着袋だ。

 

「お守りだ。持ってたら必ずいいことが起こる。必ず、な」

 

「………」

 

堀北は無言でそれを制服のポケットにしまい職員室に走って行く。

 

(さて、これで準備完了。あとは……)

 

俺はイヤホンをつけながらトイレに向かった。

 

 

♢♢♢♢

 

 

私は八剣くんからヒントを貰った後職員室を目指して駆けていた。

つくづく彼には…いや、彼らには驚かされる。学校の制度にいち早く気づいたり、テストで点数を揃えたり。今回のこともそうだ普通は思いつかないような裏の方法にも気づいていた。彼らは一体何者なんだろうか。とても普通とは思えない。

 

私がそんなことを考えながら走っていると、階段の所で綾小路くんと茶柱先生が話しているのが見える。その時、茶柱先生の声が聞こえてくる。その声に私はついつい隠れてしまった。

 

「綾小路、私は個人的にお前と八剣を買っている。過去問を使うこともこのテストの攻略方法の一つだ。だが、それだけなら気づく奴もいる。だが、クラスで共有し、平均点を底上げしたのはお前らが初めてだったぞ。そこに辿り着くまでのロジックにこそ意味があると私は思う。」

 

茶柱先生は綾小路くんにそう言った。でも、過去問は櫛田さんがやってくれたはずじゃ……

 

「過去問を手に入れたのも、共有したのも櫛田ですよ。俺も八剣も関係ありません」

 

「残念だが、八剣が過去問を手に入れたことはわかっている。それをお前らで話し合い、櫛田の功績にしたこともな」

 

あの過去問も彼らが裏で糸を引いていたなんて……

 

「しかし、詰めが甘かったな。もっと徹底的に暗記させていればこんなことにはならなかった。今回は潔く諦めたらどうだ?その方が後々楽かもしれないぞ?」

 

「確かにそうかもしれません。けど、今回は手を貸すって決めたんで。まだ試せることも残っていますし」

 

「試せること?」

 

「須藤の英語の一点、売ってください」

 

来た!

茶柱先生は目を丸くし高らかに笑った。

 

「まさか点数を売ってくれと言い出すとはな」

 

「先生は学校内にポイントで買えないものは無いって言ってましたよね?中間テストも学校の中にあるものの一つですよ」

 

「確かにな。だが買える金額とは限らんぞ?」

 

「いくらなんです?一点の価値は」

 

「それは難しい質問だ。私は点数を売ったことはないからな………そうだな、特別に10万ポイントで売ってやろう」

 

「意地悪っすね。先生は」

 

(10万ポイント!一人では払えないけど二人なら…)

 

そう考えていた時に、ピコンっと携帯が鳴る。携帯に目をやると私の携帯に驚くべきことが起こっていた。匿名のアドレスから10万ポイントの振り込みがあったのだ。こんなことをやる人物は一人しか思い浮かばないが今は乗っかるしかない。

 

「私が払います。」

 

そう言って私は綾小路くんと茶柱先生の前に出て行く。

 

「………堀北」

 

「クク、お前が来たか。てっきり八剣が来ると思っていたんだがな。しかし払うと言っても10万ポイントだぞ?払えるのか?」

 

茶柱先生はそう聞いてくる。

 

「ええ、臨時収入がありましたから」

 

「臨時収入?」

 

綾小路くんも茶柱先生も一瞬ポカンとする。

 

「とにかく、10万ポイント有れば売っていただけるんですよね?」

 

「……よかろう。須藤の一点を売るという話、受理しよう。堀北、お前から10万ポイント微収させてもらう。須藤にはお前から伝えろ」

 

「ありがとうございます」

 

「……堀北、お前には綾小路と八剣がどのように見える?」

 

茶柱先生は私にそう尋ねる。

 

「よくわかりません。テストでもっと点数を取れるのに手を抜いたり、抜かなかったり。過去問を入手することを思いつきながら櫛田さんの手柄にしたり、点数を買うなんて暴挙を思いついたり。私には理解不能です」

 

その答えを薄ら笑いを浮かべながら茶柱先生は聞いていた。

 

「お前らがいれば本当に上のクラスに上がれるかも知れんな」

 

「彼は知りませんが、私は上がります」

 

私は茶柱先生にそう言い切る。

 

「過去、一度もDクラスが上のクラスに上がったことはない。何故ならDクラスは学校から認定された不良品の集まりだからだ」

 

「先生、よろしいでしょうか」

 

私はこの際だから言いたいことを言っておこうと、真っ直ぐ先生を見据え考えを喋った。

 

「確かにDクラスの多くの生徒は不良品かもしれません。ですがクズじゃありません」

 

「不良品とクズがどう違うと?」

 

「不良品かどうかは紙一重です。少しの修正、変化を加えることで立派な良品へと生まれ変わります」

 

私がそう言うと、先生は目を瞑り少し笑いながら、

 

「お前が言うと説得力があるな。そこまで言うなら担任として暖かく見守らせてもらう。」

 

そう言って職員室へ去って行った。

 

 

 

♢♢♢♢

 

 

放課後、俺は堀北に呼び出され屋上に赴いていた。空は曇っており、少し雨の心配がある。

俺が屋上に着くと堀北の後ろ姿が見える。そして、俺に気づき振り返った。

 

「よう。なんか前にもこんなことがあったな、三週間くらい前か。まぁ、あの時とは位置が逆だけど」

 

俺がそういうと堀北は黙って俺の顔を見つめている。

 

「あなたよね。あの時10万ポイントを私に譲渡したのは」

 

「…なんのことだ?」

 

「とぼけても無駄よ」

 

そう言ってポケットから黒く四角い機械を取り出す。

 

「貴方がお守りと言って渡してきた袋の中にこれが入ってたわ。これ盗聴器よね?これを通してあの会話を聞いてたんでしょ?」

 

「あのなぁ、お守りって開けるもんじゃないと思うんだけど…」

 

「神社で買ってきたものならね。でも貴方の手作りなら問題ないんじゃない?」

 

「そういう問題か?」

 

「話が逸れたわね。悪いけど確信してるわ。あの状況できっちり10万ポイント送ってくる人なんてこれを渡して話を聞いていた貴方しかいない。それにあなたはこの前兄さんからポイントを貰って懐が潤ってるはずだから」

 

それ以外でも懐は潤ってるのだがそれは伏せるべきだろう。自分の所持ポイントを他人に教えるのはリスクが高い。

 

「そりゃそうだよな」

 

「あら、今回は随分素直に認めるのね。テストの点数を揃えた時みたいに隠さなくていいの?」

 

「確信持ってるって言ってたろ?そもそも隠す意味ないしな。それに10万送ってきたのが俺だってことにも気づけないならお前はAクラスになんて一生上がれねえよ」

 

「そう。じゃあ聞かせて。なんで須藤くんを助けるために10万ポイントも出したの?貴方はクラス争いにも、今回のテストで誰かが退学になることも興味なさげで、私への協力も渋々と言った感じだったのに」

 

「そりゃそうだろ。弁当で協力を強制されたんだからな。今回は赤点を取らせないってお前と取引したし」

 

「須藤くんは私や綾小路くんの管轄じゃないかしら?」

 

「須藤の件は……まぁ乗り掛かった船だからな。ていうか助けてやったんだから文句を言うなよ」

 

「私はあなたにポイントを貸してと言った覚えはないわ。貴方が勝手に譲渡したのよ。……でも、そのおかげで赤点を出さずに済んだことには感謝しているわ。ありがとう」

 

おお、堀北が俺に例を言うなんて初めてじゃないか?

 

「でも、なんで私を通す必要があったの?自分で茶柱先生に払えばよかったのに」

 

「クラスポイントが0で学校生活が始まったばかりのこの時期に、プライベートポイントだけ明らかに多いことが公に露呈したら色々疑われる可能性があるだろ?リスクを考えて避けたまでだ」

 

教師陣が常に俺たちのプライベートポイントを確認しているなら意味はないがその可能性は低いと考えている。この学校には最大で480人の生徒がいる。退学者がいることからもう少し少ないにしてもそれだけの生徒の毎日変動するプライベートポイント値を常に把握することは現実的じゃない。おそらく、何か問題でもない限りは調査が入ることはないだろう。

 

「……なるほどね」

 

一応納得したのか堀北はそう言った。

 

「じゃあ、次の質問だけど。前回のテストはやっぱり手を抜いてたのね。でもなんで今回いきなり本気を出したの?目立ちたくないならあのまま演技を続ければいいんじゃない?他の人もかなり驚いていたと思うのだけれど」

 

「過去問をやり込んでただけだ。別に満点なんて今回のテストじゃ珍しくもないだろ。実際に社会は10人以上が満点だった。」

 

「ええ、でも全教科は貴方だけよ。いくら過去問をやり込んでいても実力が無ければ無理だもの」

 

(まあ、別に話してもいいか…)

 

「別に俺が点数をいじったのは目立ちたくないからとかじゃない。ただの暇つぶしだ。普通にテストやるより全部7に揃えた方が面白いだろ?」

 

「……貴方の感性は私には理解できないけれど、思いついてもそれを入試でやるなんてバカとしか言いようがないわ」

 

「かもな」

 

本当は俺が入試で遊べたのには理由があるんだがそれは堀北には伏せる。

 

「それにしてもさっきも言ったけれど今日は随分正直に喋るわね。正直に言えるならなんで一度隠そうとするの?」

 

「わざわざ情報をただで教える必要ないだろ。今日はただ正直に話す気分だったてだけだ。前にも言ったろ?気まぐれ屋なんだよ、俺は」

 

まぁ、話してもいいようなことしか話していないしな。

 

「じゃあ、過去問を櫛田さんの手柄にしたのは何故?」

 

ここぞとばかりに堀北は遠慮なく質問を続けてきた。

 

「それは普通に影響力を考えての結果だよ。ほとんどが謎のクラスメイトとクラスの人気者が同じことをしても結果は違うだろ?」

 

「櫛田さんを利用したわけね」

 

「まぁ、そうなるな。ってこの質問いつまで続くんだ?俺、このあと予定あるんだけど…」

 

スマホで時間を確認しながら堀北に尋ねる。俺はこの後、一之瀬に遊びに行こうと誘われているのだ。一之瀬をすでに待たせていると思うのでそろそろ切り上げたいんだが、

 

「次で最後よ。貴方はこれからもクラスの闘争に参加しないの?」

 

「さあな。それは俺の気分次第だ」

 

そう言って俺は屋上から去る。

 

堀北には言わなかったが、須藤を10万ポイントも出して助けたことにはもう一つ理由がある。もちろん堀北に言ったことも嘘じゃない。では何故言わなかったのか、それは俺がこの学校に来た理由に関わるからだ。俺がこの学校に来た理由それは、『綾小路清隆に手を貸し、三年間学校に留めろ』そう親父から頼まれたからだ。だがこのことは今はまだ誰にも知られるわけにはいかない。その時が来るまで隠し通さなければならないのだ。

 




少し最後の部分の補足を入れると、最後の綾小路の点数をポイントで買うっという行動は綾小路自身から行動したためそれは迅が学校に来た理由である綾小路を手伝うという頼みに含まれると迅が判断したため行動したっという流れです。

次回、一之瀬回を挟んでから2巻に入ります。
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