チートな幌筵泊地が異世界に転移した結果…… 作:提督兼指揮官兼トレーナー
「彼ら(パーパルディア皇国上層部)にはふたつの選択肢があった。自らの非を認めて然るべき対応をすることと、全滅するまで戦いを続けること、わが身可愛さに、負けと非を認めずに事態を悪化させたのは彼ら上層部であり、我々が責められるべきことなどない」
(とある国の追及に対して、ロデニウス連邦共和国の反応)
幌筵泊地弾道ミサイル基地
「全弾発射せよ」
ミニットマン、火星17型、東風41D、RS-28、アグニV、エリコ3等、核保有国が所有していた数々の弾道ミサイルが通常弾頭で一斉に発射される。
目標は、皇都の要人施設と属国の民間人地域を除く全土、つまりは民間人も含めた全地域と、属国のパーパルディア皇国関連施設を攻撃することとなる。
次々打ち上げられていく弾道ミサイルだが、普段は衛星打ち上げに使われる発射台に大型のロケットが備え付けられた。
「ツァーリロケット、発射!」
・・
数々打ち上げられた弾道ミサイルの中でも一際大きいソレは、新規開発されたツァーリ・ボンバωを載せるために作られた大型ロケット、ツァーリロケットである。
サターンVなどをベースにした超大型弾道ミサイルが、ツァーリ・ボンバωを載せて、デュロを狙う。
この他にもトマホーク、ツィルコン、12式地対艦ミサイル改良型巡航ミサイル、トライデント、ブラモス改良型巡航ミサイル、JSM、ASM-3改良型極超音速巡航ミサイルが、艦艇と潜水艦、地上発射装置から相次いで発射される。
「極超音速滑空弾、発射!」
さらに、ロデニウス連邦共和国各所の自走砲部隊と幌筵泊地自走砲部隊から極超音速滑空弾が相次いで発射され、パーパルディア皇国全土を狙う。
「Kh-22P、発射!」
中に超強力な気化弾を搭載したKh-22の改良型をも予め離陸していたTu22Mから放たれる。
この他、離陸していたB-52、B-2、B-21、Tu160、ラピッドドラゴン搭載の各種輸送機、攻撃機などから巡航ミサイルが発射された。
さらに、パーパルディア皇国沿岸部には、改装中の大和、武蔵、療養中で艦長が戦線離脱中の建御名方を除く全ての戦艦が集結し、片っ端から砲撃する。
「我が日護の目標は、エストシラントの沿岸部一帯、80センチの砲弾で穴だらけにしなさい!」
その言葉通りに破壊されていくパーパルディア皇国。
こうなれば、どんなにやられっぱなしとはいえ、迎撃されるはずだが、そんなことは無い。
完全に更地になってしまうデュロとパールネウスを除いた主要地域には、幌筵泊地の空母機動部隊と、ロデニウス連邦共和国の空母が基地向けのピンポイント攻撃を行っており、まともに抵抗することは不可能だった。
まぁ、最も地獄なのは民間人なのだが、再三にわたるビラ撒きによる降伏勧告を無視した上で、決起やサボタージュ、戦争反対運動すら行わない連中なんぞ、軍関係者と同然である、と解釈した。
(さすがにこの解釈には無理がある上、これに近い動きが無い訳では無かったが、無いに等しいパーパルディア皇国国民に大日本帝国同様の精神を考え、かつて日本で想定された地獄のような本土決戦が行われるかもしれないと判断したロデニウス連邦共和国は、根回しを十分にした上での徹底破壊を命じた)
「ま、町が……、悪魔だ!、俺たちは悪魔に喧嘩を売ったんだ!!」
破壊されていく街並みに絶望する国民達。当然地獄みたいな光景を目の当たりにするわけであるが、まだ弾道ミサイルが弾着していない。
「おい、あれはなんだ!?」
「あれはまるで伝承の……」
まるで隕石……、いや、星が降るように落ちてきている数々の弾道ミサイルを見て、絶望する国民。
・・・
今回の弾道ミサイルは為政者たちへの威嚇を込めて意図的にエストシラントから見えやすい位置を中心に落とした。
当然、為政者もまた、パニックに陥る。
「あ、アルデ!、軍は星を落とせぬのか!」
「無理です陛下!、あんなものを落とすような力は、いくら皇国とはいえ……、それどころか、ミリシリアルですら持っていないでしょう」
「何故だ!、何故全土徴兵令を出した後にこんなことになるのだ!」
ちょうど、攻撃が決定される数日前に、パーパルディア皇国全土の国民を徴兵する勅令を出したルディアス。
だが、これがロデニウス連邦共和国側に非戦闘員は居ないとの根拠を与えることとなり、結果としてこのような大規模攻撃が行われることとなった。
そもそも、パーパルディア皇国含め、この世界の防諜というのはかなりザルな部分が多く、正当化工作も大して行う必要が無いほどのものだった。
赤熱した弾頭が次々と落着し、辺り一面を更地に変える。
その様子をしかと見届けていた男がいた。
「これはもう戦争じゃない!、一方的な虐殺では無いのかね!?」
カイオスである。
「全土徴兵令の結果です。この勅令さえ下らなければ、まだ先輩方も良心の呵責があったでしょう。もしかしたら攻撃はもう少し限定されたものになったのかもしれません……」
「全土徴兵令となれば、パーパルディア皇国国民全員が軍属、或いは軍人になる……、だから攻撃しても構わないのかね!?」
「確かに、僕がいたような世界なら非難されたでしょう、しかし、ここは異世界で、今までこのような攻撃で国際的な非難を受けた国は無いでしょう、それにそもそも、他ならぬあなたがたパーパルディア皇国が非武装の、旅行中の国民を殺害した時点で、このような事になっても反論しようが無いのでは?」
黙り込むカイオス。
「失礼、度を越した発言でした」
「いや、いい。どの道我が国はかろうじて生き延びさせてもらえる身なのだ」
彼らが話し合う間にも、鉄の嵐は降り続き、そして遂にデュロにはあの兵器が落ちることとなる。
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幌筵泊地地下司令部にて
「弾着まで残り……、ってまた提督ピアノ弾きに行ってんのか」
「今度は何弾く気なんですかね……」
「前々から思っていたけど、提督って結構イカれてるよな」
「狂気を理性で封じてるっていうか……、理性が飛んだら何するか分からないあたり、だいぶやべぇよな」
毎度指摘されている事だが、多元は本来は、軍人になるべき器では無かった。
では、何故、防衛大学校に入ったのか?、端的に言えば逃げたかったのだ。
多元の家庭は父親が大変厳しく、小中高生の頃は成績が低迷するとすぐに手が出た。
いや、はっきり言えば虐待なのだが、多元もまた、このころはやられたら反撃する性格が出ており、家の中で激しい乱闘が繰り広げられていた。
当然怪我も多く、同級生や腰堀に心配されていたし、そんな荒んだ生活の中で癒しだったのがピアノだった。
母方が文化系ということもあってか、ピアノはよく教えこまれており、ピアノを練習する時は父が来なかったということもあって、熱心に取り組んでいた。
だが、そんな母は、高校時代に交通事故で亡くなった。
原因は、運転手の不注意だったが、多元が希望した夕飯を作ろうとしたため、本来は外出しない時間に出ていたということもあった。
この時から、父親は何も無くても酒を飲む度に多元を殴るようになる。
厳しい束縛と暴力から逃れようと多元は遠く離れた国立理系の大学に行こうとした、
工学系に進み、技術者になるのなら文句の付けようがないと考えたのだが、父親は関東圏の大学に進学することを強要した。
つまり、自宅から通えとの事だった。
「このままでは逃げられない」
絶望した多元が、それでも逃げようと思って向かったのが、基本的に外出が許可制の防衛大学校だった。
元々、旧帝クラスでも余裕で合格する頭もあってか、余裕で合格し、関東圏ということもあって、親も渋々同意した。
防衛大学校時代は、いい意味でも悪い意味でも先輩や教官からの指導によって、荒れた性格は収まっていた。
だが、それと同時に問題となったのが、相手を徹底的に追い詰めてしまうある種の非道さと、相手を倒せばいいという短絡的な思考だった。
優秀なのは間違いない、格闘技も陸自向きとも言われていたし、三半規管も強かったため、空自に入ってもパイロットになれたし、海自でも揺れる船で安定して指揮を取れると言われたのだが、自らの過去故に、目の前の敵を絶対に滅ぼすという思考(相手に反撃されないように、立ち直れないようにするという考え)が当時の日本の安全保障環境に合致しなかった。
一応、卒業はしたものの、翌年の幹部学校や、実戦部隊配備後の演習で、一度味方に損害が出ると、優秀ゆえの徹底した反撃で、降伏すらさせない攻撃っぷりを発揮し、勝ちはするものの、上司は扱いに苦慮した。
要するに、一度攻撃すると止まらないのである。特に味方がやられた時は……
当時は欧州での正規戦があったものの、依然として日本近海では領土問題で、グレーゾーンの問題が挙げられていた頃だったため、過剰なまでに相手を殲滅してしまう多元の存在は、優秀だとしても邪魔にしかならない。
(この点、ある意味相手を殲滅させなければならない深海棲艦との戦いは最も多元の得意とした分野であった)
だが、ちょうど多元が過労で倒れたことを理由に、本人から同意を得た上で、閑職への異動、その後退官させた。
運良く、その頃父親が癌で亡くなったこともあり、貯めておいた給料を使いつつ、バイトをしながら国立大学へ通った。
そして、1度は文系を選びながらも、理系に進むことを決意し、再び大学に通うこととなった腰堀と再開して、勉強した後、今に至るという訳だ。
「だが、現状誰も提督に代わることが出来ない……」
そして、ロデニウス連邦共和国では現状、後方から現代軍を指揮する人物が居ない。いや、厳密には旧クイラ王国の軍人で、現在多元の部下にあたるディーニツ参謀総長がそれにあたるが、彼にしたって後1年程度は経験を積まなければならない。
それに、幌筵泊地の指揮は、今後も多元がしていかなければならない以上、何処かで彼の狂気を抑えられるものが彼の理性以外で必要だった。
「それに、理性が吹っ切れると、健康すら気を遣わなくなるんだよな………」
既に徹夜によって目の下に真っ黒な隈を作っている。
「なにか心の支えがあればな………」
それが何か、いや、誰かわかっているからこそ、転生者一同は、彼女の力を借りてでも正気に戻って欲しいと願っていたのだった。
幌筵泊地某所
ピアノの音が響き渡る。
ショパン作曲、ノクターンだ。
まるで核兵器着弾の合図となるように始まったこの曲の間に、デュロにこの世界初の科学文明が生み出したコア魔法……、核兵器が着弾した。
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中央暦1640年、10月30日
同年9月30日に開戦したロパ戦争に同日の全土空襲、沿岸部砲撃に引き続いて、強力な一手が打たれた。
幌筵泊地から発射されたツァーリ・ボンバωがデュロ工業地帯に命中、激しい爆発とともに辺り一面を吹き飛ばし、パーパルディア皇国の工業生産力は確実に消え去った。
放射線被害は凄まじく、デュロ近郊の住民は数年以内に死亡、まともに助かった人間は少なく、特に優秀な工員を失うこととなったパーパルディア皇国がロデニウス連邦共和国の実質的属国となる要因にもなる。
中央暦1640年、10月31日
リーム王国が介入を要請、ロデニウス連邦共和国はこれを拒否し、全世界に向けて、全土攻撃中であることを強調しつつ、如何なる国の介入を拒否した上で、リーム王国の領土目的での介入を非難。気化弾によるエストシラントへの爆撃が行われる。
中央暦1640年、11月1日
パールネウスに遊星爆弾落着、巻き上げた噴煙により、パーパルディア皇国の農業生産量(属領除く)に致命的打撃、パールネウスの住民は全滅。周辺地域の人間も落着に関連した災害によって多数の死傷者が発生する。聖地を破壊された衝撃は大きく、ルディアスは目に見えてやつれるようになる。
中央暦1640年、11月2日
全土に向けて再度空襲、これによりカイオス氏の掌握した部隊を除き、ほぼ全滅した。尚、船舶用木材生産地に枯葉剤が撒かれたとの未確認情報あり。リーム国境線付近に皇都に向かう謎の部隊がいたものの、これも吹き飛ばした
中央暦1640年、11月3日
属領地域、一斉に独立宣言。
2度の全土空襲により、統治軍含め壊滅しており、障害は無かった。尚、巻き込みを防ぐために各国にパーパルディア皇国への侵攻禁止を要請、了承した72カ国は独立を達成し、MMAT参加国は直ちに承認。
5日間の攻撃で、パーパルディア皇国の人口はおよそ1~2割程度にまで落ち込んだが、皮肉にも、残された土地で生活していくにはこれくらいがちょうど良い人口であった………。
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「………、カイオス様、以上で報告を終わります」
「ご苦労だった、下がって良い」
空を仰ぐカイオス
(もっと早く気づいていれば!!)
カイオスは激しく後悔していた。
自らの愛し、誇りとしていたパーパルディア皇国は見るも無惨な結末となった。
栄えある皇国軍は自らが掌握した部隊しかなく、残りは塵と消え、広大な属領は全て独立された。
挙句、工業地帯のデュロも、聖地パールネウスも消滅し、人口は戦争前の15%ほどに落ち込んでいる。
軍も、経済も、技術も、何もかもを失ったこの国は最早二度と日の目を浴びることは無いだろう。
(せめて……、せめてこの国の存在を過去のものになることだけでも避けなければ!)
クーデターは明日の10時、御前会議で要人が集まる隙を突く形で行う。
アルデ、レミール、ルディアス含めた要人の確保が絶対条件だ。
それが出来なければ、ロデニウス連邦共和国の特殊部隊が腰堀氏を奪還し、そのまま地上戦になる可能性がある。
そうなれば、パーパルディア皇国の人口は1割を切るだろう。
(パーパルディア皇国国民が絶滅してしまうことだけは避けなければ……!)
「腰堀くん、明日、いよいよ決行するが……、もし上手くいかなかったら、直ちにこの国を離れてくれ………、パトリック外交官の遺体と共に………」
「カイオスさん………」
「君のような存在に会えて良かった。我が国はとんでもない罪を重ね続けた。このクーデターが成功しても、その事実は覆らない。私もいずれその罪を負わされる………、だが、その前に、何としてもこの国が後世に残らなければならない。どんなに小さくとも、どんなに弱くとも、我々パーパルディア皇国国民一人一人が平和を愛し、他人を尊重する、そんな国に私が変えていかなければならない………」
カイオスは天を仰ぎ、そして誓った。
<必ず、この国を救う!>
次回、終戦と狂気の終わり
さて、本日のストーリーはいかがでしたか?
私の作品にだいたい出てくるの主人公多元は、絵に描いたようなわかりやすいチート技術者ではありません。ある意味、彼自身が環境に適応した結果生まれた存在なのです。彼の頭の良さも、戦闘能力の高さも全ては自由に生きるためなのです。それが必ずしも果たせている訳ではありませんが………
彼個人に関する話はパーパルディア皇国戦の後に触れるとして、今回はもうひとつ、作者の製作事情についてお話します。
というのも、作者は、おおよそ数話〜10話程度先まで、ある程度見通しを立ててから細かいストーリーを作っていきます。
これは私のどの作品でも同じなので、「この作品、異常に更新早くね?」とか、「この作品、全然進んでないじゃん」と思われるかもしれません。
上記の通り、細かいストーリーができてから書き始めることが多く、新生活が始まって以降、時間の取れなくなった作者は、細かいストーリーができたものを片っ端から書いていくという手法に切り替えました。
そのため、今後は今以上に、更新ペースに偏りが見られる恐れがあります。
いずれの作品についても失踪するつもりはございませんのでご了承ください
長々と失礼しました。次回もお楽しみに!
(恐らく)襲いかかって来るであろう愚帝本土攻撃艦隊をどうやって調理しましょうか?
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単艦無双(ヤ○トかな?<すっとぼけ>)
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特生自衛隊(特殊兵器多数)出動
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航空殲滅(ソ連を超えた!?)
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普通に艦隊決戦(まだ常識の範囲)
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全部♡(愚帝君号泣不可避)