ようこそ個人主義者のいる教室へ   作:ボロネーゼ

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水着と競争

 

 

「おはよう、山内!」

「おはよう、池!」

 

(何だあれ?)

 

朝、教室に来てみると、二人が不自然なくらい幸福感あふれた笑顔で挨拶をしていた。

それにしても、あいつらにしては早いな。ここ一週間予鈴ギリギリに登校していたはずだが。

 

「いやあー授業が楽しみすぎて目が冴えちゃってさー」

 

ほう、普段授業を妨害しまくってる池らしからぬセリフが一言目から出るとは。今日は何かが違うらしい。

 

「なはは、この学校は最高だよな。まさかこの時期から水泳があるなんてさ!水泳って言ったらプール!プールと言ったら水着!水着と言ったらスク水の女の子!」

 

なるほど、こいつらが楽しみにしているのは、授業じゃなくて女子の水着姿か。

ところでこの二人は、その発言のせいで現在進行形で女子からドン引きされていることに気づいているのだろうか。いや、気付いてたらこんなことになってないか。

 

「おーい博士ー。ちょっと来てくれよ」

 

池が一人の男子生徒に向かってそう言い、呼び寄せる。

確か外村だったか。

 

「ふふ、呼んだ?」

 

不敵な笑みを浮かべながらのっそりと近づいていく。

しかし、もうあだ名が存在しているのか。そのコミニケーション能力はちょっと関心す…

 

「博士、女子の水着をちゃんと記録してくれよ?」

 

「任せてくだされ、体調不良で授業を見学する予定ンゴ」

 

「記録?何させるつもりだよ」

 

「博士にクラスの女子のおっぱい大きい子ランキングを作ってもらうんだよ。あわよくば、携帯で画像撮影とかもなっ!」

 

前言撤回、高いコミュニケーション能力があっても、それと同じくらい印象評価を落とす能力が備わってるなこいつら。

ていうかその語尾なんなんだ。

 

「おーい、綾小路」

 

池に綾小路が呼ばれて、綾小路は池の方へ行く。

あいつなら女子の評価が落ちることくらい考えれるはずだが、芽生え始めている男子の友情を強化することにしたようだ。

 

俺は、この学校に来て一週間が経つが、持ってる連絡先は未だに一之瀬だけだ。やはり友達作りというのは思いのほか難しいようだ。俺は別に誰とも喋れないわけじゃない。だが、面白そうなやつがまだ見つかっていないのでどうにもあわないのだ。もうしばらくしても、ダメなら他のクラスに探しにいくのも手かもしれないな。

 

 

♢ ♢ ♢ ♢

 

 

「よっしゃプールだ!!」

 

昼休みが終わり、ついに男子念願のプールの授業がやってきた。

 

しかし、この学校のプログラムは少し変だ。まだ四月なのにも関わらずプールの授業があるのは季節外れというか少し早すぎる。大体は六月下旬あたりから九月の初旬くらいまでがプールの季節ではないだろうか。

 

それにしても、綾小路、平田、須藤、高円寺、三宅の五人は結構いい体してるな。

見る人が見れば、体つきだけでその人の基礎能力のほどがわかるというが、俺にも多少わかる。

 

三宅は腕の筋力と胸筋が特に発達してる。弓道でもやっているのだろうか。

須藤は全体的に体が鍛え抜かれている。アスリート型。須藤はバスケをやっているという話を聞いたが、それが理由か。

平田も全体的に鍛えられているが、細マッチョっといった。とても見栄えの良い筋肉のつき方だ。さすがイケメンと言ったところか。

高円寺は……なんか他の生徒とベクトルが違う。一人だけ水着もブーメラン型だし。筋肉のつき方がボディービルダーのような仕上がり方をしている。

綾小路は、目立たないが、実用性を極めたような筋肉のつき方だ。筋肉のつき方が俺と少し似ている。普通の鍛え方ではああはならない。……例の施設出身なだけあるっといったところか。

 

「どうしたんだ?」

 

俺の視線が気になったのか、綾小路が俺に話しかけてきた。

いかん、いかん、綾小路を見つめすぎたな。

 

「いや、いい体してるなって思っただけだ。」

 

「そう言うお前もけっこう引き締まってると思うがな」

 

俺の体を見ながら綾小路はそう言う。まぁ、体はかなり鍛えているので自信はある。

だが、そんなことよりこれは綾小路と接触するチャンスだな。

 

「そういえば、はじめましてだな。俺は八剣迅。よろしくな」

 

「綾小路清隆だ。よろしく」

 

挨拶を交わし、俺と綾小路は一緒に更衣室を出てプールに向かう。

 

「うひゃあ、やっぱこの学校すげーな、街のプールよりすごいんじゃね?」

 

池は50Mプールを見るとそう興奮した様子で叫ぶ。

 

確かに、プールは屋内で天気の影響を受けない、温室だから四月でも温度を気にすることはないし、プール自体も広々としている。その上、二階は観客席のような作りになっていた。

 

(他もそうだがこの学校の設備の一つ一つにしっかり日本国民の税金がかけられてそうだな)

 

「女子は?女子はまだなのか?」

 

俺が金のことを考えている横で、池は女子のことを考えているようだ。

池は鼻をふんふんと鳴らしながら、女子を探す。

 

「着替えに時間がかかってるからまだだろ」

 

綾小路がそう答える。

 

「なあ、もし俺が血迷って女子更衣室に飛び込んだらどうなるかな?」

 

池が俺と綾小路に尋ねる。

 

「半殺しまでボコボコにされて、退学、そのあとお縄だな」

 

「ああ、半殺し、退学、書類送検の三連単だ。」

 

「リアルなツッコミやめてくれよ」

 

池はブルブルと体を震わせる。

 

「変に水着とか意識してると、女子に嫌われるぞ」

 

綾小路が池にそう言う。

正直、もう手遅れだと思うけどな。

 

「意識しない男がいるかよ。………勃ったらどうしよう……」

 

(割と本気で池が性犯罪者にならないか心配になってきた…)

 

「うわ〜。凄い広さ、中学の時のプールなんかより全然大きい〜」

 

俺はそんなどうでも良いことを考えていると、男子グループから遅れること数分、女子の声が耳に届いた。

 

「き、来たぞっ!?」

 

身構える池。やはり露骨すぎるところは直せないようだ。

 

「長谷部がいない!ど、どういうことだ?!博士っ!」

 

どうやら、池は長谷部という女子を特別マークしていたようだ。理由はまぁ………言うまでもないだろう。

授業を見学する博士こと外村が二階の観客席から慌てて全貌を見渡している。

だが、その姿は捉えらなかったようだ。

 

「う、後ろだ、博士っ!!」

 

「ン、ンゴゴゴゴゴゴ?!」

 

だから何だよその擬音。ンゴゴゴとか使わんだろ日常生活で。

博士の後ろから長谷部が現れる。さらに、二階にはゾロゾロと女子が現れ、そこには長谷部と共に騒がれていた佐倉の姿もある。

 

「く、くっそ〜、巨乳が………巨乳が見られると思ったのに!思ったのにぃぃぃ!!」

 

期待を裏切られ、絶望している様子には少し同情……は別にしないが、こいつのゲスな叫びはこのボリュームだとおそらく二階席の長谷部にも聞こえている。キモっと呟かれる始末。自業自得といえばそれまでだが、

 

「池、悲しんでる場合じゃないぜ。俺たちにはまだたくさんの女子がいるっ!」

 

「そ、そうだよな。ここで悲しんでる場合じゃないよなっ」

 

「「友よ!」」

 

池と山内が友情を分かち合い、手を取り合う。こんなしょうもない絶望でも友情というのは強くなるのだろうか。

 

「二人とも、何やってるの?楽しそうだねっ!」

 

「く、くく、櫛田ちゃん!?」

 

二人の間に割って入るように櫛田が顔を覗かせた。

 

スクール水着を着た櫛田は妖艶な体のラインが浮き彫りになっている。普段からスタイルは悪くないと思っていたが水着を着たことによってボディラインがさらに強調されていた。これならクラスの男子のほとんどが一瞬櫛田の体に釘付けになったことだろう。

 

しかし、俺は平然としていた。何故なら、ここ数日、一之瀬と何度か出会うことがあったからだ。何とは言わないが上も下も一之瀬は制服では隠しきれないものを持っている。高校になってからは制服を着ている姿しか見たことはないが、それでも今の櫛田以上だと断言できた。しかも本人は無意識なのか体を当ててきたりすることがそこそこあり、俺はその度にポーカーフェイスでなんとか平静を保ってきたのだ。その度重なる訓練?を受けてきたが故に、スタイルの良いクラスメイトの水着姿が目に入っても平静を保つことは難しくなかった。

 

隣を見ると綾小路が櫛田から視線を逸らし、虚空を見つめていた。

どうやら綾小路は耐え切れなかったようだ。そういう訓練はあの施設でもしていないのだろうか。

 

「何を黄昏ているの?」

 

黒髪の美少女が怪訝な様子で綾小路に話しかける。

 

「己との戦いに没頭していたんだ」

 

間違ってはないけど、なんだその言い訳?

 

「……………」

 

少女は綾小路をジッと見つめて、

 

「綾小路くん、何か運動してた?」

 

お、この少女も綾小路の隠れ筋肉質な肉体に気がついたか。

 

「え?いや、別に。自慢じゃないが中学の頃は帰宅部だったぞ」

 

「それにしては………前腕の発達とか、背中の筋肉とか、普通じゃないけど」

 

「親から恵まれた体を貰っただけじゃないか?」

 

「………そう。なら、あなたは?」

 

綾小路の次は、隣にいた俺に聞いてくる。

 

「そうだな、陸上を少々と格闘技くらいだな」

 

「…………そう」

 

それだけ言うと何か考えるように黙り込んでしまう。

 

「あー、えと、俺は八剣迅。一応、よろしくな」

 

一応、自己紹介をしておく。

 

「……………」

 

少女は黙ったままだ。よろしくする気はないという意志がヒシヒシと感じられる。

 

「こいつは、堀北鈴音。俺の隣の席のやつだ。」

 

少女の意思も虚しく、代わりに綾小路が答えた。

 

「綾小路くん。勝手に人の名前を広げないでくれないかしら。不愉快なのだけれど。」

 

堀北は明らかに不機嫌そうに言った。

 

「クラスメイトなんだ。どちらにしろ遅いか、早いかだけだろ」

 

綾小路はそう答える。

 

「よーしお前ら集合しろ!」

 

その時、体育会系の文字が似合うマッチョなおじさんが号令をかける。

 

「見学は16人か、ずいぶん多いようだがまぁいいだろう。」

 

明らかにサボり目的の生徒もいたがそれを咎めることはなかった。

 

「早速だが、準備体操をしたら実力が見たい。泳いでもらうぞ」

 

「あの先生、俺、あんまり泳げないんですけど」

 

一人の生徒がそう手を挙げる。

まぁ、水泳はできない人はとことん出来ないからな。

 

「俺が担当するからには必ず夏までには泳げるようにしてやるから安心しろ」

 

「別に無理して泳げるようにならなくても良いですよ。どうせ海とか行かないし」

 

「そうはいかん。今はどれだけ苦手でも構わんが、克服はさせる。泳げるようになっておけば後で必ず役に立つ。必ず、な」

 

随分と強調するな、夏に何か水泳大会でもあるのだろうか。

俺たちは準備体操を終えて、とりあえず、50M泳ぐ。泳げない場合は足をつけても良いらしい。

 

(……気持ちいいな。俺も水泳はスポーツの中でも結構好きなんだよなぁ)

 

「とりあえず、殆どのものが泳げるようだな」

 

俺がプールに浸かりながらゆったり泳いでいるとマッチョ先生はそう呟いた。

 

「余裕っすよ、先生。俺、こう見えても中学の頃は機敏なトビウオって呼ばれてましたから。」

 

山内がドヤ顔でそう話す。

 

「そうか。では早速だがこれから競争をする。男女別50M自由型だ」

 

「き、競争!?マジっすか」

 

池がそう声を上げる。

競争か、まぁ適当に流して…

 

「1位になった生徒には、俺から特別ボーナス、5000ポイントを支給しよう。一番遅かった奴には補修を受けさせるから覚悟しろよ。」

 

授業なのだから本気でやらないとな。負けるのも尺だし、ちょっと本気でやるか。決してポイントに釣られたわけではないと明言しておこう。

 

「女子は人数が少ないから、5人を2組に分けて、一番タイムの早かった生徒の優勝にする。男子は順位の早かった5人で決勝をやる。」

 

まずは、女子からで男子はプールサイドに座り込み女子を応援する。

まぁ、俺には応援するほど仲の良い女子がまだクラスにいないのだが。

 

「櫛田ちゃん櫛田ちゃん櫛田ちゃん櫛田ちゃん、はぁはぁはぁはぁ」

 

俺の心配(どうでもいい)も虚しく池は性犯罪者への一歩を踏み出したようだ。

 

「怖いぞ池、落ち着け」

 

綾小路は池に諭すようにそう言った。

 

「だ、だって櫛田ちゃんクソ可愛いだろっ。胸もやっぱ結構でかいしさっ」

 

どうやらぶっちぎりに人気を集めたのは櫛田のようだ。他のみんなも池ほどではないが、櫛田に目線が集中している。

 

櫛田桔梗。自己紹介ではクラスの皆んなだけではなく、学年全員と仲良くなりたいとか言っていたな。確かに、ビジュアルも良く、誰にでも人当たりも良い、人気が出るのは必然とも言えるが……

 

(ふむ、なんかきな臭いな……)

 

何か不自然に感じる。いや、自然すぎるから逆に不自然に感じてしまうのだ。綺麗な花には棘がある。という言葉があるが、まさにそんな感じがする。しかし、他の誰も櫛田に不審感なんて抱いていないだろう。人間分析に自信がある俺でさえ半信半疑だ。

 

俺がそんなことを考えているうちに櫛田の番が来たようで、応援する男子に笑顔で手を振る。

 

「うひょおおおおおお!!」

 

男子たちが悶える。中には股間を押さえる者もいた。性犯罪者予備軍は池だけじゃなかったようだ。

 

しかし、やはり誰も櫛田のことを不自然なんて思っていないようだ。というか、チョロすぎて話にならない。

 

女子が全員泳ぎ切り、結果が出る。

1位は小野寺という水泳部の女子のようだ。堀北も早かったが、水泳部には勝てなかったか。

 

堀北が俺たちのほうに来る。

 

「惜しかったな。2位だってよ。現役の水泳部相手は流石に厳しかったか」

 

「別に、勝ち負けは気にしてないから。それより、あなた達は自身あるの?」

 

「安心しろ。最下位にはならん。」

 

綾小路が少し誇ったように言う。

 

「俺は1位目指すぞ。負けるのも尺だしな」

 

俺は淡々とそう答える。

 

「そう。綾小路くん、それは別に誇ることでもないと思うのだけれど。でも、やっぱり基本的に男子は勝ち負けにうるさいのかしら」

 

「どうだろうな。まあ、負けず嫌い気質のやつは女子より微妙に多いかもな」

 

堀北の問いに俺はそう答えた。基本的に男子と女子では同年代でも精神年齢が違うというのはよく聞く話だ。16歳ぐらいの男子なら人によっては子供っぽさが抜け切らないこともあるし、逆に女子は大人っぽさが出ることもある。精神年齢が女子より低いと言われる分、男子は勝ち負けに執着しやすいのかもしれない。

 

(まあ、勝ちへの執着って結構大事だったりもするけど……)

 

そんなこんなしている内に男子のレースが始まるようだ。最初の組がプールに入る。

運動抜群の須藤がいるな、その隣は綾小路か。

 

結果は須藤の一人勝ちだった。須藤のスピードは驚異的で先生に水泳部に推薦されるほどだった。綾小路は宣言通りビリにはならなかったが、あいつが本気を出せばあるいは……

 

「きゃー!」

 

女子から悲鳴に似た声援が上がる。第二陣は平田が出るらしい。確かに平田は人気あるしそれぐらいの声援が上がるのもうなずけるが…

池は明らかに気に入らなそうな態度になり、あまりそういうことを気にしなさそうな須藤も少し顔を顰めている。

平田がプールに飛び込み、水を掻くたびに女子から声援が上がる。確かにとても画になっている。

 

「意外と速いな」

 

須藤から冷静な一言。確かに他の男子より頭一つ抜けている。

そして結果は見事1位でゴール。プールから出た後、女子に駆け寄られていた。流石の人気ぶりといったところか。

 

第三陣は俺の番だ。さて、どうするか1位はとるとしてどれくらいのタイムに調整するか。須藤が25秒を切っていたな、平田は26秒、となると俺も25秒切るくらいで泳ぐか。

スタートの合図と共にプールに飛び込む。まずは深くまで潜水しながら進み、そのままクロールに切り替える。

 

「24秒56!早いな八剣!水泳部に入らないか?」

 

「……どうも」

 

ちょっと早くしすぎたな。皆んなから視線を感じる。

……特に須藤から。

 

「凄いな。八剣って水泳出来たんだな」

 

綾小路が聞いてくる。

 

「ん、まぁな」

 

正直、スポーツの中でも本気でやれば水泳では負ける気がしない。得意なスポーツは?と聞かれると水泳と答えるし。

その時、プールサイドから高らかな笑い声が聞こえる。

 

「はっはっは、私の腹筋、背筋、大腰筋は好調のようだ。悪くないねぇ」

 

「23秒22…………だと」

 

先生も絶句するほどのスピードを叩き出した高円寺。やはり只者じゃなかったか。

高円寺と闘うなら少しは本気でやらなければならないだろう。

 

最終決戦は、俺、須藤、平田、高円寺、三宅っとなった。

開始の合図と共にプールに飛び込む。スタイルはさっきと同じだ。

 

俺は最初から飛ばして、一気に周りを引き離す。しかし、高円寺はその横に並んでいる。そして、ほぼ同時にゴールした。

 

「どっちですか?」

 

池が先生に尋ねる。

 

「0.1秒差で高円寺だ。」

 

くそ、負けたか。………5000ポイント欲しかったな。

とりあえずプールから上がり人がいない端の方まで歩いていく。すると、珍しく高円寺が近づいてきた。

 

「私と競り合うとはやるじゃないか。久しぶりに楽しませてもらったよ。八剣ボーイ。だが、」

 

そう言った後、高円寺は俺にだけ聞こえるボリュームで囁いた。

 

アレ(・・)を外せばもっと面白い勝負ができただろうねぇ」

 

「っっ!!?」

 

この瞬間、俺はこの学校に入ってから初めて本心で動揺した。

俺は全力で表情筋に働きかけて無表情を保つように務める。

 

(コイツ……気づいたのか?)

 

知っていること自体は問題ではない。なぜなら、俺に限った話ではないからだ。問題はソレを施している気づかれたというとだ。

今後は高円寺の観察眼にひっかがらないようにより注意しないが必要だろう。

 

流石に俺の正体がばれることはないと思うが万が一ということがある。

 

「ふっ、それではアデゥー!」

 

高円寺は満足そうにそう言って颯爽と去っていく。

 

(高円寺六助……食えない奴だ…)

 

俺は高円寺の後ろ姿を眺めることしか出来なかった。

 

「惜しかったわね。もうちょっとで一位だったのに」

 

今度は堀北が近づいてきて俺にそう言う。

 

「……………………」

 

「……?どうしたの?」

 

堀北は俺の様子を疑問に思ったのかそう聞いてきた。とりあえず、高円寺のことは置いておいて堀北に返さなければならないだろう。

 

「まあ、自信はあったんだけどな」

 

俺は苦笑いしながらそう答えた。

 

初の水泳は俺にとって大きな衝撃を残して幕をおろした

ちなみにこの後、綾小路と連絡先を交換した。

 

 

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