異聞!決号作戦   作:シン・アルビレオ

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お断り
※本作品はIFの本土決戦をベースにしてます。アンチヘイト表現や生々しく痛々しい表現等が出てきますので
気分が悪くなったら読むのを1度中断し、推しを愛でたり猫ちゃんでも吸って落ち着いて下さい。

※軍事(自衛隊や旧日本軍、連合国軍)の描写については必ずしも正しいとは限りません。なるべく情報を調べてるけど自衛隊とかは軍事機密が多いところあるからね仕方ない。

※実在の人物、組織、地名が出てきますがこの作品はフィクションですので関係ありません。

※一部BGM推奨のとこがあります。そのBGMを聴きながら読むと胸熱かも…?

※更新は亀で不定期となりますがご了承下さい。

※推敲してますがもし誤字脱字がありましたら、報告お願いします。

※ふぶきの物語については頑張って執筆しておりますので、もう少しお待ちいただけるとありがたいです。



1話 猫と地震

 2022年4月20日、ラバウル沖やショートランド沖、ダンピール海峡、南西諸島にて赤色海域の予兆が見られ始めたため分析したところ、ほぼ一か月後±2日に中規模程度の深海棲艦が出現することが判明。各鎮守が備えていると予報通り5月20日に赤色海域が発生し様々な深海棲艦が湧き出ていく。

大本営はR方面作戦を発令し各鎮守は日本を守護らんと戦っていった。

 

 数年前に幌筵泊地から佐世保鎮守府に転属された彼もこの作戦に参加しており、なんとか7月11日に最終海域を突破し無事に大本営からの報酬やメリーランドを迎えることができた。

「ふぅ、資源がギリギリだったが今回も誰一人欠けることなく突破できたか」

わいわいと楽しむ艦娘たちを見て提督は安堵する。彼の名は(くぐい)大将。彼が着任した当時は19歳であったが今や20代後半と年齢を重ねていた。

「しかし、深海棲艦も新たな兵器が確認されましたね」

9年間司令官の秘書として支えてきた特型駆逐艦Ⅰ型、吹雪。

この鎮守府内では最古参の艦娘であり、練度は150とトップに立っている。

経験豊富で敵からは大変恐ろしい存在であり、味方からしてみれば大変強くて頼りになる存在である。

 

 青葉によるインタビューで吹雪と対戦した彼女たちはこのように語っている。

米の芋スカイママ曰く、「彼女はマジシャンなの? アイオワさんから教わった超ヘビー級のMMAスタイルでごり押ししても通用しない」

露の同志でっかいの曰く「サンボは剛の力が重要なんだ。それで挑んでもそれ以上の剛でやられた!と思ったらイポーニャーの柔道のような曲線の柔らかい動きをする。あれは同志ちゅうくらいと同志ちっこいのが使っているシステマに似ているんだよな」

ボ〇カワウソ生みの親である英戦艦曰く、「バリツ、という武術を私は使っているの。ジャパンの柔術とボクシングを融合させた武なんだけど、彼女はそれ以上に多様多種な技を使うわ! あれに勝てる子っているの?」

駆逐艦が戦艦にジャイアントキリングする例はあるが、ほとんどは魚雷による攻撃だ。

しかし吹雪は魚雷ではなくタイマンでしかも素手で戦艦に勝っているのだから、いかに彼女が異常かお分かりだろう。

 

 「あぁ、前回は超重爆飛行場姫に超重爆機、そして今回は反跳爆撃か。深海側も学んでるな」と提督は忌々しく言い放つ。

「そうなると次に考えられるのはあれですかねぇ……」歓迎会の様子を自前のカメラで撮っていた青葉が提督の所にやってきた。青葉の言葉を聞いた提督が頷きつつ小さい溜息をつく。

「今後ありえるケースは本土大空襲、最悪のケースは原子爆弾の投下か……ウランやプルトニウムを所有したらと思うとぞっとする。奴らが狙うとすればウラン鉱山がある国か、原発がある国か」

提督は地理が得意なので頭の中で地図を思い浮かべていた。

「原子爆弾はウラン濃縮の知識や原子炉の開発がないと難しいですから、もし私が狙うとすれば原発ですかね」と青葉は推察する。

「その可能性は高いだろうね。それに一部の反艦娘派や過激派、深海棲艦を神と崇めるカルト教団等が原子力に関わる技術者や知識人を拉致して深海棲艦と協力する可能性も捨てきれない」

「うげっ、それは厄介ですね。9年経ってもそんな思想を持つ人がまだいることに驚きですよ。脳内お花畑なんですかね」

青葉はあきれたように言い放つ。

陸軍憲兵や公安とのタッグで《適切な対処》を進めたおかげで2013年頃と比べればかなり減ってきたが、未だ鼠のようにちょこまかと地下や海外へと逃げ回っていたりしていて完全な撲滅には至っていない。

「彼らの護衛を強化するのは勿論、残っている原子力発電所の防衛も強化しないとだめだな」

 

 ここの日本の原子力発電所はどうなっているのだろうか。

深海棲艦の影響で各資源の輸入が低下していき、ウランの輸入量も低下したため研究が滞っていたMOX燃料に注目が再度集まり、MOX燃料加工所やプルサーマル計画がより一層進められた。

しかし日本近海へ出現するケースが多くなり、太平洋側に存在する原子力発電所は全て廃炉へと追い込まれてしまう。

また、1990年代から2兆円の費用を掛けて青森県六ヶ所村で建設されていた原子燃料サイクル施設も深海棲艦の影響により2017年に撤退し、もんじゅ(ナトリウム冷却高速炉)がある福井県に移転したが安定したMOX燃料の生産は時間がかかるだろう。

さらに九州近海でも出現ペースが上がったため、川内原子力発電所と玄海原子力発電所も原子炉スクラムしてしまった。

現存で稼働している原子力発電所は瀬戸内海と日本海側となっており、今や地熱や太陽光等再生可能エネルギーを中心とした発電がメインとなっている。

 

 

 「原子力発電所だけでなく水力発電所やダムの防衛も強化するべきだわ。我が祖国には苦い経験があるのよ。あ、これ食べる?」

自家製のヴルスト(日本でいうソーセージ)とザワークラウトを頬張りながらそう言ったのは、ドイツのでかい暁のことビスマルクだった。

「頂こう。うん、本場のソーセージは旨いな。えぇとなんだっけあれ……チャスタイズ作戦だっけ?」

「そうよ。WWⅡの頃イギリス空軍がドイツ工業地帯のダムを狙った作戦よ。反跳爆弾を使ってダム手前まで到達した爆弾は沈んで水面下で爆発、その衝撃で決壊し下流に多大な被害が出たわ」

「反跳爆撃は厄介だったな。万が一のためにアトランタ砲や長10cm砲をベースとした対空装備を充実させたほうがいいかな。でもあれってでかいし置くスペースあるのか? それに日本に水力発電所とダム、それから火力発電所ってどれくらいあるんだ……」

全部を守護るとなると各鎮守府の担当地域は膨大な高射砲や対空機銃を配備しなくてはならない。佐世保鎮守府は西九州・南西諸島区域となるのでかなりの広さだ。

なら対空カットイン装備仕様の艦娘を派遣したほうが余計なスペースを喰わずに済むが、一体何人の艦娘が必要になるのだろうか。

「まぁ、今はそんな難しいことを考えるより祝いましょうよ! ほら、大和さんも改二になったし!」

「吹雪の言う通りだな。盛大に祝うか!」

恒例の祝賀会は深夜まで続き、次の日にはまたいつも通り遠征や任務をこなして次の作戦に備える……そんな日常が突如崩れ去ってしまった。

 

 猫の出現。

しかもただの猫ではなく鎮守府よりでかくて全身が真っ黒で穴が開いたような姿をしており、その穴の中には大量の0と1で埋め尽くされていた。

激闘とどんちゃん騒ぎの疲れで静まり返った佐世保鎮守府は一切誰にも気づかれることなく、猫の黒穴に吸い込まれていった。

ただ、一人を覗いてその様子を見ていた娘がいる。

若葉マークのついた帽子を被って茶色のおさげを黄色のリボンで留めており、セーラー服を着た彼女は穴の範囲外であるところから見守っていた。

「うん、これは予想以上にうまくいったね。さて次は……ここか。やれやれ、別世界行くのめんどいな」

そう言いながらも鎮守府があった場所へすたすたと歩き、猫に近寄るとすうっと消えるように吸い込まれていき猫も跡形もなくどこかへと消えていった。

 

 

 

 

日本国 2022年10月9日

 陸上自衛隊西部方面隊が主催する大規模島嶼奪還演習である《鎮西演習》の開催が近づいており、全国の陸空海が九州に集結していた。

おおすみ型輸送艦2隻が佐世保に入港したのを機に、大分港では民間チャーター船のなっちゃんworldから北海道の第2師団に属する90式戦車や74式戦車、99式自走155mmりゅう弾砲、87式自走高射機関砲等が陸揚げされた。

さらに関東からは第一空てい団や中央即応連隊、第4対戦車ヘリコプター隊等が続々と現地入りしており、空挺降下訓練やヘリボーン訓練のため輸送機(C-1・C-2)や輸送ヘリコプターも到着し準備を進めていた。

それだけでなく空中給油機(KC-767J・KC-46A)早期警戒管制機(E-767)までもが飛来し、マニアの間ではちょっとしたお祭り騒ぎとなっていた。

 

 演習まであと1週間後に迫った健軍駐屯地の西部方面総監部では陸上総隊司令官、統合任務部隊指揮官、方面総監相当たる面子がリモート会議のため出席していた。

時刻が20時を回ったところで外はひんやりと寒さが感じられた時、携帯のバイブレーションが一斉に振動し不協和音の警報音が会議室内に響き渡る。

「ん?これは……緊急地震速報!?」

「震源地は日向灘か……むっ、くるぞっ」

誰かがそう呟くと同時に、遠くから不気味な地鳴りが聞こえてきた。

小刻みに地面も揺れ始め、コップに注いであったお茶が波紋を描き、プロジェクターの映像がカタカタと上下に揺れてきている。

これはでかい、と直感した幹部たちは避難経路を確保するためにドアを開ける者や机の下に潜り込む者など各々行動を取り始めた。

直後、大地がズン!と大きく縦に震えるとテーブルの上にあったペットボトルのお茶やコップが宙を舞う。

室内にいる人々は咄嵯に這いつくばり頭を守る他ない。

すぐさま大きい横揺れが襲い掛かると、壁に飾られていた額縁に入った高そうな絵画や壁掛け時計などが大きく音を立てながら左右に揺さぶられていた。

 

 

 震源地に近い新田原基地では緊急地震速報が受信されるのと同時に強烈な揺れが襲い掛かり、エプロンや整備場に駐在していたF-15D/JやU-125A、UH-60J、那覇基地から飛来したE-2Cがまるでトランポリンのように跳ねていた。

機体を整備や点検していた隊員たちはあまりの揺れに、地面に這いつくばりながら暴れる機体や車両から離れるしかなかった。下手すれば押しつぶされるからだ。

管制塔はかなりの高さがあるので地上よりも激しい揺れに見舞われていた。

当直の管制官らはなんとか机の下に避難するもキャスター付きの椅子があちこち転げまわり、様々な資料が床にぶちまけられていた。

地震発生時に離着陸する航空機はいなかったのは不幸中の幸いだろう。もしいたら重大な事故に繋がる可能性があっただけに管制官たちは心の底からホッとした。

 

 

 

 三沢基地から飛来した第302飛行隊のF-35Aのパイロットたちは、築城基地の会議室で鎮西演習に向けてブリーフィングを行っていた最中に地震に見舞われた。

なぜF35のパイロットが演習に呼ばれたのか。

それは近年中国軍の成長が著しく、第5世代ジェット戦闘機を配備しているからだ。

特にJ-20は航空自衛隊にとって最大のライバルになりえるだろう。

中国だけでなくロシアでもSu-57の配備やSu-75の開発も進んでいる。

そのため日本もF-35の導入を決定し三沢基地には25機のF-35Aが配備されている。

いまだ主力を占めているF-15D/Jでは大変厳しい戦いが予想されるため、対ステルス機を想定した訓練を初めて盛り込み12機のF-35Aが築城基地に飛来した。

東北出身者が多い第302飛行隊のパイロットたちは東日本大震災の揺れを思い出していた。

「隊長、滑走路の無事が確認されたらすぐ飛ばしましょう」と真賀(まが)3等空佐は揺れに耐える中助言した。

F-35Aはステルスだけが売りではない。優れた光学センサーを持っているので戦術偵察や災害が起きた時の初動偵察としても運用できるのが強みだ。

「あぁ、そうだな。しかし長いぞこれ……南海トラフ巨大地震じゃないといいが」と大伯(おおはく)2等空佐は不気味で長く続く揺れに不安そうな顔を浮かべた。

 

 

 海上自衛隊佐世保基地でも震源地から離れていたにもかかわらず、かなり強い揺れに見舞われていた。

「うおっ!?」

「これはでけぇぞ」

停泊していた護衛艦も上下に揺れだし、日本海の荒波に慣れている乗組員ですらよろけてしまったり何かに捕まっていないと転げてしまうほどだった。

外をみると係留ロープがギシギシと軋み、港の電灯もユサユサと揺れて灯りが左右を照らしていた。

(こりゃ震度5弱はあるか?)

DDG-1788あしがらの甲板で巡検をしていた松塚海曹はあまりの揺れに中断し、転げまわらないよう身をかがめながら当直士官とともにヘリ格納庫に避難した。

この夜に海に転落したら危ないのもあるが、一番怖いのは係留ロープが破断してしまうことだ。

破断したらまるで鞭のごとく襲い掛かり、人を軽々と吹き飛ばしたり首切断や足切断させてしまうほどの威力がある。

また、地震波であるP波は液体でも伝わる性質がある。このような揺れは海震と呼ばれている現象であり、1995年1月17日の兵庫県南部地震では漁船と旅客船が、2011年3月11日の東日本大震災では福島県沖を航行するカーフェリーが海震に遭遇している。

「まだ揺れてますね……」新川(あらかわ)士官が不安そうに呟く。

「あぁ、それに津波警報も出るかもしれんな……忙しくなるぞ」と松塚(まつづか)海曹は険しい表情で佐世保湾を見つめていた。

 

 

 空中給油機(KC-767J・KC-46A)




R方面作戦終わったばかりなのにもう夏には欧州なんですか…?!
資源回復にレベリング、装備改修、溜まった任務……やることが……やることが多すぎる!
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