チートな幌筵泊地が異世界に転移した結果…… 作:提督兼指揮官兼トレーナー
「俺たちの国は、多分魔帝に喧嘩を売ったんじゃないのかな?、その時はそう思った。」
(元掃除夫で、現在は新生パーパルディア共和国の海軍大臣のシルガイアへの戦後のインタビュー)
というわけでエストシラントでの戦いです。
幌筵泊地が5%くらい本気出します。
「皇帝陛下は、ロデニウス連邦共和国への直接攻撃を計画している。」
カイオスから放たれた衝撃的な一言に、腰堀は驚きを隠せない。
「何を馬鹿なことを考えているんですか!、そんなことをしてもロデニウス連邦共和国が本気になる口実を与えるだけです。核兵器の数が増えかねませんよ!!」
「ああ、私とてそう思った。だが、この国で皇帝陛下にまともに逆らうことはできない。よもすれば処刑されかねない。」
その言葉を前に続く言葉を飲み込み、話題を切り替える。
「くっ……、攻撃する部隊は?」
「観察軍と二線級の戦列艦、あとは新規建造した最新のものが何隻か、竜母は皇都防衛のために回したいために、もう数がないから少しでも確率を上げるために夜間に出撃するそうだ。」
「不可能です!、たとえ夜に出たところで、幌筵泊地の潜水艦と、新規就役しているロデニウス連邦共和国の潜水艦、幌筵泊地の哨戒機部隊と、ロデニウス連邦共和国の哨戒艦の監視網をくぐり抜けられません!。」
「私だってそう思う。私だって観察軍の人間を犬死させたくない。だが、皇帝陛下は未だにロデニウス連邦共和国の正しい力に気づかず、奇襲だの、ムー国からの兵器輸入だのといった根拠の無いデマを信じている!、ロデニウス連邦共和国のことが知りたかったら、他ならぬムー国の資料を見れば良いのに!、それもこれも全部レミールのせいだ!、あの皇族レミールがのさばっている限り、戦争を止めることは不可能だ。」
皇族レミール、その名前を聞いた時、あの忌々しい記憶が蘇る。外交官のパトリックを殺し、危うく腰堀すら殺しそうになった女である。
「レミールは死刑確定です。ルディアスもおそらく責任は免れません。もはやこの国はまともに皇帝存続を願うことすら恐らく出来ないでしょう。」
「それは滅べと言っているようなものだぞ!」
「仮に皇帝存続が認められたとしても、もうまともに国政には関われません。私のかつての国がそうでした………。」
腰堀が日本のことを説明する。
第二次世界大戦終結後、天皇の権力は制限され、それまでの憲法を大きく変更された日本は、戦闘機を購入することですら、激論を呼ぶようになる………
「我が国も同じ末路を辿るのか……?」
「分かりません。ですが、少なくも国土は荒廃し、領土は没収され、賠償金を支払わされることとなるでしょう。」
「しかし……、なんとかならないのかね?」
「私からこれ以上は言えません。私とて今はロデニウス連邦共和国国民です。命を救った恩人とはいえ、国家再編に口を出し過ぎれば、それは外国人による内政干渉です。」
「わかってる……」
この後、カイオスは、クーデターを成功に移すため、時を待つことを選び、さらにムー国経由でロデニウス連邦共和国の書物を集め、国家再編に向けた動きを加速させて行った。
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エストシラント沖、ロデニウス連邦共和国艦隊
旗艦赤城
「早期警戒管制機より入電!、敵ワイバーンをはじめとする多数の敵反応有り!」
「やはり防御を固めてますね……、爆撃隊は?」
「まもなく攻撃態勢に入る模様、先程無線封鎖の符牒を示すコードFを金剛が受信しました!」
「分かりました。全艦に発光信号、戦闘配置!、航空隊は空戦装備としてワイバーン迎撃に当てます。ロデニウスに航空隊発艦後のRV-1の発射用意を、前衛艦隊にも攻撃用意を。」
「了解!」
P-800や、P-700、トマホークなどをベースに開発された超音速対艦ミサイルであるRV-1は、射程450kmとマッハ3の飛翔速度を持つ大型のミサイルであり、命中すれば戦艦クラスの大型艦も無事では済まない。
愛称はオニキスで、今回が初の実戦投入だ。
一方、睦月、如月、弥生、卯月も対艦ミサイル専用VLSから対艦ミサイルの発射体制を整える。
「初撃で竜母を叩き、次弾で敵を削り、最後は砲撃戦と航空攻撃で仕留めます。」
幌筵泊地とロデニウス連邦共和国の全力攻撃が行われようとしていた………
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同時刻、エストシラント付近、高度8000m
「艦隊より入電<爆撃隊は直ちに、皇都の軍事基地を爆撃せよ>との事、第18航空団は全機攻撃態勢に入り、上空の脅威を排除せよ!」
「了解!、全機マスターアームON、攻撃態勢へ!」
B-21を護衛するSu-57は、空対空ミサイルの発射体制に入る。
ミサイルは、中距離空対空ミサイルのR-77を選択。
距離、100km
各機体2体ずつ目標をロックオンした。
皇都自体の防空にはわずか20騎程なので、ロックオンする目標が無い機体は、システム統合に成功した西側巡航ミサイルのストーム・シャドウを使って、現地諜報員から送られてきた情報などを元に、倉庫などを狙う。
「全機……、発射!!」
ガコン!
ウェポンベイから、中距離空対空ミサイルと、空対地巡航ミサイルが放たれ、目標に向かって突き進む。
「2番機は俺に付いてこい、奴らに礼儀ってもんを見せてやらないとな?」
隊長機はそう言うと、2番機を連れて皇都、それも宮城の方へと向かっていった。
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一方、その頃のパーパルディア皇国サイドでは……
第18竜騎士団第2中隊のワイバーンオーバーロード20機は、皇都エストシラントの少し南方に位置する空域を、警戒飛行中だった。
中隊長デリウスは、中隊1のベテラン騎士、プカレートに魔信で話しかける。
「もう少しあちらの海域も警戒しますか?」
「そうですね。」
ワイバーンオーバーロードの編隊は、一糸乱れぬ動きで、錬度の高さが伺える。
「中隊長殿、敵についてなのですが……。」
「何です?」
「数日前の通達文のとおりであれば、あのロデニウス連邦共和国はムー国の飛行機械で戦いに来るでしょう。しかし、それにしては、先の2回の戦いで、我が方の被害が大きすぎるような気がするのです。いくらムー国が列強とはいえ、我々とて列強。そこまでやられることはないと思うのです。しかも、我々が戦っているのは文明圏外国。軍の上層部に今の疑問を呈しても、通達文のとおりとしか言わない。中隊長はどうお考えですか?」
皇国上層部は、ロデニウス連邦共和国の兵器について、完全にムー国の兵器だと判断し、部隊にもそう伝えていた。
「たしかに、今回の戦いについて、相手がムー国の兵器を利用していなかったとしても、結局なぜここまで被害が出るのか解りません。しかし、仮にムー国以外で軍事援助をしたとして、ムー以上の敵って、何が考え付きますか?」
「古の魔法帝国か、神聖ミリシアル帝国、まあ無いですな。」
「ところで……。」
「何だ!!!あれは!!!!」
目の良い部下の一言で、会話は途切れる。
各竜騎士は、何かを発見した竜騎士の指差す方向を注視する。
透き通るような青い空に、数点の斑点が見える。
綺麗な写真に落とされた汚れのような斑点は、徐々に大きくなり、それが飛行物体である事を認識する。
「は……速い!!、か、回避だ!!」
常軌を逸した速度で竜騎士隊に向かってくる「それ」を見たデリウスの本能は危険信号を全力で鳴らす。散開したワイバーンオーバーロード竜騎士隊、しかし「それ」も向きを変え、彼らに迫る。
「そ……そんな!!!」
結果的に、全弾が空中哨戒中の竜騎士隊に命中し全滅。
ここに、皇都の制空権は、ロデニウス連邦共和国が握ることとなる。
さらに攻撃は続く。
航空隊から放たれた巡航ミサイルが目標目掛け、明け方の空を進む。
その前座のように、列強たるパーパルディア皇国、そしてその中でも最強の皇都防衛軍、その最強なはずのワイバーンが雨のように上から降ってくる。ある者は、ワイバーンの首、胴体、足、羽等のパーツとなり、ある者は胴体から上の無い状態、そして人の原型を留めたもの、多数の肉と血が落ちていく。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
皇都エストシラントの様々な場所から、その凄惨な光景に耐え切れなくなった女性の悲鳴が上がる。住民はざわつき、様々な建物の扉や窓が開く。
彼らが上空を見上げたまさにその時…………
轟音を立てながら、飛行物体が、基地に目掛けて飛んでいく。
「一体!、何が起きているんだ!」
「パーパルディア皇国は第3文明圏最強の国家ではなかったのか!!」
「私たちはどうなるの!!」
恐怖と不安で騒ぎ出す市民の上を舐め回すかのように、巡航ミサイルは通過して行った。
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皇都エストシラント北方陸軍基地
装飾が施された豪華な石作りの建物の1階で、女性魔信技術士のパイは、魔力探知レーダーを確認していた。ワイバーン等の空を飛べる高魔力生物は、その存在そのものから、人間とは比較にならない魔力があふれ出ている。その魔力を探知出来るように作られたのが、魔力探知レーダーであり、これは対空のみではなく、対地としても有効に機能する。
上空に関して、現在レーダーには友軍の騎影しか表示されておらず、付近上空にも高魔力生物は確認できない。
「ん?何かしら?」
レーダー画面の変化にパイは気付く。
今まで綺麗に隊列を組み、飛行していた友軍のワイバーンの動きが乱れ始める。パイが上司に報告しようと思ったその時、レーダー上に写されていた友軍の点20騎が大きく光り、画面から消えた。
その現象が意味する事すなわち………
パイはすぐに隣に置いてある魔信機に向かって叫ぶ。
「緊急事態発生!緊急事態発生!!皇都南方空域を警戒中の第18竜騎士団第2中隊20騎がレーダーから消えた!、撃墜された可能性大!!、待機中の第3中隊にあっては、緊急離陸を実施し、皇都上空の警戒に当たれ!なお、レーダーに敵機影は確認出来ず。飛行機械の可能性大!!」
パイが指令した直後、陸軍基地に連続した炸裂音がこだまする。
異常事態の発生は、この炸裂音により、すべての者が認識するに至った。
「20騎すべての反応が消えただと!?」
パイの上司が血相を変えて、画面の前に来る。
「はい、短時間に次から次へと、連続して反応が消失しました!!」
「20騎!20騎もだぞ!!!警戒隊としての数は申し分無い量であり、しかも世界最強のワイバーンオーバーロードだぞ!!、それがそんな短期間でやられてたまるか!!」
「しかし、事実です!ものの20秒もかからずに消えました!!」
「故障ではないのか?」
「ありえません!!」
「くっ!!我々はいったい何と戦っているんだ!!、ムー国の飛行機械でここまで被害が出るのか!?」
レーダー室でそんな会話がされる中、指令を受けた第3中隊は滑走路から離陸しようとしていた。
「第2中隊がやられただと!?ちくしょう!!油断した第2中隊を殺ったところで、いい気になるなよ!!!!」
翼を広げ、ワイバーンオーバーロードは離陸するために走り出す。
普通なら、1騎ずつだが、今回は緊急のため、縦1列に連続して走る。
「敵接近!!」
誰かが魔信で叫ぶ。騎士は空を見上げる。
「なっ!!」
黒っぽい何かが、一直線に滑走路に突っ込んでくる。
ただでさえ、距離のいるワイバーンオーバーロードではこっちに来るまでに離陸が間に合わない。
「離陸中止……」
あと一歩遅かった。
ズドーン!!
ズドーン!!
ズドーン!!
・
・
・
・
・
立て続けに巡航ミサイルが着弾し、滑走路を含めた施設を破壊する。
だが、これでさえ、まだ序章に過ぎない。
「おい!、なんだあの機体は!!」
エイのような、ブーメランのような平べったい機体が超低空で侵入してくる。
先程の巡航ミサイル攻撃で、皇都周辺の滑走路は全て潰した。最早彼らを止める手だては無い。
「全機目標地点に到達次第、攻撃開始!」
わざわざ皇都の真上で編隊を分け、あからさまにどこを狙っているのかわかるようにする。
「全機投下用意……………投下!!」
各基地の上空に着いた機体が次々に爆撃を始める。
1機当たり500ポンド爆弾80発を積んだB-21の爆撃からは、如何なるものも逃れられない。
爆発、閃光、衝撃………
後には瓦礫しか残らなかった。
さらに、指導者達を恐怖に陥れるために、もうひと手間行うロデニウス連邦共和国軍。
「2番機、好きに荒らせ!」
ズバババババババババババババババ!!
Su-572機が、宮城を掃射し、荒す。
<次はお前たちだ>との認識をはっきりと持たせるのだ。
「爆撃の効果を確認。離脱する。」
最後に、攻撃の成果だけ確認し、2機は離脱していった。
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(暗い……全身が痛む……私はいったいどうしてしまったのだろうか?)
皇都防衛隊の魔信技術士パイは、意識を取り戻す。全身の痛みに少し混乱するが、考えを巡らし、記憶の糸をたどる。
(笛のような甲高い連続した音が聞こえた後、私は吹き飛んで来た誰かに当たって意識を無くして………、建物が崩れるような音がした気がするんだけど……)
パイは記憶を辿りながら、何が起きたのか推測する。
(ロデニウス連邦共和国は警戒態勢にある皇都防衛隊基地に攻撃を加えて、その攻撃は運悪く、私のいる建物に当たったのかしら)
「あっ、光!!」
自らの上を見ると、僅かに光が差し込んでいる。
(体は痛いけど……幸い動くわ、骨まではいってないと思う)
「よし!!」
意を決し、自分の上にある岩に力を入れる。
「誰か助けて!」
(基地にはまだ人が多くいるはず……だから、私の声を聞けば誰かが駆けつけてくれるはず……、なのに……、誰からも返答は無い)
「……そっか。」
(多分、みんな敵の第2次攻撃を警戒し、戦闘態勢を整えるために皆忙しく動きまわっているのね)
「う……ん!!」
渾身の力を込める。
音をたて、レンガと彼女の服とが摩擦し、所々服が破れる。
(外に出たら、恥ずかしい視線を受けそうな気もするけど、命には代えられないわ)
「もう一息……やった!、外に出られた!!」
彼女はあたりを見回す。
が、次の瞬間
「そ、そんな!!」
彼女の目に映ったもの、それはすべての建物が原型を留めずに破壊された、元基地の残骸だった。
動いているものは、自分以外誰もいない。
目に映る肉は全て死体だ。
「こんな……こんな事がっ……」
列強たるパーパルディア皇国の中でも最強の陸軍基地、圧倒的な制地能力と、突破力を誇る地竜も、他国を圧倒し続けてきた魔導砲兵団も、制空能力が極めて高いワイバーンオーバーロードの竜舎も、全てが砕け、破壊されつくしていた。
最強の陸軍基地に、これほどの破壊をもたらす存在を彼女が知るはずもなく、魔信技術士パイは、呆然と立ち尽くし、その情景を眺めるのだった。
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「お、おのれ……、ロデニウス連邦共和国などという蛮族ふ、風情が……、よ、よくも………」
「へっ、陛下………」
宮城にいた、ルディアスは怯えながらも、ロデニウス連邦共和国への怒りを上げていた。
整えられた宮殿の庭は、見る影もなく荒らされ、宮城のてっぺんは見事に破壊されていた。
[貴様の命は我々次第だ]
それをしっかりと見せつけたのだ。
「海軍はどうした!!」
「集められるだけ集めて、皇都沖合で待機中です。」
「奴らは間違いなくここに来る。奴らを1人たりとも逃すな!」
そして……、と、一息ついたルディアスは続ける。
「本土攻撃部隊は奴らの本拠地を徹底的に潰せ!、余を完全に怒らせたことを後悔させてやる!!」
「御意!」
怯えた表情から一転して怒り心頭のルディアスは、徹底的に倒すことを決めていたが、その程度で止められるロデニウス連邦共和国では無かった。
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空母「ロデニウス」空母戦闘指揮所(CDC)
「赤城よりオニキスの発射指示を受けました!」
「よし、直ちに発射、目標達成は大型の竜母だ。」
「了解!、RV-1発射!!」
ロデニウスの艦橋前に設けられたVLSから噴煙を巻き上げて超音速対艦ミサイルが放たれる。
「睦月、如月、弥生、卯月、対艦ミサイル発射!」
ウィーン
ズッ、バシューン!!、バシューン………!!
ズッ、バシューン!!、バシューン………!!
ズッ、バシューン!!、バシューン………!!
ズッ、バシューン!!、バシューン………!!
各艦娘から対艦ミサイル24発、合計96発が発射され、竜母を狙う。
後に、第3文明圏における覇権国家の交代を決定づける戦いとまで呼ばれることとなり、ロパ戦争におけるパーパルディア皇国が、制海権を決定的に失った海戦とされているエストシラント沖海戦。
その戦いは、爆撃機隊による基地爆撃と、戦闘機による掃射によって火蓋が切られ、海戦自体の最初の、大きく重たい一撃はロデニウス連邦共和国の最新鋭空母と、幌筵泊地の対艦ミサイル攻撃によって始まった。
次回に続きます。
(恐らく)襲いかかって来るであろう愚帝本土攻撃艦隊をどうやって調理しましょうか?
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単艦無双(ヤ○トかな?<すっとぼけ>)
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特生自衛隊(特殊兵器多数)出動
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航空殲滅(ソ連を超えた!?)
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普通に艦隊決戦(まだ常識の範囲)
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全部♡(愚帝君号泣不可避)